平成14年12月定例会代表質問(平成14年12月13日)bR

<内部告発制度について>

 最後に、内部告発制度について片山知事にお伺いをいたします。
近年、大企業や官庁で企業倫理や社会倫理が問われる不祥事が相次いでいる中、大規模な組織である県庁でも、危機管理として内部告発制度が必要ではないかという我が会派の湯原議員の質問に答えて、県庁内に業務改善ヘルプラインと名づけての内部告発制度が新制度として発足をしました。この制度に対しては、いろいろな御意見もあろうかと思いますが、私は評価をいたしたいと思います。
  ところで、雪印食品による牛肉偽装事件で、牛肉詰めかえの現場となり、その事件を内部告発した兵庫県の西宮冷蔵が12月末で廃業することになりました。つまり、大口取引先であった雪印食品を内部告発したことにより、雪印食品が解散し、売り上げが減少、解散に追い込まれたものです。正義感を持って不正をあばいたことにより、みずからも滅びるという何とも言いがたい結末であります。
  こうした現状を聞くたびに、企業の不正を公にした内部告発者を保護するための法案の立法化が急がれるところでありますが、知事としてこうした現状並びに県が新たに制定した業務改善ヘルプラインをどう生かしていかれるのか、お伺いをいたします。

●知事答弁

 雪印食品の例を引き合いに出されまして、いわゆる内部告発の問題でありますとか、鳥取県では内部告発というわけではなくて、いろんな問題が通報できるようにしようという仕組み、これを称して業務改善ヘルプラインというものを設けました。
 これは、ねらいは、いろんなことがあるのですが、1つは、やはり日本の組織、日本の官公庁もそうですし、民間企業もそうでありますし、いろんな組織には組織独特の病弊というものがあります。それを称して組織の論理と言ったり、内向きの論理と言ったりしますけれども、本来の目的よりも内輪の論理、内輪の理屈というものを優先するということがやはり組織にはあります。例えば政府というのは国民のためにある。ですから、国民の方をちゃんと向かなければいけない。しかし、いつの間にか役人集団中心の利害の方を優先してしまうということがないわけではない。雪印なども、消費者あっての会社でありまして、消費者の信頼確保というのが一番になるわけですけれども、それよりも何か内輪の問題が明るみに出たら困るからというので隠すとか、そういうことが起こってくるわけであります。本来の目的とそうでないこととが主客転倒してしまうことがあるわけです。これはよく注意しなければいけない。県庁でも同じであります。
 そこで、いろんな組織の中に問題があったものが、大事に至る前にすっと関係者に知れる、こういうことが組織を長期間、これから健全に保つ一つの工夫ではないかと思うわけであります。一つの行政の透明性、組織の透明性を確保するための手法だと私は思っております。
 これをやるときに、いろいろ考えなければいけないこともあります。例えば通報した人の立場が組織の中で危うくなるというようなことがあると、この制度は健全に作動しません。かえって犠牲者が出たりします。そうであってはいけないので、この制度を通じて組織の病弊とか問題点をきちっと指摘した職員の立場が危うくなるとか、組織の中でいじめに遭うとか、そういうことは絶対ないようにしなければいけない。そんな配慮も万全の体制をして行いたいと思っております。
  始めたばかりでありますし、初の試みでありますので、これからいろんな問題が出てくるかもしれませんけれども、それぞれ柔軟に改善をしながら、より適切な制度,仕組みに仕立て上げていきたいと考えているところであります。

<内部告発制度についてbQ>
 県の業務改善ヘルプラインということについて質問したいと思います。
 確かに告発者の身分を保護するという観点から、このたびの制度は本当に必要であると私は思っております。しかし、この業務改善ヘルプラインというものが多く利用されるような県庁であってはいけないと私は思います。制度の新設と並行しまして、仕事のあり方、やり方、そういうものを職員の主体的な議論の中で改めて問い直す機会をつくる、逆に言うとそういうことが本当に大切ではないかと私は思うのです。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
●知事答弁

 今回、開始をいたしました業務改善ヘルプラインというのは、1つは、おっしゃったような内部告発と称されるものも対象になります。ただ、それだけを念頭に置いたわけではなくて、業務改善などについてもいいアイデアを職員の皆さんから出してもらいたい、こういうねらいの方が実は多いのであります。
 例えば、県庁の管理職の人を中心にして、不要になった仕事とか、仕事のやり方を変える、ちょっとした工夫改善で無駄な作業とか職員の超勤などが減る、こういうことをぜひ提言してもらいたいということを言っているのであります。実際に仕事をしている職員の皆さんは、これは本当に必要だろうか、もうずっと長い間やっているけれども、これは本当に有効なのだろうか、例えばそれは調査物などに間々あるのでありますけれども、毎年毎年調査をしているけれども、その調査結果が本当に有効に業務に生かされているのだろうかというようなものがあります。私もかつて若いころ、そういうのをいろいろ発見して、みずからやめたり提言したりしましたけれども、そういう提言をぜひしていただきたいのですが、例えば上司によっては、そうはいっても毎年やってきたので、またもし何かあったら困るからやっておけ、ということがやっぱりあるのであります。それで、職員も、そう言われればしようがないので漫然とやる。
 こういうのをぜひ打破したいと思いまして、そういう場合、職員の皆さんに、上司はちょっと否定的なことを言ったかもしれないけれども、実際に自分で仕事を担当していて、これは本当に要らないのではないかとか、縮小できるのではないかということがあったら堂々と臆せず言ってくださいというのが、実は今回のヘルプラインの目的でもあるのです。
 したがって、内部告発の問題にしても、業務改善にしても、1つは管理職の意識というのがポイントだと思うのです。管理職がやっぱり柔軟に考えて、部下職員から提言があったり、改善の申し出があったり、不正だったり不正に近いようなことがあったら改善しましょう、というような提案があったときに、さっと柔軟にそれを変えていくということがあれば、業務ヘルプラインのニーズというのも激減するのではないかと思いますけれども、とりあえずは業務ヘルプラインを発動して、今まで感じていたこととか言いたかったことなどを、ぜひ積極的に言っていただきたいと思っております。