平成22年2月定例会一般質問(平成22年3月4日)No.1

市町村の視点での地域主権について>


 鳩山政権が誕生して6カ月余り、この間大きな期待と裏腹に、政治と金の問題等で有権者の皆さんの期待を失墜させている現状に対し、地方にあって党を支えている一人として素直におわびを申し上げますとともに、前政権を支えてこられた本議場の議員各位のこれまでの苦悩を改めて思い知る昨今です。

 新政権の政策については、代表質問を初め一般質問において各分野から議論されてきたところで、中でも地域主権についての議論は、我が会派の山田議員との間でかなり深い議論が行われてきたところですが、私は長年地方行政に携わってきた一人として、市町村の視点で地域主権について改めて知事の認識をお伺いしたいと思います。

 私はこのたびの政権でいろいろな改革がマニフェストに掲げられ、その実行に向け鋭意努力されている今日、中でも一番注目しているのは、これまでも議論されたところですが、鳩山総理が地域主権改革元年と位置づけ、地域主権の確立に向けひもつき補助金を廃止して一括交付金化、国の出先機関を原則廃止、地方交付税の法定率引き上げなど、これまでの政治ではできなかった課題の改革への挑戦です。今まさにこれらの改革を実現するために、象徴的な施策として国と地方の協議の場が閣議決定され、今国会に法案として提案されようとしています。今議会においても代表質問を初め一般質問で国と地方の協議の場の議論がありましたが、淡々としたやりとりで、私の受けとめ方では平井知事はこのことに余り期待をされていないように感じられました。私から見れば国と地方の協議の場が設けられること自体大変なことで、今日までの我が国の政治、行政の長い歴史からして、まさに画期的な政策であると思うのです。

 その具体的な例として、鮮烈に思い浮かぶのが小泉政権下での三位一体の改革です。地方分権一括法が施行され、国、県、市町村は対等と言われながら、現実的には地方の声が無視され、一方的に交付税が大幅に削減された苦い経験があります。そういう意味を含めて国と地方の協議の場の設置は地方自治体にとって悲願の政策であったわけです。今、国と地方の協議の場が法制化されようとしているわけですが、平井知事には国と地方の協議の場が設定されるという意義についてどのように認識されているか、改めてお伺いします。

 また、法案の中身を見てみると、協議の場には原則国側から内閣官房長官、地域主権改革担当大臣、総務大臣、財務大臣、総理大臣が指定する国務大臣、地方からは地方六団体の代表が参加することになっています。協議の対象は国と地方公共団体との役割分担、地方自治に関する事項、国の政策に関する事項のうち地方自治に影響を及ぼすと考えられるものと、大きく3項目です。特筆すべきは分科会を開催し、特定の事項に関する調査、検討を行うことができると規定されていることです。このことは前段でも申し上げましたが、地方分権一括法が施行され機関委任事務が廃止され、法定受託事務に改められ、国、県、市町村は対等と言われながらも、まだまだ地方自治体は仕事のやり方を国の法令等で束縛されたり、ひもつき補助金等で現実的には国に管理されてきたのが実態です。全国知事会でも104条項の廃止を国に申し入れられていると仄聞しているものの、いまだ具体的な方向は示されていません。そうした中、こうした問題を対等な立場で、しかも平場で議論することはこれまで到底考えられなかったことで、画期的と私が評したゆえんでもあります。平井知事としては、国と地方の協議の場が開催されるときには何を一番の協議事項として望まれるのか、さらにどんな項目について分科会等で協議が進むことを期待されるのかお伺いします。

