<職業開発能力センターについて>
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職業能力開発促進センターは、国にかわって職業訓練を行う機関として独立行政法人雇用・能力開発機構が全国各地に設置し、各種の職業訓練が行われている施設で、県内には鳥取と米子の2カ所にポリテクセンターとして設置されています。
ところが、皆さんも御存じのように、国の独立行政法人整理合理化計画が平成19年12月に閣議決定され、このことにより、独立行政法人雇用・能力開発機構は廃止し、職業能力の開発業務に特化した上で独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構と統合する方針が平成20年12月に閣議決定され、今日に至っています。
この最終方針によると、国の責任による職業能力の開発業務の実施堅持という観点から、職業能力開発総合大学校はあり方を抜本的に見直す中、機能強化を図り、職業能力開発センター、ポリテクセンターについては、都道府県等が移管を希望する場合は可能な限り移管するとされ、話題が集中した「私のしごと館」については、平成22年8月末までに廃止されることとされています。
このように、最終閣議決定では、鳥取と米子にあるポリテクセンター、つまり職業能力開発促進センターは、将来的に都道府県等が移管を希望する場合は可能な限り移管するとされていますが、今日までに国から何か打診があったのかお尋ねします。
鳥取と米子にあるポリテクセンターでは、県立の高等技術専門校と訓練内容をすみ分けしながら、企業の在職者、さらには求職者を対象として、住宅サービス科、産業技術科、ビル管理科、テクニカルオペレーション科など、物づくりの基礎を1カ月間の企業実習と合わせて6カ月間のコースで行われ、毎年600人余りの皆さんが学び、県下の企業で即戦力として活躍しています。
このたびの改革は、肥大化する独立行政法人のスリム化並びに二重行政の整理等、さまざまな観点から行われるようですが、今日の社会情勢に見られるように、再就職に向けた離職者の訓練、企業の技術革新を踏まえた高度な訓練などは、我が国の物づくりを支える上で不可欠な社会のセーフティーネット機能の一つです。引き続きその機能を維持していくべきものであると考えます。都道府県等が移管を希望する場合は可能な限り移管という政府案について、知事としてはどのように受けとめておられるのかお伺いします。 |
●知事答弁 |
鳥取、米子にあるポリテクセンター、職業能力開発促進センターは可能な限り移管をするとされているが、国から何か打診があったのかどうか、あわせて、そのポリテクセンターは不可欠なセーフティーネット機能の一つであって、その機能を維持するべきである、都道府県が移管を希望する場合は可能な限り移管という政府案についてどういうふうに受けとめているのかという問いをいただきました。
実際に打診があったかということの詳細は商工労働部長から申し上げたいと思いますが、正式な打診はありません。ただ、どういうような条件が求められるのかというようなアンケート調査が来ております。
また、県としても、これまで厚生労働省のほうに何回か要望に行っていますし、私自身も述べたことがありますが、ポリテクセンターの移管ということを私どもは受けてもいいと。ただ、それについては条件をしっかりと、財政的な条件だとか満たしてもらいたい旨のいろいろな要望をさせていただいています。ですから、先方には私どもの意思は伝わっているのではないかと思っていますが、ただ、なぜか正式な打診という形ではまだ来ていません。
どういうふうに今の政府の動きについて受けとめているかということですが、議員から御指摘のように、昨年末の12月24日にこの件について閣議決定がなされました。「私のしごと館」の廃止とともに、ポリテクセンターについては都道府県からの希望を聞いて行うことなどが盛り込まれたわけです。
我々としては、正直申し上げて、現在私どもの高等技術訓練校が倉吉と米子にあります、それからポリテクセンターが鳥取と米子とにあるわけですが、これらが統一的なトータルのサービスを提供しているかというと、なかなか難しい状況だと我々は考えています。結局、ポリテクセンターは自分たちの装置とか設備の関係で特に離職者訓練の物づくり系など大変有利な条件がありまして、そういうところを一生懸命されたり、あるいは委託研修をやったりということをされます。私どもも、私どもの人員と、あるいは設備の限りの中でできる限りのことをやり、また、民間への委託研修なども含めてやるわけですが、どこからどこまでがどういう仕分けでお互い分担しているのかというのは、今もってきっちりとした区分けがあるようには我々自身も思っていないわけです。ポリテクセンターはこういうことをやりたい、では県は残りのこういうことをやりましょうというようなことで、統一的な職業訓練の提供というところに残念ながら至っていないのではないかと思っています。ですから、むしろこうした一時的な職業訓練については県のほうに移譲してもらって、我々のほうでトータルで東・中・西で施設を運営していくのが望ましいだろうと考えています。
ただ、現在ポリテクセンターが運用されているのは雇用保険によってで、その財源が国から流れていますが、県はそういうことになっておりません。ですから、ポリテクセンターの移管に当たり、そうした雇用保険のお金がきちんと使えるように制度的な手当てを求める必要があると思っています。
