<TORCについて>
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TORC、とっとり政策総合研究センターについてお伺いします。
とっとり政策総合研究センターは、平成7年に県を初め市町村、民間企業の出資の中で設立され13年たちますが、その存在がなかなか県民の皆さんにわかりづらい上、余り理解されていない存在であると思っています。鳥取県という地域のシンクタンクとして設立され、毎年いろいろなテーマの調査研究がなされ、報告書にまとめられています。もちろん調査研究の発表の場も設けられ、最近では地方紙のコラム等にも掲載されています。毎年8,000万円近くの県費も投入されているわけですが、今日までのとっとり政策総合研究センターの活動について、知事としてはどのような認識と評価をされているのか、お伺いします。
また、今日までの県ととっとり政策総合研究センターとの関係について、知事の感想をお伺いします。
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●知事答弁 |
議員のほうから御指摘ありましたが、13年たつものの県民の皆様にわかりづらい、余り理解されていない。年間8,000万円近くの県費が投入されているということで、私も同じ問題意識を持ちます。
TORCも創設されたころは、ある意味シンクタンクばやりのころでありました。バブルの余韻もあったのかもしれませんが、例えば新潟であればERINAという環日本海のシンクタンクをつくる、こういうものが各都道府県でいろいろと検討され、現につくられていた時代です。しかし、それぞれの県も苦労して、その後道行きが厳しくなってきている。年々の経費がかかることに対して、県民に対してちゃんと説明ができる内容になっているかどうか、こういう悲哀といいますか、宿命を抱え込んだような状況になっています。私も年間8,000万かかっている今のTORCの現状がこのままでいいという感じはしません。ですから、本来は県民の皆様ともよく話し合わさせていただいて、TORCを今後どういうように考えていくか、もうそろそろそういう時期だろうと思います。平成14年度、前の片山知事の時代に見直して、地域の自立という研究をやろうとか地域文化をやろうとか、そういうかじを切られましたが、それでも今、議員がおっしゃったように県民に対して顔が見えない、その成果が県政だとか市町村政に生かされているかどうか疑問があるということでした。
私は、県とTORCの関係の御指摘もありましたが、今まではTORCは独立の機関であって、研究機関であると。ですから自由濶達にここで研究をしてもらうと。それは研究員なり理事長なりの才覚でやるのだと。それについては余り口出ししませんよというのが県の関係だったのかもしれませんが、ただ、税金を8,000万も年間使っているということに対して責任を感じてもらわなければならないと思います。ですから、そういう意味で研究テーマの設定なんかも一つの考えどころかもしれませんが、それ以上に、今、地域の将来ビジョンを我々話し合っているところですし、そういう中で県民運動的にいろいろな地域づくりをプッシュしていかなければならないと思います。公、県だとか市町村の行政で直接知恵を出すとかいう時代はもう終わってきていると思うのです。ですから、TORCのような存在が民間の中にあって、それなりの見識を持っておられて、こういう方々が地域のNPOだとか町内会活動だとか、あるいは学術研究機関と結びついた新しいテーマ創造だとかそういうことも含めて、むしろ地域の住民運動だとか地域づくりと結びつけながら展開を図っていくのが本来かなと思います。無理に県との関係を強化するとかいうことで、無駄遣いと指摘されるようなことに上塗りをするよりは、むしろその地域での活動を強化していく中で活路を見出していく。また、その経費についても確かに8,000万という額が高いか安いかという議論は必要だと思います。ですから、そうした組織の大きさだとかあり方、その処遇の仕方とかも入るのかもしれませんけれども、そうしたことは県民の皆様にオープンにして、財務体質も明らかにして議論したらいいと思います。TORC自体は大変にいい経営をされていますし、基本財産も非常に多い団体と言って差し支えないかもしれません。だから、そうした基本財産なんかの潤沢さを考えれば、例えば県との財政的な精算だとかいろいろなことも含めて、本当は考え得るものはあると思うのです。ただ、今までどうも地域の自立を研究するのだと、これは自由濶達にやって研究してくださいという、何か鈍麻にとらわれ過ぎて、そうした県民の目線での議論ができ切れていないかなという反省を持ちました。そういう意味でこれからよく議論を起こしていきたいと思います。
