平成16年5月定例会一般質問(平成16年6月10日)No.2

<高校改革と定員管理について>

 
 先般、東郷町の小学校跡地に、少人数学級で中高一貫教育を目指す学校が進出を予定していると一部の新聞で報道されたところです。開校を予定されているのは民間の事業者のようですが、当然学校としての諸条件がクリアさえされれば認可されるものと考えますが、現状と認可される立場にある片山知事の考え方をお伺いします。

 ところで、鳥取県内の児童生徒数の推計を見れば、現在の高校1年生が 6,972人ですが、10年先には 5,589人と、今年度のちょうど8割に減少します。15年先には75%に当たる 5,255人と、少子化には歯どめがかかる状況ではありません。現在の40人学級で単純に換算しても、10年後には35学級を削減しなければならない見通しとなります。このように生徒の減少が当分の間加速する現状を、教育長としてどう認識し、今後の高校再編計画の作成に当たられるのか、藤井教育長にお伺いします。

●知事答弁
 
 東郷町において、私立で中高の一貫教育を目指す学校の設立の計画があるということで、実際に私どもも話を伺っております。これは、具体的に設置をされようとする方から申請があり、それを受理し、そうなりますと法令で定められた要件等をチェックして、その上で、手続として定められております県の私立学校審議会の意見を伺う。その上で、必要な要件を満たしていれば、認可を行うという手続になります。
 これについても、現在どういう状況にあるかといいますか、県として今どの程度把握をしているのかということ、設立に至るまでの具体的な手続等につきまして、総務部長の方から御答弁申し上げます。
●総務部長答弁
  
 中高一貫教育校について、現在設置を計画されている方から御相談を伺っている段階です。

 現在伺っている計画によりますと、設置予定の学校は、中学校、高等学校が併設の中高一貫教育校で、開設時期は平成18年4月を目標としていらっしゃいます。設置場所は東郷町で、平成17年3月末で廃校予定の小学校の校地、校舎を東郷町から無償で借り受ける予定だということです。定員は、中学校が1学年30人、高等学校が1学年40人とのことです。

 今後、設置に当たっての必要な手続等ですが、学校設置に必要な県への手続は2つございまして、現在まだ学校法人は設立されていらっしゃいませんので、経営主体である学校法人設立のための寄附行為の認可申請が必要となります。もう1点、学校の設置ですが、計画されている中学校、高等学校の設置認可の申請が必要となります。

 県としては、これらの申請を受理したら、法令に定められた要件とか手続等審査を行い、県の私立学校審議会の意見を伺った上で、必要な要件等を満たしていれば認可を行うことになります。
 

●教育長答弁
 
 お話のように、今後、中学校の卒業生はおおむね年次的に減少します。平成17年3月から25年3月までの間に 1,000人を超える減少が見込まれております。この生徒減少にどのように対応するかが課題だと思っております。

 こうしたことから、今後の活力ある高校教育のあり方について、高等学校教育審議会ですとか鳥取県産業教育審議会に諮問し、御審議もいただいたところです。今後は、こういった審議会の意見も踏まえて、また現在進めてきた高校の教育改革の成果と課題も整理しながら、本年度中に基本的な考え方を取りまとめたいと考えております。

 そうした中で、これまで進めてきた高校教育改革について考えてみますと、学科の改編に伴う施設整備というのが進められてまいりましたし、新たな学科も設置されて、それぞれの学校の特色があらわれてきている一方で、率直に言えば、これまでの計画は非常にきちんとした計画で、平成10年度から今年度までの長期計画でした。また、学校規模も1学年4から8学級ということである程度一様に決められておりまして、今日の変化の早い時代には、やや不向きな面もあったのかなと感じられるところがあります。

 そうしたことから、今後は、長期にわたる生徒減少は踏まえなければなりませんが、生徒や地域の実態に応じてもう少し柔軟な見直しといいますか、そういったものを念頭に置いた弾力的な計画ができないのかなということを考えております。

 例えば1学年当たりの学級数につきましても、生徒や地域の状況等踏まえて、より学校の特色を出していくということから、先の高校教育審議会でも意見がありましたが、場合によっては必ずしも4学級にこだわらなくてもいいのではないか。また、1学級当たりの学級定員につきまして、農業学科とか工業学科とか水産学科の学級定員というのは今でも既に38人としておりますが、今現在40人としています商業学科とか普通学科についても、同じように38人で編成することもあるというようなことも考えているところです。

 早く対応できるものについては、平成17年度からでもスタートさせたいと思っております。

<高校改革と定員管理について>No.2

 
 県立高等学校と私立高等学校の募集定員の割合は、県立8割、私立2割が現時点の大枠になっております。少子化で生徒数が自然減少する中、既存の私学の定員を確保するだけでも、今の募集定員割合をどうしても見直すことが迫られております。この募集定員割合について、私学を所管されている知事及び公立学校を所管されている教育長はどのように考えておられるのか、お伺いします。

