平成16年9月定例会一般質問(平成16年9月28日)No.3

<時間外労働について>

 昨年の8月には、県の地方機関で、時間外手当を適正に支払っていないことで労働基準監督署から是正勧告を受けておりますが、労働行政の指導的機関である県が、国の監督官庁から三六協定違反、時間外手当を所定のとおり払えと是正勧告を受けた事実をどのように受けとめておられるのか、お伺いします。
 勤勉手当にかかわって県職員が不満を訴えた背景には、その他の労働条件の改善が進まないことが原因ではないでしょうか。その1つが、時間外労働のあり方だと考えます。議会で職員の時間外労働が多いと指摘されたのを受けて、早く帰ろうコールの放送が行われておりますが、私が見る限り、余り効果が上がっていないのが実態ではないでしょうか。

 平成15年度の時間外労働の実績によりますと、1人当たりの年間時間外労働の平均は、生活環境部の95.2時間が最低で、最高は県土整備部で 257時間となっております。これは出先を含めた平均ですが、時間外労働を一番多くした職員の年間実績は一体どのくらいであったのか、お聞かせください。

 平成15年度は別に大きな災害があったわけでもないのに、県土整備部 574人の職員の平均が 257時間ということは異常であると思うわけですが、その原因はどこにあり、どのような改善策を予定されているのか、お伺いします。
 また、人事委員会がことしの3月に知事部局で実施した時間外勤務のアンケートでは、時間外勤務を事前に伺い簿に記入していない職員が全体の40.9%あります。職員が書かなかった理由には、残業時間が短いから、10時以降は書かない、上司に認められなかった、自分のミスだから遠慮した、上司に変に思われたくないなどです。

 いずれにしても、これだけサービス残業が恒常化していることに対し、知事としての感想とこれからの対応についてお聞かせください。

●知事答弁
 
  労働基準監督署から鳥取地方県土整備局が是正の勧告を受けたという件につきましては、総務部長の方から御答弁申し上げます。

 あわせて、時間外労働が一番多い職員の実績につきましても、総務部長から御答弁申し上げます。

 県土整備部の時間外労働の実績については、県土整備部長の方から御答弁申し上げます。

 いわゆるサービス残業があるのではないかという御指摘もありましたが、これにつきましては総務部長の方から御答弁をそれぞれ申し上げます。

●総務部長答弁
 
 労働基準監督署からの是正勧告についてです。

 労働行政の指導的立場に立ちます県が労働基準監督署から是正勧告を受けたことは非常に残念ですし、これから正したいと考えているところです。時間外の縮減のための措置につきましては、これからも努めていきたいと思っております。

 平成15年度に最も多く時間外を行った職員は、知事部局の職員、対象者約 3,000人のうちですが、年間 1,555時間でした。

 時間外の縮減につきましては、個々人の時間外を随時把握できるようなシステムを開発して、時間外の縮減に努めていきたいと思っております。

●県土整備部長答弁
 
 県土整備部の時間外労働が多いということですが、平成15年度、御指摘のように 275時間ございました。平成14年度から比べて平成15年度は13%ほど減っております。また、今年も下回るペースで推移しております。

 しかし、時間外勤務が慢性化しており、そういう状況の理由ですけれども、業務の合理化を図りつつ業務を適正に執行しているわけですが、所管の業務が質・量ともまだ非常に増大しているにもかかわらず、これに見合った職員が配置されていないと考えているところです。

 量の問題ですが、事業量は最近減少しておりますが、それでも、過去に比べても、いまだその量は多いと考えているところです。

 また、質の問題が大きなところで、求められる業務水準が高度化しており、それに伴っての事業量が増大したところです。例えば工事の監督、積算、また地元協議、施工業者さんとの協議といったことが挙げられるわけです。

 これに対して、現在の対応ですが、業務の簡素化に向けて枠予算の設定ですとか電子化の推進、権限移譲、情報の共有化と意思決定の迅速化を図っているところです。また、事務量に見合った職員の配置増員を行っているところです。

