<不適正な資金造成について> |
今議会でこの問題は議論のメインテーマになっていますが、私はもっと冷静に議論するべきだと思うのです。かといって、闇に葬ろうというのではありません。全国的に大がかりな不適正な資金造成、つまり、裏金といわれる問題が、次々と発生したことにより、県議会での議論があり、さらには職員OBからの情報により知事が調査に着手し、結果的には職員が従来から処理に困り果てていた諸々の物が出てきたのです。知事はないという自信があったかもしれませんが、訳の分からない異物を抱え込んで困っていた職員は、身ぎれいになりたい一心から今とばかりに次々と公表したものと思います。私は、公表した職員の皆さんは、ある意味ではとても素直であると思うのです。
逆に、公表の仕方に少し問題があったのではないかと私は思います。このことは問題をうやむやにしなさいということではありません。もう少し慎重に調査して、不適正な資金造成と言われるものであるのか、それとも適切な経理処理をすれば問題ないものとに分けて対応すべきだったと思うのです。その上で不適正な資金造成と思われるものについては、資金の造成の手法、背景、使途などをしっかり調査すべきで、その責任の所在、賠償などの処理方法を明らかにすべきものと思います。初めの公表の仕方では、公表されたすべてが、他県で発覚した不適正な資金造成、つまり、同様な裏金のような印象で県民の皆さんに受けとめられてしまったものと思うのです。この公表のあり方について知事の所見をお伺いします。
石差代表監査委員にお尋ねします。議場での議論の中で、決算審査の過程で見抜けなかったのは、監査委員並びに議会の責任と言わんばかりに片山知事は発言されているわけですが、行政監察室から公表された不適正な経理処理による資金造成等に関する調査結果の中に、監査委員として過去に指摘してきたものが含まれていないのかお尋ねしたいと思います。もしあるとするならば、具体的に指摘時期、指摘事項を示していただきたいと思います。
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●知事答弁 |
いわゆる、簿外経理の問題で、この議会でさんざん議論しましたけれども、伊藤議員から、ミソもクソも一緒に公表したので、誤解を与える面があったのではないかという御指摘ですが、そういう面はなきにしもあらずだと思います。他県で、いろいろ議論になりましたものと、それから本県で詳細に調査して、細かいものまで、もう些細なことまで全部洗いざらいこの際出したわけですけれども、調査の結果を出したわけですけれども、調度タイミングが重なったものですから、他県のケースと。なんとなく、その裏金とか簿外とかということですべてが一緒になってしまって、金額比較みたいなことになった面があるわけです。その点は、伊藤議員のおっしゃったことは当たっている面もあると思います。これは、他県でこのようなケースがなければ、例えば本県のケースの調査結果の大半は、実は通常の監査委員の指摘事項の範囲以内に収まるものが多いと思います。一部、やはりそうは言っても、例えば園芸試験場の販売収入を少し分けていた、脇に寄せていたなどというのは、これは決してあっていけない、あってはならないことですけれども、他のいろいろな細々としたケースは、後で代表監査委員の方から答弁があると思いますけれども、これまでも通常の監査で指摘されて、その都度直してきたのと似たようなものがあるわけです。そういうものがごっちゃになっていたので、誤解を与えたという面は、なきにしもあらずだと思います。ただ、調査結果の報告をよく見ていただきますと、それなりにきちっと仕分けはしているのです。詳細を読んでいただきますと、非常に問題性の高いもの、それから、これから気をつけるべき通常の監査の指摘に類すること、という仕分けができるようになっておりますので、それなりに配慮はしているつもりなのですけれども、なにせ詳細にわたる調査、特に先立っての調査結果はかなり詳細にわたるものですので、ついその金額だけで物事を総括してしまうというとらえられ方をされたということはあったのだろうと思います。これから、この種のことがあってはならないことですけれども、また仮にこういうケースがあった場合には、伊藤議員の御指摘も踏まえて、よく注意をしておきたいと思います。この点について、公表の仕方など御指摘もありましたので、行政監察官の方から補足の答弁を申し上げます。
