<新年度予算について> |
このたび提案された平成17年度予算、編成作業に当たられた財政課の皆さん、厳しい財政状況の中、本当に大変だっただろうと敬意を表します。ただ、残念だったのは、山根、福間両議員がそれぞれの代表質問で、石黒議員も全員協議会でも取り上げられたように、殊に予算の4分の1を占める人件費が、労使の合意形成を得ないまま提案されたことです。
私も、厳しい財政状況下にあることから、労使が対等の原則を尊重し、しっかり議論をしていただきたいという思いで、9月及び12月議会において知事と議論をしてまいりました。そのためにあえて片山知事に職員団体への認識を問い、相互が今日までの取り組みを総括し、新たなる課題は相互でその問題点を共有する中で、平成17年度の県政への取り組みを展開していただきたいとの思いからでした。
2月県議会が始まる前、散髪に行ったところ、長年建設業に携わられていた年配の女性から、県は大変ですね、知事さんと職員の皆さん、何とかええ話にならんだかえと、新聞に掲載された労使決裂の記事を話されました。私は思わず、何とかええ話になればええですけどなと答えてしまいました。
このことは、多くの県民の思いであるとともに、この議場におられる議員諸氏大半の思いだろうと思いますし、私自身も合意形成に向けて知事には議会直前までもっともっと汗をかく努力をしていただきたかったと、決裂には残念な思いでいっぱいです。
私と知事が職員団体に対する認識についての議論が平行線であったように、労使の関係にある職員組合の皆さんと知事とでは、入り口論で温度差があること自体当然のことで、知事も承知の上で交渉のテーブルにつかれたと思うのです。2日間で2回、計11時間にも及ぶ交渉を誠心誠意した。しかし、組合の理解を得られなかったので断念した。こちらから交渉する気持ちはない。また、福間議員の代表質問に答えては、予算を提案した今では、再度交渉する気持ちはないとつれない答弁でした。過去、町職の委員長を経験した者として、何か物足りなさを感じます。
その物足りなさとは何か。知事と議論する中でよく考えてみましたが、それは給与カット自体の問題ではなく、雇用者としての責任感、そして職員に対する思いが知事の発言の中に見えないことと、議会への資料づくりのタイムアップではなかったでしょうか。
知事は随所で誠心誠意という言葉を使っておられますが、知事のおっしゃる誠心誠意と組合側が期待し理解しようとしている誠心誠意とは、少しニュアンスが違うような気がします。一連の流れの中で、当然の制度的な権利として保障されている人事委員会の勧告を、財源確保のため給与カットをお願いする立場にある知事の姿勢として、心から協力を仰ぎたいという姿勢が、また何とか理解を得て合意に結びつけたいという姿勢があったのかどうなのかだと思います。
私は冒頭申し上げたとおり、予算の4分の1を占める人件費が、労使の合意形成を得ないまま提案された予算には賛成できない立場から、予算の修正案をつくろうと努力しました。しかし、基金の取り崩しにキャップがかかっていることもあり、現実的には予算の修正案は難しく、補正予算で対応するしかないことがわかりました。つまり、この作業をする中で、40億円の財源を確保するためには、初めから職員の給与カットしか財源がないこともわかりました。第三者的に見てみますと、すべて知事の計算づくのプログラムで、あえて無理に合意しなくても法的に触れることもなく、後の判断はいつものように議会にお任せしようという感じが否めないのです。知事の感想をお聞かせください。
また、鳥取県知事等及び職員の給与の特例に関する条例の設定で、職員の給与4%から6%カットが3年間とされていますが、その根拠と理由をお聞かせください。
そこで、警察本部長にお尋ねをします。警察職員に対する給与カットの説明責任は県警本部長が果たされなければなりませんが、今日の状況を踏まえ、説明責任を果たす立場の一人として、素直な感想をお尋ねします。
また、人事委員会委員長にお尋ねします。労働基本権が制約されている中で、その代償機関である人事委員会としては、第三者機関として公平かつ中立的な立場として調査研究して出された勧告が無視され、労使合意のないまま予算と条例が提案されたことは、人事委員会の機能が損なわれ、人事委員会そのものが形骸化してしまったのではないかと思うのですが、人事委員会委員長としてどのように受けとめておられるのか、お伺いします。
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●知事答弁 |
