平成14年2月定例会一般質問(平成14年3月14日)No.1
市町村の財政運営について |
我が国の経済、まさに深刻な状況に陥ってしまいました。私も県議会に送っていただきました直後から、構造改革の先送り、硬直化したシステムの見直しが先送りされる中で、今日の混迷した社会情勢に至ることを危惧するとともに、綱渡り的な国の交付税会計のありようの中で、県の中期財政見通しの早期見直しや大型公共事業の見直しなどを提言してまいりました。まさにバブルがはじけてからのこの10数年、中には失われた10数年と言う人もありますが、いずれにせよ、後世の人々から政治のありよう、政治の責任が大きく問われる一つの歴史的な時代をつくってしまったのではないかと思います。 |
●知事答弁 |
最初に、市町村の財政状況についての認識ないし今後の財政運営に対する助言ということでありましたが、市町村も若干濃淡はあると思いますが、総じて財政状況が非常に厳しいということは全国どこでもそうであります。裕福で困っているというのは聞いたことがありません。県も一緒であります。 県以上に市町村の方が厳しいと言われましたけれども、それは物の見方でありまして、例えば県と市を比べてみますと、税によって賄っている割合などは市の方が高い。すべての市ではありませんけれども。そういう意味でいえば、財政構造としては県の方が悪いという面もあるわけであります。所帯は県の方が大きいわけでありますが、見方によっては小回りのきく市町村の方が構造改革もしやすい。いろんな見方があります。一概に県がよくて市町村が悪いというわけでもありません。県も市町村も本当に四苦八苦、まさに四苦八苦しているところだと思います。 その市町村の財政状況が悪くなった理由は、いろんなことがあると思います。県と同じように従来のいわゆる国の景気対策に連動して起債を発行して、その元利償還が非常に重圧になっているという面が市町村にもあると思います。これは確かに国の政策に呼応したことによってこういう結果になったということでありますが、しかし、考えてみれば県も市町村も、国の景気対策を大いに活用して事業をやってきたという選択の契機というのもあるわけであります。みずからが選択をした結果でもあるわけであります。 もちろんその中には、自分のところだけがそういう選択をしないと結果的に損をする、相対的に損をするというそういう構造がビルトインされていたものですから、そこが一番問題だったのだろうと思います。その点は私は国は一つの責任を問われていいところだと思います。しかし、それを活用して選択をしてしまったというのは、地方団体、我々の責任だということでもあろうと思います。 今後のことでありますが、従来は市町村の財政運営というのは、きめ細かく国から県の地方課といいますか市町村振興課を通して運営の指針というのがありまして、いわば護送船団的に引っ張ってきたわけであります。市町村の方も、大体地方財政計画に淵源を発して、国・県を通じて来る指導のとおりに予算編成をしていれば、まあ何とか運営できたわけであります。 そういう時代がずっと続いてきましたが、今まさに地方分権の時代になって、財政運営も地方分権の時代になってまいりました。もはや護送船団的に財政運営をするということは許されない時代になってまいりました。みずからの選択、みずからの責任ということが、県もそうでありますし、市町村にもこれから適用されるわけであります。 今、県も本当に必死で財政構造の改革に努めているところであります。正直申しまして、市町村のそれぞれの財政運営に県が注意と関心を持って、懇切丁寧にという余裕はもうございません。やはり市町村がそれぞれ責任を持ってみずから選択をし、判断をしていくという時代だろうと思います。たびたび申し上げておりますが、県もいろんな障害がある中で事業の見直しを丁寧にやっております。予算編成過程では、ハード事業の一つ一つの審査までやっているわけであります。そういう厳しい優先劣後、優先順位づけをやっているわけです。 先ほど伊藤議員もお触れになられましたが、職員の給与カットという、しかも全国で一番率の高い給与カットをしてまで、当面必要な雇用の確保という分野に乗り出そうとしているわけです。ぜひ市町村も、それぞれのみずから置かれた事象をよく認識されて、必要な財政構造の改革をやるべきだと思います。それをやるのは首長、そして、それぞれの市町村の議会が第一義的には責任を持つべきだと思います。 その上で、将来を見通して、どうしてもこれは必要なものをやっても、にっちもさっちもいかないというような小規模の自治体があれば、それは合併が一つの選択肢になるということだろうと思います。しかし、とりあえずは今の状態で、今後どうするのかというのは、市町村ごとによく考えていただきたいと思います。 