平成13年6月 用瀬町議会議事録

議 長 次に岩本浩君。
岩本議員

 私より、通告しております2件につきましてお尋ねをいたします。
 1点目でありますが、子どもたちの安全確保をどのようにしていくのかということについて、2つの視点でお尋ねをいたします。先ほどの木下議員さんの質問と若干重複する部分もあろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 1つ目の視点は、学校等公共の場での安全確保についてであります。近年、子どもたちを巻き込んだ痛ましい事故、事件、虐待等の報道が毎日のように流れてきます。特に、6月8日の8人もの死者が出た大阪の小学校における児童殺傷事件は全国を震撼させました。中学校の子どもを持つ私も、安全といわれ、起こるはずのない学校で起こった事件の衝撃は言いようがないものがあります。事件に前後して、身近なところで起こった嬰児の死体遺棄事件、安全管理のあり方を問われた羽合町の保育所での幼児の水死事故、4月には、気高郡内の保育士が園児に乱暴したとして処分を受けた事件等もありました。
 起こるはずのないと思っていた場所や、環境の中で起こる事件や事故は、今や子どもたちにとって安全という場所がなくなってきていることを物語っており、もはや対岸の火事ではなくなってきていると考えます。既に、関係者の間では話し合いが持たれていることと思います。学校からの保護者向けの安全管理についての文書や、防災無線による呼びかけ等も承知をしておるところでありますが、具体的に、学校等における安全管理等、どう確保していくのか、先ほどの答弁の中でも具体的なものも幾つか出てきておりますので、重複しない程度に、確認の意味で教育長に御所見をお伺いいたします。
議 長 上紙教育長。
教育長  お答えをいたしたいと思いますが、先ほど、小中学校についての対応については、とても十分だとは私も思っておりませんけれども、当面しなければならないことについては、学校とも毎日のように協議をしながら対応をしているところでございます。
 岩本議員、大切なことを1つおっしゃいましたのは、教職員の危機意識、意識ということをおっしゃってたんですけども、確かにこれはですね、いろいろ道具や設備や体制を整備いたしましても、特に、先生方の意識というものが十分に自分の中に本物になっていることがいないとだめだろうと思う、例えば、ふと思うんですけれども、例えば、大阪池田小学校の事件におきましては、あまりにも突発事故でございましたから、先生方がいろいろ対応に苦労されたこともよくわかるんですけれども、例えば、あのとき、火災の報知器をどなたかがとっさに鳴らされてたら、8人があるいは6人で終わったかもしらんなというふうなことは私も感じております。
 したがいまして、岩本議員、おっしゃってましたように、今後、やっぱり教育委員会、学校、いろいろ含めまして、地域の皆さんも御理解をいただきたいと思いますけれども、本物の意識を、どう子どもたちを守っていくかという、当面、学校においては、教職員の先生がこうだと、いざというときにはこうしなければならないという本物の意識こそが、御指摘のように大切だろうと思ってます。その点について、これからも学校とも十分協議をしながら、そういった意識づくりこそ、それから、町民の皆さんにも、やっぱり町民みんなで守ってやろうという意識づくりも、社会教育、生涯学習の面でも取り組まなければならないことかなというふうなことを、岩本議員さんのお話の中で感じておりまして、まさに、道具や施設も大切でございますけれども、あわせて意識の高揚というのが大切だということを感じておりますので、努力をしたいと思っております。
 以上でございます。
議 長 岩本 浩君。
岩本議員

