<知事の発言の真意について> |
記者会見における知事の発言について真意をただすとともに、そのもくろみについてお伺いしたいと思います。
その前に、誤解が生じてはいけませんので申し上げておきますが、このステージは県議会であることを私自身も認識しており、具体的な事項は労使の当事者間に任せ、9月県議会の第2ラウンドとして片山知事にもろもろの基本的認識について再度お伺いしたいと思います。
私は、9月の県議会において、職員団体、つまり労働組合に対する知事の認識について質問をし、議論をさせていただきました。知事は、労働組合の存在については認めながらも、結果的には法令解釈において隔たりがあることがわかりました。法例解釈においては、お互いが都合のよい方に解釈するわけですから、いた仕方ないと思います。ただ、気をつけなければならないのは、先回も申し上げましたが、憲法第9条のように解釈も仕方によっては時代の流れとともに拡大化され、自衛隊でもイラクへ派遣されるわけですから、どちらかといえば時の権力者に都合よく解釈されがちであると思うのです。
それでは、具体的な質問に入ります。
第1点目に、ニューディール政策の検証をぜひしてみたいということでしたが、具体的には政策立案側並びに財源の出資者側の検証を、いつ頃を目途に、どんな形でなされるのか、お伺いします。
第2点目に、議会答弁の中ではニューディール政策を継続されたいというような答弁であったかと思いますが、議会後の記者会見の中では、ニューディール政策継続という表現が消え、財政再建というか財政健全化維持のための発言が主流になったと思いますが、三位一体の改革の流れの中で政策のシフト移行をされたのか、お伺いします。
第3点目として、これまで地域の民間給与は公務員の給与が参考とされ、決定されてきた経過もあり、地域における給与の牽引的な役割を果たし、都市と地方の格差を縮小し、地域経済の発展に影響を与えてきたことは否めない事実であり、ひいては県民生活の向上、県税収入の増収に結びついてまいりました。
私も、議会で再三にわたり、将来の財政状況を危惧する中で、交付税や臨時財政対策債について知事とも議論をしてまいりましたが、結果的には今日の財政状況をつくり上げた政治の責任、政治家の責任は総括されることなく、改革と称しては現状を脱却するだけの公共事業縮減や生活給の削減、増税だけでよいのか。地方の発展と社会的な充実が図れるものかと疑問を感じるところであります。結局、その責任を国民や県民に転嫁するだけで、大きな矛盾だけを感じるところでます。知事の感想をお聞かせください。
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●知事答弁 |
私の発言の真意について、発言の真意ともくろみは何かということですが、最初に伊藤議員が法令解釈について言及されましたが、法令というのはそれぞれが都合のいいように解釈するものだから、解釈に懸隔があってもしようがないということですが、そうではないと私は思うのです。法令はやっぱり条文に従って忠実に解釈をしなければいけない。したがって、ちゃんとした法令であれば、解釈にそんなに幅があることはないのです。ただ、法令自体に欠陥があるとか、その後の社会情勢の変化によって想定しないような事態が起こった場合に、法令の解釈には幅があるということですから、解釈にある程度の幅があるというのは否めないことだろうと思いますが、それにしても、その場合でも、それぞれが得手勝手な解釈をしていいというものではないわけで、やはりできるだけ条文と条文ができ上がった経緯とか背景というものもにらみながら、客観・公正な判断をしなければいけないだろうと思います。
それでも解釈に相違があれば、それは大いに議論をしたらいいと思います。先般も私と伊藤議員の間で地方公務員法ですとか地方公営企業関係の労働関係の法律について議論しまして、私なりの私が考える法令の意味について申し上げたところです。それについてさらに異論があれば、こういう場でも結構ですし、大いに議論を深めていったらいいと思います。最終的には我が国は、法令の解釈の違いは司法の場で決着をつけようということになっているのですから、いずれにしても、解釈は収れんすることになっております。
さらに、それでもなおかつ条文に欠陥がある、まだ大きな解釈の余地を残すということであれば、これは立法的に解決をするということになるのだろうと思いますので、私の解釈に異論、疑念があれば、ぜひ大いにオープンに議論をさせていただければと思っております。
ニューディール政策の検討について、どういう手順で、いつするのかということですが、これについては具体的に総務部長の方から御答弁を申し上げます。
