平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.1
≪平井県政とマニフェストについて≫ |
<「みんなで やらいや 未来づくり」の総括を> |
間もなく、悪夢の大津波で多くの皆さんが犠牲となられた東日本大震災から1年を迎えます。我が国にとどまらず、全世界から被災地の皆さんを支援するあらゆる活動が展開され、今日を迎えているわけですが、一日でも早い復旧・復興を心から願うものです。 ところで、日本漢字能力検定協会は、毎年、世相を一文字であらわす漢字を公募し、年末に発表されていますが、昨年の世相をあらわす漢字として、京都清水寺の森清範貫主が書き上げたのは「絆」でした。東日本大震災直後から信頼、きずななど、心を結びつけ合う言葉が多く聞かれるようになり、県議会において会派「絆」としてきずなを看板に掲げ、議会活動をしている私たちにとっても、県民の皆さんと課題や政策を共有する中で、しっかりとした政治活動の歩みを前に進めていきたいと思います。 これまで代表質問を聞いていますと、幾度となく政策ではない国政のありようについて知事に無理やり感想を求める質問があり、地方議会の場にあっては、私自身もそうですが、多くの県民の皆さんも違和感を覚えられているのではないでしょうか。 政権交代した民主党が国民の期待に十分こたえ切れていないことは、県連幹事長として心からおわびを申し上げます。しかし、他党においても差異はなく、今、私たち政党人に問われているのは、政局絡みの政治ではなく、みずからの政治、政策を絶えず総括する中で、しっかりとした政策議論を行い、政党政治の信頼を回復していくことが大切だろうと思っています。 したがって、良識があると言われている鳥取県議会においては、県民の皆さんの命と生活をどう守り、県民の皆さんにとって幸福度の高い県政をどうつくり上げていくかが私たちの命題であることを認識しつつ、代表質問に入りたいと思います。 平井知事は昨年の4月、5つのアジェンダと40項目の政策から成る「みんなでやらいや未来づくり」というマニフェストを掲げて当選されました。2期目の任期として、このたびの予算が本格的な予算です。平井知事は、1期目の任期中に数多くの新たな政策の種をまかれ、今任期はまさに芽を出したり成長過程にある政策をしっかりとしたものに育て上げる時期だと思っています。当然、風や雨、雪など、いろいろな自然環境にも耐えられるように育てるために、追肥をしたり間引きをしたりして育てなければなりません。数々種をまかれましたが、順調に播種から育っているもの、育ちの悪いものがあると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
東日本大震災からようやく1年がたとうとしている今の状況を踏まえた御発言がありました。森貫主の書かれた「絆」という文字が年末に非常に印象的にこの国を駆けめぐったと思います。議員のほうからもお話があったように、ぜひとも力を合わせてこの国を復興させていかなければならないと思いますし、そのためにも国政としてきちんと話し合うべきことを話し合い、結論を出していただくというシステムを求めたいという思いは全くそのとおりだと思います。 私ども鳥取県では、現場として議会と執行部の車の両輪における県政推進を図っているところです。いろいろと立場の違いもありますが、乗り越えるべきところは乗り越えて、速やかに意思決定をするというのが鳥取県のいいところではないかと思います。私どもでできることが選良の皆さんでできないはずもないわけで、国政においても、ぜひともそうした立場の違いを乗り越え、国難を打開する道筋をつけていただきたいと思います。 「みんなでやらいや未来づくり」についてお話をいただきました。 私は、これまでの5年間、県政の方向転換を図ろうということで幾つかのモチーフを展開してきました。そのモチーフとして、1つにはパートナーとしての県政を確立したいということで、県民が参画をしてやっていく、そういう共同体の見本のようなモデルをつくっていきたいという思いでした。まだまだ道半ばのところもありますが、例えば、あいサポート運動のように、これは県のほうから提唱させていただいて、障害者団体はもちろん、かなり多くの団体の方々にも共感をしていただき、あいサポーターがふえ始めています。3万人というような数字になってきましたが、広島県や島根県など県外にも広がりを見せるようになってきました。また、中山間地域の見守り協定を結んで中山間地の活性化を図ろうということをやってきましたが、これも鳥取県独自のものですが、定着してきていますし、成果もあらわれてきていると思います。