平成22年12月定例会一般質問(平成22年12月8日)No.1

<防災無線について>

 
 皆さんも記憶に新しいと思いますが、10月20日、鹿児島県奄美大島で記録的な集中豪雨が発生し、死者3名、軽傷2名、全壊7棟、半壊4棟、床上浸水614棟、床下浸水890棟と、島全体で壊滅的な被害が発生し、被害額も100億円を超える甚大なものでした。
 本県でも、平成19年9月、琴浦町において時間雨量103ミリという、バケツをひっくり返したような集中豪雨がスポット的に発生し、死者こそ出なかったものの大きな被害が発生しました。このような豪雨は、最近では常態化したように全国の至るところで発生するようになりました。
 赤碕町役場時代に防災担当をしていた私が、奄美大島の豪雨被害に関し、真っ先に関心を抱いたのは、道路や固定電話、携帯電話が機能不全に陥り、人的被害を含めて、被害の状況が長時間にわたり把握できなかったということです。奄美大島の集中豪雨では、防災無線の屋外拡声機が豪雨のため家の中では全く聞くことができなかったばかりか、固定電話や携帯電話の基地局も機能しない上、インターネット回線も寸断され、情報収集の手段もなく、被害の全容把握に時間を要したと聞いています。
 奄美大島における情報通信網が豪雨により機能しなかったことを、本県の状況に照らして、どのような教訓があったとお考えなのか、知事にお伺いします。
 鳥取県では平成5年、災害時における迅速、的確な情報の伝達収集を行い、地震、津波、風水害、火災等の未然防止、被害の軽減を図ることを目的に、43億円の巨費を投じて、県と市町村、各消防本部及び鳥取地方気象台等の機関を相互に結ぶ地上系の無線通信網が整備されています。さらに、これらの地上系の防災無線を補完する形で、平成13年度から5ヶ年計画で30億円もの経費をかけて人工衛星を活用した衛星系の防災行政無線が、総務省の肝いりで整備され、あらゆる災害に十分な活用が発揮できると言われ、県議会でもその予算が提案された経過があります。
 このほかにも、光ファイバー網が相互補完する形で張りめぐらされていますが、県内隅々まで行き渡っているのではなく、防災機能の観点からは、インターネット通信網は十分でないと言わざるを得ません。
 やはり、防災行政の基本となるのは、あらゆる災害に対応できる通信手段が原則で、その中心は有線でなく無線ではないかと思いますが、防災行政無線について、知事の所見をお伺いします。

