<知事と教育委員会の関係について> |
知事と教育委員会の関係について質問します。
昨日、藤縄議員、山田議員のやりとりの中で私が準備していた大半の議論がなされましたが、やはり知事と教育長との関係についてあいまいのまま議論を進めていても、県民の皆さんを初め教育関係者の皆さんにはわかりづらいと思いますので、あえて質問をさせていただきます。
片山知事が誕生と同時に、私も県議会議員としてこの県議会の場に立たせていただきました。そして、現状における教育課題について問題を提起し、知事と議論をし、そして提言を行い、数多くの政策を教育行政に生かしていただきました。
この議場において議論をするたびに、教育に対する見識の高い知事の思いにいつも新鮮さを覚えたものです。どちらかといえば、これまでの首長の一般像としては、殊に教育問題に関しては事なかれ主義で、子供たちが問題を起こすことなく義務教育を終わってくれればよいという人が多いと思っていたからです。ただし、問題が起きれば、教育長が矢面に立ち、謝罪と責任をとるのが通常であったのではないでしょうか。
ところが、片山知事の場合、みずから硬直化していた教育課題を真摯に受けとめ、文部科学省にかみつくなど歯に衣を着せないその言動、そして議会での答弁においても、初めから知事と教育長が同じ考えということはおかしいなど、その一つ一つがとても新鮮に映ったのは私だけでしょうか。
しかし、教育への思いが余りにも強いゆえかどうかわかりませんが、頭ごなしの学校週6日制の特区発言など、最近の知事の発言を聞いていると、どことなく私自身も違和感を抱くようになりました。昨日の山田議員の発言も、多分私と同じ思いに駆られての発言であったと私は思います。
そこで、知事に質問します。来年1月に企画部で、「教育の自立」と題して教育フォーラムが米子市で開催される計画があります。このように、近年、知事部局において本来は教育委員会が当然行うべき事業が進められておりますが、あえて知事部局で取り組みを展開される理由をお聞かせください。
ことしの2月定例会において、小谷議員の質問に対し、高多教育委員長は、鳥取県教育に対する熱い思い、改革に向ける強い姿勢をとうとうと述べられ、議員一同その姿勢に意を強くしたところです。このように教育をつかさどるべき教育委員会の委員にも立派なスタッフがおられる中、あたかも当てつけのように知事部局において圧力的に教育問題に取り組まれていることに対して、私としては釈然としないものがあります。
知事も御存じのように、地方自治法第 180条の5並びに地方教育行政の組織及び運営に関する法律第2条に、独立行政機関として教育委員会の必置が明記してあります。その趣旨は、教育の政治的中立性と安定性を確保するために、長から独立した教育行政機関として教育委員会が設置されているものと私は理解をしております。つまり、長の政治的権力を教育の場に及ばせないための制度です。したがって、鳥取県のように知事部局で教育行政を取り組むことは、教育の二層構造であり、越権行為ではないかと思うのですが、知事の御所見をお伺いします。
当然知事の性格からして、教育委員会の取り組みには気がせいて歯がゆい感があるかもしれませんが、思いがあるとするならば、これまで以上に教育委員会の委員とも十分意見交換をし、取り組みを展開すればと思うのです。このように知事があえて二層構造的に教育問題に取り組む理由、知事にとって教育委員会の存在についてお伺いします。
次に、きのうの一般質問でも議論になりました学校週5日制について、私なりの思いを含め、あえて質問します。
確かに学校週5日制の発端は、昭和61年4月に臨時教育審議会の答申、学校外の学習の場の整備を進めるなど、家庭や地域の教育力の回復と活性化を図り、教育機能が全体として低下しないよう十分留意しながら、週休2日制に向かう社会を考慮しつつ、子どもの立場を中心に、家庭、学校、地域の役割を改めて見直す観点から、学校の負担の軽減や学校の週5日制への移行について検討するとして始まったものです。
その後、平成4年から月1回、平成7年から月2回、そして平成14年から完全学校週5日制が開始されたわけです。きのう山田議員が言われたように、実に15年の歳月をかけて実施されたわけです。この間、平成8年の中央教育審議会の答申では、過度の受験競争の中で、ゆとりのない子ども達の生活環境と教育力が低下している家庭と地域を特に指摘し、さまざまな条件整備を促しています。
