平成14年9月定例会代表質問(平成14年9月26日)No.16
<専攻科について> |
現在、全国でも県立高校に専攻科が正式に残っているのは鳥取県だけであります。これまで大学受験の受け皿としての専攻科は、私学及び予備校が充実するまでは一定の役割を果たしてまいりました。つまり、大学受験の再挑戦を希望する生徒の保護者の経済的な負担の軽減を図るとともに、教育熱心な鳥取県の大学進学率を引き上げてまいりました。しかし、私学及び予備校等民間の受け皿が充実する中、平成13年9月定例県議会の中で、我が会派の松田議員の専攻科の存在を検討すべきという質問に対して、当時の有田教育長は、「基本的には今の3地区の状況が異なります。例えば中部地区は予備校が少なく、同一ということにはなかなかなりませんが、順次専攻科を減らしていく方向で関係者の意見を聞いていきたい」と答弁されています。その後、教育委員会としてはいろいろ意見を聞かれたそうでありますが、意見を聞かれた対象、その結果はどうであったのか、教育長にお尋ねをいたします。 |
●教育長答弁 |
昨年の9月議会で前の有田教育長が松田議員の御質問にお答えさせていただいておりますが、専攻科を設置する県立高校の校長、予備校、私立高校の専攻科の関係者から意見を聞いております。公立高校の専攻科については、縮小、廃止の方向を検討中であります。 最初に、予備校とか私立高校の専攻科の関係者からの意見でありますが、公立の高校の中に予備校があるのはおかしい。公立の専攻科がなくなっても予備校で受け入れが可能であり、民間でできることは民間に任せてほしいというようなものでございました。また、専攻科を設置している県立の高校の校長からの意見としては、仮に廃止した場合の課題として、民間の予備校だけで大学進学希望者のニーズに合った学習内容が用意されるのか、県全体の進学実績は維持できるのかというような声、あるいは授業料が高くなって保護者の経済的負担が増す。特に中部地区には今のところ民間の予備校がございませんので、ほかの地区に行くか県外に出ることになるというような声が寄せられております。 しかしながら、県立高校の専攻科が設置された昭和35年ごろになりますが、そのころには大学進学を目指すような予備校は県内にはございませんでした。ということで、今とは状況が異なるところでありまして、現在では東部、西部に予備校や私立高校の専攻科があります。進学を目的とした県立高校の専攻科の役割は、見直すことが必要な時期だと私も思っております。しかしながら、40年近くも続いた制度でありまして、縮小とか廃止につきましては、今後計画をきちんと示して、関係者の御意見を伺う必要があると思っております。 |
<専攻科について>No.2 |
中部地区には倉吉東高に専攻科があります。中部地区に民間の受け皿がない中、倉吉東高の専攻科はあるわけでありますけれども、倉吉西高、由良育英、倉吉北高など中部地区一円の高校生の受け皿となっております。そうした中、専攻科が廃止になるのではという不安が、今、中部地区の高校生の間に広がっております。時代の流れとはいうものの、中部地区の専攻科を廃止されるときには、地域の動揺を防ぐためにも、時間的な余裕を持って、緩やかな官から民への移行計画を発表されるべきであろうと私は考えます。教育長の御所見をお伺いしたいと思います。 また、PTAの一部には、いきなり民間の受け皿へと言われても、進路指導が保証できるのか、大学を出たばかりの先生になりはしないのか、授業料が極端に高くなりはしないのか、不安の方が大きく、他県では、PTAで校舎使用料や教材費などに充てる授業料を集めて運営する補習科というものが運営されております。本県でもこういう補習科が行えるのかどうなのか、他県の実態も含めて教育長の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●教育長答弁 |