最初に、いわゆる5%カットについての労使間の合意が得られなかったことについて、るる伊藤議員のお考えを述べられて、私の感想をということでしたので、率直に感想を申し上げたいと思いますが、ちまたで聞かれたという何とかええ話になればいいのにというのは、何とか合意できればいいのにということだったのだろうと思いますし、議員の皆さんの中にも、全員協議会以来、何とか合意ができなかったのかということでしたから、そういうお気持ちの方も多いと思いますし、私自身も、できればできる限り合意を得た方がいいという気持ちに変わりはありません。
ただ、合意すればいいというものではないと私は思うのです。何度も申し上げますけれども。合意が目的だったら、いとも簡単にできます。5分もあったら合意できます。すべてのんでしまえばいいわけですから。ですから、直ちにええ話になるわけですけれども、議員の皆さんや県民の皆さんは、それを本当にいい話だと思っていただけるでしょうか。そこがポイントです。合意が目的ではありません。合意をした上でいい案が出れば一番いいのです。しかし、いい案が出ないまま合意をするということは、それは結果としてよくないことだと私は思っております。
そういう意味で、私の方も今回の交渉に臨むに当たってはこだわりがありました。組合の皆さんにもやっぱりこだわりがあったのだろうと思います。そのこだわりとこだわりがぶつかり合って、結果的に合意ができなかったというのは、しようがないことだと私は思うのです。
それでももっともっとやるべきではないかということだと思いますけれども、さらにではどうするかといいますと、福間議員のときにも私、率直にるる申し上げたつもりですけれども、ああいう議論を経た上で、さらに無理やりということになると、本当に徹夜になるまでへとへとという、昔よくやっていたわけですけれども、そういうのは余り生産的ではないと私は思います。そこまでやってへとへとになって初めて誠意が見られるとか、そこまでやったから誠心誠意やったのだという評価だとすれば、私はその評価基準は間違っているだろうと思います。決してへとへとになるまでやったから誠実にやったということではないと思います。お互いに理を尽くして、本当に誠心誠意自分の考え方を述べて、それで合意ができるかできないかということだろうと思っています。
伊藤議員は、知事はもともと無理に合意しなくてもいいのではないかという安易な気持ちがあったのではないかということ、その趣旨をおっしゃいましたけれども、もともと最初から合意などしなくてもいいのだということであったら、私も延々11時間もやりません。本当にのどが渇き、私だけではないのですが、最初の日など7時間ぐらいやったのですが、その間トイレ休憩もとらなかったりした時間が長かったものですから、エコノミー症候群になるのではないかと思うほど本当に実はやったのであります。見ていただければよかったと思うのです。ですから、私は公開にしようということを組合の皆さんにも言ったのです。公開して見ていただいていたら、伊藤議員のような質問も石黒議員の全協の質問も決して出ないはずなのです。
要は、結局私はやっぱり公開をすべきだと。公開してみんなに見てもらう、それが一番いいと思いました。公開していないから、いろいろ邪推とか揣摩憶測とかいろんなことが出てくるわけですし、一方的なビラも出てきたりします。私は公開したいと思いますので、伊藤議員からも組合の皆さんにぜひアドバイスをしていただきたいと思うのです。
職員団体と使用者としての知事との関係についての議論を伊藤議員と先般しました。この議場で。実はそれは私自身も中途半端に終わったと思っているのです。伊藤議員からの指摘に対して、私も自分の考え方、持論を述べました。それに対して反論がなかったものですから、そこで結局しり切れトンボみたいに終わってしまったのです。非常に残念だったと思います。
といいますのは、実に重要な論点が議論されたわけです。労使間の公務員の労働関係の基本にわたる部分が実は論点だったわけです。私なりに自分の考え方を述べましたので、ぜひそれに対する反論とか再反論があれば、もっと議論が深まったのではないかと思うのです。
従来公務員の労使の間で、特に給与の問題などは、労使の合意がなければ予算とか条例の改正案は出さないというならわしのようなものが実際あったことは確かです。本県でもそういうことが多分あったのだろうと思います。本当にそれは制度的にそうなのでしょうかという点検と、それで本当にいいのでしょうかということを私は問題提起をしているわけです。
制度的に見ますと、そんなことはありません。制度的には給与は条例で決めると書いているわけですから、条例を決めるのは議会の議員の皆さんの権限です。ですから、極端なことを言えば議員立法でやってもいいのですよということになるのです。ただ、これは極端なこと、理論的に追求すればということですけれども。しかし、そこのところを押さえておかなければいけないと思うのです。労使が合意しなければ何らの改善も進まないということでは、本当に地方自治、住民の意思というものは一切反映されないということになるわけです。