鳥取力創造運動を提唱させていただきました。これもその運動に参加をする団体がふえ始めているところです。 鳥取というのは恐らく全国でもまれなところだと思いますが、コミュニティーだとか地域の中でのきずなを大切にしようという気風に富んだところだろうと思います。大きな力を発揮することはなかなか難しいかもしれませんが、ただ身の回りのこと、お互いを支え合っていこうということであれば、十分私たちのコミュニティーは機能すると考えています。 これを県政の中の一つのツールとして、もっとメカニカルにやっていこうという思いで県政の情報公開を図ってきましたが、この点では2011年度、2010年度と相次いで全国でナンバーワンと県政の透明度を評価していただくことができました。こういうふうに一応の実績は上がりつつありますが、さらにそれを進めていくためにも、県民参画の条例づくりを今一生懸命やっているという状況だと思っています。 また、モチーフとして大きく展開をしようとかじを切ったのは、やはり自立だけでなく連携ということを基軸にすべきだろうということで、自立と連携の連携にも重点を置いた県政展開を図ってきました。隣県の島根県、岡山県と相次いで協議の場を深めることができました。関西広域連合はもとよりです。さらに、中国地方の中でも風通しのいい議論ができるようになってきたと思っています。例えば原子力安全対策の問題もそうですが、こういうところでは県境をまたいだ協力体制が必要です。山陰両県はもとより、広島とか岡山、山口との連携関係も重要です。 先般、NHKさんがテレビの上での対談番組をつくり、原子力安全対策について5県の意見交換を伺うという場をセットしていただきました。そのときに広島の湯崎知事がおっしゃった言葉が印象的でしたが、今、中国5県は非常に風通しがいい、コミュニケーションがとりやすくなっているというお話を知事みずから述べておられて、もちろん原子力安全の対策では一緒にやっていかなければいけないと述べておられました。この5年間で大分時代を変えることはでき始めたかなと思っています。こういう連携は、産業界と県政との連携だとか、地域の市町村と県政との連携だとか、さまざまなチャネルをこしらえて、土台づくりをしてきたと思います。今では5年前とは打って変わって、当たり前のようにその連携が語られるようになってきたかなと思っています。 また、県民の皆さんと一緒に地域に活力を還元していくような県政をつくりたいと、これを5年間やってきました。この点は、播種はしたものの育ちが十分かというとまだまだ厳しいところもあります。経済状況が何せ激動してきており、思うに任せないところもあります。ただ、そういう中でも新規の成長戦略を実行してきていますし、農林水産業の中にも元気な側面も出始めたかなと思っています。 地域の安心を図っていく人材育成というのも手がけてきた分野です。特に子ども達の未来は鳥取県の未来であると5年前に述べて、それをモットーにやってきたわけですが、この点では、このたび少人数学級を全学年で提案することを皆様にお願いしているところです。ここまでこぎつけたというところまでやってきました。また、長く懸案でしたが、中学生のレベルまで医療費の無料化の助成制度を市町村と協力してやるというところまできました。こういう子育て対策が評価をされて、全国的には幸福度で4位という法政大学の評価もいただいたところです。ただ、現場を見てみればまだまだ厳しいところもあります。鳥取県を真に住みやすいパートナーシップの地としていくためにやらなければならないことがあると考えています。 そういう意味で、間引きも必要だというお話もありました。県政のスリム化を図ったり、無駄や無理の廃止ということを徹底して行ってきました。この議場でも議論がありましたが、海友館を廃止するということもやってきたところですし、また、夢みなと温泉館を県から手放して民間のほうに譲渡したということもありました。間引きという言葉がそういうのに当たるのかはちょっとよくわかりませんが、いろいろと今まで県がやってきたけれども、それを整理して市町村との権限分配をやり変える。例えば福祉事務所の問題もそうですが、福祉の施策もなるべく身近なところに市町村中心でやってもらうのがいいだろうと。県のほうでは特別交付税を失うことにはなりますが、その分は市町村のほうにかなり厚目の配分が行き、その意味でスムーズに今動きつつあるかなと思っています。いろいろとそうしたシステムチェンジも行いながら、夢を追いかけていきたいと考えています。 |