知事の発言は、学校週5日制が教師だけのためのものであるがごとく聞こえますが、実は大きな社会の流れの中で多角的に検討され、実施されてきたものと私は理解をしております。実施段階になってからの知事の発言は、県民にはどうしても重たいものとして伝わるとともに、過去の経過というものが何もなかったかのように伝わり、地域の教育関係者をはじめ学校現場の第一線で努力をされている教師の皆さん、ボランティアの皆さんに混乱を来していることは事実で、こうした発言は意欲的に取り組みを展開している人にとってはその意欲をそぐものになりはしないかと危惧をするものです。
私からすると、これまで議会で何度も申し上げたとおり、学校週5日制が実施されるのがわかっていながら、今日までこどもたちの目線で、学校、家庭、地域とバランスのとれた受け入れ態勢をつくってこなかったことに問題と原因があると思っています。その責任は、教育委員会や教育関係者ばかりでなく、財政を握り行政全般の責任者である知事、あなたにも大きな責任があると思うのでありますが、知事としてその責任の所在について考えをお伺いします。
現に私が議会で提唱し、新たに導入された地域教育主事が配置された町村においては、地域を挙げてさまざまな受け入れ態勢が検討され、学校週5日制の意義が大いに生かされている町村もあります。子ども達や保護者の皆さんにも大変喜ばれております。また、PTA等のシンポジウムにしても学校週5日制の批判は余り聞かれず、むしろ教育関係者からは、少しずつではあるが家庭と地域で教育への関心が高まってきていると理解しており、私はむしろ教育関係者の努力を評価しております。
本来なら平成8年の中教審で指摘されていた家庭と地域のあり方について、もっと行政と教育委員会の総力を挙げて、真剣に早い時期から取り組んでいたら、今日のような混乱は最小限にとどめることができ、グローバルスタンダードに立った学校週5日制に移行できたものと思うと同時に、実行段階に入ってからこの議場でこんな議論をしなければならないことが、一人の政治家としてとても残念であるとともに、子ども達に大変申しわけない気持ちでいっぱいです。
今日の結果を招いたことについて、また、結果的には政治と行政の犠牲をこうむっている子ども達に、知事としてコメントがあればお伺いし、第1回の質問を終わります。
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●知事答弁 |
教育の問題で、昨日来といいますか、その前から教育の問題を議論しているわけですが、御指摘のとおり、来年の1月ですけれども、教育改革フォーラムというのを計画しております。所掌は企画部で段取りをしております。
本来、教育委員会がすべきではないかということですが、一概に教育委員会とは言えないと思います。といいますのは、今回のフォーラムというのは、ねらいは自治体の首長、特に市町村長さん、市町村の議会の皆さん、こういう方々に教育の問題について認識を深めていただきたい。また、いろんな自治体の先駆的取り組みというのがありますから、そういうものを紹介する機会もあると思いますので、その啓発の場にもしていただきたいということで、もちろん教育に関係のあることですけれども、いわゆる狭義の教育行政ではないわけです。学校を運営するとか、教員の採用人事をやるとかそういう意味での教育行政、これは教育委員会の専管事項ですけれども、教育のあり方を考えるとか、自治体の首長が教育にどういう意識で取り組むべきかとか、そういう機会をつくるわけですから、これは知事部局で当然やっていい企画だと思ってやっております。
教育に関する問題は教育委員会以外が口を差し挟むな、文部省以外が口を差し挟むなという意見が教育界にはあるのです。職員組合の皆さんにもそういう考え方を持っている人があると思います。それは私は間違いだと思います。教育行政自体は本当にちゃんと決められた教育委員会でやらなければいけませんけれども、そもそも教育委員会のあり方を考えるとか、教育のあり方を考えるのは万人が考えていいわけです。
特に私とか伊藤議員のような政治で選ばれた者が、教育について保護者の皆さんとか地域でいろんな課題があったときに、それを教育のあり方として論ずる。そして教育委員会にそういう考え方を伝える。そして教育委員会はそういう考え方に基づいて政策を取り上げようとしたときには、それを財政面、その他で応援する。これはまさに政治の仕事だろうと思います。