あわせて、莫大な施設がありますので、設備もあります。それについては機能の移管ということですから、無償で県のほうに提供してもらいたい。また、受け皿となるべき組織についても現在地方独立行政法人のような仕組みがありませんので、恐らく国の雇用保険特会のお金を受けるとなると、県の一般会計に入れられるかどうかというのは彼らのほうの問題も出てくるかもしれませんから、そうであれば中立的な機関をつくってもいいか、と思うのですが、そういうような受け皿の議論がまだでき上がっていないと思っています。そうした条件について、私どもも国のほうに訴えかけをしながら、ポリテクセンターの移管について前向きに考えたいと思っているところです。
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●門前商工労働部長答弁 |
昨年12月の閣議決定の中で、職業能力開発業務の見直しに関して、議員御指摘のとおり、財源、雇用保険料ですが、財源及び人員を含め、各都道府県等の受け入れやすい条件を整備し、都道府県等が移管を希望するものについては可能な限り移管をする、また、実施時期については、改革に必要とされる法制上の措置については平成22年度末までを目途に講ずるということもあわせて閣議決定がなされているところです。
現在、この閣議決定後に国から私どものほうに打診があるということはありません。ただ、昨年11月の閣議決定の前に、厚生労働省からポリテクセンターの移管についての意向だとか、移管に当たっての条件についてアンケートがありました。鳥取県としては、先ほど知事からもありましたが、財源が100%確保されること、また、施設整備が無償譲渡されること、実施する訓練内容について県が独自に設定できること、また、現在認められていない高等技術専門校の独立行政法人化の制度が認められることなどを条件として、前向きに検討するというような回答をさせていただいたところです。
このアンケートの全国的な集計を伺ってみると、他の都道府県では、国と地方の役割分担だとか、財源、職員などの移管の条件が明確ではないということで、現時点では判断ができないという回答を寄せられているところが大半だというように伺っているところです。
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<職業開発能力センターについて>No.2 |
ポリテクセンターは確かにまだ財源の問題とか移管に伴う条件、多分21年度の中で国もいろいろな法案を、法令といいますか、つくってくると思います。その状況を見なければその方向はわからないわけですが、そうはいっても、もしなくなるということになれば、やっぱり大変な問題であると思っています。まさに雇用のセーフティーネットは確保するという意味で、例えば東部、中部の高等技術専門校と並んで、東部・西部ではこのポリテクセンターをどうしても残していただいて、そして職業訓練の施設としての機能をしっかり担保できるような、そういう対応をしていただきたいということをお願いし、知事の改めての決意のコメントをいただいて、この分についての質問はとりあえず終わりたいと思います。
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●知事答弁 |
現在、我々のほうで閣議決定や、あるいはその後の国の動きを見ていますが、22年度いっぱいまでに法的な手当てをしようというのが国の動きだと我々は理解しています。ですから、これから向こう2年間の間にどういうポリテクセンターのあり方を考えていくか、国で議論がスタートするのではないかと思っています。その際に私どもとして強調したいのは、一つは、現在雇用保険特会でやっているこの事業自体はすばらしいことだと思いますし、特に今のように離職者がふえている状況では、離職者訓練は欠くべからざる行政機能だと思います。ですから、それを、雇用保険特会を活用してやること、これを地方版のポリテクセンターに移行させることが必要ですが、国の特会との関係がありますので、組み方に工夫が要るのだろうと想像しています。その意味で、ぜひ上手に制度を組む必要があって、地方の意見をよく聞いていただいて、財政の面での移管も果たしていただきたいというのが条件だと思います。あと、組織づくりだとか、あるいは施設のあり方だとかその辺、あるいは職業訓練の体系は丸ごと都道府県にお任せするということでやっていただきたいと思います。
現在の状況を申しますと、県の中部、西部の高等技術専門校のほうでは長期訓練をやるのですが、東部はポリテクセンターのみで、これはやっていないというふうにいびつになっていたりします。それは、施設の有無とかいうことに大分かかわっていますので、もし移管させていただけるのであれば、東・中・西の拠点を再整理して、職業訓練のあり方ももう一度体系をつくり直す必要があるだろうと思います。
早速、気が早いかもしれませんが、新年度に入って、職業訓練のあり方全体像を見直す検討の委員会を立ち上げて研究を始めたいと思っています。そういう成果も国のほうに訴えかけながら、私どものほうで移管を具体的に求める条件整備だとか、制度について提言をしていきたいと考えています。
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