平成15年6月定例会一般質問(平成15年6月20日)No.1

<知事の基本姿勢について>

事前に通告しておりますとおり、5点の課題につきまして、片山知事なり藤井教育長にお伺いをいたしたいと思います。。
 我が国の経済、まさに深刻な状況に陥ってしまいました。私も県議会に送っていただいた直後から、構造改革の先送り、硬直化したシステムの見直しが先送りされる中で、今日の混迷した社会情勢に至ることを危惧するとともに、綱渡り的な国の交付税会計のありようの中で、県の中期財政見通しの早期作成や地方財政の危機を再三にわたり喚起し、知事と議論をしてまいりました。
 そうした中、改革を歌い文句に高い支持率で誕生した小泉政権。与党内に抵抗勢力という仮想の野党をつくり、多くの国民に期待と夢を抱かせて2年余り。しかしながら、国民に多くの痛みを押しつける一方で、改革の先にどんな社会を、どんな日本をつくり上げるのか、いまだにその絵どころか、デッサンさえ見えないのです。
  しかも、支持率が下がりかければ、外交などで国民の支持率アップをねらってきました。このたびの三位一体の改革についても、地方分権改革推進会議において税源移譲が先送りされる中、片山知事のかみつきにより、塩川財務大臣の7割税源移譲発言、そうした中、経済財政諮問会議において小泉総理が仲裁するというような形の中で8割の税源移譲をし、結局は地方分権改革推進会議の存在はなく、小泉総理の存在だけが目立ち、下がりかけた支持率を上げるシナリオがまたまた見えてくるのです。
 片山知事の言葉をかりるならば、この小泉政権こそ、まさに学芸会であると私は思います。国民は、相も変わらず、ただ観客席で小泉総理のパフォーマンスに一喜一憂しているのです。
 今議会の冒頭に、片山知事が地方分権改革推進会議の運営を厳しく批判し、全国的な議論を呼びましたが、私は、片山知事の批判は当然とし、場外乱闘という選択肢を支持をいたします。
 昨年の地方制度調査会の西尾私案にしてもしかり、第三者機関を設置し、まことしやかに開かれた議論がなされたかのような形だけはとられているものの、明らかに意図的に操られたきな臭い駆け引きが見え隠れすることが気になっているのは私だけでありましょうか。
 片山知事、あなたは見た目はきゃしゃな体ですが、本当にけんか上手でありますね。いつも人の心を引きつけるけんか、問題提起には本当に感心します。レスリングでも、アマチュアレスリングでは攻めていてもポイントがわかりづらい部分がありますが、その点、プロレスは場外乱闘もあり、見ていてもおもしろく、観客の多くはこの場外乱闘に心を引きつけられています。
 先送りされそうになった税源移譲を短期間の場外乱闘で勝利された片山知事の談話は、県議会議員であれども、マスコミを介してだけしか知る余地がありません。いま一度県議会の場において、場外乱闘の総括並びに残る課題について知事の御所見をお伺いいたします。
 このたびの一件、6月9日にみずからけんかを吹っかけて、13日には結論も出ていないのに終息宣言。確かに言葉足らずで誤解を招いた部分も多くあるでしょうが、県民に対してのけじめはまだついていないように思います。知事の発言で一部の都会の人から我が県の農産物の不買発言まで飛び出し、出荷の最盛期を目前としたスイカ農家にとっては、私もそうですが、価格と消費が伸び悩む中、事の成り行きが心配の種でした。やはりけんかを売った張本人としては、せめて不安を抱かせた県民に対して説明責任を果たす等、けじめをつけるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。

