平成14年2月定例会一般質問(平成14年3月14日)No.3

市町村合併について
  県内における市町村合併の議論は大変低調でありましたが、東郷池を取り囲む泊村、東郷、羽合町の3町が、平成16年10月に対等合併することを前提にして、昨年の10月1日に東郷湖周地域合併協議会を設置されたのに伴い、少しではありますが県民の関心が前進したかのように思われます。県としては、合併議論を喚起する意味から、合併パターンを示すなど、他県より議論しやすい形が提起されてきました。その成果はどうかわかりませんが、県下39市町村が何らかの合併研究会、勉強会、検討委員会に参画し、一応議論が進められていることになっております。確かに研究会報告をまとめ上げられて公表されているところもありますが、現時点での取り組みについて片山知事としてはどう評価されているのか、お伺いをいたします。
 私としましては、現時点での研究会等の立ち上げ状況については、合併が現実的なユニットもあれば、現実的ではないところもあると思います。しかしながら、合併は地域の皆さんの総意で検討される問題でありますから、別にとやかく言うつもりはありません。ただ、合併特例法には期限があるものですから、住民参加のもとに真摯なる議論が行われることを願い、片山知事にお尋ねをいたしたいと思います。
  現行の合併特例法、総務省が示している合併までの諸手続等を勘案すると、ことしの9月の議会には、合併しようとする市町村は合併協議会を議会に提案し、承認されなければなりません。事務的に考えると、本当に時間がない問題となっております。
  しかし、先ほども申し上げましたように、現在の研究会における合併ユニットの範囲が協議会への前提であるならば、住民の皆さんに研究会の報告を提示し、議論をしていただき、選択肢の合意形成が得られれば支障はそれほどないと思われますが、もし現在の研究会以外の合併ユニットの範囲を選択肢として考えるならば、再度合併への研究報告を取りまとめ、情報を住民の皆さんに再度提示し、15年後、20年後の町のありようを短時間のうちに議論していただくということになりますので、事務的にも時間的にも合併の話は期限内には間に合わない、無理な話になってしまうのではないかと思います。かといって、首長や議会だけによるトップダウン方式で合併を決めるということは絶対避けなければならない問題であります。したがって、片山知事としては、こうした問題を含め、合併特例法の期限にかかわらず、市町村合併を促進するおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。
  また、万一市町村合併はしたくない、もしくは合併が期限内に間に合わないことにより、高度な技術や知識を必要とする業務を県に委託することにより、市町村の業務の一部を県に補完していただきたいという町村が出てきた場合、県としてはどうされるのか、片山知事の御所見をお伺いします。