 外部委託の拡充についても推進をしているところで、部独自の時間外短縮目標も定めて職員の負担軽減を図っているところです。
 

●総務部長答弁


 済みません。答弁漏れがございました。

 サービス残業が恒常化していることについての認識ということですが、適正に命令を受けて行った時間外勤務に対しては、適正に時間外勤務手当が支給されていると考えております。

 ただ、時間外勤務自体の運用におきまして、時間の管理がややあいまいなところがある、あるいは時間外勤務手当の翌月の支給が不徹底。先ほどの労働基準監督署から指摘されたのは、この部分もあります。

 時間外勤務の事後のチェックがおろそかになっているというような点がありますので、見直しの必要があると考えております。適正な時間管理と適正な支給となる時間外勤務のあり方など、時間外勤務全般にかかる実効性のある実行策を検討しているところです。

<時間外労働について>No.2

いろいろ答弁いただきました。
 先ほど随分難しい話をしましたけれども、法や条例の解釈をめぐっては、片山知事と議論するつもりは毛頭ありませんので申し上げておきます。議論しても私が絶対負けますから、勝負はいたしません。

 法や条例ですから解釈の違いがあっても仕方がないと思っております。憲法でも拡大解釈の中で自衛隊がイラクに行く時代ですから、少々解釈の違いがあったとしても、労使の関係で一番大切なのは信頼関係であり、やっぱり良識であると思っております。

 そこで、追及に入ります。
 初めに、是正勧告についてお尋ねします。
 あれだけ頻繁に記者会見されて、組合員にもまだ提案されていない時点で給与カットでも話をされる知事が、是正勧告を受けたことを公表されなかったのはなぜか。また、なぜ議会の常任委員会で報告されなかったのか、お伺いしたいと思います。これは知事に答弁──知事はこの事実を知っておられたかということも確認したいと思います。

 次に、長時間の時間外労働ですけれども、厚生労働省の指導に基づき、1カ月 100時間を超えて時間外労働をした職員には、総務部長通達で健康診断を受けるよう指導されているわけですが、昨年平成15年度は対象者が何人いて、健診を受けた実績はどのようになっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。

 先ほどありましたように、このようにサービス残業を含めいろんな形ですけれども、県職員の時間外労働が慢性化しているわけですから、職員のメンタル対策、やはりいま一度きちんと見直したり強化することが必要であると思いますけれども、知事の御所見をお伺いします。

●知事答弁

 
 労働基準監督署の是正勧告について知っていたのかということですが、私は実は存じませんでした。ちゃんと私に報告をしてくれればよかったのにと、ちょっと苦言を呈したのです。

 これはよくないことだと思うのですけれども、例えばそういう実態、指摘された実態というのが、県庁の中でそんなに特殊な実態ではなかったので、さほどというようなことを職員が言っていまして、なれの意識というのがいけないと私は思うのです。

 もしこれをそのときに知っていれば、これは鳥取地方県土整備局だけの問題ではなくて、ほかのところにも似たような実態があるはずですから、単に1カ所だけの是正で事を済ますのではなくて、システムとして構造的に改革をするということにつながったのではないか、その端緒になったのではないかと私自身も思うものですから、いささか残念でした。

 実はこの是正を私も新聞で読んで知ったのですけれども、その前にもう既に残業の問題というのは非常に根深い問題があるので、事あるごとに関係当局にその改善について指示をしたりしていたのですけれども、一向に──先ほどありましたように徐々には改善しているのですけれども、抜本的に改善しないものですから、ちょっとやきもきしておりまして、実は監察の方に──これは総務部にありますけれども、少し構造的点検をしてくれと指示しておりました。

