平成18年6月定例会一般質問(平成18年6月27日)No.1
<自殺防止対策について> |
冒頭に、知事に一言お礼を申し上げたいと思います。5月18日に会派「信」の知事要望として、遊休農地解消対策の1つとして軽油引取税の課税免除対象に農作業受託も追加すべきだと申し入れをしましたが、知事の政治的判断で6月6日から適用していただき、素早い対応にお礼を申し上げるとともに、遊休農地解消対策の一つになるものと思っております。 それでは、質問に入ります。 我が国では、8年連続で自殺者が年間3万人を超えるという深刻な状況の中で、さきの国会において、自殺の背景には、さまざまな社会的な要因があるとして自殺対策基本法が成立しました。 このことは、今日の社会をつくり出してきた政治的責任を、ある意味では政治家が認めたということであり、自殺予防に向けた小さな一歩であると同時に、その一歩を確実なものにしなければならないと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 また、この基本法には、自殺対策として、自殺を未然に防止するための啓発を中心としたプリベンション、今まさに起きつつある危険な行動に介入し、自殺を予防するインターベンション、不幸にして自殺が起きてしまったときに、遺族や周囲の人々の心をケアするポストベンションと、大きく分けて3つの概念が盛り込まれております。 県としては、この基本法の成立を受け、さまざまな取り組みを計画されていることとお聞きしたのですが、さらに、官民一体となって取り組みをしなければならない問題であると思っております。 特に、我が鳥取県の場合、仕事盛りの40代、50代の自殺者が全体の48%と半数を占める結果となっており、その対応が、まさに急務であると思います。 このことは、行政や医療機関だけでなく、民間企業での取り組みが大変重要であると思いますが、今後、どのような計画で取り組みを展開されていかれるのかお伺いします。 そこで、その対策を中心的に担っていくのは、やはり市町村にあると思われます。したがって、県としては、いつまでも現在のようなモデル的な取り組みではなく、地域によって課題や事情もいろいろ違うと思いますので、早急に全市町村でプリベンションに取り組み、啓発を行うとともに動向を把握すべきではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 このたびの基本法の大きな特徴は、心のケアがきちんと明記され、位置づけられていることです。自殺によって残された御遺族の皆さんや、周囲の皆さんの心のケアについては、どのようなシステムで対応を考えておられるのか、あわせてお伺いします。 |
●知事答弁 |
最初に、これは質問ではありませんでしたが、先般の軽油引取税の取り扱いの問題について、素早い対応ということでお礼を言っていただきましたが、これは伊藤議員がおっしゃったような政治的な判断によって取り扱いを変えたわけではなく、法令によって、どういう適用をすべきかという解釈の問題であって、従前は認定ができるかどうかという手続の問題から一定の限定を加えていたものを、そこのところがクリアされることで実務的にも解消されるということで、適用を改めたものです。決して政治的に取り扱いを変えたということではありません。これからもぜひ、現在県が例えば税条例でも、運用している問題で、何か改良の余地ですとか御不審な点がありましたら、納税者の皆さんから直接でももちろん結構ですが、県議会議員の皆さんからでも御指摘をいただきましたら、改めて点検し、改良の余地があるのであれば改良するという方針です。 それでは、御質問にお答えします。 自殺対策基本法が成立したことに対する所見ということですが、政治がこの種の問題に関心を持って光を当てるようになったというのは御指摘のとおりだろうと思います。やはり、政治が関心を寄せざるを得ない社会の実態が現出しているということを反映しているのだろうと思います。行政も、これは県も市町村もですけれども、従来重点を置いていた分野から、やはり社会の実態に応じて少しずつ視点や重点を変えなければいけない、そういう過渡期にあるのだろうと思います。ただ、こういう法律ができたことが、本当に喜ばしいことかというと、決してそうではなくて、こういう法律を必要とする社会の実態というものを実は変えていかなくてはいけないのだと認識しております。 私も、この種の法律ができたときにいろいろなことを考えさせられるのですが、やはり変わってきたなという感じは受けます。従来国がつくる法律というのは、例えば何とか整備法というような、ハード施設を計画的に整備していきましょうというような法律は随分多かったのです。