●知事答弁

このたびの地方分権改革推進会議の意見書が作成されるまでの過程の件で、一度総括をということですが、私、ここでもうかなり申し上げたつもりです。地方分権改革推進会議の不公正なやり方についても幾たびとなく繰り返しましたし、その座長といいますか議長を務めておられます西室さんが不公正な運営をしたことは、批判されてしかるべきということも申し上げました。
 その不公正な結果、万が一総理が、例えばいい案ができたねといって、それをそのまま閣議決定に持ち込むということになっていたら、とんでもない結果になっていた。これは鳥取県だけではなくて、ほとんどの地方団体の財政運営ができなくなるようなそういう代物であった、そういう危険性があったということ。それに対しては、やはりきちっと物を言わなければいけないということで、私も発言をしたわけです。
 全協で発言しまして、その週の金曜日の13日に、一応その種の検討はしないということで、事実上終息宣言をしたわけですけれども、それも実はその前の日だったでしょうか、伊藤議員の質問のときに、追及の際にそれらしいことは申し上げていたのですけれども、もう一回明確に記者会見をしたわけです。
 それは、不公正な手続で生じた意見書が事実上没になったということ。それから、一番言いたかった地方分権改革推進会議の議事運営というものが非常に不公正で、不透明であって、そういう不公正で不透明な手続から出てきた意見書は、まがいものですよということがあの週のいろんな報道で明るみになったということ。これは目的でありますので。もう1つは、一部の新聞で誤報があって、そういう誤解が拡大してもいけないので、早目に終息ということにしたわけです。
 その結果ですが、効果といいますか、副作用も含めた効果というのはなかなか測定できませんけれども、昨日の新聞などを見て推測もすれば、やはり総理の裁定というもの、三位一体改革の現時点での結論に対して、ある程度の影響があったのかなという気持ちは持っております。
 ただ、先ほど藤縄議員の御質問にもありましたように、やはり副作用がどうしてもあります。これは、非常に厳しい対立をする中で、一方から意見を言うわけですから、どうしても、もともとが対立の構造の中で出てきたものですので、反対の方からは不快感があるはずです。
 今回、特に西室さんが代表を務めている企業のことにも言及したものですから、その関係でも当然副作用はあっただろうと思います。
 その結果、これも先ほどお話しにありましたように、本県の観光ですとか、農産物ですとか、そういうことに対してメールで若干の攻撃的な反感というものがあったということ。これは私は、関係の皆さんにはやはり戸惑いとか不安を与えてしまったと思います。その点については、ぜひ御容赦をいただきたいと思うのです。
 こういう副作用を全く皆無にするということは、やはりどうしても無理です。ですから、なるべくこの種の副作用は小さく、少なくしたいと思いますけれども、結果として一部の皆さんに戸惑いと不安を与えたということについては御理解をいただきたいし、また御容赦を願いたいと思っております。
 三位一体改革の議論の結果、現時点において税財源の移譲というものが一応のスキームが示されたわけです。それは、いわゆる義務的な経費、これの範疇もよくわかっておりませんけれども、例えば典型的なのは義務教育の県費負担教職員の国庫負担金などだろうと思います。これなどは10割を税源移譲する、その他については8割をめどということです。
  その8割程度というのが、伊藤議員から見ると不安だということは、これも気持ちはよくわかります。ただ、今回の三位一体改革のときに、現在の補助金というものが丸々地方に税源として移譲するということでありましたら、国庫当局、国の財政当局は絶対乗ってこないと思います。
 我々が指摘しておりましたのは、補助金を使って仕事をするというのは、補助金をもらうことは大変ありがたいのだけれども、補助金は使い勝手が悪いとか、いろんな基準があって、ついついむだな部分も含まれてしまう。したがって、自主的に有効に金を使おうと思ったら、補助金という形態ではなくて、税という形態、または地方交付税という形態、要するに一般財源として金を使った方がより有効に使える、すなわちむだがなくなりますよということを主張していたわけであります。したがって、すべてのものについて10割移譲していただくと一番いいので、理想的かもしれませんけれども、しかし、そうなると若干の論理矛盾を生じます。むだがあるから、むだのないようにしたいということですから、むだがない仕組みとして、税源として、また交付税として移譲されれば、ある程度スリムになるということ、これは当然のことだろうと思うのです。またスリムにしなければいけないと思います。
 それが何割かというのはわかりません。わかりませんけれども、今回一応8割程度というめどをつけられたのは、一つの割り切りだろうと思います。
 では、8割になるのかというと、いろいろな見方がありますけれども、私などが気がつきますのは、例えば道路事業などで──道路は今回の対象になるかどうかわかりませんけれども、仮になったとした場合に、国の補助基準がありますから、補助基準に採択されようと思ったら、ある程度の事業費の額がそろわなければいけない。小さいものだったら補助対象にならないというケースがやっぱりあります。そうすると、ちょっと無理をして大規模な事業に仕立てて補助金をもらって施行するということがないわけではないと思います。それが補助金ではなくて一般財源であれば、小さくても補助対象になるかならないかなどということがありませんから、一番必要最小限、最も有効な事業として実施できるということがあります。
 最近、滋賀県の豊郷小学校のことでよく言われましたけれども、学校が老朽化したときにどうやって直すかということですが、例えば修繕、改築というのもありますし、建てかえというのもあります。正直言って、今建てかえの方が有利なのです。今の現行の補助、その他の制度では。そうすると、例えば幾つかの例だと、本当は修繕で済むのだけれども、この際有利だから建てかえてしまおうということがないわけではない。これが一般財源になれば、一番合理的な選択をしますから、建てかえがどうしても必要なら建てかえをしますけれども、建てかえでなくても修繕で済むということであったら、必要最小限の修繕にされると思います。そんなことを考えれば、ある程度のスリム化は当然可能であります。
 加えて、国の方も今大変な財政状況であります。地方もそうですけれども。ですから、我々さえよければというわけにはいかない。したがって、我々もこれをきっかけに、自主的に使える財源がふえるということですから、できる限りスリム化をする。他の分野でもスリム化をするということは当然求められるし、我々自身の自助努力もしなければいけないだろうと思っております。そんなことも含めて、8割というのはまずまずの線ではないかと私は思っております。
 ちなみに、私と宮城県の浅野知事と岩手県の増田知事と和歌山県の木村知事と4人が、5月29日に総理官邸で小泉総理にお会いしましたけれども、そのときに実は申し上げたのが、こういう案なのであります。義務教育の教職員の国庫負担金などは全額でもらわないと困りますと。地方分権で財政改革をしたら途端に教員の給料が下がりますというのは、とても説明できません。ですから全額もらわなければいけません。ただし、今申し上げたような、例えを2つぐらい申し上げましたけれども、こういう分野だったら8割程度には圧縮可能かもしれないということを総理に申し上げたのです。
 結果的には、その申し上げたことがほぼ今回の三位一体改革の経済財政諮問会議における結論になっておりますので、私はそういう意味で大変評価をしているというコメントを出したわけであります。 

