平成16年5月定例会一般質問(平成16年6月10日)No.1

<県立赤碕高等学校の跡地活用について>

 県立赤碕高等学校の跡地活用について、地元の皆さんの思いを込め、お尋ねしたいと思います。

 皆さんも御承知のように、赤碕高等学校は、昭和23年に由良育英高校の赤碕分校として創設され、その後、東伯実業高等学校などを変遷しながら、昭和38年に全日制課程の赤碕高等学校が創立されたのです。この間、半世紀にわたり、地域密着型の高校として、地元に残り地域を支える多くの卒業生を輩出してまいりました。

 しかし、赤碕高校も、少子化という時代の流れの中で、平成9年10月に県教委から発表された高等学校再編基本計画に基づき、平成14年度から生徒の募集が停止され、現在の3年生の卒業をもって由良育英高等学校と統合され、鳥取中央育英高校になります。

 中でも昭和54年度、55年度にわたり行われました校地の拡張、校舎の全面改築工事におきましては、用地の交渉等を当時の町の三役が前面に出ての交渉、そして教育のあらゆる部分において、町内の保育所、小学校、中学校との連携の中で取り組まれるなど地域との結びつきが非常に強く、町立赤碕高校とも言われてきたゆえんでもあります。このように地域の核として長年親しまれてきた高校がなくなることに対して、私を含め多くの町民の皆さんが今でも寂しさを覚えるのです。

 赤碕高等学校では、昭和45年1月、県教委が突然発表した生徒募集停止案をめぐり、授業を放棄してまでの在校生の廃校抗議などが行われ、最終的には撤回という回答を得たものの、教育的な見地から課題を残す結果となりました。

 そうした過去の苦い経験から、平成9年に県教委から発表された県立高校再編基本計画に対しては、在校生に動揺が及ばないようにという配慮の中で存続運動が取り組まれましたが、結局は県に押し切られたという形の中で、新たなる高校への統合を見守ってきたところです。私自身も跡地活用問題については、他の議員ようにもっと早い段階で議場において議論をしたかったわけですが、このような地元の紳士的な姿勢を含めて在校生への配慮から、今日まで議論を差し控えてまいりました。

 それでは、本論に入ります。

 平成11年に設置された県有未利用地有効活用検討委員会では、他の県有未利用地を含めて統廃合される高校の跡地活用については、時間的にも十分検討されてきたものと思いますが、広大な敷地を持つ赤碕高等学校の跡地について、県としてはどう有効活用される計画であるのか、検討状況を含め片山知事にお尋ねします。
 

●知事答弁
 
 赤碕高校の──これはまだ跡地というわけではありませんが、いずれ跡地になるわけで、この跡地の活用についてどういう計画であるのか、検討状況はどうかということですが、赤碕高校に限らず、県有地で未利用となっている、ないし未利用となる土地につきましては、一定ルールといいますか方針に基づいて検討しております。

 そのルールというのは、ここでもかつてお話をしたことがあると思いますが、まず県として活用する計画があれば、それを優先させる。とりわけ今回の場合は教育財産でしたので、教育委員会の方でまず何か活用する有効な方途があれば、それを優先するということになります。教育委員会に限らず、その他一般行政の面でも、その次に利用計画があれば優先するということになります。県で利用する計画がないということになりましたら、その次は市町村ですとか国ですとか、そういう公共的組織、団体に問い合わせるということになります。その他、それでもなければ、さらには対象を広げて公益的性格の強い団体や組織に利用計画があるかどうかを聞いてみる、こういう作業をします。それでもなければ、今度は一般的な原則にのっとって売り払う。昨日、売り払うという言葉はよくないという話もありましたが、自治法上のルールにのっとって売り払うということになるわけです。

 そういう基本的なルールを前提にして、赤碕高校の跡地になる土地、その他のかなりいろいろありますので、それらについて未利用地の活用と処分について検討しているところです。

 具体的に、ではどうかということですが、これは担当の総務部長の方から現状等について答弁を申し上げたいと思います。
 

●総務部長答弁
 
 赤碕高校の跡地の有効活用の検討状況です。

 これまで各部の次長で構成しております県有未利用地有効活用検討委員会で検討しておりまして、教育委員会から提案された教育センターの分館としての活用案が了解されているところです。現在、教育委員会において、その具体的内容について検討が進められているところです。

 その他の県の部局等の活用につきましては、教育委員会の利用範囲ですとか利用方法等の検討結果をまつ必要はありますが、教育センターの分館と併存することが有効な施設の設置を、引き続き検討してまいりたいと考えているところです。

<県立赤碕高等学校の跡地活用について>No.2

 今のところ教育センターに活用という計画であるということで、確かにこれまで教育センターで研修を受けるために、日野郡在住の先生方は約3時間の時間を費やして参加されている人もありましたから、研修を受ける時間より往復の時間の方が多くかかるという実態もありました。赤碕高等学校が教育センターの分館として活用されるならば、中部、西部の先生方もタイムロスが少なく、研修により集中できるものと考えます。また、分館としての活用を、いつごろから改修を計画されているのか、藤井教育長にお伺いします。 

