平成13年6月定例会一般質問(平成13年6月22日)No.2

<学校の安全対策について>

あまり語りたくない事件ですが、今月初め、大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校で不審者が学校に侵入し、児童8人が亡くなり、15人が重軽傷を負うという大変ショッキングな児童殺傷事件が発生しました。この場をおかりしまして事件の犠牲となられました8人のお子様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷されました皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。一番安全だと思われていた学校で、8人もの幼い尊い命が奪われたことは残念のきわみであり、家族の皆さんの心痛を察すると言葉がありません。
 ところが、先日、鳥取県においても、西伯郡内の小学校において不審な男に小学生が腹部を殴られるという事件が発生したと報道されました。鳥取県においてもこうした事件が後を追うように発生したことは、まことに残念であり、強い怒りを覚えるものです。
 社会の閉塞感や不公平感、さらに強いストレスが抵抗のすべもない小学生に向けられたことに対して、子どもを持つ親として強い怒りを覚えるものです。特にこのたびの事件は、一般的には一番安全だと思われていた学校内で、しかも、不審者が教室に乱入しての事件だけに、保護者を初め教育関係者にとっては極めてショッキングな事件です。
 今、県内の学校では、地域に開かれ、地域に支えられる学校を目指し、公開授業など積極的にオープンな学校づくりへの取り組みが始められたやさきであり、この事件をきっかけに、学校現場を初め市町村教育委員会が萎縮してしまうのでは、と心配するのですが、有田教育長の御所見と、この教訓をどう生かしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
 このたびの事件で学校内の危機管理体制が大きな問題点となっておりますが、県内の小中学校のほとんどが災害時の緊急避難所として指定されている上、都会の学校のように門扉などはなく、自由に学校敷地内へ出入りができるのが現状です。しかも、学校には事務室というようなものはなく、現実には不審者の侵入はどこからでもできる状況で、施設管理的には不審者をきちんとチェックするには非常に困難と思われます。子ども達の安全確保を図るには、最終的には先生方の機敏な判断と対応で子どもを守るしかないと思いますが、学校内の危機管理体制について有田教育長の御所見をお伺いいたします。

●有田教育長答弁

 大阪府池田市の事件についてです。
 最初に、所見ということですけれども、私も教育関係者の一人として、あるいは一人の人間として極めて強い憤りを感じますし、犠牲になられた関係の方々に深く哀悼の意を表するものです。
 お話にありましたように、学校内、教室内であのような無残な行為が起こるということ、本当に悔しい思いがしております。今まで想定され得なかった事件が次々と起こってくるという状況であれば、学校自体もそれに備えた対応が必要であると思いまして、現在も市町村教育委員会などと一緒になって、児童生徒の安全確保、あるいは学校の安全対策を引き続き検討し、実施しなければならないと考えております。
 ただ、こうした対応とあわせまして、現在幅広く進めております開かれた学校づくりが決して後退することがないように、両者のバランスをとりながら、一体的なものとして取り組む考えでおります。
 同じく、この事件に関連しまして学校内の危機管理体制ということです。議員のお話と全く同感ですが、特に子供たちの安全確保につきましては、子供たちの発達段階に十分考慮しながら、それぞれの学校の実情に応じて取り組まなければならないと。その際に、先ほども触れましたように、想定し得ない事故を頭に置いた今後の教職員みずからの対応ということも、より一層強く求められると思います。
 昨年の鳥取県西部地震の教訓も生かしながら、そして今回の事件なども一緒にした、いわゆる学校の危機管理体制のあり方を、少し時間がかかりますけれども、いわゆる危機管理マニュアル的なそうしたものを作成してみたいという気持ちですが、ただ、私どもが一方的につくって差し出すということではなくて、市町村独自で、あるいはそれぞれの学校独自で実情、実態に合った検討、対応が必要ではないかと思います。
 一例を挙げますと、現在学校の中には火災報知機がございます。しかし、それに類するようなもの、例えばサイレンのようなもので周辺の方々にも学校の非常事態を告げ、すぐ支援いただけるようなそういったことも一つの考え方ではないかと考えています。
 いずれにしても、教職員のみで完全に守り切るということもあるいは不可能かもしれません。地域の方々や、あるいは警察などとの関係機関との一層の連携を深めながら、学校の安全対策、あるいは学校の危機管理体制の確保ということに努めてまいりたいと考えております。