 危機管理意識の向上とあわせまして、地域に開かれた学校ということの矛盾も抱えながら課題も多いと思いますが、地域との連携を持つことが非常に大事であると考えますので、十分成果のある対策を講じられることを求めます。
 2つ目の視点は、地域、家庭等での安全、特に、家庭での児童虐待についてであります。このことは、本町にその実態がある、なしにかかわらず、早期発見、予防という観点からも取り組むべき課題としてお尋ねをいたします。
 近年の児童虐待は急増の一途をたどり、その被害も深刻化する一方であります。全国の警察が今年1〜3月に摘発した児童虐待事件は51件、被害児童数は53人に上り、過去最高だった昨年を上回るペースであります。1〜3月に虐待で死亡した児童は16人を数え、昨年同期より6人も多く、4月以降も悲惨な事件が引き続き起こっております。全国の児童相談所に寄せられる虐待相談件数は年間1万件を超えておりますが、この数字も氷山の一角で、なお多くの虐待が家庭という密室の中に潜っている可能性があると考えられます。抵抗するすべもなく亡くなっていった子どもたちを思うと、痛ましい限りであります。
 最近は子どもへの暴力や、養育放棄などは、単に家庭内の問題ではなく、社会的問題だという認識も広がりつつあります。子どもたちを救うために児童相談所や養護施設など、関係機関の人材育成と施設の整備が急務となっております。関係機関の立ち遅れが原因で、親との面談の機会をうかがっているうちに子どもが死亡したケースも少なくありません。このことは自治体の虐待問題に対する認識不足のあらわれといえると思います。
 では、鳥取県下の状況はどうなっているでありましょうか。相談所での児童虐待相談件数でいうと、統計を取り始めた1990年は2件だったものが、1999年度には33件を数え、2000年度、いわゆる2001年の2月、2000年度の2月未現在で37件に上り、今後もふえる傾向にあります。2000年度は5年前に比べ、約4倍にふえております。子どもが親に虐待されて死亡する事件が2件起こり、県民に衝撃を与えました。昨年11月には、児童虐待防止法が施行されており、今後は地域、自治体を巻き込んだネットワークづくりが重要となってきております。今年6月には、関係機関の連絡会が県庁で開かれ、本年11月を目途に、早期発見、予防のためのマニュアルづくりを確認しております。本町においても、地域の受け入れ体制、啓発活動等急ぐべきと考えます。町長の御所見をお伺いいたします。
議 長 池本町長。
町 長  子どもの安全確保ということでございまして、私は特に子どもは世の宝として、心豊かに子どもの健やかな成長を願っていることは誰も共通するところでございます。子どもたちの安全確保ということは、私自身にしても、公私を含めまして、本当にこのたびの暗いニュースの多いことに心痛めておるところでございます。
 子どもたちに対する傷害事件や、幼児の虐待等について、町として何ができるかというお尋ねですが、これらのことは大きな社会的な背景があるではなかろうかとも思います。1町村として何ができるか、正直なところ大変苦慮しているのが実情でございます。しかし、町として可能な努力をすることは当然のことでありますので、先にも、教育長の方から学校問題等で話がありましたように、連携を密にしながら、それぞれの立場でできることはやっていこうというのが今の現状ですが、その観点では、幼児の虐待防止については、健康分野での検診とか、保育を通して保護者とのかかわりとか、研修とか、教育の機会づくり等に新しい視点で検討することを工夫しなければならないと思っております。特に、環境、施設や体制ばかりでなしに、一番大切なのは心の教育ではなかろうかと思うわけでございまして、いずれにいたしましても、子どもたちの安全ということについては学校、家庭、保育所の問題だけでなく、町内どこにおいても、安全確保に町民が挙げて努力しなければなりませんと思っております。
 したがって、今後、いろいろの角度であらゆる機関やいろんな組織や協議をしながら、効果的な対応を検討したいと考えておるところでございまして、何といいましても、町づくりは人づくりというのが私の基本的な姿勢でございますので、御理解をいただいて、これからも、議員皆様の御指摘をいただきたいと思っておりますが、それにつきまして、それぞれ学校の問題等が出ておりますが、教育長の中で、保育所というのは私の方の分野でございまして、危機管理や安全をどう確保していくかということで、今現在、担当の方から調べさせていただいておりますので、若干報告させていただきますと、時間中は門を閉じていること、保護者以外の出入については園長、園長補佐がチェックしておること、それから、けが、災害等が発生した場合を想定した通報、避難訓練を行うこと、日ごろ、危機管理意識など図っているところでございまして、さらに今後、検討しなければいけない侵入異常者の対応については、保育士と学校でも申し上げましたが、携帯用の警報機を持たせることとか、それから、児童に笛を携帯させることも検討いたしておりますし、このことについても、マニュアル化の追加が必要ではなかろうかと、そういう細かいところでこれから気を配ってまいりたいと考えております。
 特に、幼児とか児童の虐待防止の取り組みでございますが、現在、保育所に在籍している児童については、保育士が毎日顔色や表情等をチェックしておりますし、月1回は身体検査も実施いたしておるところでございまして、町の検診を受けていること、それから、0才から5才までの未措置の児童が約、保育所に措置されていない人も50人ぐらいいるわけでございまして、これらについても、子育て支援センターの利用や検診等により子育ての相談等を実施しているところでございまして、これらの該当者も約30人を利用いただいておるという報告を受けております。
 子育ての支援センターや検診等に出られない家庭につきましては、積極的に家庭訪問などを行いまして、未措置の児童の状況をほぼ掌握しているということでございますし、相談の内容については、児童相談所、保健所の機関等々連携を密にして、子育て家庭をサポートしている現状でございます。これからの課題としては、家庭内における保護者の精神状況が問題でございまして、平成13年度には、精神保健福祉士の資格を取っていただけるような方も今努力をしていただいておりますので、そういう方も講習に行かせて、そういう体制のこれから起きてくるではなかろうかというような体制整備にも万全を期していきたいと考えておりまして、何といいましても、どこを、どうして、我々の知らんところで起きてくるかわかりません。議員皆様初め、町民みんながそういう関心を深めていただくことが、何より未然防止に最大の備えこそ、最大の防除であると私は考えておりますので、これからも一層の御指導、御指摘を賜りますようお願いして、お答えいたしたいと思っております。
議 長 岩本浩君。
岩本議員