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<TORCについて>No.2 |
県としても、とっとり政策総合研究センターに県職員を研究員として毎年派遣されているわけですが、研究員の研究成果をどのような形で県政に活用されているのか、お伺いしたいと思います。
また、とっとり政策総合研究センターについての評価はいろいろ意見が分かれるところですが、私自身は非常に高いものがあると個人的には認識しているわけです。しかし、幾らすばらしい研究をしても、成果をまとめたところで、その成果が生かされなければまさに絵にかいたもちになってしまう懸念さえあります。これまで、県として政策の基礎データ程度の活用しかされていない部分が大半であると私も資料をいただいて思いました。もう少し研究テーマの設定に当たっては、強権的な束縛までしたら問題が生じますが、事前に県とそしてとっとり政策総合研究センターの皆さんとの意見交換会等を行って、研究の成果の一部でも県政上に反映できる、そんなことにされたらいかがなものかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
県の研究員を派遣していることが県のほうにどういうふうに生かされているかということは、企画部長のほうから御答弁申し上げたいと思います。
今後、TORCの活用、とっとり政策総合研究センターの活用との関係で研究テーマの設定について意見交換をするとか県政上に生かせるものにできないか、これについてのお話がありました。
現在、とっとり政策総合研究センターがやっている事業活動について、私、先ほどちょっと申しましたけれども、今後やり方を変える必要があるではないかと。今やっていることはそれなりに議員が評価するとおっしゃってくださいましたが、それなりの活動成果も出ていると思います。その一端は企画部長からお答えしたいと思いますが、そのようにいろいろと活動はされているのですが、それが県民に認知されていない。また、県政とか市町村政とつながってきていないという、そういう御指摘は私はもっともだと思うのです。8,000万も年間かけている以上、これをどうするのかということになるのですが、8,000万かけているのだから県政のほうがそれをしっかり使うようにしなければだめではないかというのは、こっちは払っているほうで、どうしてそういう議論が成り立つのかなという気がするのです。むしろTORCのほうで、民間で、しかも人材を生かして、これから新しい時代は住民の皆さんと一緒になって、公と民とが地域の活力をもたらし、安心をつくっていくということだと思うのです。それに対してTORCが主体的に貢献をしていく、かかわっていく。住民運動とのいわば媒体になったり、あるいは情報を提供することになったり、サポート役になったりという、そういう使い方といいますか、活用のされ方が地域として本当の意味の財産になってくるのではないかと思うのです。
かつてTORCは独立した研究機関であると。研究機関として理事長が見識を持って研究員と一緒になって研究をするのだと。こういう立派な研究が出たのだからこれを県内の市町村で生かせと言われて、結局県内の市町村で生かせずにわあわあとなっているというようなことなのだろうと思うのです。そういうことを多分議員もおっしゃりたいのだと思うのですが、そういうことだけでは恐らく本当の意味で生かされないのだと思うのです。むしろそうした人材がいて、それを地域の中で活用するというのが素直にできるようになればいいのではないかと思います。ですから、研究テーマを個別に設定する際に、県との話を、これは多分企画部長のほうで話があると思うのですが、それなりにやっているのだろうと思うのです。ただ、そういう意味でTORCは研究をして、その成果は県や市町村が使うのだと、これだけで存在意義を実証しようと思って年間8,000万も使っているということになると、これはもういずれ先行きが行かなくなるだろうと思いますので、むしろTORCのほうで、現在おられる人材の方々、そのノウハウを地域のほうに直接還元をしていくと。県や市町村にというよりは地域の住民の皆様、中山間地域だとかそういうところに直接還元をしていくというようにしたほうが私は値打ちが出てくるのではないかと思っております。
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●青木企画部長答弁 |