そのことに関連して、私が前回の議会で興治議員とのやりとりのときに、30人学級の継続について御答弁申し上げたことの真意ということですが、9月議会で興治議員からだったと思いますが、30人学級を継続するのかという存続についての考え方を問われましたので、これはいずれ予算とか定数とかという話になりますから、正式にはそういう手続を経てということになりますが、私の考え方としては、現在続けております30人学級を中心とする少人数学級は大変効果があると思っておりますので、ぜひ継続したいという意味のことを答弁したわけです。
その際、いわゆる30人学級というのは、本県ではニューディール政策という政策の一環として行われておりますので、それは30人学級というだけではなく、他の雇用創出策ともセットでといいますか、全体としてこれを継続したい、こういう意味でニューディール政策を継続したいという話を申し上げたわけです。ただ、よくよく考えてみますと、ニューディール政策というのは雇用創出という面と、同時に職員給与のカットという財源の捻出の仕組みもニューディールの中に入っているわけで、したがって、私は雇用創出の方を続けたいということに専ら力点を置いて申し上げたのですが、用語の使い方として若干誤解を生じるようなことがあったのは確かだろうと思います。あくまでも私の真意は雇用創出をできる限り続けたいということです。
一方、財政の問題になりますと、皆さんご承知のように、本当に火の車状態でして、それが本県の努力とはまた別の次元で、年々地方財政の枠組みが悪化してきているところで、もう既に3年前の地方財政のスキームと比べても、今日、また来年度予想される事態を見ても、相当悪化をしてきているわけで、そのことから、正直に申し上げますと、前回は5%カットしたものを、できる限り雇用創出増の財源に充てたいということで、一つの政策パッケージとしてニューディール政策を始めましたけれども、今日になってみますと、そのカットしたものを全部雇用創出に充てる余裕といいますか、財政的な余裕もなくなっているということが1つございます。
別の言い方をすれば、3年前から続けているニューディール政策、雇用増を続けようと思うと、その背景として県の財政自体のさらなるスリム化、改革が必要だということがあるわけで、したがいまして、次の3年間というのは給与カットをぜひさせていただきたいということ。ただし、それは前回のように雇用創出に目的財源的に充てるということの余裕がないものですから、財政のフレーム自体、財政構造の改革の方に寄与貢献するような仕組みにしたいということを申し上げたわけです。
ただ、繰り返しますけれども、そういう財政が厳しい中にあっても、30人学級などはぜひ続けたいということです。
伊藤議員がおっしゃいましたのは、本県でも今いろいろ財政改革をやって、公共事業も大幅にカットになっておりますし、職員給与も今日まで5%カットして、さらに継続をしたいということで、今日の状態でいいますと、いわゆるラスパイレス指数というのは、調査によると全国でも一番低い部類に属しているわけです。その他いろんなところで今見直しをしているのですけれども、その背景として、我が国の政治の失敗、財政運営の失敗があったのではないか。その責任を追及しないで、しわ寄せだけがいろんなところに及ぼされるのは納得できないと、こういう御趣旨だろうと思うのです。私も心情としては非常に理解できます。
我々も、政府に対して何も言わないで、今日の状態というものを甘んじて受けて、それに対応するだけというわけではなく、私が全国知事会の中で財源調整問題研究会の座長をたまたま務めているものですから、特に交付税の問題については、過去あれだけ景気対策で地方団体の尻をたたいて借金をさせて、後で面倒を見ると言ったのに、今こんな状態は一体どういうことですかということを繰り返し申し上げているのは、実は伊藤議員と同じような考え方に基づいているわけです。
ただ、私は実に正論だと思いますし、根拠がある主張だと思うのですけれども、馬耳東風といいますか、馬の耳に念仏といいますか、ほとんど精神的打撃にならないのです。この辺が私は、政府の道徳的頽廃極まれりと思うのです。普通ならば言いわけぐらいはされるはずなのです。言いわけもされない。私はむしろ反論されたらいいのではないかと思うのですけれども、そういう反論もないまま、何か平然とまた来年度の対策が検討されるというところ自体に、今の霞が関の病弊の根の深さを実は感じるのです。
私自身も、そういうもどかしさを感じながら、今やっているところです。
そうはいいましても、政府が悪いと言っただけで、あと我々は従来どおりのことを漫然とやっていればそれで事は済むかといいますと、決してそうはならないわけです。なおかつ、もう一つよく考えておかなければいけないのは、確かに政府の財政政策、経済政策の失敗、そのツケが回ってきている面は相当あると思いますけれども、しかし、それは政府だけが悪かったのかというと決してそうではなく、全国の自治体がやはりお先棒を担いだ。お先棒を担いだと言うと変ですが、ぐるになったというのも変ですが、一緒になってやってきたのです。現に借金をしたのは地方団体なのです。だましたのは政府かもしれませんけれども、だまされる素地をつくった面は地方団体にもあるわけで、本当に今日まで全国の地方団体でいろんな施設をつくったり、多額の財源を使ってさまざまなハード事業をやってきましたけれども、それが本当にそのとき、その地域において必要不可欠な、必要最小限のものであったかどうかということは、よく反省をしてみる必要があると思います。本県においても同じです。ですから、国だけが悪いと言えない面もあるということです。