そこのところが、実は伊藤議員と私との議論の一番のポイントだったわけです。使用者としては、労使の合意を得てからでないと条例とか予算を出すべきではないのではないかというのが伊藤議員の主張だったと思うので、私はそんなことはありませんよ、それは誠心誠意やって、その上で仮に合意に達しなくても、使用者としての責任、県民の代表としての責任で、合意のないまま出すことはありますよということを、そのときに申し上げていたわけです。
さらに敷衍すれば、極端に言えば、労使が全然ちゃんとした話もしないで、改善の提案もしないのであれば、議員立法ということもありますよということを申し上げたわけです。
そこのところを皆さん方もぜひ考えていただきたいのです。労使の間に合意がなければ物事は何も進まないということでいいのかどうか。それは、結局行き着く先は大阪市みたいになるのです。労使間の合意がすべてだとすると、議会が何もしないということになると、大阪市みたいになるのです。そうならないようにしなければいけない。そのためには、まず基本は労使でしっかりと話し合う。事態を認識して、そして、市民、住民、県民の皆さんの理解の及ばないような内容がもしあれば、それはちゃんと是正しなければいけない。またそうならないようにしなければいけない。それが基本です。そういう点で合意を得られれば一番いいのです。
ところが、それがもし労使の間で突かえて合意ができないときには、それは県民の代表である首長、私とか市町村長さんが、そこを是正する案を議会に出すということはあり得るわけです。
ところが、それすらもない。労使の間から合意があって是正案も出てこない。使用者側も何も出さない。よく見たらアベック闘争をしている。労使が協調してやっている。こういうことであったら、議会の出番だろうと私は思うのです。そういうことではありませんかということ、これはきちっと議論した方がいいと私は思ったので、あえて伊藤議員との間で議論したわけです。
県議会の皆さん方のお考えも、機会があったらぜひお伺いしてみたいと私は思っているのです。私の考え方を率直に感想として申し上げたわけです。
今回のことも、実は9月から交渉しているのです。たった2日間、ぎりぎりのときに、時間切れみたいなときに交渉したわけではないのです。9月から同じ提案をして交渉をしているわけです。ただ、ちょっと組合の皆さんに戸惑いを与えたかなと思いますのは、もちろんこれも議会のせいにするわけではありませんけれども、議会で新しい決議が12月に出たものですから、それを踏まえて我々から組合に対する提案も修正したものを出しましたので、その点で多少の戸惑いを与えたことはもちろんあるのですけれども、それにしても5%カットというこの問題の投げかけは、実は9月からやっているわけです。それが全く知事交渉まで上がってくるまで、入り口論をさまよっていた、入り口にも入っていなかったという現状だったわけです。
これも福間議員との間でお答え申し上げたのですけれども、議会に提案しているからもう交渉になりませんよというのはおかしいではないかと言われたと思うのですけれども、議会に出したものを、いやいや、まだ幾らでもこちらで変えますから交渉しましょうというのは、実に不誠実です。議会に出したものは、もう提案したものですから、議会の皆さんが修正するのはともかくとして、出した方がいかようにでも柔軟に変えますよなどということはあり得ないわけで、あり得ないことを前提にして交渉しましょうということは、やはりあり得ないことなのだと思います。交渉というのは、お互いに説得したり説得されたりして、なるほどなと思ったら内容が修正されるということがあって初めて交渉になるわけで、もう議会に出してしまって何も変えようがないのに、さあ交渉しましょうなどということは、仮にそんなことをしても私は不誠実だと思っております。というような感想です。
給与の問題で、5%カットと3年間というのは、根拠は何かということですが、これは実は組合交渉の中でもかなり時間を割いて議論をしたところです。総務部長交渉の段階から、もう既にその話は、特に5%という率についてはあったようですけれども、正直言いまして、5%ということが何か公式に当てはめて、そのままはじき出されるというものではありません。そういう意味では一種の割り切りです。
どうしても算術的な根拠が要るというのでしたら、出そうと思えば出せるのです。例えば