●知事答弁
 東郷湖周3町村の合併構想、今までの取り組みについてどう思うかということでありますが、私は、3町村がこれまで地道に相談を積み重ねてこられて、種々合併に向けて市町村の住民の皆さんの啓発、PRも含めて、いろんな多彩な事業をやってこられて今日に到達しているということを高く評価をしております。中部においては、中部は一つでなければいけないというような意見もあって、この3町村の合併構想に対しては批判的な向きがあるということも承知をしておりますけれども、しかし、現実的に考えますと、この3町村の合併構想というのは大いに評価をしていいだろうと私は思っておりますので、県としてもこれを応援をしたいと思っております。
  特に3町村では、合併に向けての取り組みのためのいろんな催しとか行事だけではなくて、既にもう共同で、住民レベルのいろいろな行事なんかもやっておられるようで、そういう面でも地についた合併論議がなされていると認識をしております。
 合併についていろんなパターンが示されて、それに基づいて研究がなされてきておりまして、そのレポートも出ておりますが、伊藤議員が言われるように、そのパターン以外のパターンで考えた場合には、もう一回また一からやり直すことになる可能性もあるので、そうすると時間がもっとかかるのではないかというのは、それはそういうケースもあると思います。
  今日まで大分長い時間があって、そういう手戻りを生じるかもしれない作業というのは、実は本当はこれまでにやっておいていただきたかったというのが本音でありますが、なかなかエンジンがかかるのが遅かったので、これから時間がかかるということもあり得ると思います。そうなると、本当にそういう住民合意というものを大切に考えた場合には、今の政府が決めたスケジュールの枠組みの中におさまらないかもしれない、というのは、それもそういうことになる可能性は強いと思います。
 その際に、御質問の趣旨は、何が何でも合併特例法の優遇措置のある期間内に合併がなされるように県として押し込むことになるのかということかと思いますが、私はそんなつもりはありません。それは合併をする際に、特例法の期限内にやるというのであれば財政上の特例が受けられるし、期限後にするというのであれば特例法の適用は受けられないし、それの選択だろうと思うのであります。金に目がくらんで急ごうという選択があってもそれは構わないと思いますし、そんな目腐れ金に目がくらまないで一生懸命合意を大切にしようというのであれば、それはそれでも構わないと思います。これも選択であろうと私は思います。
  ただ、どっちかというと、もらえるものならもらっておいた方がいいのではないかというのが現実的な判断ではないかと思いますが、本当に最終的にはそれぞれの地域の選択だろうと思います。
 次に、合併がどうしても間に合わなくて、うまくいかなくて取り残されてしまった、そういうところが、私がいつも申し上げております力量のある市町村になり得ないケースに県が補完をしていただけるのかということでありますが、それは必ずしも直ちにはそうはならないと思います。私がいつも申し上げておりますように、どんなに合併しても、区域を広げて人口を大きくしても、どう見てもやはり過疎地であり、高齢化率の高い地域でしかあり得ないというようなところは、合併をしたからといって今の地域の問題は解決しないわけであります。具体的には今、大変失礼ですけれども、日野郡がやはりそういう地域に該当するのではないかと私は思っているのですけれども、そういうところはやっぱり広域的な行政単位であります県の役割はこれから増していかざるを得ないだろうと思います。それは、どうしても高齢化と過疎化が進行してしまうわけでありますから。
  しかし、そうでない地域は、それぞれ自分たちの地域の将来のあり方というのは、やはり責任を持って考えていただきたい。みずから本当に歯を食いしばってでも小さい区域でやっていくという選択をされるのか、それともやはり力量をつけるためにはもうちょっと大きな単位でまちづくりをやっていくのかというのは選択の問題でありますから、その選択を私は尊重したいと思います。残ったから県がお手伝いというわけにはいかないと思います。


市町村合併についてbQ
 それと、市町村合併でありますけれども、現在の合併議論の進捗状況を見てみますと、やはりもっともっと時間をかけて議論することが大切であろうと私は思っております。先ほど知事からありましたように、エンジンがかかるのが非常に遅かったわけでありまして、今の市町村の合併議論、住民への説明等そういう部分を見ておりますと、多分期限内に合併が間に合うというところは少ないのではないかと思っておりますけれども、もしそうなった場合、知事として今の合併特例法の期限延長を国の方へ要望される考えがあるのかないのか、この辺をお伺いしたいと思います。

●知事答弁

合併論議で期限内の合併に間に合わないところが随分出てくると思われるということでありますが、その際に、現行の合併特例法の期限延長を求める気はないかということであります。 これは国の法律でありますので、我々でどうこうすることはできませんが、個人的には私も今のスケジュールはちょっと性急過ぎるかなという印象を持っております。もちろん国には国の言い分があって、随分何年も前から言っていたじゃないかと言われるのでありますが、現実の問題として、なかなか対応が進んでおりません。エンジンがかかるのが本当に遅いわけでありまして、これからエンジンがかかってくるのだろうと思いますけれども、人間はどうしても期限が迫らないとあせらないというところは、小学校の夏休みの宿題と同じなのでありますけれども、そこで、私は正直言いますと個人的には延長していただいたらいいと思っています。いつまでもだらだらだらだら何回もというのはいけませんけれども、やはり今のままはちょっと性急過ぎるかなという気がしますので、もう一回リーズナブルな範囲内で延長していただければいいなと考えております。
 そういうことをいつぞや申し上げたことがあるのですけれども、先般、先月の中下旬だったでしょうか、私と同じ名前の片山総務大臣が、特例法の期限は延長しない方針だと明言をされております。そういうことでありますから、政府の方は恐らく今の合併特例法の期限内にやれるものは全部やってしまおうという方針なのかな、強い決意なのかなと思いました。もちろんこれか
らも、さっき申しました私の個人的な気持ちというのは伝えていきたいと思いますけれども、だからといって延長されるだろうという甘い期待のもとにスケジュールを組むのは危険だろうと私は思います。現行の枠内でどうするのか、それをまず真剣に考えていただくことが必要だろうと思います。