 このことにつきましては、鳥取療育園の大谷恭一園長はですね、増加した背景と対策について次のように述べておられます。「家族関係の孤立化や地域の教育力の崩壊が背景にある。育児の方法がわからず、地域の集りにも参加できずに孤立して、虐待に発展する例もある。虐待防止には孤立しないことが最も大切で、育児サークルに入ったり、世代を超えて交流できる場を行政が設けることが必要」とこういうふうに述べておられます。
 先ほどの町長の答弁にもございました、本町に既に設置しております子育て支援センターの充実、活用、あるいは智頭地区防犯協議会が用瀬町の各地に設置しております「こども110番」といった看板をもっと見やすく、目立つようにして、地域住民がそのことに関心が持てるような対策を講じられることを望んで質問を終わります。
 2問目の質問に移りたいと思います。ハンセン病に対する差別、偏見の解消への取り組みについてお尋ねをいたします。本年5月23日に、ハンセン病国家賠償訴訟熊本地裁判決の控訴断念を国が決定してから、誤った隔離政策によっていわれない偏見と差別を生んだハンセン病問題への深い反省が各地で行われています。
 鳥取県の片山知事は6月12日に岡山県のハンセン病国立療養所長島愛生園と邑久光明園を訪れ、鳥取県出身者の元患者らと面会をし、政府や国会の責任だけではなく、国も隔離政策などに積極的に関与した、このことをよく自覚して反省をしたいと謝罪をしました。また、「無らい県運動」を推進してむごい仕打ちをした、差別、偏見を取り除くように努力していきたいとも述べられております。6月の定例県議会では、異例の早さで補正予算にシンポジウムやパネル展など、関連予算300万円を予算化し、取り組もうとしておられます。私が申し上げるまでもなく、知事の訪れた長島愛生園の鳥取県人会会長の加賀田一さんは、本町の出身者で、2000年の3月4日に親類や町民の方の差別をなくしたいという思いにこたえ、63年ぶりに帰郷し、町民集会で訴えた方であります。池本町長も同年5月20日には、町民の熱心な取り組みにこたえて、長島愛生園を表敬訪問しておられます。
 国の決定以前のことであり、私も高く評価をしておりますが、問題は今後の啓発、取り組みであろうと思います。全国に誇れるような、また先駆けた取り組みを町民が自主的に人権文化事務所等と手を組みながらやってきた、この火を消すことなく、大きな輪として広げていってほしいと願うものでありますが、今後、本町としてどのような取り組みをされていくのか、御所見をお伺いいたします。
議 長 池本町長。
町 長  ハンセン病についてのお尋ねでございまして、私はその時代、医学遅れとはいえ、このような人権侵害の誤りを2度と起こさないように一層の啓発に努めてまいりたいと考えておるところでございます。元患者、親類縁者の方々、それを支える多くの関係の人たちの思いや願いをよく聞く中で、風化することのないよう、町として何ができるか、何をすべきか考え続けたいものだと思っております。
 今回の加賀田一さんの里帰りを通じて感じましたところの一端を述べさせていただくと、部落差別があらゆる人権の中核として、その手本に据えられるごとく、今回のハンセン病の取り組みがあらゆる難病や精神障害者の方々の施策の手本として、さらに、人権すべての分野に及ぶべきと考えております。
 今後の取り組みの基本的な考え方を述べさせていただきますと、まず第1に、偏見による差別は重大な人権侵害であり、差別は精神的な抑圧にとどまらず、隔離という実態は個人の生活を低め、命をも奪いかねない厳しい現状であることを知らされました。
 第2に、これらの事実をあらゆる機会を通して、計画的な啓発活動を進めることにより、無関心な他人事の態度を払拭して、人権意識の高揚に努めること。
 第3として、人権に関する課題は、行政の責務、住民の努めであることを再認識し、町の職員を初めとして、福祉に係る人たち、とりわけ、人権と深くかかわる人たちの育成が大切であるという向きに認識いたしております。人権尊重の精神を中心にした、心ある行政を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 そして、すべての町民が人権を重んじ、互いに手を取り合い、幸せな町をつくりますの理念のもと、明日の用瀬町を展望すべく、努めてまいりたいと念願いたしておるところでございます。
 以上でございます。
議 長 岩本浩君。
岩本議員

