凄腕のネルロ・サンティ
Nello SANTI
1931年9月22日生まれのネルト・サンティは今79歳か・・・。ウィキペディアに多くの記述はない。「イタリア出身でヨーロッパ圏を中心に活動するオペラ指揮者。とくに、イタリア出身の作曲家のオペラを好む。ヴェルディ、ワーグナーなどいわゆる、大作オペラの指揮振りは、年齢を感じさせないものがある。 オーケストラのすべての楽器を自ら演奏できる。どの楽器もかなりレベルが高い」と。
 サンティの生演奏を聴く機会は皆無だが、NHKの放映で馴染みになった。かつ、彼の指揮を楽しみにしている一人です。
 2011年11月14日(日)朝、NHK-hi「クラシック倶楽部」で、第1683回N響定期公演を放映した。メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」とドボルザークのチェロ協奏曲 で、珍しく協奏曲がメインのプログラムだった。チェロはわが国を代表する実力者 堤 剛 で、サンティに促されたアンコールはJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第3番から「ブーレ」だった。
ファッション雑誌などの表紙を飾る男女を想定して欲しい。お叱りを受けることを承知で書くが、初めて、ネルロ・サンティの風体・顔貌を見たときに、演奏・指揮の高い水準と異なり、ある種の衝撃を覚えた。ナ何と、スター・ウォーズのジャバ・ザ・ハット(Jabba the Hutt)を連想したのです。
 日本人には稀有な超肥満体で、首は?〜やや猫背的であって、背中の曲線がそのまま後頭部につながっている体型であり、まるで胴体から直接頭・顔が出ているような印象を覚えました。さらに、動作が鈍いのです。映画のジャバ・ザ・ハットもほとんど動かない(〜動けない)状態で、このことも連想を深めた次第でした。
映画 AMADEUS で、モーツアルトが若い女性=やがて妻となるコンスタンツェ(Constanze Mozart ; 1762年1月5日-1842年3月6日)のお尻を追い回し、下品な発言を強要するシーンがある。音楽の質がいわば穢れない天使に例えられるのに比べ、人間モーツアルトの言動のギャップが大きい。
ジャバ・ザ・ハットを連想させた外観・動作と異なり、指揮には凄みがある。初体験・視聴であったベートーベンの交響曲は暗譜であった。小澤征爾や佐渡 裕 のような情感豊かな指揮と異なり、ほとんど表情を変えず、指揮棒の動きも単純な上下が多いが、しかし、演奏は深みがあり、各楽器のバランス・強弱・テンポなど、聴いていて心地良かった。
 オペラの指揮が、いわば本業であるサンティにとって、ベートーベンの交響曲は“お茶の子さいさい”と感じさせた。そんなサンティが指揮するベートーベンに惚れてしまった。
NHKはチューリヒ歌劇場のオペラを放映している。今、演目は記憶していないが、サンティの指揮もあったはず。それにしても、来日し、オーケストラを指揮して、名が知られている指揮者が、実際にはオペラ指揮者としての評価が高いということは、多々例がある。サンティもその一人で、一方、欧米の歌劇場でオペラを指揮し、来日していない指揮者も多々ある。要するに、人材は多彩であり、日本にオペラが定着していないがためとの理解をしている。
 敬愛する指揮者 ネルロ・サンティが出演する演奏会・オペラ : NHKの放映を見逃さないようにしたい。
2010/11/15 記

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