●知事答弁

 10月20日の奄美大島の豪雨災害は本当に厳しいものでした。とにかく最近のスコール型とでもいうのでしょうか、熱帯型の、赤碕でもありましたが、ああいうバケツをひっくり返したような豪雨が延々と続いたわけです。10月20日、離島ということもあったと思いますが、なかなか情報が入らず、全国の関係者の皆さんも気をもんだようなことでした。その中で墓石にしがみつくようにして九死に一生を得たお年寄りとか、さまざまな当時のすさまじい状況が後からわかってきたということです。そういう意味で、我々として、あれは奄美大島という非常に特殊な地理的環境の中ですから、他の地域と一律に論ずることはできないかと思いますが、我々として災害時にどうやって情報を伝達するか、これもある意味で双方向的にお互いの情報が、現場と災害対策に当たるところとの間で交わされる、そういう体制づくりがなお一層必要だということが教訓としてあると思います。
 また、今回の災害の場合には住用村だとか色々な役場が関係していますが、役場の1階が水浸しになってしまって、防災行政無線が使えなくなってしまったという事例も報告されているわけです。ですから、我々としては、そうした今回の状況を他山の石として、なお一層防災行政体制を進めていく必要があると思います。これも踏まえながら、防災行政無線をどうやって整備していったらいいのか考えていく必要があると思います。
 本県の場合だと、市町村が主として住民の対策に当たる最前線を担うわけですが、さまざまな方法で住民とのパイプを保とうとしています。例えば広報車が回るとか、またスピーカーを設置して、固定系の無線による同時通報システム、こういうものを整備したり、町村部ではすべての町村で各戸に防災用の端末を置いて、連絡がとれるようになっています。市部でも、倉吉市が今回このようなことを全戸でやろうということを決めましたが、残る3市では一部がやっている。例えば米子市では旧淀江町の中とか、そういう一部でやっているという状況で、まだ全戸に行き渡っているわけではありません。
 また、防災行政無線との関係でも、1階は浸水の可能性があると。2階以上のところにそういう機能を上げているところもかなりの割合で出てきています。要は幾つかの、複数の連絡体制をとらなければならないことだと思います。市町村の中では色々なツールが使えるのですが、まだ使い切っていないところもありますので、市町村とも今回の奄美大島の教訓を胸に置いて、よく調整したり、協調してやっていくことを考えていきたいと思います。
 例えば、我々も西部地震のときに威力を感じたのは、NTTのほうで使わせてもらえるようになる、災害時の緊急用の電話番号というものを確保できます。これは、固定型の普通の電話もそうですし、携帯もそうですが、災害時でも必ず回線が確保されてかかりやすくなると、こういうシステムですが、まだ全市町村でその登録がきちんとできていません。1つの町ではまだそういうダイヤルの登録ができていません。また、そのほかでも1つとか2つとか、ごく限られた回線しか登録していないというところもあって、登録枠いっぱいに使ってもらえば災害時のいざというときの対応がとれるのではないかと思います。
 また、県では配備していますが、衛星系の携帯電話、これは非常に便利なものですし、少々の雨などでも十分使えます。だんだんと性能がよくなっていることもあると思います。これも、市町村でも普及を、特に市域の広いところなどは使っていただく必要があるのではないかと思いますが、こうしたさまざまな工夫を凝らして今回の奄美大島の出来事を教訓とした対策を考える必要があると思っています。
 防災行政無線については、平成19年の決算審査特別委員会で御指摘をいただきました。その御指摘の内容というのはコストパフォーマンスということも考えて、地上系の防災行政無線、これが老朽化していることに対する対策を考えるようにというような決算審査特別委員会の御指摘をいただいたところです。
 こういう御指摘を受けて、我々執行部側でも検討を進めてまいりました。大まかに申し上げれば、今の方向性としては、まず衛星系が1つあります。幾つかのツールがあります。各県やっていますけれども、まず1つは衛星系の無線、それから地上系の無線、また有線とおっしゃいましたが、情報ハイウェイなどそうしたところ。さらに、もちろん災害時の緊急用の電話も使えますけれども、そういうものを組み合わせてやっているところです。
 本県の場合、コストパフォーマンスのことも考えると、一番問題になり得るのは地上系の無線のところで、議員が御指摘のように無線は有線と違い、断線してしまうと使えなくなるというものではありませんので、その意味では災害時を考えると無線というのは重要かと思います。ただ、本県の場合、平成13年の整備により衛星を使えるようになっているものですから、今ではその衛星を使い市町村とファクスなどのやりとりをし、さらに情報ハイウェイを活用して市町村役場とつなぐということを順次整備してきました。これに加え、今、地上系がかなり老朽化をしてきています。厄介なのは、へリコプターからの映像を処理しなければならない。これは災害時、特に水害などの状況が一目でわかりますので、へリコプターでテレビ映像を撮り、そのヘリコプターを活用した防災対策をする、そのためにはヘリコプターはもちろん有線ではありませんので、無線で飛ばしてどこかから中継をして災害対策本部の方へつないでこなくてはいけません。さらに、最近の水害の状況もかんがみて、各地にテレメーターといわれる水位計とかそういうものを設置しています。こういうものも有線でつなぐのは役場と違い非常に非効率ですので、やはり無線で飛ばしていかなくてはならない。したがって、何らかの無線系は必要だろうと考えて、地上系の無線は必要最小限の更新ではないのですが、補強といいますか、当面使えるようにする対策をまずは考えてみてはどうかというのが、現在の我々の考え方です。
 そして、いずれヘリテレシステム、へリコプターによるテレビ伝送システムについて、国全体でヘリサットという新しい無線の方式を衛星系で使えるようにしようという取り組みが進んでいます。この状況もにらみながら、地上系の無線を、では最終的にどうするのかというのを固めていこうというのが、我々の今の考え方です。
 いずれにしても、市町村だとか、あるいは災害の他の地域での経験だとか、そういうものを御意見や情報を得ながら、今後の防災行政無線の整備の仕方についてはさらに検討していきたいと思っています。
 
