平成19年6月定例会一般質問(平成19年6月25日)No.4

2.濃厚飼料及び粗飼料の確保ついて

 
 再生可能なエネルギーとしてバイオエタノールが次世代のエネルギーとして世界的に注目され、その原料となるトウモロコシの争奪戦が繰り広げられる中、牧草からトウモロコシへの作付変更、さらには、わらなどの粗飼料を輸入してきた中国や韓国が、国内での畜産が盛んになり、粗飼料の輸出国から輸入国へと流れが変わる中、粗飼料等の牧草の高騰、濃厚飼料の主原料であるトウモロコシを初めとする穀物市場のさらなる高騰が予想され、県内の酪農、畜産、養豚、養鶏農家への影響が出始め、将来の経営不安にさいなまれています。
 県内では1 1,500頭の乳牛と12,900頭の飼育牛が飼育されています。このうち乳牛の粗飼料の自給率は50%、肥育で7%、しかし、濃厚飼料つまり配合飼料はともに自給率ゼロと輸入に頼り切っているわけで、配合飼料価格安定制度があるため、農家負担の増加は緩和されているものの、この1年間で平均40頭規模の酪農家で123,692円、平均 200頭規模の和牛肥育農家では744,180円の値上がりとなっております。さらに、稲わら、牧草などの粗飼料を購入している農家には価格安定制度もなく、さらなる上乗せ負担となっております。特に酪農家では、毎年のように生産者乳価が下がり、ダブルパンチを受けております。
 今後もバイオエタノールが世界中で普及することが予想される中、牧草からトウモロコシへの作付変更、中国、韓国等の粗飼料の輸入拡大で穀物市場のさらなる高騰、粗飼料の奪い合いが予想され、農家にとってはまさに死活問題となっております。配合飼料だけで飼育している養豚農家、養鶏農家は、さらに厳しい現実に直面しております。
 まさに和牛博覧会を目前とする中、暗雲立ち込めたこの問題に、早急な取り組みが求められております。
 県としては、こうした状況下にあって、今後の対応策をどのように考えておられるのか知事にお伺いします。
 
●知事答弁

 
 トウモロコシのバイオエタノール化がアメリカで急激に進んできたということがございます。トウモロコシ自体はアメリカでも生産拡大していて、随分と豊作のように言われておりますけれども、ただ、そのうちバイオエタノールの方に逃げていくものがあるものですから、それでトウモロコシの飼料としての物がなかなかかなわないということになります。
 こうした主に飼料として使われる穀物のうちの7割がトウモロコシで占められておりますし、そのうちの4割は米国生産であって、輸出されるそうした穀物の中の6割はアメリカからということで、このアメリカの影響は非常に高いと思いますし、あわせて中国も、このバイオエタノールの問題が急激に発生してきております。そうした意味で、この飼料生産が逼迫してきているわけでどんどん価格が高騰してきているわけです。
 議員御指摘のように、その飼料価格の安定のシステムが働いている部分があって、今はある程度それで緩和されている部分もあろうかと思いますけれども、ただ長い目で見て、こうした状況が続くということは予想されますので、そうすると県内あるいは国内でのその飼料生産というものをどんどんと高めていかなければならない、ということになろうかと思います。
 県としても、例えば遊休農地が片方であるとかいう問題だとか、またいろいろな転作の奨励もなされるとか、さまざまな他の要因もありますので、ぜひこの飼料作物の促進ということをやっていく必要があるだろうと思います。その中でも栄養価が高い飼料用の米だとかトウモロコシの生産、これは今も少しずつ、年々伸びてきております。この促進を図る必要が一つにはあろうかと思います。
  あともう一つ、最近非常に顕著になってきて、だんだんウエートが増してきていると思われるのはコントラクター組合の動きで、この飼料生産を農家の方々で、あるいは人を雇われたりして、それでは一緒に共同して飼料生産をしましょうというような仕組みです。これが鳥取市とか倉吉市とか琴浦町、大山町というところで定着してきており、こうしたことも、やはり促進していく対象になり得るかなと思います。こうした共同して飼料としての穀物生産を身近なところでやっていくというのはコストダウンにもつながりますし、定量的な安定的確保ということにもなろうかと考えておりますので、ぜひ積極的に取り組んでいきたいと考えております。