市町村合併についてbR
 これまであらゆる部分でみずからの考え方を、知事みずから遠慮なく出されるわけでありますけれども、ただ、市町村合併に限っては、合併の必要性は認めるけれども、あくまでも合併に向けての基本的な議論のあり方が中心で、知事みずから理想とする人口規模とかエリア等については、議会を初め記者会見の場でも公式に発表されておりませんけれども、市町村の皆さんが自主的に決めるべきだと、一貫してこれまでずっとその姿勢を知事は貫かれてきたわけであります。ですから、本当にそういう部分で市町村の知恵を結集しなさいということであったのですけれども、ことしの1月、ある業界の新聞の新春対談の中で、知事として一定の理想の人口やエリアを明言されました。これまでパターンだけは示されましたけれども、知事みずからの考え方を前面に出されずに来られたのに、なぜここに来て知事の考え方を出されたのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。

●知事答弁

合併の問題は、私も何度も申し上げておりますが、地域自身で地域の将来のことを考えるというのが基本であります。合併論議が起こりましてから私もよくいろんな方に聞かれまして、特に市町村の方から、これは首長さんであったり議員の皆さんであったりしますけれども、そういう関係の方から知事の考え方を言ってくれという方もおられたのであります。ですけれども、私は、そういうことによって進む合併というのは、やはり本来の姿ではないと思うのです。県から言われたからではなくて、本当に地域の住民の皆さんの立場に立って、どういうエリアがいいのかということをみんなで真剣に考えるところから始めないと、この合併の問題というのは本質を見誤ると思っているものですから、とにかくパターンは一応国の方針に基づいてお示しはしましたけれども、あくまでも選択肢ということで、どうするかは市町村で決めてくださいということをずっと言ってまいりました。今もその気持ちは変わっておりません。
  
そろそろ終盤戦に入ってきて、県内でも東郷湖周辺地域に見られるように、合併に向けての具体的な動きもだんだん出てきた今日でありまして、個人的にどうなのかと言われますと、いまだに何も考えがありませんというのもちょっと切ないものがありますので、私が個人的に考えていることを、これは建設工業新聞から取材を受けたときにも申し上げたのでありますけれども、実は今いろんな会合とか講演会の中で私がお話をした後で、この問題で質問がよくあるのです。どう考えるのですかということを聞かれますので、大体おおむねこんなことを今自分の考えとしてはしゃべっております。ただ、これは私の感想とか印象でありまして、別にとらわれることは何もありません。それぞれのところで考えていただいたらいいと思います。
  では、何でこんなことを考えているのかといいますと、私は、政府のおっしゃるように、20万とか30万とか規模が大きくなればいいという考え方は持っておりません。といいますのは、今20万、30万、50万、100万以上の市がありますけれども、そういう量的に多いところが質的にもいい行政をやっているかどうかというのは、なかなか一概には言えないのだろうと思います。今の3,000数百のユニットで市町村が構成されているというのは、私は余りにも小さいということは何回も申し上げているところでありますが、しからばそれを20〜30万に全部くくったらいいかというと、それはそうではない、そういうところがあってもいいですけれども、みんながそうすることはないと思っております。
 私がよく申し上げます力量ということを考えた場合には、最低限やっぱり2〜3万ぐらいはないと、本当に必要な力量はできないのだろうなと思っているのです。別にこれが5万であっても10万であっても構わないわけであります。最低限2〜3万ぐらいはあってほしい。そうでなければ、これからの地方分権時代の本当に選択と判断をみずからしていく自治体として、なかなか力量がそろわないのではないかということを率直に申し上げたわけであります。これは単に私の考えでありますから、それぞれ基本に戻って、市町村の方で自主的に決められればいいと思います。