<防災無線について>bQ

 
 県では平成5年に整備している地上系の防災行政無線施設のうち、県庁から中部、西部への幹線通信網が古くなったということで、来年度から更新、整備をするため、今年度はその実施設計を行う計画ですが、県として防災行政無線の基本構想としてはどのように描いておられるのかお伺いします。
 これまで、県と市町村、気象台、各消防局は空山とか鉢伏山の中継所から60メガヘルツのアナログ無線で結ばれた上に、それを補完する形で衛星系防災行政無線が整備されていましたが、電波法の改正で19年11月30日以降の更新からはデジタル化が義務づけられたため、県は60メガヘルツの通信網を更新、整備することなく廃止し、先ほどありましたが、決算委員会の指摘もあったということですけれども、その中で最終的には廃止という選択の中で、今では市町村との通信網は衛星系のみとなっているわけです。
 本来、衛星系の通信を活用する条件として、地上系の通信回線を持つことが義務づけられているはずです。その意味から、現状の防災行政無線としては、要するに地上系がないのに衛星だけに頼るということは、私は防災行政無線としての機能は不十分であると言わざるを得ないと思っています。
 衛星系防災行政無線は電波をパラボラアンテナで受けるわけですが、集中豪雨のような大雨のときには、雨がカーテンのようになってしまうために、電波を受けることができないということで、肝心なときに役に立たないということから、隣の岡山県では巨費を投じて整備した衛星系の防災行政無線を廃止したということをお聞きしています。
 ところが、我が県においてはこの衛星系の防災行政無線が唯一の市町村等との通信網になっていることで、私自身大きな不安を覚えますが、現状の通信網についての考えをお伺いしたいと思います。

●知事答弁
 
 詳細は防災監からお答えしたいと思いますが、議員がおっしゃったように衛星系にはメリットとデメリットがあります。メリットしては一つの衛星を通じて全国にもつなげますし、市町村にもつなげるということで、非常に大きな機動力のあるものを瞬時にして衛星系を整備してできてしまうということがあります。ただ、おっしゃるように大変な雨だとか、そういうことになると、衛星は空からやってくるものですから、その空からやってくる無線に対して干渉してくると、影響が出てくるといううらみがあります。
 そこで、本県の場合は、実は他県もそうですが、大体20県余りのところは有線系を使っています。本県もその有線系を整備しようということで、情報ハイウェイを活用した、同じ情報、ファクスなり情報なりを市町村とやりとりができる。そういう体制をつくってきています。
 こういうように、衛星系と有線系を併用しているところ、17とかかなりの数がそういう工夫をしています。中には北海道とか青森とか確かに衛星系だけでやっているところもあります。ただ、本県の場合は、それでは議員がおっしゃるように不安がありますので、同じような機能を地上でも果たせるものを複数的に整備させていただくと。コストのことも考えてこういうような体制を選択したところです。その詳細は防災監からお答えしたいと思いますが、もちろん改善の余地があれば、さらに使い勝手がいいように、安心できる体制に持っていけるように改善はさせていただきたいと思っています。 

●大場防災監答弁


 県のほうとしては、衛星系は鉄塔等がありませんので、地上系は地震で鉄塔等が倒れたりすると、地震のときには通じなくなるということがあり、では衛星系だけでいいかというと、衛星系のほうはお話のように雨に弱いという部分がありますので、二段構えで地震に強い衛星系と雨に強い地上系と、地上系だけではなくて情報ハイウェイと。地上系情報ハイウェイ、それと衛星系、この2つのルートの整備を進めております。
 このうちで県と市町村の間の通信ということに関して申し上げると、現在、県のほうでは市町村とは60メガヘルツの地上系無線でやりとりをしていますが、これについては国の方針で今後260メガヘルツに移行しなさいということがあったので、使用を取りやめています。このため、市町村の間では、県からの一斉ファクス、あるいはヘリテレ映像の送信、さらには電話ファクスの相互通信、こういったことに無線を使っていますが、これに使えるのは衛星系だけという状況になっています。
 これについて、地上系の整備は義務だと、条件だというお話がありましたが、これは一応義務ではなくて原則ということになっています。経済的な理由等があれば衛星だけでもいいということになっていますので、そういうことも勘案して、衛星系のほうをバックアップ回線として19年度から整備しているということです。
 この衛星系や情報ハイウェイを利用することにより、先ほど申し上げた一斉ファクスとヘリテレ映像の送信、県からの一方通行の送信、これについては県と市町村の間を結ぶシステムが衛星系以外に整備されました。ただ、あとは県と市町村の相互通信に使う部分がまだできていないということです。これについては、衛星系をバックアップする回線が今のところありませんので、現在、これから取り組もうとしている地上系の最低限の整備、これは先ほど知事のほうからお答えしたとおりですが、これを計画しているということで、この整備とあわせて情報ハイウェイをさらに活用できるようにして、これについても衛星系以外のバックアップルートを確保したいということを考えていますので、2年後には市町村との間での2ルート化ということが完全にできるようになると考えています。

