平成13年12月定例会一般質問(平成13年12月10日)No.1

石原都知事の発言について

一般質問に入る前に、私としては1つ気になることがありまして、片山知事に感想があれば求めたいと思います。
 それは、先ほどから議論になっております東京都のホテル税についての片山知事が異論を言われたのに対し、石原東京都知事が、あれは元自治省の役人だろう。事の何たるかを理解せずに、恥をかくのはてめえの方だという発言です。この発言直後に私の事務所に何件かの抗議の電話がありました。つまり我が鳥取県の片山知事が石原東京都知事にてめえと呼び捨てされたことに対して腹が立ってかなわない、そういう内容でした。この発言には、県民の多くの皆さんが同じような不快感を抱かれたことと思います。
 実は私も、人を人として尊べない表現に大きな怒りを感じました。一応文化人として国会議員を務め、首都東京都の知事を務めている人の発言であるかと思うと、まさに住民、納税者を大切にする政治ができないばかりか、子どもたちの世界にもこの縮図が反映されるかと思うと、腹立たしさを通り越え、政治家としてのむなしさを感じました。議論は議論で大いにすべきでありますが、議論がかみ合わないからといって、相手の人格まで見下げた言い方は絶対あってはならないことだと改めて考えさせられました。このことについて片山知事として何か思いがあれば、お答えをいただきたいと思います。

●知事答弁
 ホテル税の問題で感想があったらということでしたが、ホテル税が持っている内容については、もうここで再三お話を申し上げたので、それは省略をするとして、今回のことで私もいろんな感想を持ちました。
 というのは、東京都知事の対応を見て、私なりに感想を持ったわけですが、1つは、今回は純粋に税の議論です。特に首都東京都が課税することがふさわしいかどうかという税の議論を提起したわけですが、その税の問題については何ら反論がありませんでした。全くというわけではありませんで、大衆課税でないからいいじゃないかというような、ちょっと違った面からの反論はありましたけれども、そういう問題ではなくて、本当に首都が高コストになっていいのかどうか。都民以外の納税者に負担を求めるのを東京都だけで決めるという仕組みにならざるを得ないのですが、そのことの矛盾点なども指摘したのですが、そういうことについては何ら反論がありませんで、専ら私の出自なりに対して批判があったのです。元自治省の官僚ではないかという批判がありまして、やはり私は税の議論というのをしっかりすべきだと思うのです。異論反論を唱えている人の出自や属性でもって人を批判、攻撃するのは、やってはいけないことだと思うのです。
 言葉がエレガントでなかったという面ももちろんありますけれども、それ以上に、議論をする者の出自をもって相手を攻撃するということは、民主主義の世の中では決してやってはいけない、人権を尊重する我が国ではやってはいけないことです。にもかかわらず、石原都知事はああいう反論をされたということは、私は少し残念でありました。
 同様に、議論の中で少し危惧する面もあったのは、私がホテル税の話をした直後に、専ら東京都の方だと思いますが、匿名のメールが随分参りました。そのメールにはいろんなものがあって、中にはあなたの意見に賛成だというものもありましたが、多くのメールは一定の傾向がありまして、例えば貧乏な県が大きな口をたたくなとか、石原がやろうとしていることに口を挟むのは太い野郎だとか、一番傑作だったのは、鳥取県のくせに文句を言うなというのもありました。こういうどういうのでしょうか、石原都知事を支持している人たちの中に、いわば議論を余りしないで問答無用で物事を押し切ろうとするような性癖の方が随分多いなというのが、今回のホテル税騒動の裏でかいま見た私の印象です。
 私は、民主主義の世の中というのは異論反論が当然あるわけで、そういう異論反論にきちっと丁寧に答える、これが説明責任ということです。そういうプロセスが非常に重要なのに、当の本人は相手の出自を問題にする。支持者の皆さんは、とにかく文句を言うな、問答無用、こういう少し民主主義の基盤を侵す危ないものがある、そういう印象を受けました。
 実は小泉内閣にもややそういう傾向がありまして、私の言うことに反対するのは抵抗勢力だといって議論をしない、これも似たような文脈なわけです。
 私は、そういうことではいけない。これからの我が国は、やはりいろんな意見があるわけですから、異論反論に対して丁寧に答えていく。その中から、なるほどと納得できるものに収斂していく、そういうプロセスが重要だろうと思います。
 先ほど言いましたように、エレガントでない暴言も受けましたけれども、決してたじろいだりしないように頑張りたいと思います。