平成16年9月定例会一般質問(平成16年9月28日)No.2

<5%給与カットについて>

 片山知事の提案で3年前に始まった鳥取県版ニューディール政策、いよいよことしが3カ年の最終年度の年を迎えております。

 片山知事の考え方は、興治議員の代表質問に答弁されていたように、何らかの形で鳥取県版ニューディール政策を継続されたいということでした。私としては、知事のこの答弁に、片山知事らしからぬ手法だと強い抵抗感を感じるのです。

 確かに政策を打ち出されたのは片山知事ですが、政策の原資となっているものは、県職員を初め学校の先生、警察職員など多くの関係者の生活給の中から拠出されたものです。当然の権利として受給できる給与の一部を、たまたま経済状態が極めて悪いから、その厳しさを当分の間、つまり3年間を限定として県民の皆さんとその痛みを共有しようとして始まったものです。この間、5年連続して公務員給与が引き下げられる中、子育ての最中の職員、要介護者を抱えている職員、自宅を新築して間もない職員などは、痛みの共有どころか、激痛で逆に痛み止めを求める職員もいるくらいです。

 2月17日の島根鳥取両県の知事会見でも、知事は残業手当を引き合いに出しながら、国に対して地方との約束事であった交付税算入など過去の約束は絶対守れと厳しい言葉で言われているわけですから、一たん約束された3年という期間は、とりあえずは守るという姿勢を示されるべきでないかと思います。30人学級の成果だけを取り上げた部分的な成果だけで継続の意思表示では、全く職員の理解は得られないものと思います。

 総括においても、政策を立案した当局だけが行うのではなく、ニューディール政策のオーナーであり出資者である職員の皆さんにも情報を開示し、出資者の皆さんにも自分たちの原資が果たして有効に使われ、成果をどのように上げているのか、総括並びに検証をお互いに行うことが、まさに片山知事が目指す鳥取県政ではないでしょうか。知事としては、お互いが総括し、検証する場を設けることを考えておられるのか、お伺いします。 

●知事答弁
 
 ニューディール政策の検証といいますか、今後どうするかということに関連して、知事は国に対して、いわゆる交付税の先食いで借金をしたその返済についての交付税の手当ては、国はちゃんと約束を守れと言っていたのだから、3年間に限定したニューディール政策は約束を守ってやめるといいますか、継続すべきでないというのは、私はちょっと論理の飛躍があると思います。

 交付税の先食いで起債をしたというのは、もう変更できないことで、自治体は債務を背負っているわけです。それをちゃんと補てんすると言われたのですから、ちゃんと守ってくださいと言うのは当然だろうと思います。

 一方、ニューディール政策の方は、向こう3年間とりあえず給料を5%カットして、これを雇用の促進などに充てようではないかという期限つきの制度としてスタートしたわけです。3年たった今後どうするかということは、また白紙で考えますと。一般的にこういう制度はよくあるのです。とりあえず3年間やってみようとか。それは3年間に限定して、3年間でぷっつり終わりというわけではないのです。例えば歳出予算などでもいろんな期限限定つきのものがありますし、最近では条例でも3年なり5年なりの期限を付したものもあります。それは、期限が来たら一切やらないという意味ではありません。それはその段階で白紙で考えてみましょう。必要ならば継続すればいい。必要なくなればやめればいい。継続する場合も、例えば内容を改正してという場合も一般的にはあります。ですから、期限を設定しているものについては、やめるか、単純延長するか、内容を変えてまた新たに始めるか、いろんなケースが考えられます。ニューディール政策もその1つの仕組み、そういう中の1つだろうと考えております。

 ニューディール政策を検証してみるということは必要だろうと思います。先般もその一端を総務部長から御紹介したと思いますけれども、これはぜひ議会の皆さんも御関心を持っていただきたいと思いますし、これからニューディール政策を続けるということを先般の興治議員の御質問のときに私も考え方を述べましたけれども、それを実現するためには関係者とよく意見交換、議論をしなければいけませんので、その中でニューディール政策の検証ということはぜひやってみたいと思います。

