平成18年9月定例会一般質問(平成18年9月29日)No.3

ヘルプラインについて>

 
 このヘルプライン、通称内部通報制度については、我が会派の湯原議員が知事部局を初め、教育委員会部局への導入を何度かにわたり提言し、業務改善ヘルプラインとして設置されてまいりました。この業務改善ヘルプラインは、内部から組織を健全なものにしようと設置されたものであり、上司や職場の同僚に直接物が言えないようなセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、コンプライアンスに欠けた行為、税金のむだ遣い、ミッションのずれなどが受け付けられ、その事案については厳正、公平、中立に処理されているわけですが、昨年度、どの程度の相談というか、通報が行われたのか、知事にお尋ねします。
 国においても、この4月から公益通報者保護法が施行されたわけですが、この法律との関係について、どうリンクされていかれるのかお伺いします。
 職員の皆さんから、一番よく耳にするのは、提言というか、通報者のプライバシーが本当に保護されるのか、また犯人捜しが始まるのではないかという心配です。
この制度、法律の趣旨からして、通報者に不利益が生じることだけはあってはならないわけですが、こうした通報者の保全について、県としてはどのように発効されていかれるのか、また通報者が特定され、不利益が生じるような事案が発生したときの、その対応策についてお尋ねします。

●知事答弁

 
 いわゆる、業務改善ヘルプラインについて、昨年度どの程度の通報があったのかということ、それからこのヘルプラインと、本年度から新たに国の法律として施行された公益通報者保護制度との関係はどうかということについては、いずれも行政監察官の方から御答弁申し上げます。
 公益通報者保護の問題にしても、また本県でとっておりますヘルプラインにしても、一番大事なのは何かというと通報者の保護だと思います。これがなければといいますか、通報者保護についての信頼感がなければ、その制度は全く機能しないと思います。時々、とんちんかんなこと、これは県ということではなくて、県庁ではない役所で見聞するといいますか、新聞などで時々出たのを見ると、とてもこれでは公益通報保護制度は機能しないなというのもあります。
 例えば、何らかの通報を長あてにしたら、直属の上司から呼ばれて、変なことを言ったのじゃないかと言われるとか、こんなことがあるともう、とても機能しないわけで、一番大事なことが通報者の保護ということだろうと思います。ヘルプラインを始めてから、その点については随分気を遣っており、通報された内容というのは、ごく限定された数人しか見ない、見れないということにしております。
 もちろん、これは、実は物事は両面ありまして、数人しか見ないということになると、仮に数人の問題について何か通報があったときに、もみ消しになるんじゃないかというようなことも一般論としては懸念されるわけで、それではいけないので、議会の方でチェックの仕組みをつくっていただいて点検していただく、ということをしているのは、その補完装置です。そういう補完装置を伴いながらも、ごく限定された者しか見ないという、これは1つの情報管理を通じた通報者保護です。
 もう1つは、通報を受けると調査しますが、通報があった部局、ダイレクトに調査するとすぐわかってしまいますので、その辺はいろいろ工夫して、薄まきといいますか、一般化した調査にして、わからないようにするというようなことも実はやっているのです。そうしますと、実はいいこともあって、手間暇かかりますけど、ほかのところで思わぬ非違事項が発見されるとか、そういう余録もあったりします。
 この点についても、実際にやってもらっています行政監察官の方から、補足答弁を申し上げたいと思います。

●法橋行政監査官答弁

 
 昨年度の受付件数ということですけれども、21件です。

 どういう内容なのかは、ちょっと申し上げられませんけれども、累計的に申し上げますと、違法不当な疑いというものが2件、それから業務改善、こうした方がいいのじゃないだろうかという提案、こういったものが9件、それから職場環境の相談、いろいろ職場関係に問題があるということについて7件、その他が3件ということで、合計21件ということになっております。
 この業務改善ヘルプラインと、ことしの4月から施行された公益通報者保護法との関係ですけれども、ヘルプラインについては、この法律が施行される前からやっておりますが、この法律の施行にあわせて、知事部局等の職員、これは派遣の職員、派遣を受けている職員なども含めてですが、これらの方々からの通報、公益通報保護法による通報の窓口を、この業務改善ヘルプラインということで受け付けているということです。
 なお、公益通報者保護法といいますのは、一定の犯罪行為の通報対象のみを通報対象としておりますけれども、業務改善ヘルプラインについては、先ほどの内訳でも申し上げたように、そういった犯罪行為に限らず、不当な行為や、それから職場内では解決が困難な業務上の問題点といったようなことについても受け付けておりますので、公益通報者保護法よりも幅広な制度ということが、言えるのではないか思っております。
 それから、先ほど知事も答弁しましたように、通報者の保護というのが非常に重要になってくるということで、知事の答弁のとおりなのですけれども、通報があったことについて、どういうふうな調査方法でやるかということに、やっぱり腐心しているという現状です。それで、ただどうしても、調査方法によっては、そうしたおそれがあるというような場合には、本人とよく相談して、こういう形でやろうと思っていますけれどもということで、よくコミュニケーションをとりながらやっていくということもやっております。
 それから、通報したことで、いろいろな嫌がらせだとか、中傷だとか、それから不利益な取り扱い、こういったことが万が一あった場合についても、これも当然ヘルプラインの対象として受け付けるということにしております。
 これまでは、そういった事例はありませんが、今後そういった、議員がいろいろお聞きになっているような不安があるとすれば、もしそういったことがあれば、そのことについてもヘルプラインの方に通報していただきたいと思っておりますし、それからあり得ないとは思いますけれども、いろいろな勤務条件面での不利益な取り扱いがあったというようなことについては、人事委員会に対しても不利益の不服申し立てだとか、措置要求というようなこともできる仕組みになっておりますので、まず私どもとしては十分保護が図られるのではないかと考えている次第です。 
 