専攻科の縮小・廃止の関係でございます。 先ほど申しましたように、長く定着してきた制度でありまして、県立高校の専攻科の縮小・廃止の計画につきましては、現在高校に在学している生徒や保護者に配慮し、一定の周知期間を置くことが必要だとは考えております。 また、その計画につきましては、受け皿となる東部、中部、西部各地区の予備校等の状況、特に議員のおっしゃいましたように、中部地区においては予備校がございませんので、そういった状態を踏まえることが必要だと考えております。早急に地区ごとの縮小・廃止計画案を作成し、示す予定としております。 また、それに関連して補習科というような御質問がありました。他県で設けられている補習科は、PTA等が運営主体となりまして、同窓会館や校舎等を利用して、大学受験に再挑戦するといいますか、そういう卒業生に授業をするような仕組みとお聞きしておりまして、中国・四国地方では島根県、岡山県、香川県の3県にあると承知しております。 補習科を運営してはというような話が出ているとのことでございましたが、各県の状況をお聞きしましたら、一応教育委員会の管轄外で、運営はおおむねPTAということであります。このたび公立高校の専攻科の縮小・廃止につきましては、民間で受け皿ができつつあり、また民間でできることは民間に任していく方がよいとの考えを受けてのものでありまして、今は補習科に切りかえるというようなことを前提として専攻科の縮小・廃止を考えていないというところでございます。 |
<厚生病院の今後について> |
県立厚生病院は、中部地区の中心的な総合病院として、県民の厚い信頼と期待の中、健康と命を守るため大きな役割を果たしています。しかし、県立厚生病院の本館は昭和38年に建築されたもので、築後38年を経過し、法的な耐用年数まであと1年であります。しかも、耐震設計が施されていないことから、昭和61年から安全性保持の観点で5階、6階は使用されないまま現在に至っております。そうしたことから、外来待合室は狭隘どころか、緊急な患者を搬送するストレッチャーさえも通れないばかりか、診察室の医師と患者の会話が漏れ聞こえるなど、プライバシーの保護どころではない状況であります。さらに、救急外来は狭隘であるため、複数の救急患者への処置が同じ部屋で行われております。まだまだ問題を挙げれば切りがありませんが、いずれにせよ、公的医療機関の施設として、恥ずかしくてお話しできる状態ではありません。 そうした中、ことしの1月、県立病院施設基本構想策定委員会から鳥取県立病院施設基本構想が報告されました。報告書を見てみますと、救急医療、周産期・小児医療、災害医療など他の医療機関では充実が困難な分野を中心に機能強化を図るとともに、耐震性に問題のある施設の抜本的な改革が必要と結論づけられ、病院としてのあるべき姿が提案されております。しかし、具体的な施策への反映については、報告書を吟味の上、的確かつ迅速に展開されることを望むとして、行政当局にその責任がゆだねられております。知事としては、中部地区の現状は認識済みでありましょうが、改めてこの報告を受けられて、今後厚生病院をどのように充実・強化される考えなのか、御所見をお伺いします。 また、2月定例県議会で福間議員が救命救急体制について質問されたわけでありますが、その後の中部地区の救命救急体制の検討状況についても、あわせてお伺いします。 |
●知事答弁 |
厚生病院でありますが、伊藤議員がおっしゃったように老朽化が進んで、狭隘化が進んでいるということ、これも私も認識をしております。これは厚生病院に限らず中央病院も、同じような似たような状況が今進行しております。 現在、新しい病院事業管理者のもとで、皆さんの意見を聞きながら、当面どういうことをしなければいけないのかということを施策を今取りまとめてもらっております。ぜひこれを早くまとめてもらって、必要なことを実施に移していきたいと考えているところであります。 中部地区の救命救急体制のその後の検討状況はどうかということでありますが、これは福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 |
中部地区の救命救急体制iについて≪石田福祉保健部長答弁≫ 中部地区の救急医療における問題点といたしましては、2次救急医療体制としての病院群輪番制の6病院がすべて倉吉市内に集中しておりまして、特に中部地区の西の方にあります赤碕、東伯町からの搬送の所要時間がやや長くなっている点がございます。本年度、初めて8月に中部で中部の公的病院等の連絡協議会を開催しまして、中部地区の救急医療についても協議を行ったところでありますけれども、県といたしまして、今年度中に県の保健医療計画の改定を行うこととしておりますので、その中で中部の救急医療体制についても十分検討してまいりたいというふうに考えております。 特に東伯郡西部についての対応といたしまして、今後1つの選択肢といたしまして、町立の赤碕診療所の充実による救急医療体制の整備等につきましても検討を行ってまいりた いと考えているところでございます。 |