まず、このたびは新会派「絆」を発足され、従来の党派的な壁を乗り越えて、住民の皆様の意見を一つにまとめていく、その役割を議会の中で果たしていこうという決意の表明がありました。私としてもそうした議会の皆様の活発な論議に執行部としてこたえながら、鳥取県政の邁進に努めていきたいと思っています。
今回テーマは総括、ということを言われました。確かに現在世界的な潮流の変化もありますし、イギリスでも政権がぐらぐらとし始めていたりします。日本の中でも価値観の大転換が起こりつつあるのだと思います。それにあわせてどうのように政治や行政がこたえていくのか問われつつあるのが、今日の政治状況ではないかと思っています。そういう意味で、私もこの機会にこの代表質問を通して、私なりにも総括をしたいと考えています。
まず、新型インフルエンザ対策、このたび、WHOのほうでフェーズを引き上げるという決定がなされました。WHOのチャン事務局長が記者会見して、世界的にはパンデミックに当たる大流行が起こっている、このような決定をされたわけです。片方で、WHOの別途のコメントも示されており、しばらくはこのパンデミック状態は続くであろうと、3年ぐらい続くのではないかと、そういうような見通しについての話もありました。ただ、留意しなければならないのは、チャン事務局長の話の中でいろいろと留意点が述べられていることです。
一つには、過度に過敏な対応は慎んでもらいたいという各国に向けてのメッセージで、例えば国外への移動を禁止をすることについて、WHOとしては指示しない、という考え方が示されました。それから、当面は流行は続くわけですが、フェーズが6に引き上げられたとしても、急に死者が増えたということではありません。そのことも念のため申し添えられていました。加えて、このたびの流行が北半球から南半球に及んだことがフェーズ6への引き上げの要因になったわけですが、今後は発展途上国にこの流行は拡大していくだろうと。そういう意味で、世界的な流行を食いとめるためには、途上国への支援も重要なテーマになってくる、だからこそ今パンデミックだと宣言するのだと、こういう趣旨だと思いました。こういうWHOのメッセージですので、我々としても冷静に今回のフェーズの引き上げは受けとめなければならないと考えています。
その意味で、これまでも議場でいろいろな議論がなされてきました。新型インフルエンザ対策は命にかかわる問題ですから、その準備を怠ることがないようにという指摘がありましたし、先回も全員協議会で大きな議論がなされ、代表質問で廣江議員からもこの点の指摘をいろいろといただいたところです。
我々として、今までマニュアルをつくったり、それから実際にマスクだとかタミフルなどの備蓄を進めたり、医療機関側での準備をお願いし、実際に医療機関側にもそれにこたえていただき、3カ所の感染症の病院、さらには13カ所の発熱外来の確保をするなど、準備していました。
お尋ねのこのたびの事象ですが、今回は成田から直接伊丹のほうに入られて、伊丹以降は兵庫県内を動かれています。兵庫県内での滞在中の宿泊施設の中で38度を超える熱を発症し、そのお子さんを連れて、両親が鳥取県内の病院にかかられたと、こういうケースです。直接兵庫県の宿泊施設からレンタカーで鳥取県内の当該診療所に入っていますので、ほとんど人と接触していないというか、全く接触せずに県内の診療所に入っているということです。ですから、実際にこの患者のお子様に接触されたのは、両親と、医療関係者のみということになります。ですから今回の対応は、我々としては感染を防止することが一つの対応策である、それから今回発症した患者の治療に全力を挙げること、これにより県内での拡大も抑えられ、新型インフルエンザの脅威も薄めるといいますか、なくすことができる、このように考え、対処したところです。
初動の状況ですが、まず診療所のほうで受診されましたが、その際にこれは高熱がある、それからお医者さんの所見として、新型インフルエンザにかかっているのではないかと疑われるということで、疑似症例であるということでした。我々が用意していた、また医師会とも従来から打ち合わせて決めていた簡易検査を行い、A型のインフルエンザという判定が出ました。これにより、直ちにPCRの検査を県の研究所で行うこととしたわけです。
あわせて、正午過ぎにはこの方が疑似症例であるという判断から、検査結果は出ない状態でしたが、県の感染症の指定病院のほうに入院していただく措置をとりました。そして、接触された方に外出について自粛していただく、それから予防的にタミフルを内服していただく、こういう対応をとりました。この議場での議論が生きたわけで、いろいろと今まで皆様から指摘をいただきながら進めてきた対応策が機敏に初動で動いたと考えていますし、今後快方に向かっていけば、その効果が出てくるということになるわけです。
県民の皆様への今後の対応の指針ということですが、フェーズ6にはなりましたが、我々としては引き続き感染予防などを県民の皆様に呼びかけたいと思いますし、冷静に対応していただきたいと強くお願いしたいと思います。
今回の新型インフルエンザの一連の動きを見ていますと、実際にかかられた病気の重さ以上に、社会的損失、経済的損失が大きくなってしまったのではないかと思います。ですから過度の対応をすべきではないと思いますし、このことについても、賢明な県民の皆様には理解いただけるところだと思います。
今回の症例についてですが、けさ段階の状況としては、入院中の患者さんは、36度5分の熱まで下がっています。平熱ないし平熱に近い平熱ということで理解いただけると思います。それから食欲も回復してきて、症状も緩和されてきているという報告です。ですから、快方に向かっていることは現在の状況で推認されるわけで、このままPCR検査で実際にインフルエンザのウイルスが検出されない状態になれば退院も間近かもしれないと思っています。それから、いわゆる濃厚接触者と言われる接触された御両親、医療関係者については、特に目立った症状はありません。予防内服もされています。そういう状況ですので、我々としては引き続き県内での感染拡大の封じ込めを目指していきたいと思いますし、完治を目指していきたいと考えています。
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