政治が教育に関心を持たないのはいけないと思います。きのうも御紹介しましたが、市町村長さんの中で、私は教育は全く素人ですからとか、何期もやった町長さんがそういうことを言われるのはやっぱりよくないと思うのです。政治で出てきた首長さんが、もっと教育に関心を持って教育を重視しなければいけないと私は思っております。
例えばこの議場でもよく取り上げられましたが、図書館の問題とか、松田議員などしょっちゅう取り上げておられました。教育委員会との議論をして、何回やっても動かなかったのではありませんでしょうか。それについては、県庁の企画部の方で図書館のあり方を考えるということをやったわけです。それは、私は当時言いましたけれども、いい意味で教育委員会を揺さぶるという意味で知事部局でやったわけです。それがどんどんと教育委員会の方の認識を深めることになって、今はもう教育委員会独自で学校図書館の充実ということは進むようになりました。今さら我々の方であれこれ言う必要はなくなりました。そういうものなのです。それもいけなかったと松田議員も伊藤議員もおっしゃるのでしょうか。私が申し上げておりますのは、そういう意味です。
ということで、二重行政ではないかということですが、二重行政ではありません。例えば知事部局で教員の人事に口を出すとか、学校の配置についてああでもないこうでもないと言うとか、事業について言うとか、指示するとか、決めるとか、これは二重行政になりますけれども、教育のあり方そのものを根本から考える、そういう機会をつくる、それは決して二重行政ではないと私は思います。
さっき例に出しましたけれども、学校図書館の水準が今でいいのだろうか。学校図書館司書が全然いない状況で本当にいいのだろうか。教育委員会はそれを是とされていたわけです。けれども、本当にそれでいいのでしょうかという問題を投げかける。もっと本当に充実しようと思ったら、いろんな手だてがありますよということをこちらからアドバイスをするということは、当然あっていいのではないでしょうか。それは、地方教育行政の組織と管理と運営に関する法律というのがありますけれども、それに決して抵触をしないと私は思います。
教育委員会は中立性をもとにしてできているのだから、政治家が口を差し挟むべきではないとおっしゃったのは、私は間違いだと思います。もし教育に政治家が口を出さないということになったら、それはまさしく官僚制になるのです。官僚に任せっ切りになるのです。そういうことは民主主義では許されないのです。
民主主義というのは、民意を代表して政治を行う、行政を行うということであります。民意を注入するということは当然必要です。ですから、政治的中立性を重んじるからといって、政治家が口を出してはいけないという──口を出すというのは、人事などに口を出してはいけませんけれども、教育のあり方について議論をし、提言をする、意見をするということまでも排除するということではいけないと私は思います。もし政治家が口を出してはいけないというのなら、この議場では教育の問題は議論できないということになるのではないでしょうか。
もう1つ、これはあえて申しますけれども、実は中立性というのは必要であります。政治的中立性、例えば党派制を持ち込んではいけない。例えば自由民主党が多数派だからといって、鳥取県の教育に自由民主党的な教育の問題を持ち込むというのはいけないのです。こういう意味での政治的中立性は私もいけないと思います。ただ、政治家が民意を吸収して、それを注入するというのは、政治的中立性には反しないと私は思います。これは皆さん方もよく御議論いただければと思います。
もっとあえて言いますと、実は教育委員会制度というのは、俗に政治的中立性がもとになってできているといって文部省は解説しておりますけれども、私はそれは少しまやかしがあると思うのです。といいますのは、教育委員会制度ができたのは昭和22年か23年ですけれども、そのときには教育委員は選挙で選んだのです。選挙で選ばれた人が構成する委員会であったのです。選挙で選ばれた人が政治的中立性であるわけがないのです。選挙ですから党派制がもとになってできている制度です。
中立性とは何ぞやといいますと、もともとこれはアメリカの制度を持ってきたわけでありますけど、アメリカでも選挙で選んでおります。民主党と共和党の間で大体出てきます。アメリカの場合には、政治的中立性ではなくて宗教的中立性だったのです。いろんな宗教があって、地球は平らだとか進化論はうそだとかいろんな宗教がありますから、その宗教的党派性というのでしょうか、それから免れるために中立にして、複数の委員によって合議制で決めるということにしたのです。
