平成13年12月定例会一般質問(平成13年12月10日)No.9

幼児教育の基本的な考え方について
 先ほど教育長が言われましたが、9月定例会において我が会派の松田議員の代表質問において、戦後教育の反省と今後の鳥取県教育のあるべき姿についての質問に対する答弁として、有田教育長は、幼児教育の問題について教育長自身の思いのたけを語られました。
 教育長の思いの強さは伝わってきたのですけれども、私としましてもやや言葉足らずの面があったと思っております。その真意が十分伝わらなかったということです。
 再度の質問ですけれども、幼児教育の問題に関して有田教育長の基本的な考え方、その真意を改めてお伺いしたいと思います
●有田教育長答弁
 
 9月議会で松田議員の御質問に対して、特に就学前教育の部分で、これは先ほどの本質問にお答えしたように、非常に強い問題意識を持っております。
 特に鳥取県教育ビジョンを具現化しようとすれば、それぞれの市町村なりあるいは学校なりに出かけて聞いてみますと、先ほども伊藤議員お話しのように、だれが悪い、どこに責任があるということだけを決めつけていても解決策にはならないということから、小学校に入ってくるまでの段階から、小学校に入ってからはもとより、今まで以上の学校教育の充実に努めなければならないということを強く思っておりまして、9月議会で答弁したわけですが、ただ、そのときに、就学前教育の中で保育所だけにしか焦点が当て切れなかった。そのために、保育所関係者の方々に強い不満や怒りを感じさせたということは、率直に説明不足であるということで強く反省をしています。改めて説明の機会をいただいたことを感謝申し上げます。
 幼児教育の重要性は、特に松田議員の前回の御指摘にもありましたが、就学前教育、これは保育所、幼稚園を問わず、小学校に入ってくるまでの子ども達の過ごし方と、小学校1年に入ったとたんでのいわゆる学校教育の間で不連続性、段差があるということは私自身も率直に感じます。
 そこで、学校教育にあっては、これもお話のように、35人以上の学級に対しての手だてであるとかさまざまな努力はしておるわけですが、あわせて幼稚園も保育所も、ともに連続した一人の子供の育ち、成長という観点で、行政の縦割りの弊害を乗り越えて、みんなの力で何とかできないかという強い思いを表明したところでもあります。
 特に小学校入学直後の子ども達と言うのが、現在、全国的にもかなり強く問題にされている面もあり、学校を回ってみても、確かにさまざまな子どもが増えてきている。いわゆる集団教育がなかなか成立し得ない状況も、私も直接何校か見させていただいています。これをすべて保育所の責任であるというような説明をした点、反省をして重ねておわびを申し上げたいと思いますが、幼稚園と保育所というのは、たびたび申し上げているように、内容的には重なる部分があっても、どこかにやはり連携だとか、あるいは行政との関係だとか、さらには小学校との関係にあっても、まだまだつながりを強くしなければいけない部分があるのではないかと思います。
 教育委員会というのは、どうしても幼稚園との関係が強いということで、保育所に対しても幼稚園と同じような仕事をやっていただいているわけですけれども、かかわりが薄いということから、その部分で強い期待感となってそのように申し上げてはおります。
 9月議会後に、保育3団体の代表の方々を初め何人かの方々から強い御指摘も受けました。抗議も受けました。そこでかなりの時間の意見交換をさせていただいたり、いろんな保育現場の実態も見させていただきました。一昨日も含めてですが、現在まで5つの保育所などにも直接出向いて、所長さんや保育士さん方から詳しい説明を聞いたり、あるいは子供たちの姿を直接見させていただきました。共通しますことが、幼稚園もそうでしょうが、特に保育所の場合には年々保育の時間が長くなってきている、それに見合った人の増はないということで、時間的な面でも本当に大変のようですし、もう1つは、子供を取り巻く家庭環境が年々大きく変化してきている。そのために新たな努力を注がなければならないと。しかし、保育所の方々が愛情を持って一生懸命子供たちに接しておられる姿に触れることができました。
 年々変化する家庭環境、あるいは保護者の方々の意識、そういうものにどう対応するのかということで、私自身もさまざまな面を勉強させられました。例えば一昨日の場合には、3歳未満児の民間の保育所を訪問しましたけれども、さまざまなお話の中にこんな話がありました。家庭では今98%が紙おむつになっている。しかし、自分のところでは布製のおむつを使っているということ。この中にも多くのことを考えさせられます。今、一律にだから紙おむつはだめということを申し上げたいのではなくて、社会現象なりあるいは生活実態の中でそのような現実があっている。そういうことの中で考えさせられる面が多かったということを申し上げているわけです。
 大きく変化する家庭の特にお母さん方に寄り添うという形で保育が展開されている、その中で一方では、児童福祉施設であるのか社会福祉施設であるのかというようなはざまの中で、本当にもがきながら一生懸命努力されている保育所の方々の幾つかの苦悩にも接したところです。
 いずれにしても、行政の仕組みであるとか、あるいは設置目的であるとか、そういったことは別にして、子どもの側から見て、一人の子どもの育ちといいますか成長といいますか、そういう面からもう一遍眺め直してみたときに、教育行政のみならず県行政とも、今まで以上の連携をより深めて、こうした育ちを支援できる行政のあり方が改めて問われていると強く感じているところであります。
 幼稚園、保育所を問わず、そして小学校、中学校を問わず、みんなの力でより健やかな子ども達を育てていくという観点、その必要性を改めて強くしたところです。重ねて保育所関係の皆様方の一生懸命の御努力の姿に対して、頭の下がる思いがすると同時に、それだけで完全ではない、私どもにもまたできることがあれば、一緒になってその解決策にともに努力をしなければならないという思いを強くしているところです。
幼児教育の基本的な考え方についてbQ
 最後ですけれども、いろいろ議論しましたけれども、やはり教育は今最優先にされるべき公共事業の一つと私は思っています。大人の目線でなく、やはり子どもの目線に立ち、引き続き幼児教育を含めて、皆さん方の力をもっともっと注いでいただきたいということを要望しておきたいと思います。