<防災無線について>bR

 
 防災監、原則ですか。原則はそういうふうに都合のいいように解釈すればいいのですか。行政マンとして原則は原則でしょう。今の発言というのは、防災監らしくないなと思います。理論家の大場氏の発言じゃないですよ。

 平成4年ごろ、私も役場で防災業務を担当していました。私は町の防災行政無線の整備にも携わりました。当時、我が町は農村地帯であるため、農業関係補助金を8割、2割の対象外地域を消防庁の補助金を活用して整備してきました。私自身もちろん無線の知識が全くなかったわけですが、なぜか農林水産省の外郭団体で、今でいう天下り団体に設計を出さないと補助がつかない、事業ができないという暗黙の了解があり違和感を覚えたことを思い起こします。したがって、設計もでき上がった既存のものを修正する形で通したことを覚えています。市町村側に十分な知識がないことを幸いに、よいところの宣伝だけで、全くコンサルの主導で事が進められたように感じたものです。県でも私と同様なことではなかったのでしょうか。やはり無線は特殊な知識が必要であり、一般の技士でなく専任のスペシャリストを置く必要があると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 それと、平成16年に電波法が改正され、地方自治体の防災行政無線の周波数が260メガヘルツの使用が可能になったのに伴い、一層幅広い活用方法が可能になりました。これまで固定系の60メガヘルツだと電波が飛び過ぎるため、使用に当たっては大変厳しい規制がある上、利用できる電波の幅も数チャンネルしかありませんでした。ところが、移動系の260メガヘルツ帯というのは電波も余り強くなく、中継所さえ高いところに設置さえすれば、エリアを広げることができ、何よりも活用ができる電波の幅が大きく数百局まで活用ができると言われています。したがって、携帯電話のようにいろいろなバリエーションで活用が可能です。
 そこで提言ですが、1,000万円余りの経費を使って既に実施計画を発注されているわけですが、一度立ちどまって、県として県内の全体の防行政無線の将来のありようをいま一度改めて検討してみる必要があると思います。県内の市町村の防災行政無線や消防無線には更新時を迎えているものもある上、制度改正により二重免許の取得も可能となり、県の防災行政無線網を活用して市町村の防災行政無線等を併用して活用することができるようになりました。やはり県下の防災行政無線の中心的な役割については県がしっかりとしたリーダーシップを持って、県の基本計画をしっかり樹立して、既存の市町村のネットワークを含め将来に向けた活用を十分検討すべきと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 今の県の無線の活用はテレメーターとへリコプターの映像受信だけでしょう、地上系の無線は。本当にもったいないのです。もっともっといろんな人の意見を聞いて知恵を出せば、いろんな活用を含めてできるのです。県の防災行政無線だけで市町村もできるのです、消防もできるのですよ。チャンネルが260になると、かなり電波の利用幅が広がるのです。私はその辺をもっともっと勉強すべきだと思います。私でさえこういうふうに思うわけですから、県の防災担当局はもっともっとしっかりその辺を考えて、今後のありようを定めていただきたいと思っています。 知事の答弁をお願いいたします。