知事答弁
 
 まず冒頭で、政治と金の問題についてのコメントをいただいたわけです。これは今まさに世上随分と議論をされているところです。やはり政治家としての矜持としては国民から、住民から信頼されるものでなければならない、その際に、やはり国民の目線から見て金銭の問題というのは大きな問題で、それはすなわち国民の皆さんがそれぞれに自分自身にとってお金というものについていろいろと苦労したり、時にはいろいろと問題があったりということを体験的に知っているからです。それから政治の透明性だとか、また政治に対する何か力が働いているのではないかとかいろんなことを想起させてしまう、思わせてしまうところがあるわけです。ですから、ぜひともこの政治と金の問題については、一日も早く一刻も早く解決をするようにしなければならないと思います。ただ、一朝一夕でできることではないのもまた事実だと思います。これまでも自民党、公明党の政権のもとでもいろいろと政治と金の問題についての改善策を提案せざるを得ないような状況があったり、今も民主党中心の連立政権でそういうような状況があるわけですが、いつまでもたってもこの問題が政界から離れないことに対する国民の不信こそ強いのではないかと思います。地方政治のレベルではおよそ考えられないようなけたの話が出てくるわけで、本来ならもっと別の政治のやり方があるのではないかと考えさせられることがしばしばです。ぜひともこの機会に国会で大いに議論していただいて、抜本的な解決をしていただきたいと思います。

 次に、国と地方の協議の場についてのお尋ねをいただきました。国と地方の協議の場の設置についてどういうふうに認識をしているのか、これについて余り評価していないのではないかというお話がありました。

 私は本当の意味の地域が国と対等のパートナーになるそういう政治構造、行政構造をつくろうと思うと、この両方のコミュニケーションがしっかりととれて現場の感覚が国政にも通じ、国のほうのいろんな地方に対する注文も本来はあるのでしょう、そういうものも地方側は受けとめて自分たちも自分たちの役割を果たす、こういう体制をつくらなければならないと思うのです。

 これは各国でいろんな仕組みができているわけです。ドイツであれば連邦の参議院のほうで地方代表が議席を持つことでこれを担保していく、国の予算から法律から、そういうものに対する事実上の拒否権のような形を持っているわけです。フランスでも事実上は上院というものが市町村長などの地方代表が多く入っているシステムになっています。これは間接選挙ということもあり、そういう傾向があるわけですが、このようにいろんな形で地方側の意見が国政の中で担保される仕組みができ上がっているのだと思います。

 我が国の場合は、圧倒的に中央集権体制の中央側が強かったのが明治維新以来の姿だと思います。戦後に入り、憲法上地方自治というものが制定をされたわけですし、そういう地方自治の本旨にのっとった制度がつくられてきたわけです。ただ、制度はできていても、では実質で本当の意味で地方側の地方自治というものが真実担保されるような税財政制度を常に国が補償してきたか、あるいは一つ一つの制度改正に当たり、地方側の現場の混乱というものをしり目に見ながら勝手に国がやっていたのではないか、こういうことは枚挙にいとまがないわけで、本当の意味で地方が対等なパートナーになっていないということではないかと思います。ですから国に対して地方が協議の場を求めるということは、これまで長く地方側の課題でした。その意味で、今回の協議の場の法定化というものは画期的な意味があるだろうと思います。

 ちょっと沿革をたどってみれば、この国と地方の協議の場ということが大きく言われ始めたのは地方分権の議論が本格化したことだったと思います。ただ、平成16年から18年といったような三位一体改革がなされていたころ、このときにも国と地方の協議の場と称するものができました。内閣の中で主要なメンバーが地方側の代表と話し合うということがありました。小泉政権のもとでなされたこうした協議の場もあったわけですが、内実は、要は地方分権をやれということを地方側が言う。そうだったら地方側のほうから国庫補助金の削減のリストをつくってくれと、こういうやりとりになって、削減のリストを出しましょうと、現実に出てきたわけですが、結果としてはそれとは関係のないリストに基づき国庫補助金の削減がなされました。さらに地方側にとって一番バイタルな問題であった交付税のところ、これは協議対象として余り明確になっていなかったこともあるのかもしれませんが、年末にふたをあけてみると既に大幅削減が決まった格好になっていたと、こういう経緯がありました。ですから、協議の場は確かにできたわけですが、ある意味、国のほうの帳じり合わせに利用されたのではないかと、そういう嫌いもないわけではなかったと思います。ですから、大切なことは、そういうことは当たり前のこととして、この国の仕組みの中で協議の場を設置することだと思います。法律で定められるということは義務化されるわけです。内閣といえども国会が決めた法律に拘束されるわけですから、その意味で大変な前進であることは間違いないと思います。

