平成13年2月定例会一般質問(平成13年3月14日)No.2

市町村合併について>

 私は、地方分権という一つの大きな改革時期にあって、市町村合併は避けて通ることのできない一つの大きな課題であるととらえております。片山知事は、地方分権の時代、これまでのような国からの通知、通達は地方分権時代の原理原則を逸脱していると議会の壇上で何度となく厳しく批判はされつつも、自治省の事務次官通達を厳粛に受けとめ、鳥取県でも昨年の12月にパターンが示されたところですが、当時の自治省がめどとした合併の状況は、3,200余りある市町村を1,000程度にしたいということでしたが、全国各都道府県が示した合併パターンは、それを大きく上回る5分の1と言われております。私は、県民の皆さんの総意として、将来の町のあり方が多面的にわたり議論され、検討をされる中で市町村合併が議論をされるならともかく、どの市町村とも厳しい財政状況に直面する中、国が示している合併特例債を前提にした議論になりはしないかと極めて心配をするものです。
 鳥取県においても、今議会に同様な砂糖、鳥取県市町村合併支援交付金条例が独自で提案されております。砂糖にアリが群がるような合併議論でよいのか、強く疑問を抱くところです。特に国の財政状況は極めて厳しい状況にあり、万一3,200余りある市町村が1,000程度になったときに、本当に砂糖として用意している合併特例債に伴う交付税措置が予定どおりできるのか、また砂糖を目的に合併した市町村が、砂糖がなくなったときの禁断症状を考えるなら、合併の議論のあり方、視点を方向転換することが必要ではないかと思いますが、片山知事の御所見をお伺いします。
 また、鳥取県においては、県と市町村のあり方について具体的な方向が示されていない中、万一東・中・西に1市ずつの3市になった場合、県の役割分担をどう考えておられるのか、お伺いします。

●知事答弁

 合併論議のあり方ですが、私もここで合併の問題をもうたびたび申し上げておりますが、とにかく大きく世の中が変わりまして、今の3,000数百の市町村、3,000数百のユニットで市町村行政を行っていくというのは、やはり時代の変化に対応していないのだろうという素朴な実感があります。これは財政問題からこの問題にアプローチすることが多いのですが、財政問題ももちろん重視しなければいけないわけですが、それ以上に住民の皆さんの生活圏域というのが変わってきたということ。したがって、その生活圏域に合わせた市町村、一番身近な行政主体というものが構成されるべきであろうという考え方を私は持っております。
 もう1つは、地方分権でいろんな重要な高度な仕事が市町村の仕事に今でもなっておりますが、これからもふえてきます。そういうときに実力の問題、市町村の実力を強化する必要がありますから、今のようなユニットでは、地方分権の時代になかなか対応しづらいのではないかという面もあります。
 それやこれや考えますと、国に言われたからというわけではなくて、我々自身の問題としても市町村のあり方を考えなければいけませんし、今のままではいけないと思います。
 繰り返しになりますが、とにかく住民の皆さんの生活の便宜のためにどういう姿であればいいのかという観点からみんなで考えなければいけないと思います。
 その際に、国の方はいささか性急であるという気が私はします。そんなに性急にならなくてもいいのではないかという印象を持っております。特にあめとむちのあめ、馬にニンジンという例えは余りよくないですけれども、そういう特例がメジロ押しで出てくるわけで、私はそれは選択肢がふえるということで、いい面も多いと思うのです。何か選択をしようとする場合に、いろんな選択肢があるという、それはいいことだと思いますが、あめやニンジンを主体的に食べるのならいいと思いますが、何となく食え食えと言われるような印象が今あるものですから、ちょっとそれは性急に過ぎるのかなという気がしております。
 県もそれに加えて、さらにあめかニンジンを提案しているのではないかという御指摘ですが、確かに今回の予算にも提案をしておりますが、これは、国のようにさあ食べろさあ食べろという押しつけがましいあめやニンジンではなくて、そっと用意をしておいて、食べたい方に食べていただくという意味合いですから、選択肢がふえたというふうに理解をしていただければと思います。
 県の中が3市になった場合どうするのかということですが、3市になるかどうかはわかりません。いずれにしても、地域や住民の皆さんが決められることですから何とも申し上げられませんが、可能性としてないわけではありません。万に一つもないわけではありませんから、そうなったときにどうするかという問題ですが、これは例えば全国で今3,200数十ありますが、これがどの程度になればいいのかということとも大いに関連する問題で、例えば今政府が言っておりますのは、とりあえず1,000程度がいいのではないかという意見もあります。3,200が1,000程度ということでしたら、本県の場合は10か10幾つということになるのでしょうか。
 これが例えば39が3市になるということですと、全国では3,200が300くらいになるということになるわけで、仮にそうなった場合には、47の都道府県でいいのかという議論が当然起こってくると思うのです。今は47で3,200という状態ですが、例えば47が1,000程度であったらどうだろうかという議論も多少あるかもしれませんが、47で300の市町村ということになりますと、その47は一体何ぞやということに当然なってくるわけで、そのときには恐らくは市町村を広域的に掌握をしております都道府県の規模のあり方というものが当然議論になってくると思います。それは、道州制という議論をされる方もおられるかもしれませんが、通常は府県合併のあり方として議論されることになるのだろうと思います。それは今からあれこれ議論してもちょっと詰めた議論になりませんので、今はとにかく市町村の問題を専ら考えたらいいのではないか、その結果によって、その動向によって広域団体のあり方というのはおのずから議論をされるようになるのではないかという気がしております。

