平成18年6月定例会一般質問(平成18年6月27日)No.2

教職員への障害者雇用について

 教育委員会の障害者法定雇用率は2%と設定されているわけですが、鳥取県の雇用率は1.10%と法定雇用率を大きく下回っております。法定雇用率が達成できていない大きな理由について、教育長にお尋ねします。
 法定雇用率を達成するためには、単純計算で、あと40人教職員を採用しなければならないのです。基本的には、法定雇用率があるから門戸を広げるのではなく、障害があっても仕事につけるという環境が理想ですが、残念ながら、長年にわたり、教育委員会にしても、また障害者の皆さんにしても、雇用と就労という意識が極めて低かったせいもあると思います。県教委としては、今後、どのような採用計画で法定雇用率を達成されようとしているのか、また採用試験に当たり、障害者枠をどう設けておられるのかお伺いします。
●中永教育長答弁
 
 第1点目、教育委員会が障害のある方の法定雇用率を達成できていない理由のお尋ねです。
 障害のある方の教員採用試験への応募が少ないというのが一番大きな理由ではないかと私は思っております。その背景として、教員の職務というのが、学校で児童生徒と一緒にいろいろな活動を幅広くするという場面が多いということがあります。そういう職務、特性が、障害のある子ども達に教員になることが難しいと感じさせてしまっているのではないかと思っているところです。そういうことを感じない取り組みをしていかなければいけないと考えているところです。
 ちなみに、他県の状況を見ましたけれども、教育委員会の法定雇用率というのは、本県に限らず他の都道府県でも1団体は達成していますけれども、あとは達成していないという状況です。これは、今申し上げたような理由が一つに大きくあると考えているところです。改善に努めていかなければいけないと考えております。
 2点目です。教職員への障害のある方の雇用について今後どのような採用計画を立てているのか、あるいは採用試験に当って障害者枠を設けているのかというお尋ねです。
 これについては、法定雇用率を達成するのに不足している人数、先ほどお話がありましたけれども、これを年数で単純に案分した計算ということもできないではないですけれども、なかなかその計算だけでは現実的ではないと考えております。一朝一夕で達成するのはなかなか難しいということもあります。掘り起こしをしながら、長期的な視点で粘り強くやっていく必要があると考えています。
 いずれにしても、教育委員会として雇用機会を確保するということの重要性については非常に重く受けとめておりますので、努力したいと思っております。
 教員採用試験における障害者の特別枠についてですが、これは16年度の採用試験、4年前から行っております。障害のある方を対象とした選考を行っているところで、応募の状況を申しますと、16年が3名の応募、17年が3名の応募、18年はありませんでした。それから、この夏行います19年度は4名の方が応募ということです。この枠のもとで、17年度3名の方の応募がありましたが、2名を採用しているというところです。また、特別枠を設ける前の年の15年度には、鳥取盲学校の理療科の教員として、視覚障害のある方を1名採用しているということです。しかし、そういいましても、先ほども述べましたように、教員という職務への固定観念があるように思っておりますので、この特別枠の制度の周知をしっかりしていくということがまず大事だろうと思っております。障害のある方でも能力や意欲、適性ということがあれば、教員になることができるということをぜひとも知っていただきたいと思っております。教員以外の職種、例えば事務職員ですとか県立図書館の司書の方の採用とか、そういうことについても可能性があると考えておりますので、そういうことの周知も努めていきたいと考えているところです。また知事部局や関係機関の知恵もいただきながら、積極的に取り組んでいきたいと考えているところです。

教職員への障害者雇用について>No.2

 
 やはり、児童生徒の身近に、障害のある教員がいることにより、子ども達の意識も随分変わると思っております。養護学校に在籍する児童生徒の中には、将来、教員への可能性を持った子どもがいると思います。養護学校の小中高の段階で進路意識の醸成が必要ではないかと思います。法定雇用率を達成するという現時点での短期的な採用計画ばかりでなく、こうした長期的な視点での教育も必要ではないかと思いますが、教育長の御所見をお伺いします。

永教育長答弁

 議員が御指摘になったように、身近に障害のある教職員がいるということは、子ども達にとっても教職員への目標ができたり、意識が変わるということについて私も非常に意味があることだと思い全く同感です。

また、小中高の段階で、先ほども申しました固定観念に縛られないで、教職員になりたいと思った子ども達が教職員を目指していくような、そういう進路意識を学校の中で全員でしっかり問題意識を持ちながら育んで行くというのは大切だと思っております。このことについては、商工労働部ですとか福祉保健部などとともに障害のある生徒の就職、就労のあり方を相当深く掘り下げて検討していくということにして、今取り組み始めたところです。そうした中で、障害のある子ども達が意欲と希望を持って教職員を目指していただけるように積極的に取り組んでいきたいと考えております。

なお、就職、就労の幅を拡大するということで、先般、白兎養護学校の高等部の生徒2名を教育委員会の方で職場実習ということで受け入れました。2週間ほどでしたが、一生懸命取り組んでくれました。実習を終えた生徒ですけれども、集中力がついたとか、自分にとってやり方に自信が持てたというふうなことを言ってくれました。今回は教育委員会の事務局で実習をしましたけれども、今後は幅広い実習先の開拓をしたり、あるいは体験の内容の検討をもう少し深めて幅広くしていったり、アルバイトといった形を含めて、より多くの生徒たちが職業体験できるように、先ほどおっしゃったように長期的な視点を入れながら取り組んでいきたいと考えております。