 問題はここから先のことだと思います。この辺を私が議場で申し上げるので期待していないのではないかというお話が出たのではないかと思いますが、協議をした結果が国政の中に確実に反映されるような仕組みが次にないといけないわけです。今回の法律案の中でいろいろとやりとりがありました。地方側の意見がほぼ取り入れられたと私は思います。つまり協議項目も地方側のほうではかなり幅広い協議項目を示していました。それが読めるような形で今法案が制定されています。また、現実問題、六団体の代表だけで話し合いをするというのではとても細かいところというか、制度の微細に至るまでらちが明かないわけで、分科会を設置すべきだということを私も知事会の任に当たっておられる皆さんに申し上げていたわけです。この分科会設置も国側は大変な抵抗が実はありました。ありましたが、最終的には分科会設置を認めるということで折り合ったわけです。このようにしてかなり地方側の要求をのんだ形にはなっていますけれども、最終的に同意権を地方側に与えたかというと、そういうわけではありません。ですから、協議はしなければならないという義務があります。協議の結果に対する、そこに出席した議員には尊重義務があります。ただ、内閣総理大臣をメンバー構成に加えるようにという地方側の要求は最終的には入ってませんで、出席することはできるということになったので義務的にはなっていないので、そういう意味で本当にそれが担保されるのかどうか、まだ不安があるのが実態かなと思います。問題は実践行動で、ではこれからどういうふうに協議が回ってくるか、そこに注目をすべきではないかと私は申し上げてきたところです。

 国と地方の協議の場について何を一番の協議項目と望み、どういう協議が進むことを期待するのかということです。この協議の内容として、鳥取県の執行部として非常に気になるのは、やはり今焦眉の課題である地方分権、地域主権改革のことは、これは第一番目の協議事項としなければならないと思います。なぜなら、大きな制度改正によってドラスチックな変化がやってくる可能性があります。必ずしも財源が潤沢な状況ではありませんので、国、地方を通じてどうやってスリム化をするかということが当然ながら背景にありながらの議論になります。そういう意味で、特に小さな団体がきちんと仕事ができるように担保されるかどうか、これは不安があるところですので、ぜひとも協議の場としてしっかりと機能を果たしていただきたいと思っています。

 このほかにも、例えば社会保障の関係、これから高齢者医療の問題だとか介護のあり方だとか、また児童福祉といったような子ども達の問題など焦眉の課題があります。制度改正が近々に予定されているものもあります。こうしたものも今までは国から一方的に成案が示された格好でしたが、タイミングが大切ですが、その前の段階で地方側から意見を述べる機会を担保すべきだと考えています。

 また、そのほかにも地方の出先機関、これを廃止していくということをぜひ求めたいと思いますが、これも地方側に対して大きな影響を与える可能性があります。この辺などを丁寧に、まずは分科会を設置するなどをしてやっていただきたいと考えています。 

<市町村の視点での地域主権について>No.2


 知事、答弁ありがとうございました。私もコミュニケーションの場となるよう、本当にこの協議の場というのは期待しているわけで、充実したものになるということを願っています。

 先ほど申し上げたように、国と地方の協議の場が公的に整うと、地域のことは地域で考え、地域で決め、地域で責任を共有するという、まさに現政権が目指すところの地域主権が急速に加速されていくものと私は思っています。しかし、県下の市町村の状況を見回してみると、地域主権に向け急速にアクセルを踏み込むことができる環境にあるかと申し上げれば、残念ながら地域主権への認識並びに執務体制は、かなりまだら模様になるものと思っていますし、県議会で行われているような地域主権に向けての議論や県では設置して協議を始めている地域主権研究会などの取り組みが十分ではない状況にあると私は思っています。

