平成19年9月定例会一般質問(平成19年9月27日)No.2
<東郷池の管理と浄化対策について> |
これまで明確な残留農薬の基準値が設定されていないため、一律基準を超える残留農薬が県のモニタリングから検出されたことにより、出荷が自粛されていた東郷池のシジミ。8月21日付官報において、魚介類の新たなる基準が 0.4ppmと設定された公示、即日施行を受け、8月26日から操業が開始され、9月9日には、東郷湖産シジミ復活祭が行われ、知事もおいしそうにシジミの汁をすすっておられました。 私は、漁業者の皆さんの生活のことを考えると安堵する一方、すっきりしないものがあります。本来なら、東郷池の残留農薬のモニタリングの数値が下がって出荷できれば、なおよかったと思います。知事の感想をお聞かせください。 なお、東郷池の環境の浄化については、これで手を緩めるのではなく、引き続いて努力しなければならないと考えますが、県としてはどのような取り組みを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。 また、東郷池は国土地理院による正式地名ですが、東郷湖漁協、東郷湖臨海公園などと、観光分野を中心としながら東郷湖という名称が官公庁を含めて一般的に使われております。二級河川の一部として管理している県としては、東郷池の呼称を住民の皆さんや学識経験者の皆さんの意見を聞きながら、そろそろ東郷湖という呼称に変更することも考えられたらいかがなものかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
8月26日から操業を開始することができました。クミルロンに対する暫定的な農薬の基準が0.01ppmから引き上げられたことで今回の回復ができたということです。 早速に漁が始まりましたシジミは、本当に芳純な味わいがありますし、しっかりとした大きい玉で、黒いダイヤのような輝きを持っております。私も、議員御指摘のように、早速その再開のお祝いのときに少々、ちょっと一杯、シジミ汁をいただきましたけれども、懐かしい味だなと感じましたし、この豊かな東郷湖がシジミ漁をこれからも続けられるようにしていかなければならないことを改めて思い知らされました。 このシジミの再出荷は喜ばしいことです。と同時に、今、議員の御指摘のように、ただそれだけで喜んでばかりもいられないのだろうということなのだ思います。このたびは暫定的な残留農薬の基準が災いして、出荷がとまるということになりました。ただ、農薬の濃度は常に変わり得るものですし、どこで何がひっかかるかということは、これからも予測しがたいものがあると思います。そういう意味で、美しいきれいな東郷池を取り戻す、それが本当の使命なのだろうと思います。そういうことを湯梨浜町の宮脇町長もお祝いの席でおっしゃっていました。ぜひ美しい東郷湖を皆さんと一緒につくり上げていきましょう、そういう決意表明をされておられました。漁協だとか関係者の皆様と一緒になり、この展開をさらに進めていく必要があると思います。 最後に、東郷湖という名称が例えば県立の東郷湖臨海公園という名称が付されたように、官公庁でも使われ始めていると。そろそろ東郷池でなくて東郷湖という呼称に変更したらどうかという御指摘です。 この名称問題ですが、地元の方にお伺いしますと、やはり、もともとが東郷池と地元の人は呼びならわすものであったようです。ただ、例えば東郷湖の温泉についての名称だとか、あるいは、こうした公園をつくるとかというときに、語感のこともあるのでしょう、だんだんと東郷湖という名称が通称として使用されるようになってきているということです。 この東郷湖という名称にするか東郷池という名称にするかは、これは法律的には二級河川であるこの東郷池ないし東郷湖の名称を県が定めることができるわけですが、基本的には、やはり地元の皆さんがどう考えられるか、これを大切にしたいと思います。確かに東郷池、東郷湖それぞれに情緒のある言葉です。ただ、東郷湖の方が格好いいとかセンスがいいと、そういうこともあるでしょう。だから、温泉だとかを紹介するときに東郷池よりも東郷湖というのを好んで使うのではないかと思います。 そういう背景もありますので、名称改正を行うこと自体は検討に値すると思いますが、この名前の問題は、やはり地元の方の盛り上がりを受けて、その声を大切にして変更するかどうかを決定するのがよろしいのではないかと思います。住民の皆様の御意向ですとか、あるいは、それを実際に看板を掲げて使っておられるいろいろなお店だとかもあるわけで、そういう既に名称を使っておられる方々の思いだとか、そういうものをぜひ湯梨浜町で集めていただき、そのもとに我々として改正するかどうかに臨んだらいいのではないかと思います。 この河川法に基づく名称の変更の手続は、これは湯梨浜町議会がまず議決をすることが出発点になります。そして、県の方に意見の申し出があって、県の方で、ではそれは適当かどうか判断をして、改正をするということです。羽合という名称を残すかどうかでも随分と最近、熱気があふれたところですので、次はぜひ、東郷湖、東郷池の名称でも、皆さんで地域振興の考え方をあわせて検討していただいたらよろしいのではないかと思います。 |
