<定数の削減について> |
21年度予算の提案に当たり、知事部局で51人、教育委員会部局で107人の削減が盛り込まれています。この職員定数問題については、代表質問でもさまざまな議論がされたところですが、改めて知事にお尋ねしたいと思います。
この定数削減は、知事選のマニフェストに掲げられた5%の職員を削減するとされたことに基づき年次的に進められているもので、具体的削減目標人数については、昨年の10月に作成された鳥取県版集中改革プランの中で一般行政部門200人、教職員等の学校職員の300人と合わせて500人の定員削減見通しが具体の数字として初めて示されました。
集中改革プランでは、平成19年から23年の4年間に知事部局と教育委員会部局で5%の職員を削減すれば、職員数が1万249人から9,578人と671人の削減で6.5%となり、国から要請された集中改革プランの期間である平成17年から22年と照合すれば、国が求める5.7%の削減目標を達成することとなると記載がされています。マニフェストで5%とされた根拠並びに全体の削減見通し、具体策について、知事の考え方をお伺いします。
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●知事答弁 |
私が選挙の前にマニフェストで提示した際に、5%の職員の定数を削減しましょうという数値目標を出しました。これは従来の、少なくともその前の8年間の鳥取県政ではタブーのような話だったと思いますが、あえてそういうことをしたのは、やはり県民の皆様に選挙で政策を判断していただく上で基礎的な私の考え方、指標を示して、具体的に材料を提供する必要があると考えたからです。
その背景にあるのは、自分なりに悩みましたが、財政は非常に厳しいということです。今もって安定的だと言うことはできないと思います。そういう状況の中で、片方で地域間格差がどんどんと拡大して、雇用も低迷したり、経済的な問題があったり、あるいは福祉や教育にお金を割こうとしても一定の行政体力をつけなければならない。そのために行財政の改革をする必要があるだろうと判断しました。それは、無理とか無駄とかむらとか、いろいろなものを排除していくことで行政組織の効率化を図ることはできないだろうか、その辺に自分の思いがあったわけでます。これをすることで初めて県民に対するサービスや地域の振興に力を振り向けることができるだろう、今のままではじり貧になってしまうのではないかと思ったので、行政の効率化、スリム化、サービスの向上ということを唱えたわけです。その一つの指標として5%という指標を出した訳です。
その際に参照したのに、平成14年から18年までの全国的な定員管理の調査があります。この定員管理調査で我々の執行部と、教育委員会とを合わせて指標を見てみると、14年から18年の間、全国の類似団体、鳥取県と同じような体力、規模の団体の平均があります。それだと、おおむねというか、きっちりなのですが、5.0%、14から18には定数が下がったというのが統計データです。これに対して、鳥取県は14年から18年の間は逆にプラス2.2%ということで、全国的にも特異なことだったのですが、これはニューディール政策などをこの議場でも判断してやっていたことでやむを得ない面もあるわけですが、2.2%の増ということでした。14年から18年の間に5%同じような団体が削減できるだけの、いわば行政上の無駄、無理を減らす余地があるのではないか、そのぐらいはせめてその同じ時期に鳥取県はひとり2.2%増でしたが、5%程度は少なくとも体力を強化する必要があるだろうというのが私の提示の考え方でした。
これは行政職員に掛け算をしてみると、知事の執行部のほうではおおむね3,000人程度の県庁を目指しましょうということで、当時計算してもそうなったので、大体わかりやすい指標としても5%というのは一つの目安かなと。できればそれよりも多目を目指したいぐらいの気持ちでやろうという思いでした。それが当時の考え方です。
そして、今後の削減見通しについては、今提示をしていますプランを私どもとしてはつい先般示したところですので、ぜひ実行する努力をしたいと考えています。
年次的な計画も示していますので、その中でやっていきたいと思いますが、議場でも繰り返し指摘がありますが、教職員の教育サービスが低下するようなことを目指すわけではありませんので、そちらのほうは自然体で無理のないことにして、むしろ執行部とか、あるいは教育委員会の事務局もあるかもしれませんが、そうした後方部隊のほうで、我々のほうで工夫の余地を探していこうではないかというのが今の考え方です。
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<定数の削減について>No.2 |