 従来は、残業の問題というのは、総務部の職員課の系統の仕事ですから、職員課の方に改善するようにしようということを指示するのですけれども、結果的には一片の通知を出すぐらいのことしかやっていなかった嫌いがありまして、そんなこともありまして、監察の方から少し別の角度からチェックをしてもらいましたら、いろんな問題点が出てまいりまして、今それに基づいて一つ一つ実現していこうということをしつつある道中です。また、なるべく近いうちにそれを整理して、管理職、職員にも指示しますし、議会の皆さんにも御報告を申し上げたいと思っております。ということを1つ御報告申し上げておきます。

 健診の実態ですとかメンタルヘルスの問題については、総務部長の方から御答弁申し上げますが、メンタルヘルスの問題も非常に重要です。それの1つの原因が、非常に激務であるということがあります。長時間労働を避けるということがメンタルケアの問題の解決の1つにはなると思いますけれども、ほかにもメンタルケアを必要とする要素が幾つかありますので、それらも含めて県庁の中のメンタルケアについては、もっと質・量ともに充実させて取り組んでいきたいと考えているところです。

●総務部長答弁

100時間を超えた職員に対して、総務部長通知で健康診断を受けるようにということで、対象者なり実績ということですけれども、まず、現在やっています通知内容ですけれども、月 100時間以上の時間外勤務をした者については産業医による面接指導を受けなさい。そして、必要に応じて健康診断を実施しなさいということにしております。また、 100時間までに至らない月45時間以上の者については、所属長の判断により産業医による職場に対する助言指導を受けなさいということにしているところです。所属長から担当の福利厚生室の方を経由して産業医に連絡して、指導を受けるということにしております。
 平成15年度の実績ですけれども、産業医が保健指導を行った職員は7人です。

 対象者ですけれども、昨年の12月以降、 100時間以上の時間外勤務をした職員は46人おりました。報告を受けた以外にも該当する職員がおりますので、今年度についてもいると思われますので、それらについては個別に保健指導を受けるように改めて指導していきたいと考えております。

 メンタルヘルス関係ですけれども、この強化ですが、本年度から新たにメンタルヘルス支援ということで、従来から各種の研修ですとか相談窓口、あるいは職員のストレス度のチェックなどを行っておりましたが、それに加えて、健康管理担当の職場相談への担当保健師の積極的な介入、あるいは主治医等を初めとした医療機関との連携による療養の指導、あるいは職場復帰するときの支援を職場と一緒にプログラムをつくるというような積極的な支援強化をしているところです。

<時間外労働について>No.3

先ほど来、時間外の実態は数が出ましたけれども、本当に年間たくさんの時間外をしている職員もいるということですし、制度的にも産業医の健診を受けなければならない、そんな通達を出しておきながら、実際現実はほとんど受けていない。やはり使用者として、職員の健康というのは、超過勤務命令を出しているわけですから、いわゆるサービス残業でない部分が最高で 1,556時間でしょう。異常ですよ。体を壊さない方が異常ですよ。そういう部分は使用者としての責任として、これからもきちんと指導してほしいと思いますし、県庁職員の中で体を壊すということのないようにしていただきたいと思っております。

 先ほど、知事も知らなかったということですけれども、やはり県庁全体が時間外労働という問題に対して認識が非常に薄いと思うのです。長時間労働という問題に対して当たり前だと。私は時間外労働を否定しているわけではありません。確かにやらなければいけないときはやらなければいけない。災害が起きたらやらなければいけない。しかし、それは使用者がきちんと把握をしながらしてほしい。

 これまで特に公務職場では、時間外労働の手当が要るという部分の中で、きちんと月々精算でなく、年度末に予算が余ったときにまとめて払うとか、極めてルーズな部分があったと思うのです。ですから、命令だけは出して時間外を記録していたのだけれども、ずっと支払われずに、最後になって精算されると。そういう部分はこれからも、これをきっかけにきちんとただしていただきたいと思っております。

 石原都知事でさえ議会の答弁の中で、労使関係を大切にし、円滑な都政の運営を進めていきたいというふうに言っていますし、労使合意の内容を実現したいと述べていますので、その辺を知事も御理解いただいて、やはり労使自治と議会制約とのその辺の調整役をうまくやっていただきたいと要望いたします。