2.濃厚飼料及び粗飼料の確保ついて No.2

 
 濃厚飼料の一部については、その代替といいますか、おからを使った飼料に取り組まれている農家もありますけれども、採算ベースを考えた場合、どうしようもない部分があり、なすすべがないのが現実です。県レベルとしてできるのは、やはり粗飼料の自給率をどうやって引き上げるか、このことだと私は思っております。
 したがって、現在、県内4カ所で行われておりますコントラクターによる作業受委託を拡大することが重要ですけれども、ただ、現在のところ、酪農家の皆さんみずからがオペレーターとして働いておられるというのが現実で、労働力の軽減の効果はどうかといいますと、やはり十分に上がっていないという部分が、私はあると思っておりますし、それが現実であると思っております。
 より一層、粗飼料の確保をするには、やはり異業種との連携とか、建設業者でしょうけれども、転作対応が可能な集落営農組織との密な連携が必要ではないかと思いますけれども、その対応策等について知事の所見をお伺いしたいと思います。
 また、世界的に濃厚飼料及び粗飼料不足が、私はやってくると思いますし、多分そこまでもう来ていると思っております。我が国の畜産、養豚、養鶏、本当に大変な状況に私はなってくると非常に危惧をしております。知事としても、やはり県としてはできない部分、濃厚飼料のそういう原材料の確保というのは県としてできませんので、やはり国としてどうやるのか、確保対策を含めてですけれども、そういう部分を私は知事として国に要望していただきたいと思いますけれども、知事の見解をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
 
 先ほどコントラクターの話を申し上げましたら、今も伊藤議員の方からコントラクターの実情についてのお話がございました。コントラクターということで、実際に共同して飼料生産をやろうと、えさをつくろうということ、取り組みが進んできてはいますけれども、今、議員が御指摘のように、むしろその酪農家が自分たちでコントラクターの雇われた人としてやっているというのが実情で、省力化の方にまで発展していないということがあります。ですから、もっとそういう意味で、このオペレーションがスムーズにいくように、その工夫が必要だと思いますし、県としてどういう対応ができるのか、実情をよく聞いてみたいと思います。
 一つ、今、御指摘の中にありましたように、例えば建設事業者とかそうしたオペレーターの方に入ってもらう。つまり飼料生産の現場の方で働く方として建設の方に入っていただく。そうした工夫はできないかとか、あと集落営農の方と連携して、集落営農との関係づくりで、こうした飼料問題にも取り組めないかと。いずれも方向性としては正しいと思います。それについてどういうことができるか、よく検討し、現場の方の意欲が上がり、生産が向上するように努めてまいりたいと思います。
 次に、世界的な飼料不足ということで、これは国として考えるべきものがあるのではないかということで、私もこの点も同感です。国内での濃厚飼料の自給率は11%にとどまるわけです。県内はゼロだというお話もございましたが、それが現実で、これを何とか防衛していかないと、畜産経営自体が成り立たなくなるというのが我が国の脆弱なところです。これは非常に厄介なことで、国全体として、いかに安いそうした飼料生産を、しかも栄養価の高いものを開発していくかということで、1県の手に負えるところではないと思います。
 ですから、国の方でも飼料用米の品種改良だとか、あるいは価格差を縮小させるための何か方策づくりとか、そうしたいろいろな手だてをつくっていただく必要があると思います。合わせて食品残渣ですね、食品との関係でのその残り物というものを活用できないかなとか、いろいろなシステムづくりもあろうかと思います。国には喫緊の課題として、これも要望をきちんとさせていただきたいと思います。

最後に

 
 平井知事はマスコミ受けとかそういう部分でなく、やはり平井知事らしい堅実な県政をしっかりとやっていただきたいと思いますし、いろいろな部分で圧力もあるかと思いますけれども、流されないように着実な県政に当たっていただくことをお願い申し上げたいと思います。