 教育長にお尋ねをいたします。ここに昨年の10月20日に小学校の授業で取り組まれた、5年生が授業の中で取り組まれたハンセン病にかかわる資料がございます。このことは、学校教育等の現場でも取り組みが重要な課題と考えます。今年度もこの取り組みの計画を小学校もしているようでありますが、単発的に終わらず、このことを系統立てて中学校等の取り組みに広げたり、例えば、教育読本等の作成へと発展させていけれたらどんなにすばらしいことかと考えますが、教育長の御所見をお伺いしたい。
議 長 上紙教育長。
教育長  岩本議員さんのお説のとおりだと思ってます。今年も小学校では5年生、計画をいたしておりますし、小中合同は秋に毎年、本町では同和教育を中心に据えたということで、そういう学習会を持っとるわけですけれども、この際にも、中学校としても取り組みたいということは話しておりますし、多分、取り組まれるだろうと思ってます。ただ、おっしゃいますように、これ大変な、町長にもお答えになりましたんですけれども、ことでございますんで、大きな輸として広げるのはもちろんでございますけれども、ただ、学校の子どもたちに、私たちの年代はよく知ってますけれども、どこまで、どういう視点で教えていくのかという、まず、教える側の教職員の認識や心の土台づくりが不十分なのに、どんどん進めてもらっては困るなという一面も私自身は個人的に思ってます。
 したがいまして、その辺を、岩本議員、よく御承知なんですけれども、そういう点を踏まえながら、今後大きな輪になるようにしたいと思いますし、同時に、先ほど町長が御答弁されましたけれども、このハンセン病を通して、他の障害の間題というのに大きく、やはり教育の分野も施策の面も広がるようにしなければならないというのが、教育の場でも施策の面でも、今後、非常に大きな課題であろうというふうに認識いたしております。よろしくお願いしたいと思います。
議 長 岩本浩君。
岩本議員

 加賀田一さんが2000年の3月4日の町民集会のこと、著書「島が動いた」の最後の方で、「ふるさとは暖かかった」として、次のように書いておられます。「私のふるさとである山陰の小さな町、用瀬町の町長以下、町当局の人権文化センター、同推協などの方々の理解と尽力により、町民を上げて私を町に迎え入れようという計画が立てられ、平成12年(2000年)3月4日、用瀬町民会館で、すべての差別をなくすための町民大会が開催される運びとなった。「ハンセン病の差別から学ぼう」が今年の課題であり、私は講演の要請を受けた。入所以来、親戚の方々に迷惑の及ばぬことばかり考えて生きてきたが、幸いにして、私の親族は、これはハンセン病対策の理不尽と人権無視の実態に対し、深い理解を示してくれている。
 この機会に、私はこの世に生を受けてきたことの意味を問うまたとないチャンスであり、社会に根強く残るハンセン病への偏見、差別を除去する一端になろうと快く引き受けることにした。町村の身近なところから、県の出身者を温かく迎えることが、長年切れていた家族との絆を取り戻す1つの方法ではないかと常々考えてきたが、我がふるさと用瀬町がこうした会を県、全国に先駆けて実現していただいたことは、実に意義深いことである。この日が1日、我がふるさとの温かさに、情の厚さをしみじみ感じ、長い人生を生き抜いて本当によかったと心から思った。このような喜びが私にとどまらず、全国の入所者に波及し、遅きに失したらい予防法廃止の真価を問うことにつながってほしい、そう願わずにはいられない」とこのようにくくっておられます。
 私たちはこの思いを深く受け止め、こたえていかなければなりません。そのことを確認して、私の質問を終わりたいと思います。

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