●平井総務部長答弁

1点だけ補足をさせていただきたいと思いますが、臨時財政対策債ですけれども、それが来年度以降どうなるか、振りかえ額がふえてくるのであろうかと。これは、知事が申し上げましたとおり今後のことですから、どれほど振りかえが発生するかどうかというのは、正直言って予想がつきません。
 ただ、来年度、平成13年度に限りましては、その振りかえというものを全体の不足額の2分の1ということで圧縮しております。したがいまして、半分は交付税特会で全体として借り入れをする。半分は個々の地方団体が借り入れをする。こういう役割分担をさせていただいておりますが、これが平成14年度以降解消されれば、その分は振りかえの部分が当然ふえてくるということになります。その点だけ補足申し上げます。

<市町村合併について>bQ

市町村合併の問題の中で、県内3市になったときにどうかということで質問をしましたけれども、知事は先のことですからあやふやにされましたけれども、現実に合併パターンとして県が示されている一つですけれども、当然そういう議論というのは、県と市町村はこういう形で持っていきますよという、県と市町村のあり方の前提として出しておられるのだと私は理解をしたのです。3市の合併パターンが出ましたから、やはりそれくらいの責任を持ってほしいと私は思うのです。
 それと、市町村合併はやはり住民の生活基盤や地域コミュニティーの形成、自治の手法など大きくかかわる問題です。各市町村の自主性、主体性、住民の合意によって進めるのが基本と私は思っております。そこで、このたびの市町村合併の議論を進めるに当たりまして、私は1つの思いがあります。それは、自分たちの住んでいる町の将来のありよう、住民参加で考えていただくことは、本当の意味での主権在民であり、地方分権を確固たるものにする非常によい機会であると私は思っております。
 これまで地方分権時代は地域主権の時代と言葉ではよく言われておりますけれども、現実的には住民の皆さんが議論する場というのはほとんどなかったわけです。地方分権というのは住民の皆さんと少しかけ離れていた面があったと思います。したがって、この前、片山知事が山脇議員の代表質問に答えられたように、合併について性急な回答を求めず、自治省の指針にもあるように、自主的合併の機運の醸成を尊重するとともに、また、合併に至らなくても地方分権を確固たる住民のものにするという観点にポイントを置いて議論を進めるべきだと思いますけれども、片山知事の御所見があればお伺いしたいと思います。

●知事答弁

合併につきまして、3市のパターンを示したのだから、そうなったときの県と市町村のあり方も詰めておくべきではないかという、ごもっともなのですが、そこを詰めてからかかりますと、当面はそういうパターンは出せないということになってしまうと思います。
 私は、今回の市町村合併というのは本当に自由に議論していただいて、それで住民、地域の皆さんの選択によって落ちつくところに落ちついたらいいと思っておりますので、あえて3市のパターンを示したわけですが、仮に3市になったとした場合は、鳥取県というのは1県3市というのは一体何ぞやということが当然問われるわけで、そのときには県のあり方を厳しく問われることになります。それは十分承知をしております。
 ただ、だからといって、今からそのときのことを考えて県はどうするこうするという話になると、時間もかかりますし、そういうときには往々にしてそんなパターンを出すのはやめておこうとなってしまいますから、とにかく自由に議論をしていただくということが前提です。その上で、住民の皆さんの議論が大切である。意見交換が大切であるということは当然のことです。
 今までは、どちらかといいますと県が行っております説明会とか意見交換会は、首長さんとか市町村の議員の皆さんとか、場合によっては役場の職員の皆さんとか、そういうところが中心で、本当に大切な主役である住民の皆さんの段階レベルでの意見交換や討議というのは余りないと思います。これからだと思います。やはり物事というのは順繰り順繰り進んでいきますから、今までやりましたのがベースになって、私何回も言いますけれども、とにかく市町村の議会の議員の皆さんがもっともっと働いていただきたいと思うのです。議員の皆さんというのは住民のために存在する役職ですから、その議員の皆さんが、自分たちの町の将来を考えて、住民の皆さんのために何がいいのかということを住民と一緒に考える、この作業をやっていただきたいと思うのです。
 その際に、合併したら自分たちはどうなるのだろうかとか、定数はどうだろうかとか、こういうことを考えるとまた物事は進みませんから、これもあえて申し上げているのは、私心を捨てて住民本位の立場に立ってやっていただきたい、このことをこれから強くお願いしていきたいと思います。
 そうはいいましても、県もひとわたり首長さんとか住民の皆さんへの説明が終わりましたら、次は、シラミつぶしというわけにいきませんけれども、この問題についてモデル的とか、何カ所かで住民の皆さんと直接意見交換するということも取り組んでみたいと私は思っております。