ですから、日本も政治的中立性をもとにしてできた制度ではないということは認識しておいていただきたいと思います。けれども、さっき言いましたように、個別の政治的な利害とかそういうことを入れるべきではないというのは、私も賛成です。
学校週5日制について混乱したのではないかということとか、そもそも学校週5日制というのはいろんな観点があったはずだと。きのうも藤縄議員がグローバルスタンダードとか世界の情勢だとか、ライフスタイルの変化とか、世間が週休2日制になったからとか、学校の負担を軽減してもっと地域や社会で役割を分担してもらおうとか、そういうことがあったはずだとおっしゃいましだが、私も全く賛成なのです。最初からそういう説明されれば、そんなに異論、違和感はなかったと思うのです。
当時はそうではなくて、そういうことを多少は言われていたのかもしれませんけれども、この議場でもそうですし、文部省が言われていたのは、子ども達のためなのです、子供たちを学校から開放するのです、そして地域に戻してあげて地域で生きていく力を身につけてもらうのですというのが、学校週5日制というものを導入するときのうたい文句だったのです。ですから、私はそれは違うのではないですかと。私より前に斉木議員が、それは違うのではないですか、子ども達のためにならないケースがありますよというのは、そういうことだったのです。今皆さん冷静になっておられて、いろいろ多角的・多面的な目的、趣旨があったはずだというのは、そのとおりなのです。私もそれは全く否定しません。最初からそういうことを言って始めればよかったのだろうと私は思います。
ということは、必ずしも子ども達のためにならないケースがあるのです。それはグローバルスタンダードかもしれませんし、週休2日制かもしれませんし、とにかく学校を土曜日を休みにするということは、学力の低下につながるおそれもあるかもしれない。学校行事が少し捨象される事があるかもしれない。授業時間がどうしても減りますから、受験シフトのきつい体制の中では芸術科目にしわ寄せが及ぶかもしれない。そういうことがあるから、みんなでそれをカバーすべく努力をしましょうねと言って始めれば、随分違ったのだろうと私は思います。
ところが、そういういろんな指摘をする人がいる中で、文科省も当時の県の教育委員会も、いや子ども達のためにやるのだから問題はないのですということを言い合って、議論が全然かみ合っていなかったのです。その辺にこの問題の出だしにおけるちょっとしたボタンのかけ違えがあったのではないか。もっと最初から素直に、やはり週休2日にしましょうと。
先生は週休2日にするけれども、子供たちは週6日にする手だても実はあったのです。例えば病院などはそうです。週休2日制にしたけれども、土曜日に患者さんが来て困りますということにはしていないのです。体制をちょっと充実させて、職員は週休2日だけれども、クライアントに対しては、顧客に対してはちゃんと土曜日もあけておくということも可能だったのですが、それは恐らく財政事情で国の方ができないということがあったのだろうと思います。文科省はそういうことを正直に言われたらよかったのだろうと私は思うのです。それを言わないで、本当に子ども達のためになるからやるのだといって押し切ったところに、この問題がちょっと複雑になったことがあるのだろうと思います。
私は、今あえて週5日制が悪いのだ悪いのだと言っているわけではないのです。当時、斉木議員との議論のときに私が言ったことが今また、この間の行政懇談会でも、あんなことを言われたら困るといって過去のことが出てきたので、また再燃して起こっているわけで、別に今の教育委員会を批判しているわけではないのです。そのことは誤解のないようにしていただきたいと思います。
かつてそういう知事発言があったから、現場の教員は混乱しているではないかと。確かにそういう面はあったと思います。けれども、当時のことを振り返りますと、文部科学省も教育委員会も学校も多分そうだと思いますけれども、異口同音に子ども達のためだということで地域を説得しようとされたのだと思うのです。でも、それが必ずしも説得力はなかったと私は思います。ですから、地域は困惑していたのです。保護者は困惑していたのです。本当に子ども達のためになるのだろうかと困惑していたのです。