最近そういうものがどちらかというと後退しているような気がします。従来、社会全体が経済大国を目指して、経済を重視しながら国づくりをやってきましたけれども、結果として今どういうことが起こっているかというと、日本は非常に豊かになったけれども、その中にあって、例えば児童虐待が非常にたくさん発生しているとか、DVも大きな社会問題になっているとか、自殺の問題もあって、経済大国にはなったものの、本当に国民一人一人の皆さんが幸福を満喫しているかというと、決してそうではない。そういうことを反映して、やはり国の法律とか政治のあり方も変わってきつつあるのだろうと思っております。 先ほども申したように、県もこれから当然変わらなければいけませんし、市町村、一人一人の住民の皆さんに一番身近な市町村の行政のポイントの置きどころというものを変えていかなければいけないのだろうと思っております。 話は飛びますが、先般、ブータンという国で憲法草案が発表されて、新聞では小さな記事だったのですが、私は非常に関心を持って少しモアインフォメーションを求めたのですけれども、憲法草案の中におもしろいことが書いてありまして、政府の責任ということですが、GNHの追究というものを政府の責務とするということが書いてあるのです。GNHというのは、普通GNPと言いますけれども、そうではなくて、Hでハピネスで、国民総生産ではなくて国民総満足度というものを追求するのが政府の責務であるということを憲法に書こうとこういうことで、これは非常に特異といいますか、画期的なことかもしれません。最近、ロハスというのでしょうか、健康と環境の持続可能性を追求する、志向するということが言われていますけれども、そういうものを先取りした憲法かなと思ったりするのですけれども、こんなこともこれからの日本の進むべき道としても参考になるのではないかと思ったりもしました。 いずれにしても、物づくりをもっぱら追い求めてきた日本の経済、行政もそうだったのですけれども、人を見る、人のケアに重点を置くという行政にだんだん変わりつつある。そのことを反映したのが最近の自殺対策基本法とか、虐待関係の法律とか、DV関係の法律とか、そういうものに結びついているのではないかと思っております。 自殺対策というのは、官民一体となった取り組みをしなければならない。その中で特に働き盛りの40代、50代の皆さんのことを考えると、民間企業での取り組みが非常に重要であるというのは、これはそのとおりだろうと思います。 今後どういう取り組みをこの問題について行うのかということですが、おっしゃるとおり、40代、50代の皆さんというのは、やはり企業との関係が非常に重要になってきますので、職場における対応、対策というのが大切だろうと思います。ただ、この問題というのは、仕組み上は国の管轄になっておりまして、現場で言いますと労働局などが中心になる分野です。もちろん県もそれに呼応して、協力しながら有効な施策を実施することはやぶさかではありませんけれども、やはり中心は国ということになっておりますので、国がその職責をしっかり果たしていただかなければいけないということだと思います。この国との連携などについて、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 高齢者の自殺対策については、住民の皆さんに一番身近な市町村がその責務を果たすべきだというのは、そのとおりだと思います。自殺対策法でも、そういうふうに市町村が中心になるべきということが位置づけられております。その際に、市町村が有効な施策を打ち出しやすいようにということで、県では2つの自治体を対象にしてモデル事業をやってきましたけれども、そういうモデル事業を2つの自治体でやるのではなく、県が全市町村で取り組めという御指摘でしたけれども、先ほど言いましたように、この問題は市町村が主体ですから、県が取り組むのではなく、全市町村が取り組まなければいけない問題だろうと思います。その辺は、ぜひ市町村に自覚を持っていただきたいと思います。モデル事業というのは、先行して幾つかの自治体で実施をしてみて、いろいろな問題点が出てくると思います。それから有効な施策も出てくるだろうと思います。そういうものを当該自治体のみならず、他の市町村もよく見ていただいて、また分析、評価もしていただいて、それぞれ自分のところで有効な施策に結びつけていく。これがモデル事業の意味です。ぜひ、県内で行った2つのモデル事業からいろいろな教訓ですとか、施策に結びつく点などを読み取っていただきたい。そして、それを実践に結びつけていただきたいと思っております。