平成17年2月定例会一般質問(平成17年3月10日)No.2

<個人情報保護法について>
  個人情報保護法、いよいよこの4月から全面施行されることになりました。個人情報保護法については、昨年の12月、我が会派の湯原議員が質問されているわけですが、少し観点を変えて質問したいと思います。
  既に県下の各自治体では、個人情報保護条例という形で施行されているわけですが、このたびの法の施行では、民間事業者への規制が主なねらいとなっております。高度情報化社会を迎え、私たちの生活は個人情報を利用したさまざまなサービスができるなど、随分便利になった反面、個人情報が誤った取り扱いをされた場合には、取り返しのつかない被害や損害をこうむるおそれがあり、国民の間にはプライバシーに関する不安も高まっており、その情報の取り扱いや情報の管理をルール化したものが個人情報保護法であると私は理解しております。
  この法律の施行を前に、 5,000件以上の個人情報を保有する事業所については、各省庁別のガイドラインに基づき、業界別にかなり徹底した指導がされているところもありますが、意識の啓発さえ行われていない中小企業等もあり、その取り組みについてはかなりの濃淡があるものと思われます。
  県としては、各種会合で法の趣旨を説明したり、「県政だより」等で啓発はなされているものの、その取り組み状況について、現状認識と今後の取り組みについてお伺いします。
  私どもの自宅には、各市町村の広報紙を初め各種業界の情報誌が送られてくるわけですが、個人情報保護法に関する記事を目にすることはなく、本当に大丈夫なのかと心配するところです。逆に住民の皆さんの方が情報も豊富であり、企業や事業所の意識改革が急がれるものと思います。 
  特に市町村は、合併前後の事務に忙殺され、それどころではないかもしれませんが、いま一度市町村との連携を密にし、周知のあり方を検討されたらいかがなものかと思います。 また、市町村自体も個人情報という概念が全職員に徹底されているかといえば、極めて不安な状況にあると私は思います。法や条例の趣旨にのっとった情報の公開や情報の管理をいま一度点検する必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 
●知事答弁

  個人情報保護法の問題ですが、伊藤議員の余りちゃんと伝わっていないのではないかというのは、私も同感です。県としても、啓発に努めたりいろいろ取り組みをして、例えば「県政だより」などにも大きく取り上げたりしているのですけれども、これがなかなか広く世の中の関心を呼ばないというところに、私も問題意識を持っております。
 1つは、実際に国民、県民、市民の皆さんにどういうかかわりがあるのかということが、いま一つ具体的にぴんと来ていない面があるのではないか。これは1つ指摘できると思うのです。実は抽象的な説明が多くて、事業者が守らなければならないルールとか、個人が事業者とのかかわりの中で何ができますかというようなことを啓発などでもよくやるのですけれども、実際にどういう局面で、個人がどういう権利を行使できるとか、どういうクレームがつけられるかというのが、具体的なケースとしてなかなかイメージできない。実はそういうことがこの問題の背景にあるのではないか。
  皆さん方もいかがでしょうか。個人情報保護法で、一人の個人として、この法律に言う事業者に対してどういうかかわりが持てるかということを明快にイメージしておられるでしょうか。実は私もなかなかそういうことがイメージできなかったので、いい機会でしたから、イメージをつくる作業をやってみましたけれども、これからぜひ啓発とかする場合も、一人一人から見てどういうかかわりができるのかというところに視点を置いて啓発をしたらいいと思いますので、県としてはそういう努力をしていきたいと思っております。 
  なお、現状等につきましては総務部長の方から御答弁申し上げます。
  この問題について、市町村の方の熟知度といいますか、市町村の職員の認知度も低いのではないかというのは、多分そうだろうと思います。これは大変重要な問題ですから、市町村でもぜひ主体的に取り組んでいただきたいと思いますし、それぞれの市町村の取り組みについては、当該市町村の首長さん、市町村長さんや住民の代表の議会の皆さんがこの問題に関心を持っていただいて、それぞれの我が町のこの問題に対する取り組み状況を点検していただきたいと思うのです。
  ただ、それだけでうまくいくかといいますと、ちょっとおぼつかない面もありますので、県としても市町村と連携をとりながら、この法律がうまく施行されるように、これからも努力をしていきたいと思っております。