その困惑を取り除くためには、やはり本当のことを言いましょうということが必要だったのではないかと私は思うのです。そのことが教員の皆さんの間に混乱をしたというのは確かだろうと思います。困惑を取り除いて混乱が生じたのかもしれませんけれども、とにかく素直に正直に本当のことを言うということが必要だと私は思いますし、教育には特にそれが必要だということを強調したかったわけです。
今日、いろいろ問題があると。それは伊藤議員も御認識の上で、こうなったのはだれの責任か、政治の責任ではないかということでありますが、私はそんなにさっきのように思い詰められなくてもいいと思います。
といいますのは、もともと6日でやっていたものを5日に押し込めるわけですから、いろいろ弊害が生じるのは当たり前なのです。全く弊害がないようにできるはずがないのです。多少の弊害があるということは容認しないといけないと思います。ですけれども、我々はその弊害というもの、マイナス面というものをできるだけ解消しましょう、できるだけ少なくしましょうという努力をすべきだと思うのです。それはみんなでしていると思います。例えば30人学級を導入した。不登校の子ども達のためにもっと手厚く親身になれるような教員の増員もした。いろんなことをしています。市町村でもされているところが多いです。そういう努力をしているということでいいのではないかと私は思います。
ただ、もっと努力をする余地があるかもしれない。その1つの方策として、例えば特区制度というのができたので、もし当該市町村で合意が形成されれば、その特区制度を活用して、部分的にでも、月に1回でも2回でも週6日制に戻すという手だてもあるのではないか。もしそういう合意ができるところがあったら、県としても私としても応援をしたいですよというのが今の現状であります。
教育委員会を飛び越えて、県全体みんな週6日制にしようなどと号令をかけているわけではないのです。私は、県教育委員会の基本的な教育行政としては週5日制でいいと思います。けれども、市町村のどこかで、うちのところは努力をして週6日制にしたいというところがあったら、それを応援してあげるというのは、この分権時代にはいいのではないかということであります。
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<知事と教育委員会の関係について>bQ |
教育問題についていろいろありましたが、私はもともと声も大きいですけれども、力が入りましたのは、実行段階に入ってこんな議論を今しなければならないというのが私自身は情けないのです。本来、当然予測されていた事項なのです。どうやって家庭の教育力をつけるのか、地域の教育力をつけるのか。当然実行されるまでにもっともっと議論をしてほしかったし、知事からもそういう思いがあるとするならば、もっと議員にボールを投げてほしかった。そういう思いから私は今質問をいたしたわけです。
先ほど学校図書館の問題を出されましたけれども、教育委員会は学校図書館に対しては前向きな姿勢であったのです。ただ、財政がつけなかっただけなのです。そうですよ。(笑声)だから、知事になってから、知事が思いがあるから財政がすっとつくのです。それがこれまでの行政なのです。
それと、教育問題、関係者の皆さんが一生懸命本当に積み上げてやっている中で、知事が県の教育委員会を越えたオーバーラップした発言、そういう一生懸命やっている人に水をかけるような発言をされましたから、やはり現場の関係者の皆さんはすごく戸惑ったのです。そういうことをきちんと認識をしていただきたいし、確かに教育問題を教育委員会のみならず大いに議論することは私も結構だと思っていますし、私もこの議場でやってまいりました。しかし、カリスマ性の極めて強い知事の発言というのは、県民の皆さんには本当に絶大なる信頼も得られた発言であります。事のよしあしにつけ、いろんな分野に大きな影響を及ぼしているということなのです。