 このように、市町村の裁量が大きくなるという期待感が高まる一方で、市町村の自主的な取り組みは低く、まだら模様の状態のまま地域主権が進めば、市町村間で公共サービス全般にわたり格差が大きくなるという懸念が生じるわけです。知事として市町村の意識改革を含め、その対応をどのように考えておられるのか改めてお伺いします。

 

●知事答弁


 当然、地域主権が進んでくると、それぞれ地域の力量に差があれば、それが住民生活にも影響してくることは当然考えられようかと思います。ですから、その地域主権に基づく制度改革の設計図は慎重につくらないといけないところがあると思います。理念で割り切るのは簡単だと思うのです。例えば、これはもう市町村レベルでやればいい、これは県レベルでやればいい、だからこのことは全部県はやらないで、市町村がやるということにしましょうと。ただ、現実問題として市町村には随分大きさの違いがあったり、福祉行政でいえば障害者福祉のどれだけ専門的な人間がいるのか、こうした人に対応できる人がちゃんといるのかというのは、現状でも市町村によって随分力量に差があります。そうなると、国のほうは今までの様子だと、では市町村は合併して大きさを変えればいいということを言うのでしょうけれども、ただ、市町村が合併することは逆にサイズが大きくなり過ぎて声が届きにくくなるというデメリットも同時に生じるわけです。ですから本当に合理的に考えるのであれば、人材が得られるところがその仕事をやるのが正しい選択肢だということもあり得るわけです。市町村のサイズによっては県のほうが市町村の委託を受けてやるとか、あるいは市町村が共同でお互いに協力し合いながらこういう人材配置をしましょう、そこに県も入って、市町村と県との共同機関をつくってそれで処理をするというようなやり方もあってもいいのだろうと思います。

 ともかく、最終的に出口ベースで住民の皆さんにとって一番いい姿の行政サービスの提供が効率性のことも十分考えた上でなされる、しかもそのサービスを民主的にコントロールできるアクセスも近くの窓口に保障されるというのが必要ではないかと思うのです。これは、結局現場主義でいろいろとやっていかなければならないわけで、まずは市町村の自覚と市町村自身の改善、改革を求める必要があると思います。あわせて、市町村の力量でできないことがあるのであれば県も一緒になって考えていく、市町村同士で協力し合うことなどの新しい方策も導入していくことが必要ではないかと思います。今、我々も地域主権の研究会をやっているわけですが、議論するとそういう方向に進んでいくわけで、市町村とか県が共同して設置する協議会の法人格がついたようなバージョンの団体をつくってみてはどうかとか、そういう議論が始まってきています。

 ただ、今地域主権改革の議論は急速に進んできます。ですから、それに伴って自治法改正の議論、基本法制の改正の議論も進んできます。これは市町村の権能についての話も当然ながら出てくると思いますし、議会のあり方なども協議項目に入ってくると伺っています。急速に進んでくる議論の状況を市町村の皆様にも当然ながら御自身で情報をキャッチしてもらう必要があると思いますが、県内でも地域主権の議論が今こういうふうになっていると、県全体でこういうような声を逆に今の検討が進んでいる国のほうの委員会なりに届けようではないかとか、そういう議論をしてみたり、また地域主権はこういう方向に進んでくるのだから、我々のほうではこういう分野で体制をぜひつくっていこうと、必要があれば県も入るような形でつくってもいいとか、そういう協議をこれから活発にやらなければいけないだろうと思います。そういう意味で、これから地域主権の議論が進んでくる中で市町村との話し合いを密にしたり、啓発の機会を十分につくっていく必要があると思います。

<市町村の視点での地域主権について>No.3

 
 これまで市町村の認識について議論をしてきましたが、やはり一番重要なのは住民の皆さんの意識改革だろうと思うのです。県下でも合併から4年後の町長選挙等、それから議会議員選挙が行われていますが、無投票を否定するわけではありませんけれども、余りにも無投票が多いことはお任せ民主主義といいますか、有権者の皆様がなかなか脱皮し切れていないのではないかと心配するものです。