●総務部長答弁
  個人情報保護法の関係で、広報の現状等ですけれども、県としては、これまで県内の各団体ですとか事業者を対象とした説明会を開いておりますほか、団体ですとか事業所からの個別の要請を受けて、出前説明等を行っているところです。
  特に最近では、業界団体自身も自主的に研修等に取り組んでいらっしゃるところです。例えば私学振興会がなさったり、JAとっとり中央会がなさったり、あるいは産業看護研究会などがおやりになっていらっしゃいます。また、地域としては倉吉の商工会議所でも、そういう研修会を行っていらっしゃるところです。
  県としても、先ほど知事からありましたけれども、「県政だより」の3月号、今月号で個人情報保護法の概要について広報に努めたところですけれども、今後は、より具体的なイメージがわかるような広報に工夫を加えていきたいと考えております。
<個人情報保護法について>bQ
このたびの議会に鳥取県個人情報保護条例の一部改正として、実施機関に公安委員会、県警本部が加えられ、施行は1年以内となっております。特に公安委員会や警察本部においては、ある面情報収集が仕事であり、ルール化されていない情報や捜査情報を含めて膨大な個人情報があるわけです。マスコミへの被害者の情報公開を含めて、今後の情報公開の開示に係る対応並びにガイドラインづくりについて、さらにまた施行予定時期について、県警本部長の御所見をお伺いしたいと思います。
●警察本部長答弁

 まず、マスコミへの個人情報の提供についてですが、県警で行っておりますマスコミへの情報提供は、犯罪被疑者の検挙であるとか交通死亡事故を初めとする重大事故の発生など、事件、事故に関するものです。これは、県民の方に犯罪等の実態をお知らせして注意喚起を図り、犯罪等の発生を抑止するという公益目的で行っているものです。
  では、公益目的があれば何でもマスコミへ情報提供してよいかというと、それは必ずしもそうではなくて、個人情報の提供につきましては、特に被害者の個人情報についてですが、プライバシーの観点からこれを保護するということも大事です。
  そこで、マスコミへの個人情報保の提供につきましては、法令の規定、また情報提供の公益性とプライバシーの保護を比較考量して、個別に検討を行っているところですが、少年被疑者、性犯罪や暴力団犯罪の被害者につきましては、プライバシーの保護、また再被害防止等の観点から、実名での情報提供を差し控えると、こういう基準で運用しているところです。
  今後、個人情報保護条例の実施機関になるということでもありますので、この条例の趣旨を踏まえ、慎重かつ適正に対応していきたいと考えております。
  条例の中に個人情報の開示請求というのがあります。それの対応と審査基準についてお答えいたします。
  個人情報保護条例の開示請求制度は、本人が自己の個人情報について開示請求する制度です。この際、例えば犯罪歴については、本人でもそうした情報にお答えすることにすると、例えば就職の際に雇用主が犯罪歴の開示請求結果をとってこいということを要求するなど、就職の際に悪用されるというおそれもあります。また、犯罪捜査の対象となっている者の個人情報につきましては、請求があったからといって、それを開示いたしますと犯罪捜査に支障を及ぼすということにもなります。こうしたことから、条例では、開示請求制度の適用除外の制度とか、非開示情報の類型を定めているところで、今後開示に当たりましては、こうした条例の規定に基づき適正に対応していくとともに、今後県と協議の上、審査基準を作成して対応していきたいと考えております。
  次に、施行の予定時期についてですが、条例により交付後1年を超えない範囲となっておりますが、今後県警としては、いろんな作業がございます。1つには、個人情報取扱事務登録簿というものを作成しなければならないということ。それから、条例の中に個人情報の収集、利用提供制限などいろいろ規定がございまして、現場で活動する個々の警察官の適正な判断と対応が今後必要となってまいります。そこで、全警察職員に対して、この条例の趣旨、各規定の意義、あるいは個人情報の具体的な取り扱い要領などをきちんと研修、教養して徹底を図る必要がございます。こうしたことから、相当な準備が必要となります。十分な準備期間を設けていただきたいと考えているところです。
  最後に、本条例の実施機関入りに当たり、個人情報は個人の人権尊重の理念のもとに慎重かつ適正な取り扱いを図らなければならないという基本理念を徹底させるため、今後、全職員に対して個人情報保護の取り扱いのルールを周知させ、個人情報の不適切な取り扱い、また漏えい事案といったものが発生しないよう、指導、教養を図っていきたいと考えております。