平成14年2月定例会一般質問(平成14年3月14日)bS
<LD、ADHDについて> |
昨年の2月定例会で、教育の中における新たな課題とされているLD、つまり学習障害、そしてADHD、注意欠陥多動性障害についての質問をいたしましたが、その後の状況について改めて質問をいたします。 昨年の私の質問に答えて、実態把握は十分ではありませんが、LDである学習障害児は小学生で44名、中学生で23名の合計67名、ADHDである注意欠陥多動性障害児は小学生で68名、中学生が10名の合計78名であると報告されました。私は、新たなる教育現場における課題として問題提起し、教師の皆さんの正しい認識と理解の必要性、保護者の皆さんへの啓発を強く要望いたしました。 その後、県教育委員会としましても、学習障害等の専門教員の養成や相談体制の充実、医療機関等との連携など積極的に取り組んでいただいておりますことに対して、高い評価をいたしたいと思います。現時点での小中学校におけるLDとADHDの児童生徒数の実態はどう変化してきているのか、有田教育長にお尋ねをいたします。 また、昨年から本格的にこの問題に取り組まれた中で、新たな課題も次々発生していると思いますが、教育委員会としては今後どう対応していかれるのか、有田教育長にお伺いをいたします。 あわせて、私が最終的に心配するのは、子供たちの進路保障であると思います。この問題の取り組みについても、あわせて有田教育長にお伺いをいたします。 また、ADHDは幼稚園や保育所でも年長児になるころにはある程度症状もわかりやすく、幼稚園や保育所においても学校と同様に保育士さんの研修と保護者への啓発を深めていただくよう要望いたしましたが、取り組まれた具体的内容について、その施策のあらましを片山知事にお伺いをいたしたいと思います。 また、県としては幼稚園や保育所におけるLDやADHDの潜在者数を把握されているのかお尋ねいたします。 |
●知事答弁 |
保育士の皆さんへの研修であります。特にADHDについての取り組みは伊藤議員が昨年提起をされて、そこからこの取り組みが始まったわけであります。幾つかの取り組みをやっております。これは知事部局、教育委員会でやっております。概要は福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 あわせて、LDやADHDの潜在的な数を把握しているかということでありますが、この点につきましても福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 |
●福祉保健部長答弁 |
最初に、ADHD、注意欠陥多動性障害等の保育士、幼稚園教諭の研修の具体的な取り組み等についてお答えいたします。 先ほど知事が申し上げましたように、昨年、伊藤議員の御意見も踏まえて、平成13年度は特にADHD、あるいはLD、これは学習障害でございますが、こういったものをテーマとした研修会を、福祉保健部あるいは県の教育委員会の主催で開催しております。この研修により、正しい知識と児童の指導等についての理解を深めるという目的で開催したもので、全部で3カ所で行いまして、700人を超える参加者がありました。その中で、保育所あるいは幼稚園の職員、これは保育士、教諭等ですが、220名余り参加いたしております。これらの研修は平成14年度も継続していくこととしております。 また、研修ではございませんが、LDとかADHDへの理解、あるいは指導方法を周知するため、教育委員会の方で昨年3月にパンフレット、「学習障害児等の理解と指導」というのを作成されまして、これらをすべての保育所、幼稚園に配本しております。 次に、LD、ADHDの潜在者数の把握ということでのお尋ねですが、LDあるいはADHDの特定というのは専門医の診断が必要でございますが、診断がなかなか難しいということがあるようです。そういったLDとかADHDの疑いのあるような子供さんが保育所や幼稚園で見つかったときには、保護者の方に専門機関への相談を勧めておりますが、保育所とか幼稚園全体の潜在者数ということになりますとなかなか難しいということで、特に低年齢児の段階では診断がしにくいという旨、専門医の方々に言われております。 全体の潜在者数の把握ということはなかなか難しいのですが、相談を受ける機関としては、医療機関とか保健所、児童相談所、あるいは学習障害等専門教員、学習障害等専門相談員というのが県の教育委員会の関係で配置されておりますので、それらの方々の連携によりまして、個別の事例、そういう疑いがある児童に対してきちんとケアしていくことが必要なことかと思っております。今後とも力を入れていきたいと思っております。 |
●教育長答弁 |