 特に、地域主権の目玉である一括交付金制度が導入されたときには、市町村の認識次第では活用の方法が変わってくるものと思いますし、民意の熟度の程度によって住民への行政サービスの質そのもの自体にも大きく作用していくものと思います。最終的には、民意の熱度が低ければ、結果責任だけが住民にはね返る懸念も想定されるわけです。

 大きな成長が望めない中、本当に手の届く幸せを実践できる、そんな地域づくりができるのは今がチャンスだと私は思っていますし、この可能性が、この地域主権には秘められていると思っています。逆に何もしない自治体は、まさに不信感だけが住民に蔓延し、地域が崩壊の一途をたどる可能性もあると思っています。

 民意の醸成は、本来は市町村の役割になるわけですが、このように地域主権に向けた民意の醸成も今喫緊の課題であると思いますが、知事の所見並びに県として今後、計画しておられることがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

●知事答弁



 何のために地域主権をやっていくかということですが、これは住民のためです。例えば、国の地方出先機関を県なり市町村なりに権限移譲して移していこうという話があります。これは、結局国の出先機関だと民意が届きにくいわけです。そこで何をやっているのかということについてコントロールがしにくい、その情報すら得にくいということがあります。仮に県であれ市町村であれ、そういうところが所管しているものであれば、それは当然ながらこういう議会の場など平場で議論することになりますし、住民に身近な窓口もできて、そこについて物申していくこともやりやすくなるわけです。ですから、住民の皆さんがそうした地域のさまざまなツールを自分たちの手の上に乗せて、それを使っていくという、それができるようにするために地域主権改革をやるわけです。この辺の意識がまだまだ欠けているのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。遠い世界の中で国と県と市町村が権限争いをしているのではないかとか、そういうように見えるところがあるわけですが、そうではなくて実は自分たちのためにこの議論が行われているということを知っていただきたいと思いますし、それをきっかけにして、では自分たちがこういうまちづくりをやってみようとか、こういうようなNPOを立ち上げて活動してみようかとか、行政との協働について考え直してみようではないかとか、そういうように発展していかなければいけないのだと思います。それでこそ初めて地域の力が上がってくるのだと思います。こうした観点で地域主権について、例えばタウンミーティングをやるとか、そういうアイデアを我々のほうでも今考えているところです。これから地域主権の議論が進んでいくに従って県なりの広報といいますかPR、住民の参画を促すような、そういう機会をつくっていきたいと思います。その詳細は企画部長からお答えしたいと思います。

 

●企画部長答弁

 民意の醸成については、議員からもお話があったように市町村の役割ということで、市町村のほうでは住民自治基本条例をつくるとか、あるいは地域での地域振興協議会というような地域単位の取り組みで自治について住民の皆さんが話し合っていただくと、あるいはそういう仕組みをつくるというような取り組みもされていますし、また智頭町のように百人委員会をつくって住民でそうしたことを考えていこうとか、あるいは北栄町でもみずから事業の仕分けを住民を交えてやっていくというような取り組みで住民の意識醸成を図っておいでです。県としても、民意の醸成について来年度ですが、県民の日の記念フォーラム、9月12日に予定していますが、そうしたところでは鳥取力の創造運動ということをテーマにして、こうした地域のことをみんなで考えるというようなこと、あるいは自治会等と一緒になり住民自治について考えるフォーラムというようなものも計画をしているところです。また、知事からもお話がありましたが、住民自治を考えるタウンミーティングというようなものも実施をしていきたいと考えているところです。

<市町村の視点での地域主権について>No.4


 地方主権についてのいろいろな議論をしてきましたが、なぜこのような議論をしたかというと、地域主権の実施主体者は市町村ですし、国と地方の協議の場に代表で出るのは地方六団体のうちの、要するに市町村が4団体を占めるのです。確かに代表が国と協議、議論をするかもしれませんが、まさにその地方で、鳥取県の市町村の意識がしっかりしないと国に届かないわけです。そういう意味も含めて、私は現状では非常に不安が大きくてとても心配ということで知事と議論をさせていただきました。