●教育長答弁
 
 教育センターの分館として赤碕高校の跡を利用したらというお尋ねでございます。

 教育委員会では、赤碕高校が廃止された後の施設利用として、教育センターの分室としての活用を検討しているところです。現在でも、中部、西部での研修は、できるときにはそれぞれの地区の民間や公立の施設を利用して研修しておりますが、赤碕高校の跡が使用できれば、例えば学校のコンピューター教室を活用した研修ですとか、理科室を活用したような実験とか実習を伴う研修ですとか、教室がたくさんありますので分科会がたくさんあるような場合の研修ですとか、そういった場合の利用が可能ですし、中部、西部の教育相談の拠点のような利用とか、学校教育支援室の分室みたいな利用も考えられると思っております。

 ただ、そのためには、どれだけの教室を利用するかということを決めることも必要ですし、バリアフリー化など考えればエレベーターを設置する必要もありますし、現在冷暖房の設備が十分ではありませんので、そういった校舎の改修などの工事も必要となります。改修にかかる経費と事業の効果との関連などをまとめて検討する必要があると思っております。

 また、学校の施設ですので、40人を前提とした教室がたくさんありますけれども、規模の大きい研修室、例えば 200人を超えるような施設を確保することは、非常に細長くなりまして、なかなか効果的でないというような面もあります。

 いずれにしても、校舎を中心とした利用になります。ということで、体育館とかグラウンドなどは、教育センターの分室としては多分使用しないことになろうかと思っております。

 また、活用に当たっては、先ほど申しましたように予算とか組織が伴いますので、知事部局との調整も必要です。今なるべく早く活用案を取りまとめたいと考えているところで、いつから活用を始めたいかということは、ここではっきり申し上げることはできない、少し待っていただきたいなと思っております。
 

<県立赤碕高等学校の跡地活用について>No.3


 教育センターの分館の開始時期はわからないということですけれども、赤碕高等学校の広大な敷地や建物からすると、当然すべて教育センターの分館として活用できるわけでもないのですけれども、場所的には、立地的にも公共交通機関を含めて交通の便は非常によいところです。

 そのほかの活用方法として、地方分権の中で市町村の研修というのは非常に大きな役割を占めてまいりますけれども、県や市町村の研修である要するに自治研修所の分館としても、同じように活用されたらいかがなものかと思いますし、もう1点、現在本当に希薄になってきたと言われる人間関係を学んだり再構築したり、いわゆる心のセーフティーネットとも言うべき、要するにコミュニケーションをつくるための、醸成するための人間回復センターといいますか、そういう機能を持った一つの基幹施設として活用も検討されたらいかがなものかと提言しますけれども、知事の御所見をお伺いします。

●知事答弁


 赤碕高校の跡地の活用方法として、1つは、自治研の分館のような機能を置いたらどうかという御提言ですが、自治研修所は今鳥取市に置いており、もちろん県の職員、市町村の職員の研修に当たりますので、全県的な取り組みをやるわけですが、中部、西部についてはそれぞれ総合事務所に、分館とは言いませんけれども自治研修所の機能の一端を担う職員を配置しておりますので、赤碕高校の跡地にその分館ということは考えておりません。

 ただ、先ほど来議論になっております教育委員会での教育センターの分館が仮にいずれそこにできるということになりましたら、例えば県職員や市町村の職員、中部、西部の職員を対象にして研修を行う場合に、研修所の場所として教育センターの分館を活用させてもらうということはあるだろうと思います。
 おっしゃいました人間性回復センターというようなものはどうかということですが、今、赤碕高校の教諭が中心になりまして人間性回復のプログラムを実践しておられて、それが県内のみならず全国的に注目をされているということです。こういう鳥取県から生まれた一つの資源といいますか、ソフトの資源をもっと生かしていけばいいのではないかというお考えは、私も共鳴するところがあります。

 ただ、おっしゃったような拠点として考えるという場合に、どういうことが考えられるのか、それは少しく検討してみなければいけないと思います。先ほど来話題になっております教育センターの分館として教育委員会が構想をまとめられる際に、伊藤議員がおっしゃったような人間性回復のいわば拠点のようなものがイメージとしてどういうふうに結びつくのかということも、あわせて検討の中に入れていただければと思っているところです。

 当面は、以上のようなことです。
 

●教育長答弁

 
 地域と社会を支える人づくりというような趣旨のお尋ねだと思います。

 赤碕高校の例をお引きになりましたが、赤碕高校は創立以来、地域に根差した学校、地域に開かれた学校として、地元の皆さんの御支援を受けて教育活動を進めております。

 最近では、先ほど知事も申しましたように、特色ある教育活動として、レクリエーション指導を通したコミュニケーション能力の育成でありますとか人間関係づくりの取り組みが全国的に注目を浴びているところでもあります。こうした取り組みは取り組みの密度には違いがありますが、鳥取中央育英高校を初め他の学校でも、こうした科目を設置するなど、広げていかなければならないと考えているところです。

<県立赤碕高等学校の跡地活用について>No.4


 赤碕高校の跡地の件ですけれども、敷地自体が非常に広大なものです。県としてもできれば早目に利用計画を作成して、敷地や建物で県としては利用計画に上がらないもの、そういうものがあるとするならば、その利活用については、早期に地元と協議されることを要望したいと思います。

 やはり県の一定の活用案が出ないと、地元としても何をどう活用するのか。例えば体育館が余った、どう活用するのか、そういう問題が出ますので、できたらそういう部分で地元と協議をしていただきたいと思います。