LD、ADHD関係についてです。 まず、児童生徒数の実態ということであります。平成13年12月に実施しました調査結果によりますと、県内の小中学校すべてを対象にしましたけれども、専門医、医師によって学習障害等と診断されました児童生徒数は、LD、学習障害児にあっては小学生で45人、中学生で18人、合計63人であります。ADHD、注意欠陥多動性障害の児童生徒は、小学校112人、中学校16人、合計128人でございます。 昨年の2月定例県議会でお答えしました平成12年12月調査との対比でございます。学習障害につきましてはほぼ同数でございます。67人が4人減の63人であります。注意欠陥多動性障害の方は急増しております。平成12年度が78人に対して、平成13年度は128人、50人の増であります。 そうしたLD、ADHDに取り組んできた中での新たな課題、あるいは今後の対応についてです。新たに精力的に対応しているつもりでありますけれども、対応すればするほど新たな課題が幾つか浮かび上がってまいります。幾つかを紹介します。 例えば、これは平成12年度から専門の大学に派遣をして、さらに臨床の経験を積むということで、教員を学習障害等専門教員と名づけて対応しておりますけれども、1人当たりの取り扱い件数が大幅に増加をしてきている。一人で背負い切れないという課題もあります。 特に幼稚園あるいは保育所からの相談要請が非常に増加していると。特に本県では、およそ6割の子供たちが保育所から小学校に入ってまいりますが、所管が違うということで拒否はしておりませんで、柔軟に対応しております。保育所等からの相談が非常に多くなっていると。さらに、小学校低学年におきますADHD、注意欠陥多動性障害の子供たちの増加、これも新たな課題であります。1つには、啓発にも努めておりますので、保護者の方々の意識の高まり、あるいは教育関係者の理解も深まって、そうした子供たちへの目の向け方、対応の仕方によってこういう課題が出てきていると考えております。 今後の対応であります。先ほど触れました平成12年度から毎年3名ずつ養成をしております学習障害等専門教員を今後も継続的に養成をするということ。特に学習障害等専任の指導主事を配置して、平成14年度、来年度からは、従来、学校に配置して要請のある近隣の学校にも対応していたのですけれども、平成14年度から県の教育研修センターを教育センターとして内容、機能を充実するということもありまして、6名のうち5名を県の教育センターに、それから各教育事務所に配置がえをする、広域的に弾力的に対応したいと考えております。 さらに、先ほども福祉保健部長からの紹介の中にもありましたけれども、学習障害等の研修会、これは幼稚園教諭のみならず保育士にも呼びかけをして今年度から実施しておりますが、この充実にも努めたいと思っております。 そして、平成14年度から今議会でお願いをしております就学前教育、幼稚園教育の専任指導主事の配置によっても、こうした子供たちへの対応もより充実するのではないかと考えております。 そして何よりも、こういう就学前の子供たちの行動というのは、その年齢特有の多動型で、なかなか見分けがつきにくいということがあります。そのために、今まで以上に医療機関、福祉機関、いわゆる専門機関、あるいは関係者等の一層の連携が必要になってくると考えております。 進路保障であります。昨年13年3月に中学校を卒業した学習障害、または注意欠陥多動性障害の子供たちの進路先であります。県立高校に3人、県立養護学校に2人、在宅などが2人という実態であります。 学習障害や注意欠陥多動性障害のある生徒については、高等学校段階の教育のあり方について、先日も触れましたけれども、新たな学校、特に定時制、通信制を一本化して、不登校生徒などにも弾力的に対応できるような新たな学校も、こうした子供たちの教育機関として加味していきたいと考えておりますし、一方、養護学校の総合的な今後のあり方についても、関係の方々で平成14年度、再度検討をしていただくこととしておりますので、そういう中で解決方策も見出していきたいと思っております。 いずれにしましても、学校に入ってからということでなく、できるだけ早期に発見をして早期に対応するということが進路の保障にも結びつくものであると考えておりますので、引き続き、今まで以上に関係機関との連携は密にしていきたいと考えております。 |
<LD、ADHDについて>No.2 |
もう1点ですけれども、LD、ADHDについて、先ほどの教育委員会、本当にきめ細かな対応を昨年からしていただいております。先ほどありましたように、早いうちに的確に把握して、医師の処方せんに従って対応すれば、中学生ぐらいまでには治る可能性も非常に高いと言われております。しかしながら、幼稚園や保育所における正しい理解と関心というのは、私は随分低いように思えてなりません。保育士への啓蒙、啓発、研修、さらには保護者への啓発をもっともっと深めていただきたいと思うわけでありますけれども、これにつきまして知事の御所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
LDやADHDに関して保育士の研修でありますが、先ほど福祉保健部長の方からこれまでの対応は申し上げたところであります。 今後、平成14年度も予算の中に新たな研修計画も盛り込んでおります。内容もさらに充実をして、研修の量的・質的向上に努めたいと思います。 |