前段で申し上げたとおり、国のガイドラインを絶えず意識して作成されているようで、少し違和感を覚えています。私が申し上げたいのは、国の指導を意識することなく、鳥取県としての公共サービスをどこまでどのように担保するのか、そのためには必要な業務は何で、人材をどう配置するかということがあくまでも基本であると私は思っています。
当然、限られた財源と人員等で勘案しなければその作業は進まないわけですが、議場での答弁を聞いて、少し心配しています。といいますのは、議員の皆さん、いろいろな思いの中ですばらしい提言をされます。すると、知事は検討します、検討しますと、非常に美しい答弁が多くて心配しています。それだけビルド、ビルドが続けば、職員の皆さんの業務もやはりどんどんふえていくのです。もう手いっぱいというのが現状ではないかと私は思っています。検討されるにしても優先順位をつけさせてくださいねとか、それからやはりノーと言うことももう少し勉強されたらいかがなものかなと思います。スクラップすべきものはスクラップすると、いま一度大胆に業務の見直しをしなければ、職員の定数とも整合性が保てないと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
お話は率直に受けとめさせていただきたいと思いますが、私は国の指導を受けて、定数管理をこれから適正にやっていきましょうと申し上げたことは一度もないと思います。議事録を見ていただいてもそうだと思いますが、私が常々申し上げていますのは、県民のために、そして地域のために、行政サービスを展開する上での体力をまずはきちんと我々はつけなければならない。財政的な収入が必要ですが、それには不安定感がある。そうであれば、私どものほうの行政サービスの提供を効率よくできる体制をつくらなければならない、そのことを申し上げているので、国の指導とはむしろ関係のないところで、県民の視点で目標を立てているわけです。
ただ、5%削減を自然体でやってきますと、結果も国の指導の基準もクリアできるということで、いわば両にらみになったというのが現実のところで、この定員管理の集中改革プラン自体は議場での提案を受けて最近つくったもので、これは後づけのものだと考えていただければ結構かと思います。
業務の見直しを大胆にやっていくことは、これはおっしゃるとおりで、議場で提案されるようないろいろなアイデアだとか、あるいは県民から寄せられたもので機動的に処理しなければならないことは、私はやるべきだと思います。そういう意味で、検討すべきことは検討するということになろうかと思いますが、その片方で不要不急の事務だとか、県と市町村との間で重複してやっていることがないだろうかとか、点検の余地は、これはこれで山ほどあると思っています。スクラップのほうは、議員も御経験がおありで、役所の中では非常に難しい作業にはなるのですが、ただ、私としては、それを大胆にやっていくことは必要だと思いますし、市町村との重複についても見直しを進めていく必要があるだろうと、これは常々庁内で指導させていただいているところです。そうした意味で、大胆な業務見直しをしながら、職員の定数についてこれから適正化を図っていく所存です。 |
<定数の削減について>No.3 |
地方自治体は国と異なり住民の生活に密着した実務を担っている機関ですから、不況とか雇用情勢の悪化、生活不安の増大が懸念されている昨今、県行政の業務量は確かに増加傾向にあると思っています。
知事が選挙戦に臨まれ、マニフェストで考えられた18年と比較すれば、次年度、21年の知事部局職員定数は250人減って、率にして7.7%の減少、就任時の19年からは142人減って4.6%の減少、5年前の16年と比較すれば303人、9.7%の減少です。さらに、県プラン最終年度までに1%強の削減が加わる見込みとなっています。鳥取県は全国で最も小さい県ですが、山もあり、海もあり、行政サービスの種類はやっぱり他県と同程度あると思っています。これほど実動部隊が減少していくと、県民への行政サービスが本当に維持できるのか、逆に心配するところです。
12月議会でも議論しましたが、知事が就任された平成19年度の職員の残業時間は、全職員平均で前年度を2割上回る1人平均170時間、20年度はこれを上回る、要するにさらに増加している実情の中で、整合性の観点から定数の削減と残業時間とのバランスをどう保たれるのか、具体的な対応策をお聞かせいただきたいと思います。
また、近年県庁の組織を見てみると、時代の流れの中で組織の統廃合が毎年のように行われていますが、直接県民と接する職員や、接しないまでも裏方として実務を担う職員を削減し、組織形態や組織効率、業務効率をチェックする、要するに間接部門の人員が増えているように思います。
