平成13年6月定例会一般質問(平成13年6月22日)No.3

<地球温暖化防止推進計画について>

鳥取県地球温暖化防止推進計画について、何点か片山知事にお伺いいたします。
 地球の温暖化は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素等の温室効果ガスの大気中の温度が高くなることにより引き起こされるもので、こうした大気中の温室効果ガスがふえることにより、地球全体で大規模な気候の変動や海面の上昇を招き、水資源や農産物を初め生態系に大きな変化を生じさせるだけでなく、私たちの健康や生活にも大きな影響を与えると言われております。
 我が国においても、平成2年10月に国の地球温暖化防止行動計画が決定され、この行動計画に従って各都道府県においても地球温暖化防止の取り組みが進められております。
 そうした中、平成9年12月の地温暖化防止京都会議で、先進国の温室効果ガスの削減目標値を定める京都議定書が採択されたところであり、国においても、地球温暖化防止対策の推進に向けて平成10年10月に地球温暖化対策の推進に関する法律が制定されました。鳥取県においても、地球温暖化防止対策を総合的に推進するため、県民、事業者及び行政の具体的な行動を示した鳥取県地球温暖化防止推進計画が策定されております。
 確かに私たちは、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動を展開し、自然の生態系や身近な生活環境へ大きな影響を及ぼし、人類の生存基盤である地球環境を損なうまで追い込んでいる現状です。私たちは、豊かな自然、豊かな恵みのある環境の中で、健康で文化的な生活を営む権利を有しているのですが、私たちの時代でこの環境を破壊してしまうのではなく、私たちの子供や孫、さらには子孫へと永遠に豊かな環境を守る義務と贈る責任があると思います。そのためには、具体的な行動をできるところから具体的に進めなければなりません。
 幸い我が県においては、片山知事が就任早々、環境への深い関心と理解の中で、県庁みずからISO14001を取得するなど、理論だけの環境政策でなく、実践型の環境政策を提言され実践されていることは大変評価をしたいと思います。しかしながら、平成11年に策定された鳥取県地球温暖化防止推進計画を見てみますと、大変よくつくられております。まさに学校の授業の参考書にしてもよいくらいですが、計画書のサブタイトルである地球温暖化防止のための未来への挑戦だけで終わってしまいそうな気がしますが、この推進計画について片山知事の御所見をお伺いします。
 私は、緑が多く、まだまだ自然が豊かな鳥取県においては、地球温暖化に対する認識が希薄であり、このような網羅的な総合推進計画では県民の理解と協力は得られないと思います。もっと具体的に行動につながる取り組みが必要でないかと思いますが、何にポイントを置いて地球温暖化防止推進計画を推進されるのか、お伺いします。
 また、推進体制が県民、事業者、行政となっておりますが、県内にもNPOの皆さんもたくさんおられますので、連携を図りながら推進していくという推進体制に計画を見直してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、住民と一番かかわりの深い市町村においてはどうかというと、地球温暖化の防止にかかわる実行計画を策定している市町村は7市町村と少なく、まだまだ認識が低いと思いますが、今後県としてはどう市町村と連携し推進をしていかれるのか、お伺いします。
 平成11年4月施行の地球温暖化対策の推進に関する法律では、各地域で地球温暖化防止に関する啓発や広報活動を行い、各都道府県知事が委嘱する地球温暖化防止推進員や民間団体などと協力し、県民の日常生活や地域の問題に密着した実践活動を展開する地球温暖化防止活動推進センターを各都道府県に設置することができることになっておりますが、鳥取県においては、この推進センターを設置されるのか設置されないのかお伺いします。