●知事答弁


 鳥取県の場合、ほかの県もそうですが、そうした無線を使わなければならないものですから、当然ながらその意味での専門の資格を取る必要があり、職員が養成されてきています。そういう職員が今回の契約も含めて、こういう無線関係の仕事をさせていただいています。その意味では、一通りの専門家はいるという状況ではないかと思ってはいますが、問題はその契約が適正になされるかどうかで、こちらのほうについて色々な工夫をして、今回も、そのほかのことでも契約を結んできています。その状況は防災監のほうからお話をしたいと思います。
 先ほど申したように、ヘリテレとテレメーターに活用する意味で、やや延命措置のような暫定的な工事をしようというのが今の考え方で、その後のことはこれからまさに詰めた議論が必要になってきます。いずれヘリサットと呼ばれるようなヘリテレについての特別な仕組みが誕生する可能性があったり、また今おっしゃるような260メガヘルツの電波帯がどれほど活用できるか、多分よその県でも、今、国の方針で転換が進められつつありますので、いろんな事例が出てくるだろうと思います。まだ時間的余裕があるので、市町村ともよく協議をしながら、県と市町村とそれぞれが協調しながら、全体として県民の安全が、安心が図られるためにどういうシステムができるか考えていきたいと思っています。
 そういう意味で、よく市町村の状況を聞きながら検討を進めていきたいと思いますが、現状や考え方について、防災監のほうから詳細をお答えしたいと思います。

●大場防災監答弁


 スペシャリストの必要性について、本県でも第1級陸上無線技術士、あるいは第1級の陸上特殊無線技士といった資格を持った職員が担当しており、知識、技術については十分備えており、特段の問題は今のところ感じておりません。

 発注の仕方についても、国の外郭団体云々というお話がありましたが、これについては一般競争入札でやっており、特にそういう関係の団体でなければならないというような条件はつけていません。一応実績は求めますが、それで入札をしており、3社ほど応募があり、実際に落札されたのも、民間企業の共同企業体のほうに落札していただいています。
 また、発注に当たっては、設計内容について既存の情報ハイウェイをちゃんと使いなさいと。専門業者はすぐ専用の設備をつくることを考えてくるので、そうではなく既存の情報ハイウェイをちゃんと使いなさいとか、あるいは中継局の間の通信方法は汎用的なタイプでいいですよ、特別な特注品を使わなくていいですよとか、あるいは機器の構成については具体的な発注仕様書をつくるといったようなことで、かなり具体的に細かく指示しており、決してコンサルの言いなりではありませんので御安心いただきたいと思います。
 市町村とのネットワークについての御質問ですが、これについては知事がお答えしましたように、また市町村のほうともよく話をしてみたいと思いますが、今考えられる状況についてざっと説明しますと、市町村は現在固定系と移動系、この2つの防災行政無線を整備しておられます。固定系のほうは役場と家庭を結ぶ、あるいは屋外拡声機を結ぶ、これの無線システムですし、移動系のほうは現場と役場、あるいは役場と支所の間のやりとりに使うというような無線です。このうち、家庭とつなぐほう、屋外拡声機とつなぐほう、これは60メガヘルツのままですので、260メガヘルツが使えるということになると、移動系が主になると思います。移動系については、県のほうで260メガヘルツ帯、県のほうでも移動系にも使っていたので、これをどうしようかということを今回考えて、移動系を再整備するというのは当然一つあるわけですが、もう一つは今衛星携帯電話がいろいろ普及していますので、これも使えないかなということで色々費用効果を試算しました。そうしたところ、移動系の無線を再整備すると、10年間の運用経費も含めて4億円から5億円かかる。対して、衛星携帯電話を整備してこれを活用するということにした場合には8,000万円で済むと。極端に違いますし、やはりこの衛星携帯電話は複層のおそれもありませんし、データやメールの送受信にも使えますし、降雨の影響も比較的受けにくいといったことで、災害時にも十分使用可能だと考えていますので、県としてはこっちでいこうかということを考えて今対応しています。この辺の事情は恐らく市町村が考えられた場合も同じことになるのじゃないかと思うのです、移動系については。ただ、これは市町村にきちんと相談したわけではないので、もう一遍色々お考えを伺ってみたいと思いますが、そういうことでなかなか難しい部分があるのではないのかなと思っている次第です。
 ただ、いずれにしても市町村のほうによく聞いて、もし利用できるところがあるようなら取り入れてみたいと思います。