財政再建準用団体への転落の懸念があるのではないかということでありますが、今、統計上見てみますと、39の市町村で直ちに財政再建準用団体になるということは考えられません。ただ、これは統計上の問題でありまして、例えばアメリカで十指に入ると言われていたエンロンが、不透明な経理によって、それが公表されたことによって、あっという間に消滅してしまったわけでありまして、簿外の取引があったとか、簿外の負債があったとか、そういうことがあるのであれば、これは全く別問題であります。すべてちゃんと正しく統計に財政状況が反映しているという前提での話でありますが、今のところ、直ちに財政再建準用団体になるという感じはしません。 ただ、転ばぬ先のつえということがありますので、財政再建準用団体などにならないように、先ほど申しましたように、みずからの責任と判断で財政運営を行っていただきたいと思います。 そのためには、一番必要なのは情報公開であります。これは歳入、歳出、民間企業でいいますとバランスシート、そういう問題、そういう要素についてきちんと情報公開をするということが一番の基本であります。 それこそゼロべース予算とでも言ったらいいのかもしれませんが、従来の惰性で予算編成をしないことであります。本当に一つ一つの、昔から続いている事業であっても、今日本当に必要かどうかということをよく吟味をすること。問題の先送りをしないこと。どうしても役所というのは問題を先送りして、自分のときにはこういう厄介な問題は手をつけたくないという習性があるのでありますが、厄介な問題ほど今手をつけて、将来に禍根を残さないようにする。今、県もできる限りそうしたいということで、職員と一緒にやっておりますけれども、市町村でもぜひそのことをやっていただきたいと思います。 給与の5%カットについて、その内容等については若干お褒めをいただいたのかなと思いますが、やり方について性急であり、唐突であるということで御批判もいただきました。 この交渉を、私も途中から、みずから引き受けまして、組合の皆さんと交渉したわけであります。しかも、これは県職員の労働組合だけではなくて、この5%カットが教員の皆さんにも及ぶものでありますから、県教組、高教組の皆さんとも、正式の交渉と言えるのかどうかわかりませんが、話し合いをいたしました。 当初はいろいろ異論がありましたし、ちょっとしたボタンのかけ違えと伊藤議員はおっしゃられましたが、まさしくボタンのかけ違えとか手違いがございまして、不信感を買ったような面があったのでありますが、その後順次話をいたしまして、大筋途中からそんなに意見の相違点はないという感じを受けました。大筋といいますのは、何がしかのカットをして、それを広く雇用の創出に使うという点では、組合の皆さんも最初から理解を示していただいていたように思います。 ただ、そのカット率のあり方であるとか、浮いた財源の使い道として、雇用の創出以外のところに使われることについてはなかなか承服しがたいとか、そういう点が相違点であったように思います。それらも含めて若干の微調整をいたしまして、最終的な合意に達したということは大変よかったと私は思っております。組合の皆さんも、最終的に快く合意に達していただいたということで、感謝をしているところであります。 この過程で、唐突だったとか、突然提案があったとか、一方的に記者会見で通告があったという話が伊藤議員からありまして、確かに表面上見るとそういう面がなきにしもあらずだったのでありますが、私は常にできる限りオープンな議論をしたいということを言っているものですから、例えば記者会見で一方的に通告したというのは、組合交渉で組合に提示をするその当日の朝だったのでありますが、たまたま記者会見がありまして、そのときに新聞記者の方から、県議会で自由民主党から、みずから5%カットするという話があり、そして、執行部もこれに準じた措置をするようにという要請があったはずだけれども、一体知事は執行部としてどうするのだという趣旨の質問があったわけでありまして、そう聞かれますと、それはそれなりに考えております、近く組合にも提示をしたいと思っておりますということを申し上げるのは、事柄の成り行きからして当然だろうと思うのです。 もちろんそのときに、5%カットですかというようなことが次に来ますから、それはまだそこでは明言はできませんと。県議会が5%だから、5%が目安になるのか、それは目安になることはなるでしょうと、そういう会話、やりとりが続くわけでありまして、そういうことなのであります。一方的に私が記者会見をして、5%カットを組合に通告すると言ったたわけではないのであります。聞かれて、不自然でない範囲で答えたということであります。 ただ、若干の手違いがありまして、当日、組合交渉に当たって組合側に提示すべき資料というものを、その朝幹部会を開きまして、幹部に示したわけであります。こういうことできょう午後から組合交渉すると。