140億円の基金を取り崩しておりますから、この基金の取り崩しというのは、実は単年度でいえば実質赤字です。その赤字を解消しよう、これをすべて給与で賄おうということになりましたら、
140億円のカットということが理屈上出てくるわけです。そうしますと、現行の給与の支払い総額から
140億円をカットするというのは、またこれも出てくるわけです。そうすると20%前後になると思います。もしそういう科学的根拠が欲しいのだったら、それは幾らでも出せますという話は私も何回もしました。それが現実的に受け入れられますかということも言いました。
もしそちらの方がいいのなら──そちらがいいとは思いませんけれども、そういう理論的根拠がどうしても要るだといったら、そういうものは編み出せるわけですけれども、そういうことを提示するのは私としても現実的でありませんから、そういうことはしませんと。後どうやって決めますかというと、それは一種の割り切りにならざるを得ないわけです。
財政問題もありますけれども、もう1つは県民の皆さんの感情。本当に今のままで県民の皆さんが、県職員の給与はこれが本当にふさわしいと思っているかどうかということも、1つはやっぱり我々は考えなければいけない。県民の代表である私も議会の皆さんも考えなければいけないわけです。そういうことを考えますと、例えば5%程度カットするということであれば、県民の皆さんの中にも、全部とは言いませんけれども、ある程度の皆さんは納得してくださる方が多いのではないでしょうか、というようなことを組合交渉のときにも説明したのですけれども、それは全く非科学的だという議論で終始いたしました。
その辺もぜひ皆さん、考えていただきたいと思うのです。世の中というものは、本当に算術的な科学的な根拠がなければ物事が進まないのかどうか。私はそんなものではない、一種の割り切り──私が記者会見で記者の人から5%の根拠はと聞かれてるる説明した中で、一種の相場観のようなものですと言ったのです。それが組合の皆さんには非常に憤慨の対象になったそうで、神聖な給与というものを相場観で決めるのかという批判も受けましたけれども、相場観という株式相場とか小豆相場の言葉を使ったのは多少不見識だったかもしれませんけれども、しかし、意図するところは、一種の割り切りというものがあってもいいのではないでしょうかということです。
そういう考え方に対して、いやいや、ちゃんと科学的なきちっとした公式とは言いませんけれども、そういう計算式に当てはめて出たようなものが要るのだという、それも実は今回の組合交渉の中での入り口論で終始した一つの大きなポイントだったと思います。
3年間というのも、別に3年たったらどうだというものでもないのです。これも一種の割り切りです。ですから、この点も争点になりまして議論していく中で、例えば例のわたりなどの構造的な部分についての見直しをこれから労使の間で話し合おうということにしているのですから、その成り行きによって5%カットというものも、山口議員が全協で両方アジャストすることはないのかとおっしゃられましたけれども、そういう選択肢はあるのですから、例えば組合の皆さんが3年間ということをフィックスするのは嫌で、それだったら例えば1年とかで暫定的にやる手もありますよということも申し上げたのです。別に3年にこだわるわけではありませんと。財政状況もわからないのだし、構造部門の手直しもこれからどうなるかという推移もあるわけだから、とりあえず5%は1年でしておいて、あと様子を見ようかということもこちらから投げかけたのですけれども、それは全く聞く耳を持っていただけなくて、そんな問題ではないということでしたから、状況説明だけ申し上げておきます。
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●警察本部長答弁 |
警察職員に対する5%カットの説明責任についてお答えします。
その前に、警察官の給与がどのように決定されるかにつきましてちょっと御説明したいと思うのですが、公務員の給与は、御承知のとおり、民間給与実態調査を基礎資料として、公務にあっては一般行政職、民間にあっては公務の行政職と類似すると認められる事務について、それぞれの給与を比較考量して決定するという仕組みになっております。
しかし、公安職である警察官の場合には、民間において比較対象とするような職種がありませんので、行政職の給料表をベースとして、それに一定水準を上乗せすると。そういうふうにして公安職給料表が決定されるという仕組みになっております。したがいまして、これまで行政職の給与改定におきまして改善が行われますと、いわば自動的に警察も同様の改善が図られてきたところです。したがいまして、よくなるときは行政職と一緒、悪くなるときだけは警察は別ということはなかなか申し上げにくい、身勝手な主張かなと考えるところです。給与の5%カットが延長されるということが決定された場合には、警察もこれに従うということになると思います。