<ヘルプラインについて>bQ

 
 例えば、そういう通報者の情報が漏れたときにどうされますかというわけです。犯人捜しが始まって、犯人が特定されたとき、通報者が特定されたというときに、県はどうしますかということを改めてちょっとお伺いしたいと思いますし、県を初め、県教委、県警などは、そうした県議会の議論を踏まえて公益通報者保護法をベースに、通報者の保護者が、保護には万全が図られているわけですけども、県の外郭団体、民間ではまだまだやはり、その認識は大変希薄であると私は思っております。法が整備されたわけですからコンプライアンスの観点から、そうした環境整備を整えるのが当たり前ですけども、まだまだそこまでいっていないというのが現実であると思っております。
 私のところにも、県の外郭団体の職員さんから、パワハラ、セクハラの問題、相談窓口を何とか設けてほしいという切実な声が届いております。県の外郭団体といいましても、小さい団体もあれば、大きな団体もあり、その規模はいろいろです。なかなか、それぞれの団体の中に、そうした窓口をつくるということにもいかないと思います。
 例えば、県民の声として上げても、県のOBの皆さんが天下りでたくさん行っておられます。例えば、OBの皆さんがその該当者である場合、本庁の職員の皆さんが、先輩のOBに向かって是正を促すということは非常に困難なことであろうと思ったりもします。結局、うやむやになってしまったり、犯人捜しが始まったりという形で、職場におれないという問題も、私は生じてくると思っております。
 かといって、そのまま放置するわけにもいきませんので、例えば1つの例ですけども、県の外郭団体が監事室を共有しておりますが、業務改善ヘルプラインを監事室のように、県の外郭団体で共有しながら窓口として設けるというようなことを、県としても助言されたらいかがかと思いますけども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
  
 公益通報、ヘルプラインで、もし漏れたときにどうするのかということなのですが、これはもう漏れないようにするというのが一番の基本です。漏れたら、漏れるようなことがあれば、システム自体の信頼性が全く損なわれますので、機能しなくなってしまうということで、ここは一番の重要なポイントだろうと思います。

 だけど、万が一漏れたらどうするのかと、これは危機管理として考えておかなければいけませんけど、これはもう万が一そういうことがあっても、通報者が決して不利益を生じないように個別具体的に保護する。もしくは、実態として何か不利益が生じたようなことがあったら、それを回復するということをやるのが任命権者の務めだろうと思います。
 それから、外郭団体、県に関係する外郭団体についてのパワハラとか、セクハラとか、労使慣行などもそうかもしれませんけども、いろいろなトラブルとか、そういうことについて、県で行っているヘルプラインのような、そういうシステムが共同ででもつくれないかということなのですけれども、これは該当の団体が相談されてつくられるという分には、それはそれで結構だと思いますが、そういうふうに何か特定のグループでつくるというよりは、それこそユニバーサルデザインではありませんけども、同種のいろいろな民間の事業所とか組織が共通して利用できるシステムがあるわけです。
 例えば、人権問題でしたら法務局だとか、セクハラだと、例えば男女共同参画センターとか、労働基準監督署などもそうですし、県の労働委員などもありますが、そういう一種のインフラが用意されておりますので、できるだけそこを利用される方がいいのではないかと思うのです。若干、公的な色彩があるからというので、そこでまた特別な制度をつくる、こっちでも特別な制度をつくるというよりは、だれでも普遍的に利用できる制度が、よりアクセスしやすいように、より機能するようにした方がいいのではないかと思います。