そんなことで、鳥取県でも極限に達した過去の債務の返済に、今一生懸命努めていて余念がないわけです。あわせて、その借金の返済をするためには、現時点において不要不急の事業は見直さざるを得ないということになっているわけです。その辺がいろんな面にしわ寄せといいますか影響を及ぼしているということで、それは御理解をいただきたいと思っております。
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●瀧山総務部長答弁 |
ニューディール政策の成果ということですが、ことしの10月に本年度末までの見込みを含みますニューディール政策の成果を整理しております。
ニューディール政策の成果として、雇用創出の実績の延べ人員ですが、平成14年度の実績で
1,027人、平成15年度の実績で 1,810人、平成16年度、本年度の見込みですが 2,857人ということで、かなりの雇用創出が見込まれたと考えております。
なお、雇用創出の実績についてですが、中小企業等雇用創出のための奨励金、新規高卒者等の採用面での奨励金等を支出したもの、あるいは県の職員で直接雇用したもの等を合わせた延べ人数です。
県職員の理解を得てニューディール政策を行っているわけですが、厳しい雇用情勢の中でも、こういう厳しい雇用情勢を幾らか緩和する成果を上げたと認識しているところです。
また、財源の出資者の検証をいつごろ、どう行うかというお話でした。既に平成17年度以降の給与抑制策について組合交渉を行っているわけですが、組合に対して先ほどの資料を示して説明を行っているところです。
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<知事の発言の真意について>bQ |
片山知事は、9月の県議会で私の質問に対し、地方公務員の場合は民間の労働者と異なって労働基本権が制約されているがために、その代償措置として第三者機関である人事委員会が設置され、出された勧告は公務員の権利を保障するものとして答弁をされました。現行制度の中では当然のことであり、当たり前といえば当たり前のことでもあります。
ところが、人事委員会から職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告が行われた直後の10月14日の記者会見で、片山知事は、人事委員会の調査データは県民の実態とずれているというようなクレームをつけられ、これは第三者機関である人事委員会の中立性と勧告の尊厳を侵害するものでないかと思うのですが、制度に従って粛々と勧告された人事委員会としては、この知事発言をどう受けとめられたのか、人事委員会としての見解並びに人事委員会委員長の本心をお聞かせください。
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●奥田人事委員会委員長答弁 |
記者会見での知事の発言については、本年の給与に関する報告を行った際にも同様のお話がありました。知事のお話は意見の一つとして承っているところであり、人事委員会の中立性と勧告の尊厳を傷つけるようなものとは私は認識しておりません。
専門的な人事機関としての人事委員会は、幅広く意見を聞く必要があると考えております。とりわけ労使双方からの意見を聞くことは重要であり、勧告に当たっては職員側からも意見を聞いているところです。
なお、知事の意見にありました民間給与の調査対象の見直しについては、人事委員会としても以前から問題意識を持っており、小規模事業所従業員の給与の実態についても調査を検討しているところです。 |
<知事の発言の真意について>bR |
先ほど答弁ですが、やはり知事の顔色をうかがった答弁ですね。本当に公務員の皆さんは人事委員会が頼りなのですよ。やっぱり人事委員会がきちんと、自分のところの中立性、尊厳を持って発言してほしいのです。法的にそういうふうにきちっとなっているわけです。何か今までの顔色を見ていると、知事の顔色をうかがって ― そういう部分では、本当に多くの公務員は、鳥取県下何千人といるのです。やっぱりきちんとした毅然とした態度で対応してほしいと私は思います。
知事、知事会で財政問題調査検討委員会の座長をしておられるわけですから、この前も発言があったわけですが、国の財政状況というのは極めて透明性がない。私は、交付税とかそういう部分でなく、もっと国の財政状況については透明化をきちんと知事会として要望してほしいと思うのです。そのことを1点要望しておきたいと思います。
