<科学物質等の水質調査について>
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特産の岩ガキの出荷を控え、ノロウイルスの検査結果がどう出るのかやきもきしていた5月30日、ある新聞に「有機スズ化合物を検出・漁協・県に原因特定要求へ・赤碕港」という見出しで、大きく掲載されました。記事の内容からして、あたかも危険な環境ホルモンが高濃度で検出されたかのような報道で、地元の漁業関係者は大変激怒しておられ、風評被害をとても心配しておられました。
私も早速赤碕漁協に所属する漁船、出入りしている作業船、レジャー船などが使用している船底塗料をつぶさに調べましたが、有機スズ化合物が含有されたトリプチル系船底塗料は10数年前から一切使われておりませんし、この塗料自体手に入らないことがわかりました。確かに、有機スズ化合物入りの船底塗料なら年1回の塗装でよかったそうですが、有機スズ化合物が入らない塗料ではどうしても海草やフジツボが付着するため、今では、面倒でも年2回の塗りかえ作業が行われておりました。
漁業関係者の皆さんは、海水の汚濁にはみずから神経質になっている現状の中で、先ほど申し上げた記事がなぜ掲載されたのか、また、情報公開という中にあって、公表のあり方について検討をすべき点はなかったのか、知事に御所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
赤碕港の水質調査の件で、新聞に報道されたことがいろいろな問題を惹起したということですけれども、この問題につきまして、新聞報道に至った事実関係などを生活環境部長の方から御答弁申し上げます。 |
●石田生活環境部長答弁 |
赤碕港の水質調査の状況について御報告させていただきます。
御指摘の新聞報道につきましては、公表資料の取りまとめ作業中に取材を受け、その際に十分な評価や分析を伝えないままデータを提供したことに原因があるのではないかと思っており、県としての評価を正しく伝えるために改めて記者会見を行って御説明をさせていただいたところです。結果的に関係者の皆様に御心配をおかけしたことに対しおわびを申し上げたいと思います。
この原因なり、反省点としては、調査の開始から年月がたってきたために、調査の趣旨なり目的というものが少しあやふやになってきていたのではないかと思いますし、関係機関との連携や発表による社会的影響、そういったことに思いが及んでいなかったのではないかと思っております。今後、こういった点も踏まえながら調査の取り扱いについては十分留意をしていきたいと思っております。 |
<科学物質等の水質調査について>2
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このたびの化学物質等の水質調査について、何点か気づいたことをお伺いしたいと思います。
まず、調査されることは県民の安全、健康を守るという観点から当然であることと私は思います。ただ、調査の後に行政としてどのようにされようとしていたのか、見えてこないのです。一体どのようにされようとしていたのか、お尋ねしたいと思います。
例えば、赤碕港湾内の水質検査をされました。そして、結果が出た。その結果を課のホームページに掲載してこれで終わりですか。それも情報公開していますよということで問題はないわけですけれども、私としてはやはり行政として何か一つ欠けていると思うのです。水質検査の結果が、関係機関へどのように伝達され、どのように報告されていたのかお伺いしたいと思います。
もし、検査の結果、基準をオーバーする環境ホルモンが検出されたときは、どう対応される計画であったのか、あわせてお伺いしたいと思います。
さらに、ホームページでは、赤碕港が港湾であるのに、漁港として位置づけられておりました。担当部署が違うというものの、同じ県のすることですから、赤碕港が漁港なのか港湾なのか、それぐらいは最低理解して対応していただきたいし、理解していないと緊急の場合に対応ができないと私は思いますが、いかがでしょうか。
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●知事答弁 |
水質調査の件ですが、御質問の具体的なことにつきましては生活環境部長の方からお答えを申し上げますけれども、その前提として、伊藤議員が先ほど調査することは当然であるがと言われましたけれども、実はその調査することが当然であるかどうかという吟味も本当はしなければいけないのです。というのは、そもそもこの調査は、何の目的でやっているのか。調査のミッションというものを再確認する必要があると思うのです。これが、先ほど生活環境部長がちょっと申しておりましたように、調査を必要があって始めてから非常に長年月たっており、何のためにこの調査を始めたのかということを一人一人の調査担当者がよく把握していないということも今回浮かび上がってきたわけですし、それを記事に書かれた新聞の方も、何のための調査なのかということを本当によく御存じだったのかどうかということもあるわけです。私はこの調査というのは、恐らく生態系に影響を与える環境ホルモンの使用を抑える必要があるという前提で、それで環境ホルモンとしての船底塗装の物質がどれだけ溶融しているかなどを調査することに目的があったのだろうと思うのです。使わないようにしなければいけないので、使っているかどうかということをモニタリングするために港湾の調査をやっているのだろうと思います。