平成18年9月定例会一般質問(平成18年9月29日)No.1

労働基準監督署からの是正勧告について>

 
 鳥取地方県土整備局が、職員の時間外手当を支払わなかったとして、鳥取労働基準監督署からの是正勧告を受けた問題については、16年9月の一般質問で知事と議論したところです。当時、知事は議論する中で、構造的点検並びに抜本的な改革をしたいと答弁され、具体的な調査を行政監察室に指示され、その結果、職員の時間外労働について、いろいろな課題が出てまいりましたが、その後どのような具体的改善策、また管理職の皆さんに対し、さらに職員の皆さんに対し、どのような意識改革を求められてきたのか、片山知事にお伺いします。
 続いて、今年8月に、県立中央病院と厚生病院が労働基準法違反で、鳥取と倉吉の労働基準監督署から是正勧告を受けたと仄聞しておりますが、是正勧告を受けた概要について簡潔に、また是正勧告を受けることとなった要因についての見解、さらに改善策についてはどのように考えておられるのか、坂出病院事業管理者にお伺いします。
 

●知事答弁

 
 時間外勤務の点についてですが、従来から時間外勤務が課題になっている部局があり、これを適正化しなければいけないという課題があるわけです。そして今、それに取り組んでいるところです。
 これまで、どんな取り組みをしてきたのかということですが、従来、この問題を論ずる場合に、何ともあいまいな点があったのです。あいまいな点と言いますのは、どの部局でどれぐらい残業があるかということは、もちろんわかるのですが、スピーディーに、誰がどれぐらい最近残業しているのかという全貌をつかむことがなかなか難しかったのです。かなり、タイムラグがあったわけです。
 そこで、応急的措置というのでしょうか、これがなかなかとりづらい面があり、少しはがゆい気持ちも持っていたのです。これを客観的に、迅速に把握して、適切な対応がとれるようにする。そのことによって、当該部局の管理職にちゃんとした意識を持ってもらうという、これが1つの改革のポイントだったわけです。
 そこでいろいろなことやってきたのですが、1つは条件整備として職員の出退勤を電子化して管理することができるようになった。これは実は、残業の把握のためにというわけではなくて、出勤時間をちゃんと守るとか、いつ退庁したかをちゃんと把握するという、こちらの方面から要請なのですけども、そのことができましたので、迅速に一人ひとりの残業などを把握できることになった。これが非常に大きい効果があり、そのことによって、今、自分の課なり、自分の部でどれぐらい残業があるのかということが比較的早くわかるようになって、原因究明とか対応策とか、そういうことがしやすくなったわけです。
 もう1つは、とかく官公庁は仕事と予算と人員というものが、必ずしもうまく連動して形成されないという面があったのです、あるのです。予算は、財政課で査定する。定数は、昔流で言うと人事課という、人事課系統で仕事を行うということがあり、必ずしも仕事量と、それから投入される労働力との間に少しギャップがあるというようなケースも多かったのです。
 それは、いずれ1年後、2年後には是正されることにはなるのですけども、どうしてもそのタイムラグの間に、しわ寄せが生じるというようなこともあり、これを何とか是正しなければいけないということで、それだけでもないのですけども、新しい予算編成方式をつくったのがトータルコスト予算で、そこでは仕事量がふえれば人員もふえる。仕事と人員との間に、できるだけ明確な関連性を持たせようとしたわけですけど、これがまた管理職の意識に大きく変化をもたらすことになったのだろうと思います。
 そんなことを実は今、やっているわけです。それでもなかなか、実は理想どおりにはいかないという悩みもあるのですけども、一つ一つ必要なことから改善を加えていきたいと思っております。補足を総務部長の方から申し上げます。

