平成20年9月定例会一般質問(平成20年10月8日)No.3

<橋梁の耐震化について>


 平成7年の阪神大震災で、橋脚の倒壊を初め橋げたの落下など甚大な被害が発生し、平成8年にはこの大震災を教訓として橋梁の耐震基準が全面的に改定され、今日まで本県においても橋梁の耐震化に向け鋭意努力をされてきました。平成18年3月の斉木議員の一般質問で、当時の県土整備部長は、本県の橋梁の耐震補強の状況について、平成15年度末で全国が33%であるのに対し、本県は89%と全国でもトップクラスと答弁をされています。このことは、耐震基準が改定された平成8年に、災害時の緊急輸送路確保、並びに落橋による二次災害を防ぐ観点から、本県でも防災幹線道路ネットワークがいち早く策定され、県の防災計画に掲載されるとともに、積極的に耐震補強工事が取り組まれてきた結果であると思います。
 議員の皆さんは既に御承知かと思いますが、せっかくですので議長のお許しをいただき、議員各位の机の上にこの防災基幹道路ネットワーク図を配付させていただきましたので、この図面をごらんいただきながら以後の質問を進めていきたいと思います。
 本県の防災基幹道路ネットワークは、県庁及び県内外の地方中心都市を連絡し、それらと主要港湾、空港を結ぶルートとして国道を中心とする第1次ルート。第1次ルートと市町村役場及び主要な防災拠点を連絡するルートとして、県管理の国道並びに県道を中心とする第2次ルート。第1次ルート、第2次ルートの代替機能を有する道路として、広域農道や農免道路などの第3次ルートと、優先度に応じてネットワークルートが設定されていますが、この防災基幹道路ネットワークの第1次ルート、第2次ルート、第3次ルートそれぞれの耐震補強工事の進捗率についてお伺いします。
 中でも、鳥取と島根両県にかかる境水道大橋は震災以外にも原子力防災の観点からも大変重要な橋ですが、この橋の耐震補強対策はどのような計画になっているのかお伺いします。 もう一度ネットワーク図を見ていただきたいと思います。中部から西部に物資を輸送する場合、第1次ルートに災害が発生したとき、第2次ルートは岡山県を迂回するコースとなっています。代替コースとして直近の広域農道は第3次ルートとして設定されています。一般的には第2次ルートとしての機能が極めて高い第3次ルートですが、なぜ第3次ルートなのか単純な疑問が生じますが、知事の所見をお伺いします。

●知事答弁

  
 第1次ルート、第2次ルート、第3次ルートのそれぞれの耐震補強工事の進捗率を問うということです。これは県土整備部長からお答えしたいと思います。議員のほうから御指摘いただきましたが、県全体では81%の進捗率で、県民の皆様にも安心していただける水準に近づきつつあると思っています。特に、県管理でやっているところはかなり手を打っていまして、97%の進捗率まで来ています。

 次に、境水道大橋についてです。この橋の耐震補強対策はどういう計画になっているかというお尋ねです。
 境水道大橋は昭和47年の7月に完成しました。夢のかけ橋で、島根半島と境港の市街地を鉄骨で結ぶ大きな大きな橋梁です。当初、これは道路公団の有料橋として開通しました。それから30年がたち、平成14年の7月に無料橋として我々のほうに引き継がれました。島根県と鳥取県とで3年ごとに交互に移管しながら管理するという形態でやってきています。現在は鳥取県のほうが管理中の期間ということになります。
 この境水道大橋も耐震性能において補修すべき点があると分析されていました。ただ、事業費がかかる橋になりますので、どういうふうに取り組もうかということで、島根と鳥取と両県の間で話し合いを続けてきました。このたび両県の意思のすり合わせができてきたところで、大体18億円ほどかかる工事になってしまうのですが、国の助成制度などを十分活用して、両県でこの補修に当たっていこうというめどが立ったところです。これから5年間ぐらいで18億円ぐらいかかりますが、平成21年度の事業着手を目指して、これから予算編成時期に入ってきますが、話し合いを詰めていきたいと考えています。
 最後に、第3次ルートとして広域農道が位置づけられているけれども、なぜなのだろうかということです。これは、恐らく国道9号に対する代替性ということで3次ルート、その代替というのを3次ルートという意味だと思います。2次ルートというのはまた別の観点で設定しているものだと思いますが、考え方の詳細は県土整備部長のほうからお答えしたいと思います。

