Viva!深遠なるオペラ : 門前の小僧的小生
NHK-BSで、ウィーン国立歌劇場総監督として20年近く重責を果たし、退任されたイオアン・ホーレンダー氏のためのフェアウェル・ガラ(お別れ特別演奏会)が4時間放映された。多くの著名な歌手(36人)と指揮者(11人)が無償で出演し、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団と共に歌った慈善コンサートでした。自身には重たく、次々とアリアが歌われたのだが、そもそも見たことも聞いたこともないオペラが多々あり、大半の曲に馴染みがなかった。前半を視聴し、(自身にとっては珍しいことだが)疲労困憊し、後半は視聴日を変えた次第でした。

自身がクラシックに関心を抱き始めたのは1971年の晩秋から、マンドリンクラブの先輩の導きで、ベートーベンのバイオリン協奏曲を聴かされたのが始まりで、1000円の廉価版LPレコードを購入し、繰り返し繰り返し、考えながら!耳を傾けた。第九も分からず、弦楽四重曲の良さなど分かろうはずがない。自身にとっての音楽と言えば、文部省唱歌、NHK“みんなの歌”、歌謡曲やフォークソング類で、クラシック音楽は縁遠かったのです
 やがて、アレコレと貪るように聴き始めたが、オペラは敷居が高かった。「イタリア語、ドイツ語など、言葉がわからずして、解るわけがない」などと屁理屈をつけて、拒絶すらしていた。

が、いつしか少しずつ関心を抱き始めた。オペラに入り込み始めたのは、そう、単純な理由ですが、映画館で字幕付きの洋画を見ていることに気づいてからです。語彙の詳細は度外視し、音楽の一部としての歌唱として聴くようにオツムを切り替え、ストーリーも学びつつ、オペラ鑑賞を重ねるようになってから10年に至らない。懸命にかじりついたのは事実であり、今でも、慣れない演目は頭脳格闘技状態に陥る。慣れ親しむようになった演目を除くと、疲れるのです。じゃぁ、何故視聴するのかと問われれば、登山と同様です。山歩きが嫌いな人や未体験の人にとっての登山と経験者での違いは明らかでしょう。学生時代に大山の縦走を繰り返し、雄阿寒岳などを体感した自身ゆえ、初めての演目となるオペラでの格闘が、体で使う場所は異なりますが、似ているようにも思えます。

自身が馴染んでいった演目順は記憶していないし、演出、歌手等による違いを知ることなど、同じ演目でも徐々に深みを増してきているのです。羅列になるが、モーツアルト「魔笛」、ヴェルディ「椿姫」、ビゼー「カルメン」などや、オペレッタではレハール「メリー・ウィドウ」、シュトラウス「こうもり」などから始まり、計20演目程度か・・・。プッチーニの良さも分かり出した。いつしか「ボエーム」に自身の青春時代を重ね、共感することも・・・。メトこと、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の廉価版DVDを入手し、NHKで放映されたオペラを次々と録画し、ハードディスクに収まらないとなればDVD-Rを作成しの過程は、妻に「いつ見るの?」と揶揄されながらも、今尚熱く続いています。

過去にもオペラの散発的に“生”体験はあったが、今からすれば、お金の無駄遣い的水準に留まっていた。まるで、英会話のためにお金を費やすがごとく・・・。オペラの大衆化といえようが、兵庫県立芸術文化センターの佐渡 裕 プロデュース・オペラの体験を重ね、体感的に「Bravo」・「Brava」・「Bravi」・「Brave」の声かけが出来るようにもなり、一方では、メト、パリ国立、ウィーン国立歌劇場引っ越し公演では高額なチケットに恐れを抱き、「今の自身のレベルでは高値の花!やがていつかは体験を!」と念じてもいる状況です。将来、「bravissimo」が発せられる“生”に出会えることも念じつつ・・・。つまり、superlative of bravo、英語ならvery well done! excellent! (www.yourdictionary.com/)ということになります。NHKの映像では相当する場面に遭遇していますが、“生”ではこれからの体験となります。

さて、2010年10月に放映された冒頭のガラ・コンサートでの知らない歌手・指揮者の一覧を見て、自身の水準が極めて低く、かつ、頭で考えるのではなく、共感的に体に染み入る曲が稀有であることを改めて実感し、打ちのめされた次第でした。長時間の格闘ガラの後半に、待ち焦がれたアンナ・ネトレプコが登場!〜同じ舞台に多くのソプラノ、メゾソプラノの歌手たちが歌った後だったので、対比がし易かったのですが、流石!!で、「bravissimo」に相当しました。次いで、何と、ナタリー・デセイが登場!ネトレプコの直後とあって、大変だったのでしょうが、百戦錬磨の彼女も流石!!:時間がなく、最後までの視聴に至っていません。(11/3 当直業務で“家出”時点)

:“洋楽”では、当時流行した、“エレキ”ではベンチャーズのサウンドに惹かれる程度で、ビートルズの音楽も何やら得体の知れないジャンルで、周りが騒ぐから小生も聞いて、親に「良い」などと分からぬ返答をしていた程度で、今からすれば、何も分かっていなかったことが!良く分かります。
*ベートーベンの弦楽四重奏曲を、共感的に(バーンスタインの言葉をなぞらえると「脳ではなく心で」聴きながら
2010/11/03(文化の日) 病院当直の夜 / 11/23 カルミニューラの四季の“生”に期待しつつ

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