最初に、県の職員を派遣している、その成果の反映ということなのですが、これは一研究員としてテーマを設定して、地域のいろいろな課題というものを踏まえて設定をした上でテーマを決めていくということです。例えば、県のほうから派遣した職員が観光関係などで、例えば境港市の、今、水木しげるロードで成功をおさめていますが、このプロセスを検証したような研究などは、従来の箱物であるとかあるいはイベントに頼るような一過性のものから脱却すべきというような点については、示唆に富むような研究成果だったのではないかなと感じています。また、研究の活動により、県庁の外という立場でいろいろな方々と交流しながら、人脈などもつくっていくということになるわけですが、こういったつながりというのは復帰した後もいろいろな形で、県政に還元し得るような形で役立っている面はあるのではないかなと、こういうふうに考えているところです。
TORC自体の研究活動についての補足を少し申し上げますと、例えば最近ですと、鳥取県の移住定住施策についての分析で、例えばいわゆる家、住宅についての問題というのがポイントであるというような提言があったり、それからあと県内の機械工業の分析などをして、県内の従来強みと言われていた高精度、それから短納期対応というようなことが、ある種下請的な、そういった上の企業から見るとバッファーとして扱われている、こういった弱点になっているのではないか、こういったことを指摘するなどにより、今後の私どもの産業振興のあり方について示唆を与えたというような成果もあろうかと思っています。
また、研究員がそういった研究成果、それから研究を通じて得た知見とかスキル、こういったものを生かして、いろいろな地域の委員会だとか研究会に参画するというようなことを行っています。そういった活動により地域に還元していくということも最近広がりを見せているところです。
また、県でも例えば過疎中山間地の対策研究会だとか、それから移住定住総合推進協議会というのを市町村と一緒につくり、いろいろな課題について研究を今重ねているところですが、その一員に、TORCの研究員の方にもそれまでの蓄積を生かして参加していただいているということもありますので、こういった地域と協働連携する方向というのは、これから役割として大きくすべきだろうと考えているところです。
また、研究テーマの設定についてのお話がありました。今年度も研究の大まかなテーマというのは出たところなのですが、テーマが出る前にはいろいろな議論をして、地域の課題というものを踏まえて設定するわけなのですが、やはり行政のニーズのマッチングを図る必要があるだろうということで、これから研究を進める中で積極的に県とか市町村、こういった担当部局と情報交換を行いながら研究対象を絞り込んでいくというようなことをこれからやっていただきたいということを私も申し上げているところです。
また、TORCに限った話ではありませんが、県としてもいろいろな研究機関が出していただく成果というものを、なるべく行政の問題意識にマッチして取り上げるようにしたいという問題意識から、とっとり「知の財産」活用推進事業というのがありますが、これについては今年度から各部局が提出した特別枠というのを設定して募集をかけるというような工夫だとか、あるいは募集を早めて少し担当部局とマッチングのための調整をとるというような改善を行っています。この事業にはTORCのほうからも中山間地、過疎地域の人々の生活を守るためのNPOの活動についてというのが採択されて、現在、担当課と施策に反映できるような研究になるように打ち合わせなども行っているところです。
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<TORCについて>No.3 |
TORCについては、先ほどいろいろ議論しましたが、やはり知事、知事の思いが伝わっていないと思うのです。やはりTORCも本当に研究員の皆さんしっかりやっている。私は内容も高いと思います。そのあり方をやっぱり知事がもっと前面に出されて議論していただきたいと思っております。
それと鳥取県でも県職員の皆さん、本当に忙しいのです。なかなか自分の仕事も研究が深くできないのです。そういう部分をこのTORCの皆さんとも連携しながら、そしてTORCの皆さんが、研究員がまとめた研究成果を県政の中にビルトインできる、そんなシステムをつくっていただきたいと思います。
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●知事答弁 |
TORCですが、せっかく公金を使って運営する。しかも今まで歴史もあり、13年ですか、にわたり研究も継続して成果も出てきているところですので、どういうようにこれが生かされるかどうか、現場の皆さんはもとより県民の皆様の御意見も聞いて、そのあり方を話し合う必要があると考えています。 |