平成18年11月定例会一般質問(平成18年12月6日)No.3
<鳥取県道路積雪情報システムついて> |
この鳥取県道路積雪情報システムは、通称雪ナビとして大変親しまれ、昨年だけで80万件ものアクセスがあったと言われております。県内の峠に、昨年までで21カ所。今年度さらに3カ所で整備が進められております。私も冬期間、県外に車で出かける前に、この雪ナビで峠の積雪情報を見てから出かけていますが、一番便利なことは、家庭のパソコンから簡単にアクセスできるという気軽さにあります。ところが、この雪ナビ、設置されたきっかけは、本当に些細なことからであったようです。中部総合事務所県土整備局では、中部地区の峠に積雪観測員を設置しているわけですが、三朝町の俵でお願いしていた積雪観測員が高齢で辞退されたのに伴い、後任者を探したものの、適任者がなく困り果てていたときに、たまたま居合わせた業者と雑談をしていたところ、開発してみましょうかという話になり、実現化された経緯があります。 国交省でも、国道の峠にカメラが設置されているわけですが、大手企業の方法では専用回線を引くなど、工事費も数千万円と高く、予算のない鳥取県ではなかなか対応できる代物ではありませんでした。ところが、中部県土整備局の発案で開発された雪ナビは300万円程度と価格が安い上、家庭のパソコンから気軽に必要な峠の情報が入手できるのが魅力で、県下の峠で設置整備が進められております。全国的に見ても、鳥取県のように県独自で雪ナビサービスを実施しているのは、ほとんどないそうです。雪ナビの設置を思いついた職員、またそれを安い価格で開発したベンチャー企業を、私はもっと称賛したらいいと思いますが、知事の所見をお伺いします。ところで、こうしたソフト開発を伴う工事の発注並びに検査のあり方について、県としてはどのように対応をしてこられたのか、お伺いします。 |
●知事答弁 |
|
●田所県土整備部長答弁 |
御質問の中で、いろいろ触れられていたと思いますが、ちょっとダブるところもありますが、平成14年度から中部県土整備局が除雪のための観測を自動化、観測員が高齢となってまいりますので、自動化するために地元企業と協力してシステムを開発したものです。インターネット、携帯電話から簡単に状況が把握できることから大変好評で、アクセス件数も多い状況です。こういった安価で、県民のニーズに合ったシステムができたということは、非常に評価できることだと考えております。 続きまして、こういったソフト開発を伴う工事の発注や検査のあり方ということです。通常の工事発注を行う場合、工事やシステムの内容を定めた仕様書を作成して、それに基づいて発注しております。大規模なシステムの場合には、システム設計の業者委託を行って仕様を定めております。小規模なものはおのおの事業担当課で仕様を定めて行政経営推進課で専門的な視点でチェックを行って発注しております。また、検査については、一部検査室の電気技師等で検査されている例もありますが、本県については、おのおのの場所の工事規模が小さいこと、仕様書できちんと内容が定められていることで、実質的に県土整備局の課長補佐が検査員となって検査を行っているという状況です。 |
<鳥取県道路積雪情報システムについて>bQ |
工事の発注は、職員の皆さんが仕様書、特記事項を付して発注されているわけですけれども、ソフトの開発に伴う成果品の検査については、成果品をきちんと評価できる能力があるかといえば、私は極めて難しい現状にあると思っております。 特にソフト開発を伴う成果品については、ソフトの著作権も発生するなど、シビアな問題も含まれているわけで、今後はこうしたソフトとハードを一体とした発注がやっぱり多くなるものと私は予想しております。そうしたときに、成果品のソフトを含めて、きちんと評価や検査ができるプログラマーなどが、私は不可欠だと思っております。その対応について、知事の所見をお伺いしたいと思いますし、また、ソフト開発を伴う工事請負契約書の中で、著作権等に関する条文が、極めて理解しがたい条文、表記になっております。最初のころは、わずか3行ぐらいですが、本当に簡単で、どうにでも解釈できるという感じですけれども、やっぱりもっと簡潔でだれでもわかりやすく、しかも開発したソフトの著作権が保護される条文に私は改める必要があると思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。 さらに、シンドラーエレベーターの事故に見られたように、製造メーカーと管理委託業者が異なったために、組み込まれたソフトの対応ができないために、全国各地で多くの事故が発生するなど、社会問題になりました。このように、このたびの雪ナビシステムについて、維持管理を行う業者を別途入札で県も決められたようですけれども、エレベーターの事故と同様に、維持管理上のトラブルが発生しないかとか、また、先行してプログラムを開発した業者の著作権が守られていくのか、知事にお伺いしたいと思います。 そうした中で、やっぱり耐用年数がそう長くはないものについては、債務負担行為で弁達費用も含めた発注も私は一つの選択肢として考慮すべきだと思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