<東郷池の管理と浄化対策について>bQ |
県が浄化対策を進めるため、水質管理計画なるものが作成されております。中身も見ました。当たりさわりなく、大変よくできております。しかし、東郷池の環境対策は県だけでできるものでなく、地域住民の皆さんの意識改革を含め、協力と参加行動がなければ絵にかいたもちになってしまうと懸念しております。水質の保全に資する事業にしても、それぞれの目標とする具体策、また、その数値とか行動、つまり、住民の皆さんや関係者の皆さんが個々に具体的に取り組む目標、アクションプログラムのようなものが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 また、東郷池は二級河川ということで先ほどありましたけれども、私は議論をしていただきたい。県内の人は東郷池、東郷湖と、どっちとも知っていますけれども、県外の人は知らないのです。地図は東郷池になっています。こっちに来れば、観光のパンフレットは全部東郷湖になっています。やはりその辺は、私は統一すべきだと思います。その辺は管理する県が議論を呼び起こしていただきたい。そして、共通の理解をしていただきたいと思います。 それと、先ほど言いましたように、二級河川の一部ということで、ハード的な管理は土木、水質は生活環境部、農薬等は農林水産部などと、東郷池のかかわりは縦割りのままです。一体的に取り組むためには、県の関係部局、さらには住民の皆さんと一緒になって取り組みを展開する、つまり、コーディネートする担当部署を中部の総合事務所でも位置づけられたらどうかと思いますけれども、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
水質保全の事業を東郷池において行う際に、アクションプログラムのようなものが必要ではないかという御指摘です。 私どもは昨年度、東郷池の水質管理についての改善の計画をつくらせていただきました。いろいろな努力が必要になります。例えば、下水道をこれまで整備してきて、流域の方で天神川に流すわけですが、そこにつないでもらわないと意味がないわけです。そういうところに接続をしていただくとか。あるいは、やはり農薬とか、それから肥料の負荷というものは池の方にかかってくる。また、道路の砂といいますか、土が流れることが、これが池の方に対する環境負荷になる。そうしたいろいろなチャンネルで東郷池、東郷湖に対する環境負荷が高まるわけです。これを遮断していく、軽減していくのは、行政だけでできることではなくて、住民だとか、あるいはそこで営業をしておられるような旅館その他の企業さんだとか、あるいは農業団体など、さまざまな主体が協力してやっていかなければならないと思います。 これは地元の湯梨浜町の方にも事務局があり、東郷湖の水質を改善する、そうした会をつくっております。これは官民協働といいますか、民間の方も一緒になってつくっておられます。こうしたグループ、あるいは湯梨浜町とよく相談させていただき、これは基本的に湯梨浜町の部分になりますので、湯梨浜町と一体となって、この東郷湖ないし東郷池の水質改善のアクションプログラムをつくっていきたいと思います。 次に、東郷湖と東郷池の名称問題について、改めてお尋ねがありました。県の方で主体的にということで、私どもも私どもなりに、専門家とかのお話を聞いてみたいと思います。私が先ほど申し上げたのは、トップダウンで池か湖かというのを判定するのがいいのかどうかという点です。特に、昨今の合併に伴う羽合をめぐる名称問題などもありました。地元の方がどういう名称がフィットするのか、それは地域の方が、やはり地元の名前ですので、一番大切な考え方になってくるのだと思います。その地元の人の考え方というものを軸として、それで例えば我々の方でパブリックコメントを求める。これは全県的に求める。あるいは、観光とか、あるいは地質関係者とか、そうした専門家の意見なども求めて、最終的に東郷池がいいか東郷湖がいいかということを判断するという手順を踏むのがいいのではないかと思います。先ほどのアクションプログラムのお話もございましたので、早速にこの名称の問題と水質の問題について、湯梨浜町と協議をしてみたいと思います。 次に、東郷池の水質管理に取り組むために、中部総合事務所内に担当部署をつくってはどうかという御指摘です。 議員が今まさにおっしゃいましたように、これは道路の管理だとか河川の管理だとか、あるいは農業関係者とのコミュニケーションの問題などもありますので、総合事務所の中でトータルにやっていく必要があると思います。もちろん、地元湯梨浜町の役場が大きな実行主体ですし、私どももそのサポート役として、この問題にかかわる必要があると思います。 そういう意味で、これは年度明けになると思いますが、中部総合事務所の中にそのトータルコーディネートのできるようなセクションか、あるいはポストをつくり、各総合事務所内の各局にまたがるような調整を行ったり、役場との調整を行ったり、あるいは住民の方との調整を行ったり、そういう部署をこしらえてみたいと思います。
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