ですから、決して魚介類の安全調査ではないはずです。魚介類の安全調査でしたら、魚介類そのものの調査をするはずですし、もっと言えば漁場における濃度調査などをやるはずです。港湾の調査をやっているというのは、そうではなく、港湾に出入りする船に環境ホルモンが塗布されているかどうか、そのことをモニタリングするための調査だろうと思うのです。その辺がごっちゃになっていて、港湾で結果的には基準より非常に低い濃度であったにしても、それが出たことが即魚介類の安全性に対する懸念を生むようなことになったのではないかと思うのです。港湾で魚をとっているわけではありませんし、漁場でとってきた魚をわざわざ赤碕港の港湾にしばらくつけて出荷するわけでもないので、その辺のところはちょっと調査の目的というものがあやふやになっていたということがあるのではないかと思います。
改めて、今やっている調査というのは、環境ホルモンの使用状況のモニタリングということだろうと思いますので、それに従って今後は調査結果というものを処理、活用するということだろうと思います。
あわせて、マスコミの皆さん方も、何のための調査で、それは科学的に見るとどういう影響を与えるのか与えないのかということ、その辺の科学的知見を持って報道するという姿勢を持っていただきたい。これは県の調査担当者の意識の問題もありますし、報道される側の意識の問題、力量の問題もあるのだろうと思います。そのようなことを今回感じた次第です。
赤碕港が漁港なのか港湾なのか、これは行政区分上は港湾ですけれども、恐らく皆さんは実態は漁港だと思っておられると思います。その辺が行政の決め方の非常識と言うと変ですけれども、常識から少しずれたところもあって、赤碕を港湾であるのに漁港として分類していたというのは、公務員としてはちょっとうかつだったかもしれませんけれども、担当者としては常識的な判断をしたのかもしれないのです。ですから、これは今後職員には気をつけるように言いますけれども、今のその区分というものが、やはり縦割りの中で実態と合わない区分をしているということも我々は認識しておかなければいけないのではないかということも痛感したような次第です。いずれにしても、具体的な御質問については、生活環境部長の方から御答弁申し上げます。
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●石田生活環境部長答弁 |
環境ホルモンの調査の目的、あるいは関係機関に対する報告がどう位置づけられているのかという点について補足させていただきます。
環境ホルモンの調査につきましては、人でますとか野生生物などに特に生殖機能を阻害する働きがあると言われている物質について、その可能性を追求するという意味でモニタリング的に調査を行っているということです。こういった環境ホルモン作用が疑われる化学物質について、その環境汚染の実態調査ということを通じて汚染実態の把握に努めているところですけれども、濃度の増加が見られるような場合には、当然その汚染源を特定して必要な措置を講ずる。そのために実施をしているということです。特に、赤碕港で問題になっておりますトリブチルスズにつきましては、環境省の方で目安となる基準を定めておりますので、この基準を超えるということになれば、その原因を究明して必要な対策を講じなければならないと思いますけれども、今回の調査ではかなり下回る数値であったということです。
調査結果の公表ということですけれども、やはり環境ホルモンに対する県民の関心も高い状況もありますので、そういう県民の不安をぬぐうという目的で公表しているということです。
関係者との連携につきましては、最初のころは会議等を通じて、そういう内容を共有するということをやっておりましたけれども、濃度が徐々に低下してきたということもあって、そういった取り組みをしないことで希薄になっていたという事実はあるだろうと思っております。今後の調査結果、あるいはその公表等につきましては、関係機関との連携を十分に図れるように努力していきたいと思っております。
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<科学物質等の水質調査について>3
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環境ホルモンの問題ですけれども、先ほどありましたように、このたびいろいろな問題が出てきたと思っております。調査の目的、必要性、そういうものを点検していただくとともに、情報公開は確かに必要ですけれども、情報を提供している県としては報道関係の皆さんへの対応、そうしたきちんとした責任ある情報公開に心がけていただきたいと思います。そうしないと風評被害だけが先行しかねないという問題もあわせて出てくるということも御理解いただきたいと思います。また、先ほど知事は縦割りの中で肯定的な発言をされましたけれども、しかし先ほど言われましたように、漁港と港湾では管理者が違うのです。港湾の管理者は県ですから、やはりそういう部分もきちんと担当課が把握しないと、問題が起きたときに迅速な対応ができないということにつながってくると思います。そういう意味も含めて、もう一度きちんとシミュレーション、点検をしていただきますことをお願い申し上げます。
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