平成13年2月定例会一般質問(平成13年3月14日)No.3
<LDとADHDの対策について> |
LD及びADHDの対応について、片山知事並びに有田教育長にお尋ねいたします。 |
●知事答弁 |
|
●林福祉保健部長答弁 |
学習障害、あるいは注意欠陥/多動性障害の相談体制の充実についてです。 |
●有田教育長答弁 |
LDいわゆる学習障害、ADHD、注意欠陥多動性障害、このことにつきましての6点御質問がございました。順次お答えいたします。 この言葉そのものが、ましてやどういう子どもの状態を指すのかということ、これはまだ耳新しい言葉でもあり、状況が十分に把握できていない、このことが全体を通しての実感です。 ただ、LD、いわゆる学習障害と言われている子ども達は、我が国にあっては平成5年ごろから教員の研修会であるとか、あるいはマスメディアの中にも登場しているやに聞いておりますし、一方のADHDに関しては、ごくここ2〜3年からの用語ではないかと思います。いずれも新しい子ども達の発達障害の概念であると理解しております。 第1点目のお尋ねですが、県内小中学校における在籍者数です。これは本年2月現在の調査で、条件つきです。医師が診断したもの。先ほど福祉保健部長からございましたように、県内を中心とした専門の医師が診断したものに限定しますと、その結果は、学習障害児、LDの方は小学生で44名、中学生で23名、合計67名。さらに注意欠陥/多動性障害児は小学校で68名、中学校で10名、合計78名。しかし、これは限定をした数値です。 教育的な観点から、この判断であるとか、あるいは実態把握の体制がまだまだ十分ではありません。したがって、この数を申し上げましたけれども、県内の児童生徒の数も、まだ多いのではないかという実感を持っております。全国的には、アメリカでは合衆国全体で4.89%、州によるばらつきはあるようですけれども、約5%という報告もあるようですし、我が国でも関東周辺で2.2%、これは後にも触れますけれども、現在日本の第一人者である東京学芸大学の先生の調査結果です。 先ほど申しました鳥取県における小中学生の数字は、割合にしまして0.11%となります。全国的には我が国では2〜4%、あるいは3〜5%程度ではないかというふうに類推をされております。 2点目に、こうした発達障害の概念について、保護者とか教師に対する理解、啓発が必要ではないかと、おっしゃるとおりであると思います。率直に言いまして、私どもも今、本年度からの障害児教育室の立ち上げを通しながらこうしたことを急速に勉強しているところです。とりわけ教師に対することが急がれますので、本年度から3名ではありますが、先ほど申しました第一人者と言われておりますところの教授が在籍の東京学芸大学に3名の教員を派遣をして、直接研修に当たらせ、実地にも当たらせております。13年度以降も引き続き派遣をお願いしたいと考えておりまして、そうした専門的な研修を積み、さらにそれを多くの教員に波及させていく、この繰り返しをやりながら、国の指示を待つまでもなく独自の対応を行っているところです。 保護者に対しても、同じように正しい理解が必要なことは申し上げるまでもございません。教員だけでも当然限界がありますから、県内の医療の専門家の方々のお力をおかりしなければいけませんので、福祉保健部との引き続きの連携の強化も図っていきたいと考えております 3点目に、適切な教育をどのように行おうとしているのかということです。まずは乳幼児の段階からさまざまな教育が重要であると考えておりますけれども、とりわけ小学校、中学校のできるだけ多くの教員が、LDあるいはADHDに対して正しい理解を急速に広げていく、深めていく、このことがまず私どもにとっては急を要することのように考えております。 先ほど触れましたように、学習障害等の専門教員をどうやって年次的にふやし、さらにその輪を広げていくのか、波及効果を高めていくのか、このことについても引き続き努力したいと思っておりますし、さらに来年度、13年度からは、学習障害の判断であるとかあるいは実態把握の体制をどう確立するか、こういったことを中心とした研究学校としまして、町立の大栄小学校で文部科学省の委嘱事業を実施してもらうこととしております。