質問に入ります。今、都市であれ地方であれ、生活するのには過去ほど差はなくなったと思います。確かに不動産が高いことから、一部では住居費等が多くかかる地域もありますけれども、ぜいたくさえしなければ、衣食については大きな差はないと思っております。
鳥取県は地方だからガソリン代が安いわけでもないし、電気代、介護保険料、電話代、医療費など安いわけではありません。生活する上では決してそんなに変わらないと思うのです。逆に、地方だからこそ、子どもの教育を含めて高くつくものはあるのです。しかし、県民の生活給だけは知事が言われるように低くていいのですか。地域の経済も低くていいのですか。同じ仕事をしている警察官でも、鳥取県の警察官は危険が少ないから生活給が低くてもいいのですか、どうですか、警察本部長。このまま社会が進むとするならば、都市と地方に格差が開いて、地方が疲弊してしまい、優秀な人材も流出してしまい、ますます過疎化が進むと私は危惧するところです。知事、あなたが描く地方の適正な生活給とはいかがなものか、お伺いしたいと思います。
次に、知事はややもすると議会の責任だと発言されるわけですけれども、私は提案者としての責任がもっとあってもよいと思います。確かに条例を決議するという権限は議会にはありますけれども、それまでのプロセスは知事に委任されているわけです。県職員の給与の問題にしても、県職員の使用者は県民全体という考え方もありますが、これは奉仕者としてあるべき立場をあらわしたものであり、労使関係において、県民は使用者にはなり得ず、民間企業でも株主が使用者でなく社長であるように、県職員においても使用者は議会ではなく、あくまでも知事、あなたです。
したがって、私たち議会は労使関係においても第三者的な立場にすぎず、当事者として交渉に応じる立場にもありません。そのために議員と同様に選挙で県民の負託を受けた知事が、使用者として職員組合と責任ある交渉をした結果を議会にきちんと説明し、その過程には情報公開もあるかもしれませんが、提案されるべきものと思っております。したがって、よほど大きな問題がない限りは、議会としては知事の責任ある交渉を信頼し、最大限尊重するという流れになっていると私は理解しております。知事として、議会とのコラボレーション、共同作業についていかがお考えか、お伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
警察官なども含めてですが、県職員の給与は当該地域の民間給与とある程度のバランスをとらなければいけないという一つの考え方に対して、伊藤議員がそれについての若干の疑念をおっしゃったのだろうと思いますが、私は、鳥取県なら鳥取県という地方の官民あわせた給与水準が低ければ低い方がいいと言っているわけでは毛頭ないのです。できるだけ鳥取県民の皆さんの所得が向上するように、県民所得という統計もありますけれども、県民所得も全国平均に比べると鳥取県はまだまだ低い状態ですから、これを上げるように経済の活性化だとか企業誘致だとかをやっているわけで、それは誤解のないようにしていただきたいと思うのです。
それを前提にして、それではその地域で働く公務員、県職員も市町村の職員もそうですけれども、その給与水準はどうあるべきかといったときに、それは地域から全く切り離されて東京と連動するのですよと − 極端に言えば、基本的には今そうなっているわけです。それでいいのですかということの問題提起なのです。やはり地域で働く公務員の給与というものは、地域の納税者によって支えられているのですから、地域の民間給与の実態と余りにもかけ離れるということがあってはらない。それとのバランスが必要なのではないですかということです。そのことを申し上げているのです。
そうなると、例えば警察官なども、一身を顧みず非常に困難な仕事に当たっているのに、例えば警視庁の警察官よりも低くあっていいのですかという御懸念だろうと思いますが、やはり地域の民間経済、地域の納税者によって支えられるという面がある以上は、ある程度差があってもやむを得ないと私は思うのです。警視庁と全国の警察官が全部一緒というのは、逆に今度は納税者の理解がなかなか得られないのではないかと思います
では、どんどん差が出てしまって、みんな東京に行ってしまうのではないかという御懸念もあるかもしれませんが、そこは一つの一国の開かれた市場ですから、物の市場だけではなく労働市場もそうですから、そこはちゃんと市場の裁定というものが働いて、例えば仮にどこかの地域の給与水準が余りにも低くなれば、そこに今度は企業誘致などが行われて、そこで労働市場が活性化するということになって、市場による見えざる手が働くことになるのだろうと思います。
いずれにしても、1つは、我々は地域の経済の活性化というものを志向して、そして、できる限り民間給与も上がるように努めるということ。しかし、公務員の給与というのは民間給与から余りにもかけ離れた水準というのは、納税者の理解と納得が得られないのではないでしょうかと。こういう問題だろうと思います。