教育の政治的中立を保つ観点から、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第24条で、長の職務権限として、教育財産を取得し及び処分すること、教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと、教育委員会の所掌に係る事項に関する予算執行をすることなどと、教育に対して長の権限が及ぶことを極めて厳しく制限をいたしています。こうした法令では知事の役割を制限されておりますけれども知事はどのように理解しておられるのか、再度お伺いします。 また、こうした観点から、その整合性を含めて、私自身、教育委員会部局をもっと信頼して鳥取県教育をもう少し任せてもいいかなと思うのですけれども、知事はどう思っておられるのか、お伺いします。
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●知事答弁 |
教育問題ですが、執行段階でこんな議論といいますが、週5日制はまやかしだったとかといって、あえて私の方から挑戦的な話をしているわけではないのです。今は、週5日制をやってみて結構いろいろ問題が出てきているわけです。それは皆さん方もお聞きになっていると思います。山田議員も昨日そうおっしゃっておられましたけれども。ですから、その出てきている問題とか週5日制に伴って生じた短所というものをいかに少なくしていくかということをみんなで議論して、実施していかなければいけないわけです。そのためにいろいろ市町村でも取り組んでいるし、県でも予算化をしております。
そういう中で、一つの選択肢として特区制度というのができたのだから、例えばどこかの町村で合意が形成されて、週5日制の短所を取り除くために週6日制を部分的にでも導入したいというところが出てきたら、それを応援しますよというのが今の段階の議論なのです。今、週5日制がおかしい、まやかしであったという議論を私の方からしているわけではないのです。特区というものもありますよ、だから選択肢に入れられたらどうですかということなのです。
その際にそう申しましたら、先般の行政懇談会で鳥取市の教育長さんから、知事がかつてやった発言は迷惑だ。せっかく地域がおさまりそうだったのに、知事がああいう発言をされたから、やっぱり知事さんだってこう言っているではないかといって勢いが出たから迷惑だという話が出て、今回のこういう藤縄質問とか山田質問に実はなってきたわけです。ですから、今の段階で私があえてまた過去のことを言っているわけではないのです。その辺の事情は御理解をしていただきたいと思います。
きのうもありましたけれども、教育委員会と知事との間で対立があって困るというような趣旨がありましたけれども、いかがですか、皆さん聞いて対立がありますか。私は、教育委員会と私の間に対立があるとは思わないのですけれども。これは藤井教育長に聞いてもらっても結構ですけれども。
例えば特区制度がありますよ、もし市町村で出てきたら応援しますよと言っているときに、教育委員会も否定していないでしょう。私が例えば教育委員会に全部週6日制にしなさいなどと言うと大きな対立になると思いますけれども、そうではないのです。そんなに大きな対立はないと私は思います。異論反論は多少あるかもしれませんけれども、そんなに大きな対立はないと私は思っております。これからも教育長も含めて教育委員の皆さんとよく連携をとりながら、鳥取県の教育環境の整備を進めていきたいと思っているところです。
知事の権限はどうかというのは、むしろ教育委員会の権限の方をよく吟味した方がいいと思うのです。教育委員会の専権事項というものがあります。これは地方自治法にも書いてありますし、詳しくは地方教育行政の組織及び運営に関する法律にも書いてありますけれども、教育委員会の権限を侵してはいけない、これは当然です。それは例えば学校その他の教育機関の管理ですとか、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取り扱いとか、学校職員の人事を含めた身分取り扱いとか、そんなことは教育委員会の専権事項ですから、これを私も県議会議員の皆さんも侵してはいけない。人事についてもそうなのですけれども、圧力をかけるとかそういうことを私も県議会議員の皆さんもしてはいけない。そういうことは絶対に守らなければいけませんけれども、教育のあり方を考えるというのは、地方行政一般の問題として、政治の問題として当然取り扱うべき問題だと私は思います。