なお、先ほど代表監査委員に対する質問の中で、まるで知事は今回の件が監査や議会の責任と言わんばかりに、とおっしゃいましたけれども、そういうことは私申し上げているつもりはないのです。そうではなく、私も予算の編成の仕方とか、それから従来からあった使い切りの悪弊といいますか、悪い慣行をやめようとか、やめるべしとか、それから透明性を高くしてチェック機能を強化するということを一生懸命やってきたけれども、やっぱり脱漏があった。その点については内心じくじたるものがあるということを申し上げた上で、でもその世の中というのは完璧ということは、なかなか理想ですけれども帰しがたいので、それを補完する意味でチェック機能というのが備わっているわけです。それが、監査委員の監査機能であるわけですけれども、それでも、今回のケースは、その細々としたケースは見つからなかったわけで、したがって、その監査委員が悪いとかと言っているわけではなく、監査委員が一生懸命やってくれてもまだ脱漏もあったということ、これを踏まえれば、より一層チェックシステムというものを改良しなければいけない、充実しなければいけない、とこういうことを申し上げたわけで、その責任をどこかに転嫁して、だれかが悪いと言っているわけではないのです。そういうことは、言わんばかりに言っているわけではありませんので、要はこれほど、私など含めてみんなで一生懸命改良に努めてきたけれども、まだやっぱり脱漏があったので、より自己チェック機能と、それから他者による監査委員のチェックなどの機能を強めなければいけないということを申し上げたわけです。
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●法橋行政監査官答弁 |
今回の不適正経理の問題についての調査ですけれども、この調査はもともと投書を端緒にして始めたわけですが、1つは不適正な経理処理の資金造成というのは今行われているのかどうか。あるいは、過去に造成した資金が存在しているのかどうか。これを基本的に焦点にして調査したわけです。ただ、第1回の調査で、いろいろもうちょっと適切にやった方がいいのではないかという事例もたくさん出てきたので、この際、業務改善ということもあり、こういったものも含めて徹底的に調査したということで、調査したものについては、基本的にはそれぞれの性格というものをきちんと把握して、分類整備した上で、調査報告書はつくったつもりです。確かに、いわゆるそういう不適正、園芸試験場のような類型のものというのはそんなに多くないわけで、もう少し適切にやれば済むというようなものも多いわけですけれども、いずれにしても、簿外で処理していたということは確かです。そういったものをやはり改善に結びつけるという意味で、すべて洗いざらい出したということ自体は、私としては公正な調査結果の発表の仕方ではなかったかと考えております。整理として、もう少しやはり報道機関あたりにも、詳しく説明すべきだったかというところはあるかと思います。 |
●石差代表監査委員答弁 |
今回の行政監察室から公表された不適正な経理処理による資金造成等に関する調査結果の中に、監査委員が過去に指摘したものが含まれていないのかということでした。監査委員は、定期監査などで発見された法令等に違反した事案など、改善を要するものについては、指摘を行ったり、改善に資するための監査意見を地方自治法に基づいて述べているわけです。過去の指摘、意見の中には、今回の調査結果のケースと全く同一とは言えないまでも、関連した内容のものが幾つかあります。以下、関連した内容のもので、最近のもの4つについて、具体的な指摘等の時期、その内容について述べたいと思います。
まず、1つ目、生産物の場内販売。場内販売というのは、例えば、試験研究機関の中の職員への販売ですが、生産物の場内販売の不適性についてです。平成16年11月4日に提出した定期監査報告で、監査意見として取り上げたものですが、その内容は、農林水産部所管の試験研究機関で、生産物の約50%が卸価格と同等な安い価格で職員に販売されていたので、場内販売が透明性を備えたものとなるよう、その取り扱いについて見直されたいと述べております。
2つ目、時間外勤務手当の支給の不適性についてです。平成17年10月21日に提出した定期監査報告で、これは指摘事項として取り上げたものです。その内容ですが、県有の船舶の乗組員の時間外勤務手当について、時間外勤務実績の有無にかかわらず、手当を一律に支給していたというものです。
3つ目、切手など、郵券の不適正な管理についてです。平成13年11月29日に提出した定期監査報告で、これは指摘事項として取り上げております。その内容ですが、農林水産部の地方機関の郵券について、在庫量を的確に把握していなかったため、年間使用額を大幅に超えて保有していたというものです。参考までにこの機関の年間の使用額は、約190万円でしたが、年度末に約1,500万円の切手等が存在していたものです。