この学校に在籍児童が多いということではなくて、中心的な研究をやっていただき、県内に広めていただこうというねらいです。 その次に、進路保障ということです。これもまた非常に重要であり、かつ現在ではなかなかすぐに結論の出せない重要な課題です。まずは早期に発見をして、どういう対応をして、そしてできるだけその障害を軽くさせることができるのか、こういったことにも当然意を注がなければなりません。これを放置しておきますと、お話しの非常に重要な進路の保障を欠くことにもなりかねません。そういったことがございまして、まずは学校に在学している段階で具体的にはどのようなことをしなければならないのか、全くまだ手つかずと言っていいような状態でありますから、具体的な対応のあり方、そして将来を見通したこれから末永く力強く生きていくための、すなわち進路の保障をしていくための具体的な手だてなどについても多くの方々のお力をおかりしながら検討したいし、そして必要な手だては、また順次予算要求等でもお願いをしていかなければならないと考えております。 いずれにしても、強い問題意識を持って、専門家の方々などのお知恵をおかりしながら、関係機関との連携を密にしたいと考えております。 5点目に、相談体制の充実方策ということです。LDとADHD、それぞれ多少の状態の違いはありましょうけれども、いずれにしても新しい概念でありますから、教員だけでは当然限界がございます。教員も資質の向上に努めたいと思っておりますけれども、先ほどからたびたび触れておりますように、福祉保健部と連携しながら県内の医療機関あるいは県外の大学の専門家の方々、こういった方々との連携なり御指導をいただきながら、できるだけ相談体制の充実に努めたいと思っております。 ただ、先ほどからたびたび触れておりますが、本年度から始めております学習障害等専門教員をどんどん広げていきたいと思っておりますけれども、あわせてこうした教員はただ1つの学校だけに所属するのではなくて、一定地域の保護者の方々の相談にも対応できるような仕組みを考えたいと思っておりますし、さらに13年度から、現在予算でお願いしておりますけれども、県の教育研修センターの中に新たに学習障害等専門相談員を配置して、こういう症状であればどういうところに相談されたらいかがですかという具体的な相談先の紹介なども含めた相談体制の充実にも努めたいと思っております。 最後に、幼稚園、すなわち小学校に入ってくるまでの指導体制の充実ということであろうかと思います。これも議員お話しのように、小学校に入ってくるまで、できるだけ早い段階でその症状をより的確に判断をして、専門医との連携の上での治療対応が必要であると言われておりますから、就学前での対応のあり方というのは非常に大きい重要な意味があると考えております。 ただ、現在の本県におきます一般的な家庭環境なども考慮して、できるだけより的確な判断なり、あるいはおやっと思って専門医に相談できるような、いわゆる冒頭にも御指摘がありました保護者に対する啓発、こういったことがより一層重要になってこようかと思います。赤ん坊のころから非常に動きが多いということで、単なる多動的な傾向の強い幼児であるのか、あるいは本当にADHDの要素があるのではないか、それを疑問に持つようなことも含めながら、やはり正しい理解に向けての啓発に努めなければいけないと思っております。 全体的なことで、これも以前の御質問とも重複するかもしれませんけれども、小学校に入ってからはもちろん学校教育の充実ということで、教員も大変になりますけれども子ども達のためですから、新しい分野の研修も充実をしなければなりませんが、もっと観点を変えて、学校に入ってくるまでの間に、こうした状態の子どもも含めて就学前のいわゆる幼保一体的な幅広い教育のあり方、あるいは指導体制のあり方、こういったものを鳥取県全体として、より充実方策について引き続き検討する必要性を非常に強く感じているところです。 |
<LDとADHDの対策について>bQ |
最後に、LDの問題でちょっと誤解があってもいけませんけれども、歴史上の人物でありますアインシュタイン、徳川家康、坂本竜馬にしても、また現在映画俳優で活躍中のトム・クルーズにしてもLDであったと言われておりますし、今も言われております。 |
●有田教育長答弁 |
大変重要な課題の提起をいただいております。 |