部内職員に対しては、こうした給与改定の仕組みや現在県財政が非常に厳しい状況にあるということなどにつきまして説明して、理解を得るように努めたいと考えております。
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●人事委員会委員長答弁 |
今議員のおっしゃったのは、労働基本権が制約されている中で、その代償機関である人事委員会としては、給与勧告が無視され、労使合意がないままに条例が提案されたことをどのように受けとめているのかとの御質問だったと思います。
人事委員会に与えられております権限のうち、給与に関する勧告制度は、公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置の権限の一つとして設けられているもので、人事委員会としましては、尊重されることを期待して勧告しております。しかしながら、全国的には過去に勧告どおりに実施されなかったとしても、それが真にやむを得ない理由によるものであれば、人事委員会が本来の代償機能を果たしていないとは言えないという最高裁判所の判例もございます。財政危機を理由とした今回の給与削減が、人事委員会の本来果たすべき機能を損なうものかどうかについては、個々具体的に判断されるべきものと考えております。
今回、提案されております給与の特例に関する条例案については、本議会から意見を求められているところですが、このようなことも踏まえて、現在、労使双方の意見を聞きながら検討をしているところです。
最後に、任命権者と職員団体との合意の問題については、本来委員長としてはコメントする立場にはありませんが、健全な労使関係を維持していくことは必要と認識しております。できれば労使合意の上提案されることが望ましいとは考えていますが、例えば労使の主張が平行線をたどり、合意に達する見込みがないなどやむを得ない場合もあろうかとは思っております。
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<新年度予算について>bQ |
知事に申し上げますけれども、9月から交渉が始まっていると言っておられますが、私も今ちょっと手元に資料がないのですけれども、9月の終わり、20何日か、職員課が来年度の給与削減を検討しますよと口頭で申し入れされ、10月の終わりに正式に文書の申し入れが入っているのです。それからテーブルについた交渉が始まっているのです。知事は9月から始まった9月から始まったと言っておられるのですけれども、その辺の認識をもう一度確認していただけたらと思います。
知事は議論した議論したと言われるのですが、もう少しお互いが対等の立場という部分の尊重する認識の中で交渉が進められていたらなと思うのです。といいますのは、こうして議会でも議論をやるのですけれども、知事の性格からしてしようがないでしょうが、知事のお得意なディベート方式で、双方が余りにも建前論が過ぎたのではないか。知事ばかりではないです。労働組合もです。ぱっと言ったらぱっと返す、自分のそれぞれの思いをとうとうと、知事も30分ぐらいしゃべられますけれども、そういう部分が少し過ぎたのではないか。
本当にこの財政難、難局をどう乗り切るのか、そのためには職員の皆さんの協力をどうしても仰ぎたいという部分での知事の本当に心のこもった思いといいますか、腹を割った歩み寄りがあったら、私は合意できたと思っておりますし、それとやはり知事の出番がぎりぎりなのです。予算の資料も間に合わない。最後見ていると駆け込み交渉なのです。もう少し早目に時間をかけて交渉すべきであったと私は思います。その辺の御所見をお伺いします。
次に、主任・主査制度についてお伺いします。知事、これまで議会の中でも主任・主査制度の廃止の問題について何度か議論がありました。私が聞いている範囲では、いつでも簡単にできるような答弁しかなかったのですが、最近ある日突然、学校事務の職員の現場などは検討しなければならない問題があると急に答弁されるようになりました。それまで主任・主査制度を廃止するのに解決しなければならない、クリアしなければならない問題があることを把握されていたのか、それともそういう事情が知事の方に伝わっていなかったのか、私は少しびっくりしました。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