●谷口県土整備部長答弁

  まず、第1点、耐震補強工事の進捗率ということです。
 県内の15メーター以上の道路橋梁というのは、平成18年度末の時点で、1,042橋です。このうちの防災幹線道路上にあるものは、国、県、町合わせて537橋ということになっています。この537のうちの耐震補強が未着手の橋梁、これが104橋ありまして、全体としては81%の進捗率です。
 ルート別ですが、第1次のルート上にある橋梁389橋、うち未着手が90橋ということで進捗率が77%ということです。この第1次ルート上には国管理の橋梁が含まれていまして、これがまだちょっと進捗率が悪い、83橋残っているというような状況で、ちょっと全体の進捗率が悪くなっています。それから、第2次ルート上です。これは90橋あり、未着手が1橋、進捗率が99%。第3次ルート上、58橋のうちの未着手が13橋で78%ということになっています。
 続いて、先ほど1次・2次・3次ルートのお話がありまして、このルートの選定についてということですが、先ほど議員のほうで1次、2次、3次のルートの、例えば中心都市を連携して港湾、空港と結ぶなど説明がありましたので、これは省略させていただきます。
 特に3次ルートが今問題になっていると見ていますが、3次ルートというのは1次、2次のルートの代替となる補完、代替するという道路で、これがちょうど9号と平行する区間の農道ですね、ここに3次ルートというものが指定されているということになりますが、先ほどの質問の中で第2次ルートとして岡山県側に国道482号というものがありますが、これは9号が被災したときにこの岡山側の道路を通りなさいというものではなくて、あくまでもこのルートは第2次ルートとしての役場や防災拠点を結ぶという役割を果たしています。
 それで、この農道ですが、これは9号が被災したときには、必ず9号を代替するという道路です。もちろんこの9号を代替する道路の中には第2次ルートに指定されている県道等も含まれています。そのために別に2次、3次で優先度をつけているものではありません。9号を代替するということでは重要な路線と認識しています。その枠組みのいかんにかかわらず、常にやはり1次、2次、3次のルートが機能するということが一番大事なことですので、それも耐震化を含めた維持管理を国、市町村と連携しながら、しっかりやっていこうということです。
 
<橋梁の耐震化について>bQ

 
 1次・2次・3次ルート、これは同等というふうな発言がありましたが、しかし一般的に見たら、1次の次は2次でしょう、2次の次は3次でしょう。しかも、第3次ルートは1次の代替ルートになっているでしょう。もし県土整備部長の考え方とするならば、第1ルート、第2ルート、第3ルートにされたほうが私はいいと思います。1次、2次、3次なら、1次の次は2次でしょう、2次の次は3次でしょう、これが普通でしょう。私はちょっと違和感を持っているのですが、意見があればお伺いしたいと思います。
次に橋梁の耐震化工事、これは防災計画に位置づけられた防災幹線道路ネットワークによって順次進められていますが、県道並びに県管理の国道の改修率は非常に高くなっているわけですが、第3次ルートに指定されている広域農道、農免道路等の農道に目を向けるとその状況は、先ほど答弁にもありました、国よりも若干高いのですが、県ほどではありません。
 本県の広域農道、農免道路、ふるさと農道のうち15メートル以上の橋梁は本年3月末で全部で105橋あります。そのうち耐震済みは23橋で、その23橋すべてが耐震基準の見直しが行われた平成8年以降に設計ということです。つまり、旧基準で設置された農道の橋梁は、全く耐震補強の措置が講じられていないということで、第3次ルートとはいえ、先ほど同等と言われましたが、1次の次の重要な迂回ルートと言われましたが、防災幹線に指定されている農道の橋梁の耐震補強工事が行われていないようでは、本当に災害時に心配です。
 このことについて、私は非常に大きな問題があると思いますが、知事の所見をお伺いします。
 そして、あわせて農道に関しては、平成5年4月に当時の農林水産部長から鳥取県土地改良財産の管理及び処分に関する要綱が出されています。この要綱に基づいて工事が完了したときには、土地改良区並びに市町村へ財産の移管が進められてきました。広域農道、農免道路、ふるさと農道は、これまで工事施工中のものを含め94路線が整備され、そのうち51路線が財産譲与されています。
 さらに、平成8年の基準改定後に財産譲与されたもののうち橋梁がある17路線では、いずれも耐震補強はされていません。したがって、どうするかというと、もう移管されていますから基本的には市町村の責任でしょう。
 しかし、財政力が弱い市町村にそういう農道を譲与されているわけですが、耐震基準が改定される前ですので、改修に当たっての負担はやはり移譲元である県がすべきものと思いますが、知事の所感をお伺いします。