4つ目で、冊子等の刊行物の有償頒布の検討についてです。平成17年2月21日に提出した冊子、パンフレット等の作成事務についての行政監査の報告で、監査意見として取り上げたものです。その内容ですが、県が相当な経費をかけて作成した刊行物が、希望した一部の県民に無償で提供されている状況が見受けられたので、刊行物の個別提供に当たっては、受益者負担の考えのもとに、価額設定等のあり方を検討の上、有償頒布制度の創設について検討されたい、と述べておるところです。
監査は、限られた時間と、限られた人数で行うものです。このため監査の対象となっている事項については、その一部を抽出してチェックする方法、いわゆる試査と言いますが、この試査を基本的な監査手法として実施しておるところです。したがって、同じような事務処理をしていながら、監査の指摘等を受けないこともたまたまあるわけです。このような場合、うちは指摘を受けなかった、よかったよかったと喜ぶということではなくて、他の機関の指摘、意見を他山の石としてみずから再点検や検証を行っていただき、積極的に改善に努めていただくよう、この機会をお借りして強く訴えたいと思います。
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<不適正な資金造成について>bQ |
先ほど知事、代表監査委員から報告がありました。議員の皆さんも、代表監査委員の皆さんもそうですけれど、今思いが出ましたが、やはり知事の発言に対しては、我々も真摯に受けとめています。知事がやっぱり議会責任というボールを投げておられますから、そういう意味でああいう表現をさせていただきました。逆に、先ほど報告がありましたけれども、知事の任期中にほとんどのことがある程度、ある程度でなく、ほとんどのことが指摘されております。
要するに、監査委員のチェックが甘かったというようなことを言われますが、サンプルの中での監査ということで大変であったと思いますけれども、監査委員の皆さんは、逆に言いますと、本当に、今あったように、いい仕事をしておられますよ。逆に、問題は、執行部にあったのではないでしょうか。監査に基づく指摘事項については、指摘された関係機関だけで改善されてきたものの、直接指摘されていないその他の機関については、自分のこととして検討やチェックをしてこなかった。この結果が、今日の問題になったと思っております。やっぱり執行部全体が、認識してこなかったということに、一番大きな問題があると思っております。今後の一つの方向として、監査の指摘事項を執行部全体が真摯に共有して改善していくようなあり方なり、システムを私は考えるべきだと思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
監査のミッションといいますか、監査の役割と、それから当方の受けとめ方、受けとめるべき受けとめ方というのは、先ほどの代表監査委員の答弁のとおりだろうと思います。私も、知事になってから、監査機能というものを非常に重視していますので、みずからもチェック機能を強化するけれども、離れた距離間のある、第三者的な監査委員からの監査というものをきちっとやってもらって、それを直していくということに努めているわけです。直接的な指摘があったものはもちろんですし、それから1つの案件で指摘を受けたら、それに類似する他の同様のことが起こり得るような箇所についてもできる限りそれを応用して、普遍的に受けとめるということを努めてきているわけです。それは先ほど監査委員がおっしゃったとおりなのです。それでも、やっぱり今回のようなことが起こったということで、例えば、郵券についても、実は表の郵券といいますか、ちゃんと簿外でなくて経理されているものについて指摘されたわけで、今回幾つかの箇所から郵便切手が出てきたのは、そもそもそういうのに乗ってないもので、簿外になっていたものですから、今回改めてしっかり調査をしたら出てきたという面で、応用が必ずしもきかない、そういうものが残っていたわけです。ですから、御指摘の点はそのとおりなのですけれども、それでもやっぱり漏れがあったということ、そういう点をこれからまたどうやって、今回直しますけれども、今後のこととしてどうやってチェックシステムを強化してくのか、忠実が必要ではないかという、こういう提言をして、今回監査委員の定数増も提案していますけれども、そういうことも踏まえて監査機能の充実ということを提案しているわけです。
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