もう1点、今政府では国家公務員の給与を一律5%カットしようかと言われております。そして、地域給の導入も検討されております。地域給が導入されれば、鳥取県は当然下がってまいります。こうした不確定な要素がある中で、いずれ近いうちに導入される状況下にあります。そうしたときに我が県では、さらに条例どおり5%カットの上乗せをかけていかれるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
こうした不確定要素ではありますけれども、そうした現状を踏まえ、この議会において給与カットの3年を逆に安易に出すことは、職員の立場に立ちますと、将来の生活設計にも大きな不安を与えますし、やっぱり仕事の士気にも影響するものと思います。知事の御所見を求めたいと思います。
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●知事答弁 |
給与カットに関します職員組合との交渉の件ですけれども、9月からというのは、伊藤議員のおっしゃるように9月21日に申し入れをした、予告をした、そこから始まっていると私は認識しております。正式にカットの具体的な内容を詳細を含めて出したのは10月で、御指摘のとおりです。
これをもっと早くしたらどうかというのは、私もあるのだろうと思います。出だし自体をもっと早くするというのも一つの案だろうと思いますし、これは実は組合交渉の中で私も話をしたのですけれども、最後の段階で私が出ていくということなのですが、場合によってはもっと早く、例えば年内にでも、途中段階ででも委員長とトップ同士で話し合う機会があってもいいのではないかという話は実はしたのです。
どうもやっぱり積み上げ方式といいますか、まだ出番ではないとかそういうのがお役所にはよくあるのですけれども、お互いの重大な意思の違いとかそういうものは、もうちょっと早い段階で調整をするということもあっていいのではないかと私も思いますので、それは今回の交渉の一連の経過を振り返ったときの一つの反省といいますか、改善点になるのだろうと思います。
もう1つは、何回も言いますけれども、やっぱり公開した方がいいと私は思います。みんなに見てもらって、その中で組合はどう言っている、当局側はどう言っているということを、公正な立場の人に見てもらうのが一番いいのではないか。密室とは言いませんけれども、非公開ですから、廊下のところにはマスコミの方も何人も聞き耳を立てておられましたけれども、やっぱり中の様子はわからないわけで、時々大きな声が上がったりすると、外の人にも様子がわかるというそういう状態なのです。組合は組合でビラに様子を書いて職員に配りますけれども、我々から見たら、すごく断片的だな、いいとこどりだなと思います。当方はホームページに組合交渉の様子を掲載していますけれども、できる限り中立にということですけれども、それでもやっぱり組合の皆さんから見たら、バイアスがあるよという指摘は多分あるのだろうと思います。
そういう物の見方についても、人間のやることですから、当事者がやると、どうしても客観性、公平性というものは多少阻害されるという面があるのはしようがないと思うのです。そういうことを払拭するには、やっぱり第三者に見てもらうのが一番いいのだろうと私を思います。
今回のも、一連のマスコミの報道、議会との関係でいいますと全員協議会からずっと今日までこの問題をやりとりしていますけれども、公開していれば、本当に問題なかったと私は思うのです。こういうやりとりもほとんどなかったのではないかと思うものですから、これから組合の皆さんの了解、同意も得て、ぜひ公開で話を進めたいと思います。
主任・主査制度の廃止といいますか、いわゆるわたりの問題について、今まで知事は簡単にできると言っていたのに、急に何かいろいろ具体的な問題があると言い出したのは変ではないかと言われるのですけれども、私は振り返ってみて、議会の答弁などで、わたりはすぐ解消できますと言った覚えはないのですけれども、どなたかとのやりとりで私そんなことを言ったでしょうか。もしそういうことがありましたら、御指摘いただきましたら、議事録なども調べてみたいと思いますけれども、私自身、わたりがそんなに簡単に、てんごろやすく一朝一夕に廃止できるということを申し上げたつもりはありません。鉄永議員からも何度となくわたりの問題も指摘がありましたけれども、はい、すぐ明日にでもできますと言ったつもりは毛頭ないのです。
ですから、12月の決議がなされたときも、構造的な問題と当面の5%カットというもの両方が論点であって、並行してやらなければいけないということも申し上げたつもりです。