<防災無線について>bS


 今言いましたのは衛星通信です。これも総務省の外郭団体の衛星何とか協会といって、ここの勧めで巨額な費用で設置されたでしょう。当時ですよ、今の大場防災監がおられる前の話ですから、そのころは多分私と同じような感じで、要するに流れてきた情報の中で現場はやっていると思います。しかも、今も県がその衛星協会に払う維持費は毎年いくらですか?莫大な金でしょう。
 きょうは防災行政無線について議論しましたが、防災行政無線というのはあらゆる災害を想定する中で確実に情報伝達ができることが絶対であると思っています。そのために、どの県も地理等を勘案する中で、二重三重の通信網を確保していると思っています。今の県の防災行政無線システムでは衛星系の通信網だけであり、他の通信網を補完するものではなく、県として多分専門家の皆さんに言わせればずさんと言われても仕方がないと、欠陥だらけのシステムであると言われても仕方がないと私は思っています。現に雨が降ったらもう通じないわけですから。せっかく防災局までつくり、人的体制を含め、有事の際には機敏に対応できるシステムが県庁に整備されているものの、今の防災行政システムでは不安と言わざるを得ません。確かに実施設計の域に入っていることは承知していますが、いま一度立ちどまって、あらゆる活用方法の研究を含めて基本計画を策定し、想定される災害の中にあっても対応できる防災行政無線の整備を年次的に進めるべきだと私は思っています。
 先ほどありましたが、今260メガヘルツというのは移動系で、防災監が言っておられるのは移動系じゃないのですよ。全部260メガヘルツで家庭への連絡もできるのです。これまでの車に積載しながらの移動系の無線とは違うのです。それは要するに降水のテレメーターにしても防災へリコプターのテレ情報にしても、みんな使えるのです、260メガヘルツで使えば。しかも、消防も使えるのです。市町村も相乗りできるのです。私が言いたいのは、もっともっとそういう部分を、ただ単なる小さい域での無線でなく、鳥取県としての全体の防災行政無線ネットワークをどうするのかということをもっともっと真剣に考えて、お互いで使えるものは使えば市町村も負担が少なくなるのです。ファクスも何も使えるのです。私はそういうことを今この議場で提案しているわけです。ぜひともそういう部分を考えていただきたいということをお願いしたいと思います。答弁をお願いします。
 

●知事答弁

 
 
これからの防災行政無線などの体系をもう一度県と市町村と一体化して考えるべきではないかと。それはおっしゃるとおりだと思いますので、改めて市町村と協議をして、どういう方向で進んでいくかという指針を得ていきたいと思います。
 ただ、今やろうとしていますのは暫定的なことで、先ほども申しましたヘリコプター関係でも無線のやり方がこれから変わってきます。そういうこともあるものですから、当面延命措置を図るような、そういうものにあわせて鉢伏山と第二鉢伏山の間の通信回線を新たにつくるとか、その辺の強化をする程度のことでとどめています。
 防災監の説明がどうも何か衛星携帯電話のほうに話が行ってしまって、それでちょっと混乱したのかもしれませんが、もう一つ大切なのは地上系の有線での情報ハイウェイを活用した双方向型の市町村との連絡のところは、これは強化しようとしております。ですから、衛星で飛ばしていく無線と、それから地上系のものと、これはその情報ハイウェイも含めて、一通りのものをまずつくってみようと。これは比較的安価でできますので、ここで効果を検証してもらい、さらに向上すべきところをお互いに提案し合って変えていけばいいだろうと思います。
 260メガヘルツのバンドを市町村とどうやって組み合わせていけるのかというのは、我々もまだ把握し切れておりません。その辺も防災監のほうで少し研究はされたようですので、防災監がしゃべるとまた混乱するかもしれませんが、そのメリット、デメリットだとか、要はそれを共有できるところとできないところといろいろあるようで、ちょっとその辺の状況もお話したいと思いますが、結論として申し上げれば、市町村ときちんと協議をさせていただき、県と市町村がトータルで住民に対する安全、安心を提供するものですから、その意味で一つのまとまったパッケージとしての、市町村はこれをやる、県はこれをやるというものを考えていくべきだと思いますので、そういう防災行政無線の進め方の指針のようなものをつくり上げていくように努力していきたいと思います。