●知事答弁

 地球温暖化防止推進計画についてどう思うかということですが、私も伊藤議員が述べられた感想とほとんど同じ印象を持っております。平成11年3月に鳥取県地球温暖化防止推進計画というものができておりまして、非常に網羅的で、地球温暖化についての一般的な知識を得るにはいい教科書といいますか、参考書だろうと思いますが、これをもとにして何か行動を起こそうという内容ではないような気がします。
 したがって、これを改定すればどうかということですが、私は、改定するというのも1つの考え方ですが、もう1つは、今県もいろんな取り組みをしておりますけれども、こういう取り組みのきっかけになるような、取り組みを誘発するような行動計画のようなものを別途つくる。そして、それを市町村や県民の皆さんにお示しするということも1つの方策ではないかという気がしております。
 県は今いろんなことをやっておりまして、お触れになられましたISO14001も、昨年の暮れに県庁全体として認証を得ることができました。かなり難儀な作業でありましたけれども、職員もよく協力してくれまして、立派に取ることができました。この過程で県庁の内部、職員の意識改革ができたと思って、私は非常に喜んでおります。この経験をぜひ市町村にも参考にしていただきたいと思いますし、県内の企業や団体もISO14001の取得に挑戦していただきたいということで、各種いろんな施策を講じておりますし、別途、今年度からISO14001に準じたような鳥取県版の施策も進めているところです。
 このようなものですとか、これも今年度の予算で認めていただきましたけれども、自然エネルギーの開発ということで、風力でありますとか、実験的にやります太陽光の発電ですとか、そんな取り組みも今県がやっております。
 無公害車が一番望ましいですが、低公害車にこれからどんどんシフトしていく。先般も鳥取市役所で低公害車を導入したということがニュースになっておりましたけれども、こういう施策を進めていく。
 県では今、役所は膨大な紙を使用するものですから、これも当然地球の温暖化には大きく貢献と言うと変ですが、寄与すると言うのも変ですが、影響を及ぼすものでありますから、なるべく不要な紙は減らそうということでペーパーレス化も進めております。
 こんなことを実践的に、個別具体的に今やっておりまして、こういうことが今当面の地球温暖化防止に資する施策ですけれども、県が進めるだけではなくて、こういうものを県内の市町村や民間企業の皆さんにも実践していただきたいという意味で、アクションプログラムのようなものをつくって参考に供する、こんなことができないかと今考えております。
 もちろんNPOとの連携というようなことも当然でして、これは計画にあろうとなかろうと、こういう分野に関心が深くて実践をされているNPOとは、これからも連携をとってやっていきたいと思います。今でもいろんな団体と協力をしながら各種の事業を進めているということはありますし、また、この種の団体に幾ばくかの支援、助成をするということもやっているところです。今後ともそういう方針を持っていきたいと思います。
 市町村で意識が低いのではないかと言われるわけですが、確かにそんなに高いという印象を私も持っておりません。そこで、先ほど申しましたように、県がISO14001を取りました。市町村でも取っていただきたいし、ISO14001はある程度のコストもかかりますから、そんなにコストのかからない県内版のISO14001、そういうものを市町村にも勧めて、それを取得する過程で市町村のトップから職員の皆さんまでこの問題についての意識改革をしていただきたい、それを進めていきたいと思っております。
 鳥取県で地球温暖化防止活動推進センターを設置したらどうかということでありますが、これは一つの考えだろうと思います。現に財団法人形式で幾つかの都道府県でこの種のセンターをつくっておられます。有効に機能するものであれば私はいいと思いますが、これも経験上、役所で外郭団体をつくってやるといった場合に、なかなか本来の機能を発揮しないというのも本当に身にしみております。
 むしろ今、生活環境部という部が非常に活気が出てまいりまして、いろんな施策を積極的に考えてくれるようになりました。地球温暖化の防止につきましても、当面は県で、今の勢いで各種の施策を進めていった方がより効果的ではないかと私は思います。その過程でこれからもし別動隊として、もしくは県庁組織とは別のところに活動推進センターのようなものをつくった方がより有効であるとか、つくる必要があるということがありましたら、その段階で具体的に検討したいと思います。当面は、今の県庁組織の中で各種の施策をやっていきたいと思っております。