公務員の給与のあり方を決める決め方ですが、知事が使用者であるはずだと。これはそのとおりです。知事部局の職員にとりましては私が任命権者ですし、その他教育委員会についても公安委員会についても、自治法上知事は統括する立場にありますので、広い意味での任命権者的な立場にあることは確かだろうと思います。
ただ、公務員の場合には、民間の場合と違い、やや不十分な使用者であるということは御認識をいただきたいのです。権限の面において不十分な使用者である。なぜならば、それは最終的にはやはり条例で決める。住民の皆さんの代表である議会が条例で給与の最終的な水準は決めるということになっているわけで、そこのところが民間の場合とは違うのです。したがって、別途職員の立場からいいますと、ストライキとかの争議行為などもそうですけれども、やはり一定の労働基本権の制約があるわけで、それを調整するのが民間にない機関である人事委員会、政府の場合ですと人事院というのがありまして、ここが労使から中立的な立場で公務員の給与水準の是非について吟味を加え、そして、必要ならば労使双方に勧告する。議会に対しても勧告をするということになっているわけです。
ですから、知事は使用者としての自覚が足らないじゃないかとおっしゃっているのかもしれませんが、私は現行の法に基づいて、みずからの地位というものを実に冷静に客観的に見ているのです。すべてを決定する絶対的な権限者ではないということです。そういう立場に基づいて誠実に交渉もし、そして最終的には議会の皆さんの判断を仰ぐ、これが一番正しい姿だろうと思います。
伊藤議員のおっしゃるように、議会というのは第三者的な立場なのだと。これは私は違うと思います。第三者的ではなく、議会は実は最終的な決定権者なのです。使用者とは言えないかもしれませんけれども、最終的な決定権者なのです。その最終決定権者のことをないがしろにして、労使だけで物事を決めて、それが民意とずれていた場合どうなるかといいますと、それは議会の方で勝手に条例を改正するということも制度上は可能なわけです。
もちろんそれは日常的に行われるものではなく、基本的には労使の話し合いを尊重するということで結構だと私は思うのです。それが正しいと思うのですけれども、それが余りにも透明性を欠くとか、労使で出た結論が常識から離れているということになったら、当然最終決定権者である議会の裁定が働く。このことを我々は労使ともよく頭に入れて交渉しなければいけない。世間の常識というものをよく頭に入れておかなければいけないし、すべからく透明でなければいけないということを私は強調しているわけです。
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<知事の発言の真意について>bS |
私が先ほど第三者的にと言いましたのは、あくまでも議案が出るまでのいわゆる労使の中の問題ですので、当然議会の我々としては出たものに対しての判断をするわけですけれども、議案が出てくるまでについては我々としては労使の当事者でありませんので、どうしても口が出せない。我々は出てきたものしか口が出せないということなのです。そういう意味で御理解いただきたいと思います。
次に進みますけれども、知事は、私も本当に感心しますけれども、県民との合意形成というか世論のつくり方が、大変お上手だと思います。しかし、事柄によっては少し手法を変えられてもいかがなものかと私は思うのです。例えばニューディール政策のときの5%給与カットもそうでしたけれども、理解と協力を得なければならない当事者を抜きに、記者会見でみずからの政策だけを打ち上げ、県民の関心と世論だけをまず醸成して、当事者への協力要請が後では、私は少し順序が違うのではないかと思います。
政府の政策にしても、知事は感情的によく憤慨され、議会に当たられることがありますけれども、強い決断と協力をいただく相手の立場にも、もう少し配慮した手法が必要ではないかと思います。
ある新聞社の取材に対して知事は「敵をつくって攻撃する手法は好まない。納得を得たい」と述べておられました。県職員の皆さんは、知事の部下であり、知事の思いを受け、県民のために一生懸命業務に励んでいるのですから、ややもすると説明不足、上意下達的な感が私はうかがえると思います。このままでは職員の士気の低下もが懸念されると思います。いかがでしょうか。思いがあったらお答えください。 |
●知事答弁 |
これは御質問ではありませんでしたが、給与の決定システムについて、議会は議案が出る前はやはり第三者的だと。議案が出る前は何も言えないとおっしゃいましたが、そこも私は若干異論があります。議案が出る前でも、やはり現行の制度についてお気づきの点とか問題があると思われた点は、県民の代表ですから、ぜひどしどし言っていただくことが必要なのではないか。現に実践されている方もおられますけれども、待ちだけではなくて、我々としては、例えば公務員の世界ではまあまあ常識の範囲かなと思っていても、民間の皆さんから見たら非常識だよというのはやっぱりあると思うのです。そういうのはあります。ですから、そういうことを民意に基づいて御指摘いただくということは、私たちにとってもありがたいことだと思っております。