それはいろんな問題がありまして、例えば既にもう淡々と渡っている人をどうするのかという問題も実はあるわけです。そうすると、既得権の問題とか──既得権にするかどうかも問題なのですけれども、新規参入の人と既に渡っている人との間の調整をどうするのかというような問題もありますし、少人数職場、職域の問題も実はあるわけですから、当然私自身もわたりを改善するときの問題点というのは認識していたつもりです。
ただ、今回の一連の問題で具体的に決議があって、いよいよ主任・主査の問題について組合に提示をした段階から、いろんな情報が入ってくるようになりました。その点では、従来職員課から聞いていたことよりも、より詳細な情報が入ってくるようになりました。組合交渉で組合の方からも若干聞いたことはありますけれども、私が一番詳細情報を得たのは、具体的に現場にいる職員の人からの声です。お手紙が来たり、そのお手紙も抗議の手紙であったり、実情説明の手紙であったり、メールも随分いただきました。知事の公開メールへの職員からのメールも随分ありまして、それも玉石混合と言うと失礼ですけれども、いろいろなメールがあるのですが、中には本当に理解しやすい、現場の様子がよくわかる、職員の気持ちがよくわかるメールもありました。
どなたとは言いませんけれども、西部の学校事務職の女子職員ですけれども、その人からも私から見て非常にわかりやすいメールをもらって、なるほどなと思って、改めて実情というものを再認識したような次第で、ですから、何も理解していなかったところに、突如学校職員のことを言い出したというわけではなくて、あらかた理解していたところに、今回の一連の問題でいろんな情報をもらって、深く再認識をした、改めて認識をしたということです。
国家公務員について、国家公務員も全国展開していますから、地域差を国家公務員の給与に反映させるべきではないかという議論があって、これが具体化しようとしている状況だと思います。そうなると、例えばこの近辺、中国地方とか鳥取県で勤務する国家公務員の給料は、地域給与ということで今よりも変わってくるかもしれない。そうすると、従来のやり方ですと右へならえで、地方公務員の方にも総務省の方からそういう指導といいますか話が来るので、そのときまでためておいて、そのときに解決したらいいじゃないかと、そういうこともあるのかなと思って伺っていましたけれども、1つは、理念的なことを申しますと、地方分権の時代になって、国が給与を決めて地方公務員も右へならえというのは変だと私は思うのです。国家公務員がどうあろうと、地方公務員は地方公務員でそれぞれの自治体で決めるというのが給与の原則だろうと思うのです。従来のように護送船団で、国の人事院が勧告したものが全国津々浦々同じような率で及ぶというのは変だと私は思うのです。少数精鋭でいくところもあるし、それぞれの自治体によって流儀も違うし、職員自体の質も違うかもしれない。それを給与だけは全部全国統一というのは、いずれ護送船団時代の遺物になるだろうと思うのです。ですから、基本的にはそれぞれの地方団体で所定の手続で決めていくということになるのだろうと思います。これは理念型です。
ただ現実には、やっぱり護送船団的な色彩が中央政府にもまだ残っていますから、国家公務員に地域給与を適用するとした場合には、地方公務員もやりなさいよということが多分出てきて、それをどう受けとめるかということが論点になるのだろうと思います。
それは、私は理念に基づいて、自治体は自治体で給与を決めていくのだという原則のもとに、そのときに国家公務員の給与の動向というものを参考にしながら、我が県の公務員はどうするのかということを、そのときに検討して決めればいい話だと思います。 具体的には、地方公務員の給与は、生活費ですとか、地域の民間の労働者の賃金ですとか、他の地方公共団体の給与ですとか、国の公務員の給与などを参酌して決めるということになっていますから、そのときの参酌する国家公務員の給与というものが、従来の全国一本の体系から地域給与に比較すべき対象が変わるということだろうと思うのです。その結果、それぞれの自治体の公務員給与の現行の水準はどうあるべきか、改正しなければいけないのかどうかという点検を、我々も議会も加える。そして人事委員会はどうせ調査をしますから、そのときにそれが反映されるかどうかだろうと思います。
ですから、そうなったらそうなったでそのときに、そのときの県職員の給与水準が妥当かどうかということを点検したらいい。自動的に深彫りするとかそういう問題ではないと思うのです。そのときにどうするかということを検討したらいいと思います。
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<新年度予算について>bR |