●大場防災監答弁


 防災行政無線の年間の維持管理費運営費ですが、きちんとした数字を覚えていませんので、また後日報告させていただきたいと思います。
 いずれにしても、先ほど知事からお話があったように、市町村とはよく話し合っていきたいと思います。現に消防無線については、デジタル化に伴い、県としての全体調整計画をつくる予定にしていますので、そういった過程においてでも、そういった機会等を通じて市町村とも意見交換していきたいと思います。

<防災無線について>bT


 やはり今、日南町、日野等で集中豪雨が降って大変な災害が発生したときにどうするのですかということが心配なのです。パラボラアンテナが使えないでしょう。市町村との連絡はどうするのですか、有線がもし知れたときどうするのですか、奄美のように。光ファイバーはないのですよ、隅々まで。地上系の無線はないのですよ、切ってしまったから、県は。せめて残して、暫定的でも60メガのデジタルにしておれば相互通信もできるのですが、それを切ってしまっているから衛星系しかないでしょう。暫定的なんて発言が本当でいいのですかというわけです。それが危機管理ですかというわけです。危機管理に暫定はないのですよ。私は思いますよ。いろんな補完をしながらやっていくのが危機管理であって、暫定的に無線は考えますという話が本当に鳥取県の危機管理なのか、私は疑います。そういうのも含めて、私はきょう皆さんと議論をさせていただいたわけです。ぜひとも早急に全体の計画も含めてですが、そういう今の状況をどうやって、いつ起こるかわからない災害に対して向かっていくかということを、もう少し危機管理意識を高めてほしいなという思いでおります。知事、もし感想があればお願いします。

●知事答弁


 重ねてのお尋ねにお答えしたいと思います。ややちょっと誤解があるかなと思うのは、もしあれだったら、またもう一回やってもらったらいいのですけれども、もうないですか、済みません、余計なことを言いました。
 実は、全国的な趨勢として地上系の県と市町村とのやりとりは整理されてきています。これはやはり、それを維持していくための経費だとか整備をするための経費がかなりかかります。ですから、やはり費用対効果を考えながら、片方で衛星系は、これは国との通信もありますので全国どこの都道府県も整備をしています。ですから、これとつながっていかないと全国との情報がとれませんので、これは必ず持たなくてはいけない。それにあわせて、補完するシステムとして情報ハイウェイだとか地上系の行政無線だとか、いろんな選択肢があるわけです。数を申し上げれば、県と市町村との間で地上系をやっていないのは47の都道府県のうち30ぐらいなのです。今だんだんとそういうふうになってきています。あたかも鳥取県だけが廃止したかのように思っておられるかもしれませんが、確かに岡山は逆の選択をして、国のほうの衛星系は県と市町村の間の連絡に使わなくしました。かわりに地上系の行政無線で県と市町村と引き続きやろうという選択をしたのですが、これは全国的にはまだ希有な例です。
 そういうことで、やはりコストパフォーマンスのことを考えながら、パッケージとしてどういうのが本当に安心できる体制なのかということです。情報ハイウェイは役場への接続のことで、そこから先のことは市町村の無線の関係が出てくるわけです。先ほど議員のほうでおっしゃる260メガヘルツのバンドで、仮に県と市町村が完全に相乗りして、一つのパッケージの無線体系をつくれるのであればそれは一考に値すると思うのですが、先ほど大場のほうで申し上げなかったですが、彼なりに研究してみると、それで使えるのは鳥取市ぐらいの、要は大きな市域のところぐらいしか実際には使えないのじゃないかというのが、今の県の当局のほうの見方なのです。これは間違っているかもしれません。だから、市町村と県とで知見を突き合わせてみて、どういうような姿が本当にいいのかということを考えたいと思っています。
 その際には、実は19年のときの議会の決算審査特別委員会の考え方もそうですが、やはりどうしても無線は大変にお金がかかるものですから、コストパフォーマンスのことも考えて、全体としてトータルとしての費用対効果を見ながら選択を考えていきたいと思います。これは随時議会にも相談したいと思いますし、県と市町村との協議を始めたいと思います。