もっと教育委員会を信頼して教育を任せてはどうかということでありますが、私は決して信頼していないわけではないのです。今の教育委員会は信頼しています。例えば一時期のように、何を言っても硬直的な答えしか出てこないというのは、やっぱり多少信頼性に欠ける面があったかもしれませんけれども、今は私は本当によく信頼しています。ですから、教育委員会からいろんな提言をしてもらいたいし、遠慮なく予算要求もしてもらいたいし、教育行政の中身、さっき言いました学校の組織編制とか人事とか、そういう面については一切口出しをしていないのは信頼しているからです。
ただし、根っこのところ、例えば多くは文部科学省の問題に属するのでありますけれども、今の文部科学省を中心にした言うなれば中央集権的な仕組みがやっぱりありますから、そういうものについてぜひ変えたいというのは、私は私として主張しております。ただし、それは別にうちの教育委員会が悪いとか、うちの教育委員会を信頼していないとか、うちの教育委員会だけが悪いということを言っているわけではないのです。それは国全体に通じるシステムの問題として改善をするように要求したりしますけれども、それとこれとは別だということは御理解をいただきたいと思います。
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知事から要望がありましたように、藤井教育長にお伺いしたいと思います。
今、知事と私といろんな議論をやってまいりました。関係は大変よいという知事の思いのようでありますけれども、教育長の立場からすると、大変つらい立場にあると思っております。
このたびの特区の問題が教育委員会から出たものであれば、私は別に違和感はないと思います。教育委員会の教育長もそんなに思いもない中に、多分知事から出た発言だと思うのです。そして、週5日制にしても知事から発言が続いたわけでありますけれども、それは事前相談があって発言されたわけではないと思うのです。ですから、そういう発言が相次ぐということに対して、教育長としてどう思っておられるのか、知事も遠慮なく言っていいということですので、素直な感想を忌憚なくお聞かせ願いたいと思います。
特区の話もありますけれども、やはり問題なのは、子ども達の受け入れ態勢をどう確立して、中身をどうするかということであると思います。確かに完全週休2日制ということは教育の一大改革でもありますし、初めから十分な体制をとるということは困難であると私も思っております。幸い家庭においても地域においても、かなり関心が高まってきていると私は見ておりますし、教育長の姿勢でこれから体制づくりがまだまだ十分間に合うと思っております。教育長として、これまでの学校週5日制の取り組みについてどう総括をし、そして、これからどう取り組んでいかれるのか、思いをお聞かせいただいたらと思います。
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●藤井教育長答弁 |
最初に、特区の関係ですけれども、きのうも申し上げたように、私自身は今、学校週5日制を直ちに週6日制にというような考えは持っておりません。また、県立学校等については今当然考えておりませんが、私がきのう申し上げたのは、西伯町の方からそういう声があり、検討したいということがあれば、それはやっぱり県の教育委員会としても耳を傾ける必要があるということです。
また、知事の発言等について素直に話せということでありますが、私自身、教育長に就任してから、例えば行政懇談会というのはこれまで4回経験しました。最初は、教育についてテーマで出しても余り意見が出なかったというものです。だんだんと市町村長の発言もふえてきまして、これは知事の発言もかなり影響しているのだろうとは思いますが、前回の行政懇談会では非常に活発な意見が出ておりました。一部戸惑いがあるというような市町村の発言もありましたけれども、意見交換により、すべて理解されたかどうかわかりませんが、ある程度の理解は深まっていったのではないかなということを私自身出席していて思っております。
また、私自身は、知事の発言について全く戸惑いを感じないということはありませんけれども、少し失礼な言い方になりますけれども、自分なりに考えてお聞きするようにしております。例えば保護者としての発言と言われれば、やっぱり発言の場面によって素直にそういうぐあいに受けとめて、検討させていただければいいのではないかなと思っております。
