急な高熱となる夏風邪 〜 家庭での見守り方 
杉太:暑い日々が続きます。皆さまお元気ですか?
紅子:夏には、子どもが急に高熱を出すことがあります。不機嫌になり、頭痛を訴え、吐くなどネ。重い病気ではと心配します。大谷先生にお話を聞きます。
大谷:お子さんをA君としましょう。私は、A君が診察室で椅子に座るのと同時的に挨拶をし、衣服の胸・お腹辺りに絵柄や文字を見て、指さし、「これなぁに?」と聞きます。
杉太:図示してありますね。A君は先生の言葉につられて胸元を見る・・・・。
大谷:そうです!大切なサインです。夏には39℃以上の高熱を出す夏風邪が少なくないのですが、髄膜炎などの病気を除外することはとても大切です。
さて、紅子さん、髄膜炎の症状は?
紅子:私、知っています。「発熱、頭痛と嘔吐ですよネ!」
杉太:じゃぁ、高熱が出て、頭痛と嘔吐があって受診したからA君は髄膜炎なの?
大谷:A君をはじめ、子どもは発熱に伴い、頭痛・不機嫌や嘔吐を来すことは多いのです。ですが、診察開始時にA君がさっと胸元を見たその瞬間に「項部硬直」がない、つまり、髄膜炎の重要な所見がないと診ます。
 
杉太:エ! じゃぁ、大谷先生は診察室でA君と楽しそうにしていて、実際には重要な病気を除外していた!
大谷:そうなのです。ご自宅でも、ヒントになるかと思います。緊張・不安状態では子どもたちは応えてくれないので、是非、リラックスし、さっとみるのです。好きなおもちゃを用いて、確認するのも良いですネ。
紅子:もう一つ図があります。これは座っている子どもが膝から下をゆらゆら・スウィングさせている・・・・。
 
杉太:リラックスしている様子だネ! 子どもは高熱でもスウィングするの?
大谷:はい。私は「スウィングサイン」としています。これも高熱が出て受診する乳幼児が重症かどうかを、採血など検査に頼らず、見極める上で見逃せない重要なサインなのです。高熱の子を診察し、保護者とお話ししながら、「スウィングサイン」を見たら、お話を中断してでも、保護者に説明します。「お子さんは重病じゃない!と自分で証明してくれている」とネ。
杉太:へぇ?どんな年齢で出るの?
大谷:お座り姿勢で抱かれる乳児から、椅子に座って足が床に着かない小学生低学年まで見られます。
紅子:夏に高熱が出る代表的な病気は「ヘルパンギーナ」ですネ。
大谷:そうです。ノドの弓のように見える部位に赤い小さな水泡が見えるのが特徴です。高熱を来す疾患は多々あります。脱水症対策は常に大切で、夏季は熱中症対策にも配慮して欲しいですね。脱水症の傾向があって、病状が悪化したり、合併症を来しては困ります。
杉太:こまめに水分を取る、汗をかくから塩分も、そして、大脳を元気にさせる炭水化物も、だから、冷やしたスープやうどんなどを大切にだネ。
紅子:杉太君、分かってル! 熱があって、ノドが痛い場合や、飲食した後には氷を含んでおくのも良いのよ。冷やす効果と、ノドをきれいにし、汚染を避ける効果がありま〜す。
大谷:ン!杉太君、紅子さん、その通りです。年齢を問わず、脱水や炭水化物の不足は、夏バテの要因になり、感染症対策の観点でも好ましくないですからネ。留意して、元気に夏を過ごしましょう!
紅子・杉太:は〜い!
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