院内研修「看護師業務における法律問題への対応方法」に学ぶ
講師:弁護士さん   開催日時:2011/7/7 17:30〜
私的用件にて、途中で会場を抜けたので、自学分を含めた備忘録です。
リスクマネージメントマニュアル作成指針 リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会作成 2000年8月22日厚生労働省発表 : 以下は抜粋
用語の定義
1 医療事故
 医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。
ア 死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合
イ 患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合
ウ 患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合
2 医療過誤
 医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為
3 ヒヤリ・ハット事例
 患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした経験を有する事例
 具体的には、ある医療行為が、(1)患者には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合、(2)患者には実施されたが、結果的に被害がなく、またその後の観察も不要であった場合など
◎ 過失の有無は、医療側の決定によらない。当事者が、仮にそう思っても、法的・公的評価が過失性なしとの判断がなされる事例は少なくない。当事者の気持ちとしては、思わず「ごめんなさい(私の不注意でした)」と、過失が存在したこと、それを容認したかのような言動を(とくに日本人の美徳として)しがちだが・・・。
⇒ 応接マニュアルが必要/看護記録など、カルテへの事実記載が必須。
◎ 看護水準(=医療水準)は、最高裁判例によれば「当該医療機関の性格、その存在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべき」とある。
 以下の留意事項がある。
*看護水準と看護慣行とは必ずしも一致しない。該当病院の慣行で行われている内容が、いわば“井の中の蛙”的といえる独自の慣行であって、水準を満たしていない場合は問われることになる。
*医薬品・医療機器に係る水準は、効能書や操作・使用の手引書に基づく。
医療用医薬品の添付文書情報
同ホームページ
*効能書は、必要時、重要事項が[警告]禁忌として追加されることが少なからずあるので、情報を収集し、周知徹底する必要がある。
⇒ 方法は?! 個人的には、診察デスクのPCに、常時[医療用医薬品の添付文書情報]が、Internet Explorer に展開されるように設定してあり、活用している。
◇ 看護師業務は、「診療の補助」と「療養上の世話」からなる。
◎ 「療養上の世話」は、原則として、医師の指示は不要であり、むしろ看護師が主体的に判断・行動すべき業務
*転倒・転落は医療水準を問わない「療養上の世話」(=ケア・介護)に係る事象である。
◎ 「診療の補助」において、静脈注射は看護師業務に相当するとの行政解釈(H14年9月 厚労省医政局長通知)がなされている。よって、看護師には静脈注射に係る知識・技術の習得・研修が課せられることになった。
*診療の補助に係る医師との情報授受・連携は看護記録・カルテに明記されていることが必須である。
*訪問看護においては、医師の指示が適時得られる体制が必要になる。
◎ 静脈注射の技術について、前腕皮神経は、その部位を予見して損傷を回避する注射技術は求められていない。一方、正中神経は解剖学的にその位置が予見されるため、本神経損傷の回避責任が発生する。
⇒ 静脈注射の技術に係るマニュアルはある?
*ワクチン接種に係る最新情報収集と技術、各種筋肉注射技術を含めて、生涯(技術)研修内容である。
◎ 看護記録(=診療録・カルテ記載)においては、判断(A:評価、看護診断)よりも、所見(O:診察所見、看護所見)こそが重要で、証拠として重視される。
*当然だが、聴取・問診における“事実”記載も重要である。
◎ 看護記録の記載(・カルテ記載)の訂正に際しては、二重線で消して、訂正前の文字が見えるようにし、かつ、訂正者のサイン、訂正日時、訂正理由を記載した上での訂正とする。
*カルテ改ざんの疑いを避けるため、訂正方法を院内で統一し、順守することが不可欠である。
⇒ かなり厳しく、訂正には手間・時間を要する!/マニュアル化は?!
◎ 個人情報の取り扱い
!過去にも指摘されてきたことであるが、病院で働く職員は、外部組織職員を含めて、家庭・地域において、患者の個人情報が特定され得る内容で話題にしてはならない。かつ、家族、知人や地域・他職場の有力者・上司などの求めに応じて、患者情報を漏えいしてはならない。
◎ 高齢者虐待への対応
!病院内および訪問診療・訪問看護などに際して、被虐待の疑いを抱いた際には、医師法等を越えた虐待防止法により、通告義務がある。
〔・ 虐待を疑ってこれを放置した場合もネグレクトに加担したことになる。〕