もちろんこれは県内の限られたモデル事業だけに例をとることはないわけで、他の全国の自治体でもいろいろなことをやられていますから、そういうものを貪欲に学び取って、みずからの自治体で一番ふさわしい施策に結びつけていただければと思っております。県はそういう市町村を県として応援したり、サポートしたりしたいと思います。 自殺について、残された遺族の皆さんのケアが重要なのではないのかと。これもそのとおりだと思います。人が亡くなられたとき、残された皆さんが亡くなった近親の人の死を肯定的に受け入れることができるかどうか、これが非常に重要なポイントだろうと思います。それが肯定的に受け入れられない場合には、今度は残された方の心の問題が生じる。場合によってはトラウマになったりするということで、残された皆さんの心のケアが非常に重要だろうと思います。基本的には、やはり家族の皆さんとか地域社会の皆さんとか、職場その他の近親といいますか、親しい皆さん方が大きな役割を果たすのだろうと思いますけれども、専門的な相談とか、そのようなことは行政の仕事だろうと思います。非常にナイーブな問題で、なかなか対応が難しい面がありますけれども、現状とか、今後どういうことが課題であるかなどにつきまして、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。 |
●田中福祉保健部長答弁 |
民間企業における労働者のメンタルヘルスというものは法律の方で決まっておりまして、労働安全衛生法で事業主が実施するようにということが書かれております。ということで、事業主はみずからメンタルヘルス対策を進めるための組織づくりとか人の確保を行う必要があるわけです。一方で、先ごろ成立した自殺対策基本法においても、事業主は雇用する労働者の心の健康の保持を図るために、必要な措置を講ずるようにということが規定されております。ただ、実際には、事業所においては、メンタルヘルスに関する専門知識を有するスタッフというのは配置されていないというのがほとんどです。そこで、各労働基準監督署内において、こういうスタッフを配置していない事業主のために、地域産業保健センターというものを置いており、そこで健康相談とか、あるいは産業医等が訪問して行う保健指導等を受けることができるわけです。実際には、この事業については、各地区の医師会に委託してやられております。ということですので、まずはこういう制度を積極的に活用していただくのが基本であろうかと思っております。県としては、専門的、技術的な業務を行うという立場で、精神保健福祉センター等がありますが、そこで精神科医などの専門職を配置しており、産業医や専門知識を有するスタッフを配置していない事業主に対して、必要に応じて専門的な支援を行っております。企業の労働者のメンタルヘルスの体制整備については、昨年度設立した自殺対策連絡協議会がありますので、ここにおいて企業を指導監督する立場の労働局とよく話をしてみたいと思っております。 続いて、自殺者遺族の心のケアについて、どのようなシステムを考えているかということですが、自殺者の遺族の方は心に大きな衝撃を受けておられ、心の不安、不健康な状態を生じておられるわけです。このたび成立した自殺対策基本法においては、国、地方公共団体は自殺者の親族に対して適切な支援を行うための必要な施策を講ずるものとされております。本人から心の病に対して相談があった場合には、精神保健福祉センターとか各福祉保健局とか民間ですけれども「鳥取いのちの電話」というので相談を受けているわけですが、遺族の方からの個別の相談については、精神保健福祉センターなどに聞いてみましたけれども、非常に件数が少ないということで、こういうことについて遺族の相談機関を周知する取り組みというのが不十分であると思っております。 今後ですけれども、先ほど申し上げた自殺対策連絡協議会において、遺族に対する支援のあり方について、メンバーは警察とか労働局ですので、そういう機関ともよく話をしてみたいと思っております。 |
<自殺防止対策について>No.2 |
県職員のメンタル疾患の推移を見てみますと、片山知事が就任直後の平成11年度が12人であったものが年々増加し、17年度で46人となっております。まさか、知事との相関関係はないと思いますけれども、メンタル疾患者が急増した要因について知事としてどう認識しておられるのかお伺いしたいと思います。 代表質問でもありましたが、国家公務員の自殺が非常に多いと言われております。我が県における県職員の自殺の実態はどのようになっているかお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
|
●瀧山総務部長答弁 |
|
<自殺防止対策について>No.3 |
|