 また、このように私学が、要するに少数の私学が今後も増加する可能性があるわけですけれども、県並びに県教委としては、定められた募集定員割合、例えば私学の場合、枠があるのですけれども、20%の枠内で、学校間の定員調整または私学間の競争原理に任されていかれるのか、知事及び教育長にお伺いします。

●知事答弁


 高等学校の公立と私立の役割分担ということで、今日までおおむね県立が8割、私立が2割ということで、そういう大枠を設けてそれぞれ募集定員を決めてきているわけです。これをどう考えるかということですが、私は、本来は公立、県立も私立もそれぞれが自然体で、そして生徒が選ぶということでいいのだろうと思います。

 ただ、そうしたときに、魅力ある私学がどんどんふえて、それで私学のウェートが高まって県立が少し減るというのであれば問題ないと私は思うのですけれども、逆に県立の方がどんどんどんどんふえて、私学がなくなるといいますか少なくなってしまう、これはこれでやはり問題だろうと思います。公立が私学をクラウドアウトしてしまうというのは、やはり避けなければいけない。公立で高校教育もやりますけれども、それぞれ独自の建学の精神にのっとって自由な気風の私学もあった方がいいと私は思いますので、適度なバランスがあった方がいいだろうと思います。

 その辺のバランスを見て、おおむね合意をしたのが8対2ということではないかと思っております。ですから、繰り返しになりますが、自然な生徒の選択によって私学の割合がふえるというのは、これはこれで好ましいことではないかと私は思っております。

 東郷町のように、先ほど総務部長が御答弁申しましたような新しいタイプの私学ができたときに、あくまでもそれも8対2の2の中で抑え込んでしまうのかという御質問だろうと思いますが、それは必ずしもそうでもないと思います。さっき申しましたように、魅力ある私学がふえて、そして全体的に私学への希望がふえるということであれば、私学のウェートというものをもっと高くしたらいいと私は思います。それぞれのそのときそのときの状況に応じて、私学に圧迫にならないような形で、公私のおおむねの割合を模索していったらいいのではないかと考えております。

 私学間の私学同士の募集定員も、どの高校は幾ら、あの高校は幾らと県が決める性格のものではありませんので、それは私学の中で、それぞれがいい意味での競争原理を働かせていただければと思います。

●教育長答弁

 
 県立高校の募集定員につきましては、中学校の卒業者数、過卒者、いわゆる高校浪人の生徒などの動向を見ながら、高等学校の志願者数等をもとに策定しております。

 考え方としては、県の高等学校教育審議会の意見などもいただいておりますが、県立が80%、私立が20%といった大枠を決めておりますが、これは別に法的拘束力はありませんし、いわば紳士協定的なものだと理解しております。こういった考え方に基づき、県立学校の募集定員を設定するときには、中学校の卒業者の総数をベースとして、県立高等学校に志願する者をおおむね80%程度に見込んで考えているところです。

 ただ、実際の募集定員になりますと、県立高校の方はこれまで年次的に削減してきており、平成12年度入試から16年度入試までの4年間に定員を 700人削減してきております。また、私立の方は余り削減されていないということで、平成16年度入試の募集定員に限って言えば、公立が75.9%、私立が24.1%となっております。

 また、私学の定員について私にもお尋ねがありましたが、私立高校各校の募集定員につきましては、先ほど知事が申し上げましたように私も思っておりまして、それぞれの私学が独自性を持って検討されることだと思っております。

<高校改革と定員管理について>No.3

 
 平成9年に作成された県立高校再編基本計画では、大学への進学希望が高まる中、どちらかというと大学への進学率が高い高校については定員の削減幅が低く、実業高校の再編が中心であったように私は思います。進学校と言われる高校では卒業生のほとんどが県外に流出しますが、赤碕高校の卒業生は大半が地元に残り、今の地域と社会を支えているのが現実です。こうしたことから、生徒の持っている学力を磨き希望する大学へ進学させるということも大切かと思いますけれども、やはり地域に残り地域と社会を支える人材づくりというものも大変大切であろうかと思います。藤井教育長の御所見をお伺いします。

●教育長答弁

 
 赤碕高校につきましては、近年、調べてみますと卒業生の約4割が県内に就職しております。ぜひ本県の産業を担ったり、やがては地域の中核となって地域を支えていただけるような人材になってほしいと思っているところです。赤碕高校に限らず他の学校でも、たとえ進学で鳥取県から出ていっても、行く行くは鳥取県へ帰ってくる、地域を支えてくれるそういう子ども達が多く育つことが、本県の活力を高める上で非常に重要なことだと思っております。

 今後も、赤碕高校はもとより、それぞれの学校がこれまで築き上げてきた伝統、そして教育上の成果をしっかりと踏まえて、地域を支える子どもの育成に努めていかなければならないと考えております。