<地制調の最終答申について> |
事前に通告しておりますとおり、地制調の最終答申についてと知事と教育委員会の関係について、片山知事なり藤井教育長にお伺いしますので、忌憚のない御所見をお願いしたいと思います。
まず、地制調、つまり地方制度調査会から11月13日、今後の地方自治制度のあり方に関する答申が行われました。この答申は、分権型社会を制度的にも確固たるものにするために、地方自治法第8条の市及び町の要件をより具体化したものになっています。中でも、このたびの答申では、これまで「基礎的自治体」とあいまいな表現にされていたものが、「基礎自治体」とはっきり位置づけられたのを初め、合併を促す市町村の人口規模をおおむね1万人未満とし、都道府県知事には合併市町村の枠組みを示した構想を策定することを求めているほか、策定された構想に基づいて合併協議会の設置や合併に関する勧告、あっせんなどを行い、市町村の合併を進める役割が求められています。さらに、合併特例法の経過措置として、合併特例債の適用期間を1年間延期し、以後は財政支援措置をとらないと明記をされています。
このたびの地制調の最終答申、何がなんでも市町村を強引に合併させようという強い力が感じられます。それに対して私は違和感を覚えますが、知事の御所見をお伺いします。
また、この答申では、県に合併市町村の枠組みを示した構想を策定するように求めておりますが、もしこの答申に基づいて法律が制定された場合、知事として合併構想を策定されるのか、お伺いします。
なお、県内では、住民投票により単独で存続を決めた日吉津村や合併協から離脱し単独を決定した三朝町がありますが、これらの町村に対してどう対応されていかれるのかお伺いします。
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●知事答弁 |
最初に、地方制度調査会が小規模町村のあり方についての答申を出されましたけれども、その答申について伊藤議員は違和感を覚える、要するに市町村を強引に合併させようとするその意図に違和感を覚えるとおっしゃいましたけれども、私は違和感ではなくて反感を覚えます。また同時に、本当に情けないなという気がいたします。
私も自治省という役所にいたのです。自治省というのは、自治という名がついていますように、本当に自治の原点を考える役所であるがゆえに、私はその役所に入ったわけです。以来、地方自治というものをライフワークにして今日まで来ていますけれども、私がいたころの自治省というのは、いろんな考え方の人がいましたけれども、やはり地方自治の理念、原点というものをよく踏まえた人が多くて、そういう理念や原点をもとにした議論をし、政策を考える、そんな集団であったと思います。
それが、省庁再編で総務省ということになり、自治の名が見事に消えたわけです。そのあたりから本当に総務的な何か調整をするとか、事が荒立たないようにとか、そういうのが得意な人がふえたような気がします。名は体をあらわすと言いますけれども。そういう中から、自治の原点とか自治の理念を忘れたような政策が提示されてきたのもむべなるかなと思って、非常に情けないと私は思っています。
答申は答申でありますから、これからのこととしては、この答申がこういう形で法案にならないように働きかけたいと思いますし、仮に法案になっても、法律は国会を通すわけですから、国会で通らないように働きかけをしたいと思います。
こうした反発、反感を感じる知事とか、違和感程度の人もおられるかもしれませんけれども、結構多いのでして、全国知事会でも私のような議論をされる方は結構おられます。福島県の佐藤知事などはほとんど私と同じ考え方でありますし、多くの県知事さんもこの地方制度調査会の答申については異論を唱えておられます。あの地方制度調査会の答申がいいと、あれをぜひ早く法案にして法律にしてくれという意見は全国知事会では皆無でした。
先般、総理と全国知事会との意見交換がありまして、私は、三位一体改革ということが私に与えられた一つのテーマだったのですが、そのついでに市町村合併の問題、なかんずく規模だけで市町村を再編しよう、市町村の改革というものを規模だけでやろうというのは、質を考えない乱暴なものだということを総理に申し上げました。質が大切なのです。したがって、規模が小さいから今財政難に陥っているというのではなくて、むやみやたらに借金をしていろんなものをどんどんつくったという財政運営の質の問題ですから、質の点検、そういう質を生んでしまった財政の構造についてメスを入れる必要があると思いますよ、という話を総理にしました。総理は、確かに質は大切ですねということでは応じていただいたのですが、でもやっぱり基盤を整備するためには合併も必要なのではないですかと答弁ではおっしゃっておられましたが、私以外の多くの知事も、この合併の問題は取り上げておられました。
いずれにしても、こういうものが法案にならないように、法律にならないように努力をしたいと思います。 これがそのまま法律になって、例えば知事が小規模町村の再編のための構想を策定すべしというようなことが条文でできたらどうするのかということですが、私はそんなことを県がやるべきではないともともと思っておりますから、こんなことはできてもやるつもりはありません。
ただ、その前に、こういう法律が、悪法ができないように努力をするということが必要だろうと思います。
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<地制調の最終答申について>bQ |
違和感どころか反感ということで、思いとしてはやはり同じものがあるなと思っております。
合併に向けての構想もつくらないという知事の思いをはっきり出していただきましたので、住民投票で単独を決めた日吉津村、そして三朝町の皆さん方には、本当にこれから単独で残るためのまちづくりに向けての一つの方向が出たのではないかなと思っております。
皆さん方も、地制調が出た中で、やっぱり大きな不安があったと思っております。法律の制定までまだまだ時間もあります。ぜひとも知事にはこの答申が法律化されないように頑張っていただきたいと思いますし、知事の単独行動もいいわけでありますけれども、私は、できれば議会の皆さん方ともコンセンサスを得ながら行動されたらいかがなものかと思っております。コメントがあればお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
地方制度調査会の答申に関係する部分ですが、議会とももっと足並みをそろえてということは、そのとおりだろうと思います。先日も実は県選出の国会議員の皆さんと当面の主要課題について意見交換をしたのですけれども、そのときに私からもこの地制調の答申について、国会議員の皆さんはこんなものを法律にしないでもらいたいということを申し上げましたが、また同じように、あえて前田議長の方からも同じような趣旨のことを強調されていました。知事と議長がともにこの問題について同じようなことを要請したわけです。
ただ、他の37人の県議会議員の皆さんの意見もおありでしょうから、もし必要ならば意見を聞かせていただいたらと思いますし、この問題についての議会での合意形成といいますか意思表明というものをされると、もっとそれがはっきりすると思います。
いずれにしても、そんなに異論は多分ないのではないかと思いますので、若干の異論とか多少異なる意見がありましたら、お伝えいただければと思っております。
ただ、今後、国会議員への働きかけなどについても、できる限り同一歩調をとってやるべきだと思いますし、議長会とかそういうところでも、ぜひ取り組みをしていただければと思います。
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