●知事答弁
  
 言葉として1次、2次、3次となっている。1次の次は2次を整備すべき、2次の次は3次を整備すべきとなるのではないかと、今のこの言葉はおかしいのではないかということです。
 私どももこの言葉にこだわるものではありませんが、1次、2次の区別のところは1次幹線ルートにつなげていく、市町村役場などからつなげていく道路という意味で2次という言葉を使っています。3次という言葉がちょっとわかりづらいのかもしれないと思いました。3次は、1次、2次の代替機能を有するもので、その中でも重要だと考えているものです。ですから、3次ルートという言葉を使うときに、例えば私どものほうでは重要代替ルートとか、そうした言葉にかえるとか、あるいは括弧書きをつけるとか、混乱のないようにしてはどうかと思っています。
 次に、第3次ルートとはいえ、防災幹線道路ネットワークに指定されている農道の橋梁の耐震補強が行われていない、これでは災害時に心もとないではないかという指摘です。
 私どもも重要な代替機能を有するルートとして路線を考えていますので、この12橋の手当てができていないところはぜひ可及的速やかに補修を行うべきだと考えています。その意味で、これは今市町村が管理している農道です。大山広域だとか中部広域の農道なのですが、大山広域で5橋、中部広域で7橋あるわけです。この分はぜひ早急に体制を整えたいと思っていて、市町村と話し合ってみたいと思います。市町村の管理農道となっていますので、市町村のほうでやるのが筋合いかもしれませんが、防災としての重要性ということもあり、県として支援するというか、一定の役割を果たす、財政的にも一定の役割を果たすことを研究してみたいと思います。市町村の実情も伺ったりして、どういう財政措置が一番得策であるかということも見きわめながら考えていきたいと思います。
 次に、農道は工事完了後に土地改良区、市町村へ財産移管が進められていると、51路線が財産譲与されているということですが、まだ橋梁のある路線が17路線あると、それについて応分の経費を移譲元として負担すべきではないかということです。
 基本的な考え方としては、やはり事業完了後は市町村に移管をするという約束事で、市町村から要望いただいたり、我々のほうで補助したりして、農道の整備を行ってきているところです。ですから、市町村が管理する、中には市町村道に認定がえして管理するなども行われているところで、それは交付税の問題もあるわけですから、そうされているので、市町村は市町村として管理していただくのが基本だろうと思います。
 ただ、先ほど御指摘いただいたような防災上の幹線、ネットワーク上の橋梁だとか、全県的な配慮が必要ではないかというところは理解できますので、先ほども申し上げましたが、一定の県の役割を果たすことも今後検討をしていきたいと思います。これも市町村と相談したいと思います。
 
<橋梁の耐震化について>bR

 
 橋梁の耐震化ですが、市町村と議論していただくということで、お礼を申し上げたいと思います。過去にもこの議場で天神川の、いわゆる国交省から県に移管する議論がありました。当時も知事は整備が終わっていない天神川を今県として受けるわけにはいかないと答弁されています。市町村に移譲されたときには耐震基準が行われていない8年前ですから、当然耐震基準はクリアされていないわけですが、基本的には私は天神川の議論と同じだと思っています。やはり、きちんと耐震化基準がクリアされたものを受けたと市町村は思っているわけですから、結果的には耐震基準をクリアしていないということであれば、防災幹線路線でもあるので、ぜひとも市町村と協議して、本当に有事の際には安心してその道路が有効に生かせる、そういう形をぜひとも知事に果たしていただきたいと思っています。知事に感想があれば、所見があればお伺いしたいと思います。


●知事答弁

 
 市町村の橋梁についてですが、私どものほうで農道をつくった責任があるから全部橋梁をかけかえなければならないかということですが、これは一応最初の約束がありますので、農道にしたら市町村に移管するというルールでこれはやっていますので、まずは御理解いただきたいと思います。ただ、やはり災害時だとかいうことを考えて、全県的な対応が必要ではないかと言えるところは、別の観点での手当てがなされるべきだと思いますし、最初にこれを生んだ責任はあるのですから、その責任は感じていきたいと考えています。
 今御指摘のあった天神川ですが、国全体では河川と道路の管理移管、これを議論しています。地方分権改革推進委員会のほうの報告の中にも河川と道路について移管すべきということが提示されました。国土交通省がこれに反論して、国土交通省と委員会との間で協議がなされたり、また、地方団体との協議も今なされています。現在の仕組みは、全国知事会が統一窓口になり相談するということになってきたわけですが、全国知事会のほうとの協議も一定の整理ができつつあります。

 その中で国のほうが今譲ってきていますのは、今まさにおっしゃったような災害時においては国が責任持って対応する制度を考えようということです。あと、実際にその管理に関する費用、それから人材やノウハウの問題、こういうところもきちんと移譲されるのかどうか、これも焦点になってきています。こういうような個別具体の議論に落ちてきていて、それで協議対象として個別の河川や道路を掲げて自治体と話し合いをするという段階に来ています。当県の場合、天神川もその俎上に上がってくる対象の河川だと思います。私は、これまでいろいろな議論もありましたが、国が災害時、責任をとるとか、あるいはきちんとお金の面の不安がないかどうか、この辺を見きわめてこの問題に当たっていきたいと思います。
 今、知事会のほうではできるだけ多くのというか、基本的にはすべてと言っていいのだろうと思うのですが、多くの河川や道路を自治体、県のほうで受け入れるのが分権の本旨ではないかという主張をされているのですが、現実問題としては恐らくその天神川とか一定のところが協議対象に入ってくるはずです。そういうときに個別具体の議論をして、この辺を我々も整理していきたいと思っています。今回の橋梁の問題も、本来は県がつくったわけですが、農道の場合は市町村が後は管理するという約束になっているわけです。ただ、災害時だとかそういうところで全県的な損害などを考えれば、全県的立場で考える部分もあるだろうと。ですから、財政的支援については、まずはそこから考えて検討し、枠組みを市町村と設定していきたいと思っています。