私の合意形成の手法が強引なのではないかということですが、私は、あえて何か敵をつくるために挑発的な発言をしているということはありません。さっきちょっと言われた敵をつくって自説を通すよりは、できるだけ合意を形成してというのは、実は議会との関係のくだりで、あるマスコミの質問にお答えをしたのですけれども、世の中にはどことは申しませんけれども、議会と対立することを一つのセールスポイントにして、改革派ということで名前が通っている方もおられるわけです。議会を守旧派、議会を抵抗勢力と見立てて、それに対して、それに対立する自分は改革派だと、こういう構図をつくっておられる方もおられるわけです。脱ダム宣言となるわけですけれども、そういうことは目立つのですけれども、結果として余りうまくできていないのではないでしょうかと、これは大変失礼なのですけれども、私なりの分析をしたわけです。それよりは、やはり議会と徹底的に議論をして、議会の皆さんの了解を得ながら改革を進めていくという方がよほどいいのではないでしょうかと申し上げたわけです。
実は職員組合との間にも同じような手法を使われている方もおられました。職員組合は敵だとか抵抗勢力だということで、対立を大きくクローズアップをしながら改革派ということでやられた方もおられますけれども、私は別に職員組合が抵抗勢力だとか守旧派だとかそんなことは毛頭思っておりませんし、そんなことも言っておりません。
私が職員組合の皆さん方からちょっと違和感があるとすれば、それは情報公開ということではないかと思うのです。あえて職員組合よりも前に、例えば世論を形成するために何か発言するということをやっているわけではないのです。例えば記者会見のときにというお話がありましたけれども、これも問われるので答えているわけです。例えばどう考えていますかということなので、今のところこう考えています、いずれまた正式にお話はしますけれどもという、これはあらゆるものがそうなのです。聞かれないのにあえてということをいつもやっているわけではないので、その辺は誤解のないようにしていただければと思います。
逆に、聞かれたときに、例えば5%カットを来年以降どうされるつもりですかと聞かれて、一切言えません、いろいろ考えていますけれども一切言えませんと言うのも、ちょっと変だと思いませんか。少なくとも私の流儀には合わないので、やはり今考えていることを素直に申し上げるというのが私の流儀ですから、その辺は御理解いただければと思うのです。
私は私なりにオープンに考え方を言いますので、それに対して異論反論があれば、それはまたオープンに、臆せず、遠慮せずおっしゃっていただいたらいいと思うのです。その辺から議論が始まりますし、また世の中の人はどう考えるかということもおのずからわかってくる。これがオープンな議論とオープンな議論による合意形成の一つの利点だろうと私は思っておりますので、若干違和感をお感じになる方がおられるかもしれませんが、これの持っている利点を大切にしたいと思っております。
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<知事の発言の真意について>bT |
先ほど申し上げましたけれども、もう既に県職の皆さん方は − 労働組合の皆さん方ですけれども、情報公開は鳥取県はこれだけ進んでいますから、そんなに過去のような違和感はないと思います。ただ、記者会見の中で知事が、具体的に5%の数字とかそういう部分を、記者から聞かれたときにどんどんしゃべってしまう。質問があっても、組合と協議してみたいと思いますと。例えば5%なら5%でいいです。組合に申し入れをされたら、その後に、こういう形で先日申し入れをしましたということでされたら、相手側も了解されると思うのです。その順序が、当然マスコミの皆さんですから、おもしろいことをしっかり期待していますから、そういう部分でもう少し配慮されたらいいかなと思います。していただきたいと思います。 |
●知事答弁 |
私の発言について、例えば組合に対する申し入れが何%かというのは、せめて組合と協議してからにしてはどうかとおっしゃられましたけれども、私はそれもちょっと変だと思うのです。組合にどういう申し入れをするのかと聞かれたときに、どういう申し入れをするかは組合と協議してからというのは明らかに矛盾しているわけで、やはり協議にぶつける内容というのはこちらが決めるわけですから、協議して決めるものではないと思うのです。結果は協議して決めるものですけれども。ですから、一応こちらが腹構えをしていれば、聞かれれば、それなりのことは答えるということは御理解いただければと思います。
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