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G.フォーレ 歌曲「いなくなった人」の歌詞
OP5−3 1873
L’Absent(いなくなった人)
| ――牧草の揺れる小径、 | |
| 小さな谷と、葡萄畠の丘と、枝葉の茂み、 | |
| どうしてなのだ この悲しみと静寂は。 | |
| ――しばしば訪れた人は、もう来ない。 | |
| ――どうしてあなたの窓辺に人影がなく、 | |
| そしてあなたの庭には花がないのか、 | |
| おお、家よ!いったいあなたの主はどこにいるのか? | |
| ――私の知らない遠いところに | |
| ――犬よ!この館の見張りをしなさい。――どうしてか? | |
| 家は、いま閑散としているから。 | |
| ――小さな子ども、どうして泣いているの?――おとうさん。 | |
| ――奥方よ、どうして泣いているの?――いなくなった人。 | |
| ――どこへ行ってしまったのか?――影のように。 | |
| ――岩礁にうめき声をあげている波頭、 | |
| あなたたちはどこから来たのか?――陰鬱な刑場から。 | |
| ――そしてあなたは何を運んできたのか?――棺を一つ | |
| ヴィクトール・ユゴー |
| とても劇的な語りが、単純で控えめな表現によって描き出されている曲。好きな曲です。 最初の2小節の和音が「不在」を確実に印象づけます。歌の第1節を歌い終えた後ピアノ伴奏部分のクレッシェンドが劇的緊張を用意します。途中テンポを早める部分から後はカノンになっていて、歌の部分をピアノがくり返す。ちょうど歌詞が対話になっているのに対応し、「奥方よ、どうして泣いているの?――いなくなった人」の後で伴奏が緊張の頂点に達します。最初のテンポを再現した後、歌はとぎれつつピアニッシモで終結に向かう。 「歌の構造」を理解しながら演奏するともっともっと表情のついた演奏が可能だろうと思います。が、今の私の器量と技量ではここまで・・・。音場を広くとったら「不在感」よりも先に耳が疲れます ^^;。 |