 あわせて、それ以外の事態、条件というものが随分変わってきております。3年前と今日とでは財政状況は随分大きく変化しております。先ほども言いましたけれども、交付税が1年度間で 170億円も減るというような事態です。こういう地方財政の枠組みが大変厳しくなったというようなことも、新たな事情として関係者の皆さんともよく議論しなければいけないと考えております。
 

<5%給与カットについて>No.2

 県警本部長に質問したいと思います。

 先ほどありましたように、片山知事は引き続き職員の給与カットを計画されているわけですけれども、県警という独立組織のトップリーダーとして感想をお伺いしたいと思います。

 過去の5%給与カットのときは、警察本部長以下、警務部長、刑事部長、交通部長、警備部長、鳥取署長の皆さんは国家公務員ですから、給与カットの対象外です。しかし、検挙率を上げろとか、仕事だけはしっかり叱咤激励をされている手前、自分たちが5%カットされていないという部分で、私は立場上、随分心が痛んだものと思っております。

 警察職員の皆さんから一番聞こえてくるのは、不規則な仕事や仕事のつらさではなくて、頼むから給与のカットだけはこらえてなという声です。よくよく考えてみますと、警察職員の皆さん方は、団結権、団体交渉権、争議権など全くない中で、ただ叱咤激励をされる中で仕事だけを一生懸命やっているうちに、知事の一声で給与カットだけが知らず知らずに決まってくるということです。したがって、警察職員の皆さん方はかなりのフラストレーションがたまっているものと思っております。

 せめて県職員や先生方のように、交渉の状況が流れてきたり、組合員の代表が自分たちの思いだけでも当局の皆さんに言ってくれるという部分があればいいでしょうが、そういうものがないですから大変だと思います。もし片山知事の思いのとおり給与カットが延長されるならば、県警としては受け入れられるのかどうなのか。また、給与カットを受け入れるようになった場合、職員の皆さんにどんな手法で理解と協力を得ていかれるのか、お伺いしたいと思います。

●警察本部長答弁
 
 給与カットに対する県警としての姿勢についてお答えいたします。

 警察本部長としての本音を申し上げれば、警察職員の処遇のために給与カットがぜひ終わればいいなという気持ちはございます。

 とはいいましても、給与削減が延長されるということになれば、それは県議会、ひいては県民の判断として決められることですので、警察としても、本県公務員の一員として、県下の雇用情勢緩和のためこれを受け入れるというのは当然のことであると考えております。その際には、再度職員の理解と協力を得て、県民とともに痛みを分かち合うということになると考えております。

 そこで、給与削減延長が決定された場合、どのようにして職員の理解を得ていくかという点についてですが、その際には、全職員に対して各種会議、私自身が警察署、交番、駐在所の巡視などという機会がありますので、そういう機会を利用して私みずからが説明する、あるいは文書、各所属長等を通じて説明するなどによりまして理解を求めていきたいと考えております。本県公務員の一員として県民とともに痛みを分かち合うことについて、職員の理解は必ず得られるものと信じております。

 なお、警察職員の勤務条件の改善等につきましては、議員がおっしゃいましたように警察には組合がございません。そこで、労働組合のない警察組織におきまして、警察本部長は管理者であると同時に、組合の委員長的な役割も果たさねばならないというふうに考えております。

 今回の給与削減延長により、職員の士気がいささかも低下することのないよう諸制度の検討、見直し、改善に意を用い、また職員の意見、要望などにもよく耳を傾けて、職員が安んじて仕事に邁進できるよう勤務条件、勤務環境を改善、整備して、今後とも職員一丸となって治安維持に努めてまいりたいと思います。
 

<5%給与カットについて>No.3


 県警本部長には素直な思いをお話しいただきまして、ありがとうございました。

 知事はそういう部分をきちんと理解していただきたいと思うのです。県警の職員は本当につらいのです。組織が違っても知事の一言で、何で我々が給与カットを受けなければいけないのか、十分な説明、理解ができていない部分があると思うのです。そういう部分で、鳥取県の県警などは本当に良識のある人ばかりですから反乱は起きませんけれども、やはりそういう思いだけは理解して、これからの議論を進めていただきたいと思っております。