平成20年5月定例会一般質問(平成20年6月10日)No.2
<県職員の人材確保について> |
まずは人事委員会委員長にお伺いします。 最近、都市部では大卒者が売り市場にあり、民間企業では人材の確保に躍起になっていると言われております。したがって大学3年生になると就職活動も活発化し、セミナーを通じて人材の発掘、確保が盛んで、4年生になると4月早々に内々定が出されているのが現実です。県でも大卒者、見込み者を含めた採用試験の募集が6月2日に締め切られたようですが、その応募状況はどのようになっているのかお伺いします。 また、近年の応募状況並びに必要とされる人材が確保されているのか、その傾向についてもお伺いします。 先日、県警では高校生並びに大学生を対象にして1泊2日の体験入隊が全国に先駆けて実施され、参加者から大変好評であったと報道されていました。また、人事委員会では在学中の高校生を対象にしたオープン県庁が実施されたりしていますが、その効果について委員長にお伺いします。さらに、人事委員会では優秀な人材とは何をキーポイントとして確保に努められているのかお伺いします。 |
●高橋人事委員会委員長答弁 |
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●浅井人事委員会事務局長答弁 |
まず、職員採用試験の応募状況についてですが、応募者数はここ数年減少していましたが、先ほど委員長も申し上げたとおり、今年度は一部の職種を除いて、昨年より申込者数が若干ですが増加しています。主なものを申しますと、事務については、昨年は採用予定者数10名に対し463名の申し込みでしたが、ことしは同じく採用予定者数10名に対し480名となっています。そのほか農業、土木、社会福祉等が昨年と比べて増加しているところです。そうした状況の中で、先ほど委員長も申し上げましたが、総合化学については、昨年32名の応募者がありましたが、ことしは5名ということで激減しています。これは採用予定者数が昨年は3名でした。ことし1名ということで減ったこと、それから、配属される所属の要望により、ことしは食品衛生監視員になれる資格を持っていることを条件にしたので、そういったことで減少したのではないかと思っています。さらに薬剤師です。これは例年ちょっと足り苦しいところですが、昨年、採用予定者数1名に対し6名の応募がありましたが、ことしは同じ採用予定者数1名に対して3名ということで、応募が半減しています。したがって、今年度の必要な人材の確保については、試験を実際やってみないとわかりませんが、総合化学と薬剤師がちょっと心配かなと思っておるところです。 先ほど、一部の技術専門職で必要数を確保できない事例があるというふうに委員長が申し上げましたが、具体的に申し上げると、昨年度は土木と機械の職で必要な人数が採用できませんでした。そのほかにも獣医等も毎年不足ぎみです。なお、必要な人数が確保できていないもののうちには、ある程度の応募者はあっても、学力、人物等でこちらが求めているレベル以上の人が少なかったという場合もあります。応募者数だけが問題ではありませんが、やはりより多くの応募者の中から選ぶほうがすぐれた人材の確保につながると思っておりまして、取り組みに力を入れているところです。 次に、オープン県庁や仕事説明会の実施状況についてですが、これは昨年度から始めた取り組みです。オープン県庁は高校生を対象に年1回、これは休みがいいので春休みに開催することにしています。仕事説明会は、先ほど委員長も申し上げましたが、対象は限定しておりませんが、一応大学生、先ほど質問にもあった大学3年生あたりを想定してやっています。こちらは昨年10月に実施したところですが、ことしからは年2回、これも休みのほうがいいので夏休みと冬休みを予定しているところです。実施内容については採用試験の概要だとか県の仕事の概要、あるいは休暇等の勤務条件とか、それから福利厚生制度等の説明もやっていますし、そのあと、これは知事部局や教育委員会、警察本部、それからオープン県庁では議会の御協力もいただき、実際の職場を見学して、職員から仕事の説明をしてもらっています。参加者数については、昨年10月の仕事説明会が61名の参加でした。ことし3月のオープン県庁は高校生だけを対象にしたので16名ということで、今後またふやしていきたいと思っております。 参加者にアンケートをとっていますが、非常によかったと、県の仕事がよくわかったとか、直接職員から話が聞けてよかったと、9割以上の方に非常に評価していただいています。そのほか応募者をふやす取り組みとして、就職フェアに参加したり、あと大学等の企業説明会にも参加しています。そういったことで、今後とも確保に努めていきたいと考えているところです。 |
<県職員の人材確保について>bQ |