幹部ですから、これぐらいのことはやっぱり知っておいてもらった方がいいと思いまして。ところが、その資料がどういうわけか、いつの間にか組合の方に渡っておりまして、これは私は、情報の伝達が非常に速いというのはびっくりしたのですけれども、(笑声)エチケット違反だと思います。やっぱり組合の皆さんにはそういう伝わり方ではなくて、団体交渉でありますから、当局側から職員団体に対してきちっと正規に提案がなされるということがエチケットだろうと思いますから、そういう意味でのエチケット違反がありましたので、私はみずから直接組合の代表の皆さんに、そのエチケット違反についてはおわびを申し上げました。大変不愉快な思いをかけたということは事実でありますから、その点についてはおわびを申し上げたわけであります。そんなことから交渉が始まりまして、結果的に合意を見たわけであります。 私は今回の組合交渉、みずから出ましたけれども、これは伊藤議員は異例だと言われましたけれども、もともとが5%カットというのはみずから提案したものでありますので、提案した者が責任をとるということが当然だろうと思いまして、組合交渉の慣例からいいますと、総務部長が一応最終責任なのでありますけれども、今回の私が提案したものについては、私が責任をとって組合交渉をやったということであります。 5%カットとか、公務員に対する風当たりとか、デフレの中でともすれば議論が封殺されるのではないかという御懸念を示されましたが、そういう点が全くない、そういう懸念が全くないという感じは私もしておりません。ある意味では、放っておくと何か言いたいことも言えないような、自由な議論が圧殺されるようなそういうムードが出てくる可能性がなきにしもあらずであります。 ただ、私はそれであってはいけないと思います。私はいつも申し上げるのですが、是は是、非は非でありまして、そういう是々非々ではなくて、すべて何かこだわりとかタブーでもって議論が生じないようにしてしまう、そういう雰囲気ができてしまうということは絶対避けなければいけないと思います。ぜひ議会でもそういう雰囲気にならないように、必要なことは自由に、今御議論いただいておりますけれども、もっといただいたらいいと思います。 例えば職員の処遇の問題などにしましても、今回5%カットというのをやりますけれども、だからといって今待遇で仮に不当なものがあったとして、組合側から見て当然改善しなければいけないというのがあったときに、こういう御時世だから言えないのかなというような、そういうことは遠慮は要らないと私は思います。現実に組合の皆さんからもいろんな意見も出てきておりますし、教職員組合の方からも出てきておりますし、そういう点は教育長からもお話を伺ったりしております。これは組合はありませんが、警察職員の処遇の問題もありまして、これも本部長から組合のない警察職員の処遇について、やはりこういう不都合な面があることはよく承知して、処遇の改善をできる限りしてくれというような強い要請も実は受けているのでありまして、そういうことは当然言っていただいたらいいと思います。これも是は是、非は非であります。 例えば時間外を減らせというのは、私もそう思いますし、組合の方からも話が出てきております。しかし、やむなく時間外をやった場合には、ちゃんとそれに見合う手当を出してくれ、手当のないサービス残業のようなことはやめてくれと、これも当然の主張だろうと思うのです。そういうことは大いに主張していただいて、そして議論し、改善すべき点は改善したらいいと思います。決してこだわりやタブーのないように、ぜひお互いにしたいものだと思います。 |
市町村の財政運営についてbQ |
先ほどありましたように、財政再建準用団体といいますか、赤字比率が20%以上ですから、現実的には町村はこれには該当しないと思うのですけれども、今の社会情勢を勘案いたしますと、市町村合併までに自主再建の道を選ばないといけない町村といいますか、私は出てくるのではないかと思っております。そうしたときに、鳥取県西部地震のときに市町村の財政支援のためということで市町村の貸付金が大きな存在となりましたけれども、どうしても来年度予算が組めない町村ということが発生したときに、そういう市町村に対しまして貸付金を活用する考え方はないのかあるのか、知事にお伺いいたしたいと思います。 |
●知事答弁 |
市町村の財政改革といいますか、自主再建とおっしゃられましたが、準用再建団体になる前に、みずからの自助努力で財政を再建する際に、県から貸付金のような制度はないかという話でありましたが、確かに西部地震の際には該当の市町村に対して県から無利子、無担保という貸付金の制度を設けました。これで財政が困窮した市町村が一息ついたという面はあったと思います。これはしかし、地震という不測の事態、不慮の災害に遭ったときの特例だと私は思います。 |