●瀧山総務部長答弁

 時間外労働についての適正化についてです。
 まず、最初の鳥取地方県土整備局への是正勧告ですが、これの対応が2点ありました。 まず、三六協定の届け出がなくて、したがって法定労働時間を超えて労働させていたということですが、これは鳥取地方県土整備局だけでなく、三六協定の対象機関、これ全機関チェックして、三六協定をすべて締結して、労基局の方に届け出を行ったところです。
 また、2点目の指摘として、時間外労働の一部について、翌月に完全に支払われていなかったという指摘がありました。これについても、時間外命令から手当支給まで、一元管理できるシステムをつくりましたので、現在では手当を翌月に全額支給するようにしております。
 また、時間外勤務の縮減に向けての一般的な取り組みですが、先ほど知事答弁にありましたICカードにより、出退勤の記録を今年の1月から始めたところですし、勤務実態の分析に基づいた時間外勤務の目標時間というものを定めて、適正管理を行っております。
 また、勤務時間についても、弾力的な運用を図り、例えば早朝から勤務が必要な場合は、8時間の少し、1時間であり2時間シフトして、勤務時間を例えば8時半から始まるも7時半にする。あるいは、9時半から1時間ほどずらして6時半までにすると、あるいは1時間ずらす、2時間ずらすというような勤務時間弾力化が図れるようにしたところです。
また、意識改革については、管理職への研修を行っておりますし、先ほど申しました目標時間の設定についても、気になる所属からは直接担当部局の方から、所属長と意見交換を行うということを始めたところです。ただ、勤務時間の縮減については、一定の成果は出ていると思いますけども、まだまだ十分ではないと思っております。また、特定の部署においては、そういう時間外勤務が集中するようなことも現在残っておりますので、さらに努力をしていきたいと考えているところです。

●坂出病院事業管理者答弁

 
 監督署の勧告の概要ですが、大きく分ければ3つぐらいかなと思いますが、1つは三六協定を超えて、あるいは法定の制限を超えて時間外をさせていたという時間外勤務の問題です。
 2つ目は、特に非常勤の職員をたくさん雇用していますが、雇用するときに、書面で労働条件を書いたものを交付していないということです。3つ目には三六協定を締結していない、これは厚生病院ですけども、あるいは両病院とも就業規則の届け出をしていないということだろうと思います。これらのことは、いずれもいわば労務管理の基本的な事項で、それができていないということですから、管理者として非常に重く受けとめております。
 この原因は、1つには私どもの労基法に対する認識が十分でなかったということが根本にありますが、もう1つ具体的には、特に昨年度の場合欠員がかなりあり、その補充ができなくて体制が十分でなかったということ、これらが原因だろうと思っております。
 今、対応を考えておりますのは、1つには時間外を縮減するということで、欠員をできるだけ早く補充しなければいけないということで、7月に医療技術職の年度中途の採用試験を行い、まだもうちょっと欠員が出るところもありますが、かなりの部分を補充しております。それから、労働条件の書面交付については、これは手続的なことですので、既にきちんとやろうということで始めております。
 もう1つの三六協定で就業規則、これらはいずれも物によって職員組合の意見書、意見をもらわなければいけないもの。あるいは、協定についての合意というものが必要ですので、今、職員組合との協議のための準備を進めております。一部については、話し合いも始めており、できるだけ早く対応するように進めてまいりたいと思っております。

労働基準監督署からの是正勧告について>bQ


 先ほど指示がありましたように、ICレコーダーが導入されました。要するに、勤務時間の客観的な把握という必要性から導入されたわけですが、病院局ではまだ導入されておりませんけど、これは導入をいつごろ予定されているのか、お伺いします。
 15年8月に県土整備局、16年8月に病院局の宿日直体制ですか、そして今回の是正勧告と、いわゆる二度あることは三度あるとよく言いますけども、まさにその格言どおりで、鳥取県は3回も連続して是正勧告を受けております。コンプライアンスの遵守については、本当に知事もやかましく言われますけども、率先して守らなければならない行政であるという立場の中で、この事態に、やっぱり県民の皆さん、驚きを持っておられると思うのです。何か過去の教訓が本当に生かされていないといいますか、短期間で、しかも改善中に立て続けにあったという部分もあろうかと思いますけども、再発防止のために知事としてどういう対応をとられていくのか、お伺いしたいと思います。