鍵谷議員の代表質問でありましたが、こうした全庁を対象とした間接部門の業務が増加すれば、もろもろの提出資料がふえるのは組織上当然の現象で、目いっぱいの業務をしている職員にとってはますます余裕のない環境になり、無駄と硬直化を生み出す原因となるのではないでしょうか。
スクラップ・アンド・ビルドを含め、業務の見直しに当たっては、改めて間接部門の業務のありようについても検討すべきと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
今回、残業時間がふえていることはデータとしても出ていますので、私どもは指導を強めたいと思っておりますし、我々のほうでも工夫をさせていただく面は多分にあるだろうと思っています。
原因として一番大きいのは、19年度の4月からICカードの残業時間の管理を始めて、従来は帳簿による管理をしていましたが、これで実数が把握できるようになったことが多分に影響している面はあるだろうと思っています。ただ、ことしに入り、今年度も特に後半、残業時間が上昇していると思われますが、これは現在の経済雇用対策が急に降ってわいたことがあって、全庁を挙げて取り組んでいることが影響していると思います。例えば、1月に臨時議会を開催することなど、これは庁内でも当然ながら、それに関連して予算編成なりの仕事がふえてくるのは事実だったと思います。その意味で、20年度も増加している面があるだろうと思っています。
我々としては、例えば若手職員の皆様、現場が一番よくわかっていますので、そこでワーキンググループをつくっていただき、残業を減らしていく具体的な方策の提案をいただきたいと、こういう取り組みをしたいと思っています。また、ワーク・ライフ・バランスが叫ばれることもありますので、新たな就業のあり方の模索をするとか、あるいは、モデル職場を設定して、そのいい例を引き出していって全庁的にも波及させていくとか、そういうことが大切だと思います。
あと、非常に痛切に感じるのは、今回、経済雇用対策のような一時的な需要が降ってわくことがあります。そのときに、柔軟に組織の壁を越えて人を動かしていったりして、残業をしないような形の中で全庁的に仕事をこなしていく体制づくり、もっと流動化させるようなものもあっていいのではないかと思います。災害のときなどはそういうことがありますが、通常ベースのときにはなかなかそれができ切れていない面があるかと思います。いろいろと手段を尽くして、定数の管理もそれとあわせてやりながら、残業時間の削減に向かっていきたいと考えています。
間接部門の業務のあり方の指摘についてですが、これもおっしゃるとおりで、管理的な部門をふやしていくよりは、むしろ現場のほうで住民の皆様のサービスに直接関連するところで充実していくのがベターな選択だろうと思っています。
これについて、私どもも意識をしていまして、わずかかもしれませんが、平成19年から21年まで、今提案しているところのベースで申し上げれば、行財政改革局だとか、あるいは県庁の中の財政課とか出納、そうしたいわば間接部門と先般、鍵谷議員が御指摘になったような部門があります。ここの定員は、19年は117だったものを21年には109人に減らそうといたしており、このように我々なりの努力もしていますが、もっと大胆に踏み込んでいけることは多いだろうと思います。地方機関と本庁との関係などもありますので、要は組織同士での仕事のやりとり、組織同士のやりとりによって生ずる仕事を減らして、むしろ住民の皆様のサービスに直接影響するところを充実させていく方向で定数の適正化につなげていきたいと思います。
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<定数の削減について>No.4 |
残業の件ですが、確かにICカードができましたが、やはりサービス残業の実態を考えれば、まだまだ現実的には非常に多いと思うのです。やはり県民の皆さんが主役の県政として県民が求める公共サービスを提供するためには、知事、あなた一人で一生懸命旗振りしても、私は目的を達成することはできないと思います。
また、職員の皆さんにあなたと同じような感性を求めても、やはりそれは無理があると思います。県庁はいろいろな個性の集団でもあります。この集団をまとめるためには、適度な緊張感の中に職員がしっかり仕事をやっていける、そんな環境をまずつくることが組織のトップの知事としての課せられた仕事であると私は思います。そういう意味も含めて、県庁の業務改革、スクラップ・アンド・ビルドですが、しっかり対応していただくことをお願いします。
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