最近知事は、財政再建団体への転落の危惧があると、あらゆる場所で示唆をされ始めております。今日の状況の中で財政見通しを立てるということは極めて困難な作業ですし、知事は嫌でしょうけれども、私は財政再建計画といいますか、健全化計画といいますか、やっぱりつくられるべきだと思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。
先日、智頭町で、議員提出議案という形で職員給与20%カット条例が提案され、一たん可決されたものの、最終的には再議の結果否決されました。町村は県のように人事委員会という意見を聞く第三者機関を持っていないわけですけれども、町村での出来事でしたけれども、一連の議会の行動について知事の御所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
県の財政で、このままでいくと財政再建団体入りする可能性があるというのは、私は示唆ではなくて明示的に言っているつもりです。といいますのは、全員協議会のときにも中期財政見通しというものを出しました。あれは、必ずこうなりますよというものではないわけですが、今のままで手をこまねいていると、こうなってしまいかねませんよということで、それはすなわち、あのグラフを見ていただくと、確実に財政再建団体になるということを明示的に示しているわけです。そうならないようにしなければいけないということを、議会の皆さんと私どもと共有しましょうというそういう資料です。
そうならないために財政再建計画をつくるべきではないかという伊藤議員のお考えは、私は一理あると思うのです。ですから、できることなら中期財政見通しに至らない、ならないような健全な財政見通し計画というものをつくるべきだと思うのですけれども、何分県の中で一般財源としての一番重要な比重を占めております交付税の動向というものが、私たちでは決められない。予測もなかなか難しいという面があるわけです。
税収だけで交付税が決まるのでしたら、ある程度の予測はできるのですけれども、そこに人為的な政策が入ってきまして、7兆円、8兆円削らなければいけないという勢力が中央政府の中にいたりしますと、それをどういうふうに見込むのかということになるわけです。交付税は減りませんということで勝手に見込むことは簡単なのですが、それが果たして現実的なものなのかどうか。それを前提にして財政計画をつくったらどうなるのか、整合性があるのかどうかということになりますし、それでは潔く大幅にカットすることを前提に財政計画をつくりますかというのもいささか非現実的ですし、矛盾したことになると私は思うのです。一方では政府に対して大幅な交付税カットはけしからぬということを理論立てて説明しているときに、内輪では大幅カットになることを受け入れるような財政計画をつくるというのも何か変な話なものですから、ちょっとその辺がためらわざるを得ないところなのです。
要するに綱渡り的な財政運営をやっていますので、できるだけ情報公開をして、そのときそのときの置かれた環境の中で精いっぱい将来を見通して予算編成、財政運営をやっていくということしかしようがないのではないかなと思っているところです。
智頭町の件につきまして所見ということですが、智頭町は智頭町の出来事で、私どもも関与していませんし、また内情もわかりませんので、取り立てていいの悪いのと言うつもりはありません。
ただ、地方自治、地方分権の時代になりますと、先ほど触れましたように、給与の問題も護送船団的ではなくなります。従来は国が決めたり国が指針を示したり、その中で物事が決まっていた。そうすると、国の指針に対してどう思うかというのは設問としてはあり得たわけです。ところが、地方分権の時代になって、それぞれの自治体で物事の重要なことを決めていくということになりますと、最終的には議会の判断になります。そうすると、議会が一定の意思を表示するということは、ああいう形であってもあり得るだろうと思います。
ただ、それが妥当かどうかという検証がまた必要になるわけで、それが今回の場合には再議ということになって、再議に付したところが否決をされたという自治法の所定の手続で一定の解決を見たわけですけれども、あれが例えば可決されていたらどうかとなりますと、今度は公平委員会の方で意見をどう出すのかとか、公平委員会の方で官民格差というものをどういうふうに見るのかという問題になって、そこで例えば20%カットしたことが、智頭町の民間の給与所得者との間で非常に格差がありますよとか、他の類似の地方団体との間に大幅な格差がありますよということが仮に認められれば、その段階でまた町と議会に勧告が出てくる。そういう手続で、国とか県の関与を経ないで自律的にシステムとして動いていく、これが地方分権の時代だろうと思います。 |