●知事答弁
 
 労働基準監督署から勧告を受けたということで、非常に残念なことなのですけども、いい機会ですので、その部署はもちろんですけども、他の部局の慣行も含めて見直しをしましょうということをやってきているわけです。
 やはり、従前、いずれも地方機関なのですけども、どうしても前近代的な意識とか、慣行とか、これが残っていたことは否めないと思います。本当にいい機会ですから、それをしおに直そうということに努めているわけです。
 基本は、やはりさっきも申しましたけれども、残業というのが、超過勤務がどうして出てくるかというと、仕事量とそれから仕事をこなすために投ずる労力との相関関係の中で出てくるわけで、一種の数学の式でいいますと、仕事量から投入した労力を引いて、足らないものが残業という形で出てくるわけです。労力というのは、もちろん人数と、それから質の問題も、労働の質の問題もありますけども、それらを含めた労力。
 従来、ともすれば、仕事量と労力を変えないで、結果として出ている残業だけ減らせという、こういう指令を、号令をかけることが多かったのですけど、どうしてもそれは無理です。変数をどっか変えないといけないわけで、仕事を減らすか、労力を増やすかという事になるわけです。そこが、やはり従来官公庁が、簡単なのですけど、数学の式を、変数をいじるということが苦手だったものですから、そこでトータルコスト予算というものを導入して、仕事を増やす時には、労力を増やすと。残業があるときは、仕事を減らすか、労力を増やすかと言うことにしようということに今、踏み出しているわけです。
 ということで、自己改革といいますか、自律機能という、自分、みずからを律するという、その機能を高めていきたいと思っております。
 ただ、これもさっき言いましたけども、どうしてもいろいろな不具合が出てくるのです。大きな組織ですから、例外的に出てくるのです。それも出てきたら、即座に直しますけれども、やはり労働基準監督署のような、外部からチェックしてもらう機能も必要だろうと思うのです。そういうものが、両々相まって、自律機能とチェック機能が相まって是正されていくと思っております。
 
<労働基準監督署からの是正勧告について>bR


 知事の方から、労働基準局からの是正勧告に対して答弁がありましたけども、県内の、例えば同規模の事業所、例えば民間の事業所で、3回も立て続けに、労働基準監督署から是正勧告を受けるということはないと思うのです。過去に、企業として。やはり、本当にそういう部分でコンプライアンス守る、遵守するという、もっともっと認識といいますか、行政機関としての認識を新たにしていただきたいと改めて申しおきたいと思います。

●知事答弁
 
 労働基準監督署からの勧告を受けたことは、本当に残念なことなのです。3回も数年の間にと言われるのですが、巨大な組織ですから、小さな事業所とはちょっと違うとは思うのですけど、病院があったり、地方機関としての県土整備局が受けてたりするものですから、従来の前近代的な慣行に基づくうみのようなものが、この数年の間に労働基準監督署によって指摘されたということだろうと思います。

 いい機会ですから、そういうことのないようにしたいと思っておりますし、もう1つは、いずれも中央機関の現場の問題なのですけれども、本庁でも気をつけますけれども、労働組合の方でも、ぜひそういう実態というものを、声を上げていただくということも必要だろうと思うのです。これもチェックということです。労働基準監督署も外部からのチェックですけど、労働組合は、一方当事者であり、よりわかるわけですので、ぜひチェックし、声を上げていただきたいと思うのです。
 県土整備局の場合には、三六協定の問題だったのですけども、三六協定を届けてなかったというような非常にごく基本的な問題があったのです。そういうことは、もうあってはならないことですので、これは労使ともに気をつけたいと思っております。


●坂出病院事業管理者答弁
 
 監督署の勧告のうち、2つは病院ですので、大変その点については申しわけなく思っております。ただ、1つの問題は、病院、私どもの力ではいかんともしがたいということがございますので、そのことだけは申し上げたいと思います。
 病院の医師の宿日直中に、患者さんが来られれば診察するわけです、救急などで。それが、昼間と同じようなので、宿日直がない、宿日直ではない。だから、勤務としなさいと、こういう勧告です。
 ただ、これは、これ全国の病院、どこもそうだと思いますけれども、医師の数が十分にあって、診療報酬点数が十分にあるということであれば、対応できるのですけれども、今の日本全国の病院の状況からしますと、どうしても医師に3交代というのではなくて、宿日直というふうなことをしてもらわなければ医療は回っていかない、こういう状況がございます。したがって、監督署に対しても、この問題については私どもでは対応は不可能ですという回答をしております。その点は御理解をいただきたいと思います。