|
●瀧山総務部長答弁 |
まず、システム調達について、その評価、検査をきちんとできるようにプログラマーが不可欠ではないかというお尋ねですが、システム調達につきます、調達で検査する方法ですけれども、これはプログラムそのものを、その内容を読みとるというよりは、業務に精通した職員がシステムを使ってその業務がきちんとできるのかどうか、そういうランニングといいますか、運用をしていく。ですから、一定期間仮の稼動をしてみて、それを検査し、そのプログラムされたものが、きちんとしたものなのか検査すると、そういう照合、検査の仕方が一般的なのかということです。ですから、プログラマー等の専門家がいれば、それはこしたことはないと思いますけれども、当発注した検査においてプログラマーが絶対必要かというと、必ずしもそうではないのではないか、むしろ、一定期間仮可動しながら検査するという、そういうことが非常に大切だと思っております。そのために、そういう検査期間、仮稼動期間を作業の工程上確保するなど、検査期間を十分とれるような仕組みに今努めているところです。 また、ことしの4月からこういう検査の方法等について、特にこういうシステム開発、ソフトの開発については、システムの調達のガイドラインというのも今まで定めておりませんでした。ことしの4月に仮の試行運用、ガイドラインを原案作成しまして、今それが適正かどうか試行運用しているところですけれども、その中でも、検査期間の十分な確保について、今回の件もありましたので、改めて検査期間を十分にとるようにというような明記をしたいと考えているところです。 それからソフトの開発を行う場合の開発者の著作権ですとか、条文がわかりやすくというような御質問ですけれども、従来の情報システムを調達する際には、県が著作権を取得していなかった。そのために補修ですとか、改修ですとか、更新するときに、当該最初に開発した業者と随契するしかなかったのですけれども、そのことがトータルコストを高めるライフサイクルのコストを高めていくという要因もありました。現在は、保守や改修に対してそのような競争原理が生かせるように、県が著作権を取得するように最近改めているところです。もともと企業が持っていたノウハウですとかプログラムで企業に著作権が留保されるものについても、県の業務での利用に限定してプログラム改変ができるというようなことも試みているところです。ただ、議員のおっしゃられたように開発業者自身が著作権を使ってさらに利用する、あるいは収益に向かうようにするというようなこともありますので、県内のIT産業の育成ですとか、県内の経済の発展というような見地からも、企業が開発したソフトウェアについては、開発者と著作権を共有するとか、企業側にもソフトウェア全体の著作権を保留するとか、あるいは販売ができるような、そのような仕組みも必要ではないかということで、これは現在検討しているし、その仕組みを検討していきたいと思っております。それから、契約書の表現等ですけれども、なるべくわかりやすいようにしたいと思っております。また、権利関係の帰属についても明確に規定していきたいと思っているところです。 最後に、製造メーカーと管理委託者が異なったために事故になったり、あるいはそれらを避けるために債務負担行為を使ったり、メンテナンス費用を含めた発注も考慮すべきではないかとのご質問でしたけれども、全くそのとおりだと思っております。特に、大規模なものにつきましては、そのようなことも考えているところです。全部が全部、そういうことができるとは思っておりませんけれども、多額の金額を要するような、例えば、電子決済のシステムを開発して今運用しているのですけれども、これにつきましてはシステム調達段階で、保守、運用にかかわる後年度の負担額の提示を求め、総合的に業者を選定したというようなこともしておりますし、厚生病院の電子カルテシステムの導入につきましては、後年度負担に関する債務負担行為の議決を得た上で、科学と技術を総合的に評価する、総合評価方式というようなものを導入してということもありますので、そのあたりは、システムの開発に内容、経費、メンテ方法、それらを総合的に考えて工夫していきたいと思っております。 |
●田所県土整備部長答弁 |
|