<知事の基本姿勢について>bQ
先ほど知事の方からおわびといいますか、副作用の部分の発言があったわけですけれども、先ほど藤縄議員への答弁を聞いておりますと、主張を通すなら、地域を守るためなら何を言っても許されるというふうに若干聞こえますし、知事の思いといいますか、趣旨といいますか、それにはやっぱり多くの皆さんが拍手を送っていると私は思っております。ただ、東芝を否定するような発言はやはり取り消すべきだなと。私自身も取り消してほしいという思いを持っておりますが、知事、いかがでしょうか。
●知事答弁
  先ほど藤縄議員にも御答弁申し上げましたし、伊藤議員にも御答弁申し上げたのですが、何か1つの目的があったら、少々副作用があっても何を言ってもいいのだというつもりではないのです。ある目的のためには何か発言したり行動を起こしますと、どうしても副作用が生じる。そこのところはやはりやむを得ない面があるということを御理解いただきたいと申し上げたわけで、副作用がどんどん出ても、トップは何を言ってもいいのだというわけではありません。もし副作用の方が大きければ、そんなことはしない方がいいということです。多少の副作用は、やっぱりしようがない面があるということを申し上げたのです。 
 全く副作用がないようにしようと思ったら、何も言わない方がいい。先ほど言いましたけれども、本当に沈香も焚かず屁もひらず、存在感が何もないということになってしまうのです。それはやはり政治としてはよくないと思います。多少の副作用があっても、大儀のためにあえて行動を起こすということは必要なケースがあります。ただ、そのことで副作用をこうむる人もいることは事実ですから、そのことはよく認識しなければいけないと私も思いますし、必要最小限にしなければいけないと思います。配慮も必要だろうと思います。そういうことです。
 東芝問題に言及したことは、やっぱりよくないのではないかと伊藤議員はおっしゃられますけれども、一部の新聞に「不買決定」と出ましたけれども、それはやっぱりよくないのです。というのは、私が西室さんに求めたのは、公正な手続をしてください、フェアな手続をしてくださいということを求めたわけで、そう言っている本人が自治法の物資調達のルールを曲げて、不公正な入札を行うということではだめなわけでして、ですから、物資調達は公正なルールに従わなければいけない。ですから、不買決定とかというのは間違いなのです。誤報でした。
 ただ、私が申し上げたかったのは、企業なり団体などのトップの人が、社業とは関係ないところでもありますけれども、それでも不公正なことが横行している、アンフェアなことを堂々とやられているというときに、その方が属する企業に対して好印象を持てますかということになると、やっぱり持てないのです。例えばトップの人がセクハラをしたというときに、その企業に対して悪いイメージを持つということはよくあることです。同じように、トップが不公正なことをしている。アンフェアなことをしている。不透明である。そういうときに、やはり企業に対して好感を持てなくなってしまうということはあるのです。ですから、東芝のことをあえて引き合いに出したのは、いい企業ですから、東芝のイメージをよくするためにも、やはり西室さんにはぜひ公正でフェアなそういう議事運営をしていただきたいということです。