〜逆転のドラマ〜
雪景色の魔法

「雪景色」の講座があると知ったとき、「これが描ければ、長〜い冬をやり過ごすお楽しみが、ひとつふえるぞ!いつもアウトドアだけじゃ、芸がないもん!」と思った私。頭の中には、遠く雪をかぶった山並みや雪に埋もれた民家のイメージがいっぱいに広がっていました。

 まずは、モデル選びに表へ。「木を描きましょう。」と言われ、え〜っ!それって、一昨年もやったよねぇ、あの時はペンで、と〜てもたいへんだった。6センチ四方の作品になるのにまる1日かかったっけ。今回は絵の具。絵の具で描くと巨大化してしまうのが常の私。まだキミ子方式を知って間もない頃、梅の木一本で画用紙12枚つなげてしまったことがあった。モデルに選んだケヤキの木を触りながら、だんだん気持ちが落ちていくのがわかる。

木肌に触りながら、大筆でゴツンゴツンと描いていく。でも遅々として進まない。 いつまでもモデルにへばりついていると、画用紙一枚で幹の一部しか描けない。離れ時が難しい。

背景に雪が降ってきそうな鉛色の空を入れる。これは、いつも見慣れている色だから、安心。 幹に積もった雪を描く。どっちの方向から降ってきた雪なのか、雪が木に着くとき、いったいどこに、どのくらい着くのか・・・。いつも見ているようで全く見ていなかった自分に気付づいて、焦る。

降ってくる雪を描く。おっ、なんだか、気持ちが上向いてきた。冬になったぞ。 近くに降る雪と遠くに降る雪は、大きさが違う。画用紙の外にも降っていると思って描くと、画面いっぱいに降る様子が描ける。

 私は寒さにすこぶる弱いのだけど、「雪」も「冬」も大好きです。しんしんと降り積もり、どんなに荒くれていたものもしばし覆い隠し鎮める、沈黙の時が好きです。今回もそんな「雪」に救われたように思います。木肌が気に入らない、枝分かれにちょっと嘘っぽさがある、あ〜も〜この絵、だめだぁ・・・と思っていても、ちらちらと雪が舞い、積もり始めると、絵の雰囲気がちょっとばかり変わって、やっぱりいい味出してる絵になるんですね。こんな方法がちゃんと教え方として用意されているキミ子方式って、やっぱりすごい!!と思うのです。