 知事も議論の中で話がありましたが、私の要望としては県で取り組まれている地域主権研究会のようなものが県の呼びかけで市町村と共同で開催できないものかと思います。そうした機関ができれば、将来的に市町村が共同で行う事業とか、県が補完すべき事業とかもっと具体的に前向きな議論が進んで、まさに地域主権時代に向けた地域づくりができるものと私は思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。

 最後になりましたが、昨年の暮れに政権交代したことにより、「山陰道遠のく」「20年代開通絶望」等、マスコミの皆さんにはまことしやかに掲載されました。まさに今議会のある代表質問で山陰道の予算確保の見通しが立ったのにもかかわらず厳しい非難がありました。とても残念な気持ちでいっぱいでした。私たちは初めて経験する責任政党としての立場の中、前政権を支えてこられた皆さんと同じように地域の課題としてとらえ、新政権の新しいルールに従い、国交大臣を含め政務三役に、今日まで山陰道の完成が遅れてきたことによる地域経済への影響、そのためにミッシングリンクの解消等をあらゆるツールを活用しながら鳥取県としての思いを伝え、きょうを迎えています。私たちは鳥取県としての熱意と思いが政府・与党の皆さんに一定の理解がされたものと思っています。しかし、私たちは最終的な箇所づけが発表されるまでは気を抜くことなく、その対応を見守っていきたいと思っています。

 私は、地域主権の時代にあって、鳥取県の課題として共有できるものについては政党の枠を超え、地方の課題、地方議会の課題としてとらえ、ともに地方発展のためにでき得る連携は最大限密にしながら、これからも気を引き締めて邁進したいと考えています。

●知事答弁


 まず、地域主権については、おっしゃるように市町村が恐らく主役にならざるを得ないことだと思いますので、市町村の意識をもっと高く持っていただく必要があると思います。その意味で、これからも市町村とのコミュニケーションを密にして、私は鳥取県の場合は、鳥取県自身も小さな団体であり、市町村の距離感も近いところですから、市町村と一緒になって地域の課題を解決していけるのではないかと思います。現在、4つの地域ごとに市町村と共同して事務の共同化だとか、そうした課題を話し合うようになりました。この具体的な成果として、まず日野郡から先行して福祉関係ですとか、あるいは事務用品等の発注とか共同化していくことを始めようとしております。こうした取り組みをさらに地域主権の議論と並行して強化していったり、今おっしゃったように、地域主権についてまさに語り合う場という性格も持たせながらやってはどうかと私も思いますので、市町村とパートナーとしてやっていくような地域主権議論の推進を図っていきたいと思います。

 また、その後コメントがありましたけれども、今回の道路整備の問題です。私も11月ですか、国側からまず第一次的な内々示が示されたときに仰天したわけです。それでふっと頭をよぎったのは、山陰道など国の基幹的なネットワークをこの鳥取県で整備する最大の危機がやってきたなと正直思いました。およそ半分に減らすというような議論でしたので、もしこういうことであれば山陰道などの道路整備はたちまちとまってしまう。それは単に予算上の問題ということではなくて、国のほうが順番待ちをしてきたところに公正にその整備を進めていく、そういう責務を放棄したに等しいのではないかと義憤に近いものを感じることすらありました。その後、これを何とかしなければならないということで、民主党県連の皆さんだとか経済界のいろんな方々と、市町村もそうですが連携して、県内一体となってこれを盛り返すように努めていったのは事実です。その結果として36%程度、31億円の復活が認められて今日まで来たわけです。何とか平成20年代に山陰自動車道をつないでいくめども立ちかけたかなと思います。少なくともひところ完成が危ぶまれた最大の危機と言っていいような状態からは脱することができたと考えています。

 これからも、党派を超えてこうした課題は実現を目指してやっていかなければならないと思っています。これは地域全体の課題ですので、私も皆様とともにこの成就に向けて、こうした重要課題の実現に向けては全力を挙げて邁進していきたいと思います。