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●知事答弁 |
人材確保について県としてどんな職員、人材を求めているかという点です。 これは先ほど人事委員会のほうでもありましたが、単に学業だけでなくて人間性を見たい、そういう試験のやり方だと思いますが、そういうことで採っていただいて、私どもはそれを今度は預かって育てるということになりますが、最終的には県民のお役に立てるような人材へと導いていかなければならないと思っています。 一つには、行政執行ですので、行政サービスを適切に提供できるだけの識見や能力というのがまず第一に必要かと思います。ただ、そういうことを試験のペーパーテストで見るということ以上に大切だと思うのは、一つは志だろうと思います。高い志を持って住民と地域のためにこの一身を一生ささげようという人材でなければいけないと思います。特に採用するころ、青雲の志を持ってこれからの人生を地域住民にささげていこう、このことがなければいい仕事はできないと思いますし、その人の向上も望めないだろうと思います。 人間としてのコミュニケーション能力も大切な視点だと思います。これは面接試験の中でも見えてくるものはあるかと思いますが、最近採用した方々について、よく職場の皆さんから、結構おとなしい小ぢんまりした子が多いのではないかというお話もあります。私は必ずしもそうでもないかなと思うのですが、ただ、やっぱりしっかりと外界といいますか、県庁の外の方々とコミュニケーションをとったり、中で組織を動かさなければいけませんので、上司だとか同僚としっかりとしたコミュニケーションをとっていく。この能力の必要性が非常に今高くなっているのではないかと思います。 また、問題意識なくただ唯々諾々として言われたことをやるという人材は、これは歯車にすぎないのです。恐らく住民のニーズにふさわしい仕事をやっていくだけの能力を持てなくなると思います。やはり自分で現場に出ていって、課題を見つけて、発見をして、それを政策へと結びつけ、またみずからが執行者となってサービスを提供していく、こういうことができる人材でなければなりません。ですから、課題の、問題の発見能力というか、問題意識を持てること。また、課題を解決していくだけのそうした構築力、こういうものも大切なポイントになろうかと思います。 あと最近、盲学校の事件で明らかになりましたが、コンプライアンス、県民の信頼を得ることは大切です。ですから、公正に仕事をしていくということ、私を殺すことができるぐらいの、そうしたモチベーションといいますかモラルを持っている人、これも大切な視点ではないかと思います。 こうした人材を我々としては求めていまして、当県の場合は他県の人と比べて大変に驚かれるのは、面接試験とかをしっかりやる県だというふうになってきました。先般も近畿の知事会に出て他県の知事さんと話をしましたが、我々のところでは経済界といいますか、民間の方も入っていただいて面接試験をするのだとか、他県だとせいぜい面接試験をやって知事部局から出ていっていますよと胸を張っても、担当者的な方が多いのですが、我々だと本当の部長級とか幹部も出ていって面接試験をやるということで、こういうことで人材を選定していき、後々育てていくことが大切ではないかと思っています。人事委員会のほうで適切に試験を実施していただき、私が申し上げたような職員が育つ素地をつくっていただくことをお願いを申し上げたいと思います。 |
●高橋人事委員会委員長答弁 |
まず、近年の採用試験の応募者が減少している原因をどのように分析しているかという御質問ですが、応募者が減少しているのは少子化、それから都市圏における求職率の上昇、公務員人気の低下などが主な原因ではないかと考えています。なお、公務員人気の低下の要因ですが、全国レベルでの公務員の不祥事あるいは行政の施策の失敗などが取り上げられる中で、公務員に対する信頼や評価が低下してきている。それから、官から民へという世の中の流れの中で、公務員の位置づけや将来の役割に不安感がある。そして、採用試験に対する負担感があるのではないかと分析しています。 |
<県職員の人材確保について>bR |
先ほどありましたけれども、本当に今なかなか公務員になりたくない。若い人にとっては余り評判のよくない職業になってしまいました。地方公務員の場合でも幾ら一生懸命頑張っても、厳しい財政状況を反映し生活給与のカットが行われる現状の中で、やっぱり国家公務員のT種に合格する力のある人は生活給与のカットがない国家公務員のほうを選び、あえて地域の経済と比較される県職員にはなかなかならないと思います。人事委員会としても引き下げばかり言うのではなく、国家公務員より頑張りがいのある県職員の待遇、環境づくりをしっかり検討をしていただき、将来の県政を担う人材確保に向け、また職員の士気が高まるような制度システムの構築に努力をしていただきたいと思います。 |