また、知事部局でいろんな取り組みがなされますけれども、さっき知事の方から図書館の話がありました。確かに企画部で「心のふれあう感動の図書館」という小学校の図書館の事業をやっておられます。これは2年前から取り組んでおられまして、私、去年参ったときに、何でこれは知事部局でやっているのだろうかなということを思いました。もしかしたら当時教育委員会で十分な説明ができていない部分もあったのかなと思っておりまして、決して教育委員会が読書活動をおろそかにしているわけではなくて一生懸命取り組んでいるということをお話しして、その点は理解を得たように思っております。学校の図書館の取り組みには教育委員会は非常に力を入れておりますので、やっぱりその都度必要なことは言っていきたいという姿勢で取り組んでおります。
また、学校週5日制については、きのうもお答えさせていただきましたけれども、伊藤議員がおっしゃったようないろんな経緯で学校週5日制の取り組みが始まっております。ただ、伊藤議員が最初の質問で、努力が不足していた部分があるのではないかというようなお話がありましたが、やはり地域の受け皿づくりが十分と言えない面もあったのではないか、そういう中でスタートしたのではないかという指摘には率直にそう思っておりまして、今現在はスタートして2年目でありますので、その定着に向けていかにすればよいか、取り組みを進めていかなければならないという時期でありまして、市町村教育委員会や学校現場と一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
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<知事と教育委員会の関係について>bS |
知事、今教育長のお話がありましたけれども、これまで知事の発言の中でいろんな部分が新聞に出されたりなどして、皆さん関心が高いから、刺激を与えることで関心も非常に高くなっていいのですけれども、私が外から見ていても、県の教育委員会と知事とはやっぱり何かずれているなと。本当は元は一緒かもしれませんけれども、ずれているなという感覚があるのです。そういう部分が教育関係者に大きな不安を与えるというのは事実だろうと思っております。
教育委員会に刺激を与える意味で知事が少々揺さぶりをかけるということはいいことでしょうけれども、余り揺さぶりをかけ過ぎると、先ほど言いましたように、教育関係者は意欲を失い、教育委員会が倒れてしまうのではないかと心配するのです。つまり虫を落とすため木を揺するのはいいですけれども、余り揺すり過ぎると、せっかくなった実が落ちてしまいはしないかと心配するところです。ぜひともこういう点に留意していただいて、ある程度の刺激はいいでしょうけれども、本当で教育委員会と知事部局のその辺の基本的認識はどうなのか。また教育関係者が自信をなくすというか、やる気をなくすような発言、そういうものに対しては配慮をしていただきたいということをお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
知事、もしコメントがあればお伺いします。
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●知事答弁 |
知事と教育委員会が一体でないような印象を受けるとおっしゃることですが、完全に一体化することはないと私は思いますし、また完全に一体化したらおかしいと思います。私は教育委員会のメンバーではありませんから、多少の差はありますし、視点の違いというものもあります。けれども、学校現場は教育委員会の管轄の中ですから、教育委員会の指示とか教育委員会の言うことで動かれたらいいと思います。私が直接指揮したり指示したりすることはありません。
今回、問題になりましたのは、要するに特区制度というものを検討しようとするところがあって、それが合意形成されたら県としても取り上げたいと言ったところに多分端を発したのだろうと思いますけれども、それはぜひ冷静に受けとめていただきたい。西伯町が例えば特区を申請したいと言ったら、それは西伯町の権利であります。他のところが違うことをするな、申請するなと言うことはいけないのだと私は思うのです。そんなに県全体をがらっと変えようというわけではなくて、西伯町がもし実現すれば、一つの試みをしようとするだけですから、その程度の問題だと受けとめられたらいいのではないかと思います。
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