平成22年6月定例会一般質問(平成22年6月14日)No.1

<ヘリコプターによる患者搬送について>

 
  この4月から京都府、兵庫県、本県の1府2県でドクターヘリの共同運航が始まりました。運航1カ月間の実績を見ると、82件の出動があり、兵庫県が全体の約7割、京都府が約3割、本県は1件のみということで、地域間の利用状況に相当のばらつきがあるようですが、ひとまず本県の中央病院と京都府の丹後中央病院間での搬送に活用された実績があるようです。報道によれば、もっと本県でもドクターヘリを活用すればよいとの、公立豊岡病院救命救急センター長のコメントが紹介されていました。

 重篤患者への迅速な救命医療の提供や搬送が容易になることから、今後ドクターヘリの活用が進むことが望まれます。まず、実際にドクターヘリの活用を経験した県立中央病院の立場から、ドクターヘリの運航をどう評価しておられるのか、病院事業管理者にお伺いします。

●病院事業管理者答弁

 初めに、ドクターヘリの運航実績についてですが、先般、4月17日の運航開始から5月16日までの1カ月間ですが、運航実績が公表されました。それを見ると、この1カ月間の出動回数は82件で、このうち鳥取県からの要請に基づく出動は1件のみということになっています。その1件のケースは、県立中央病院に救急搬送された患者さんを病院で処置を行った後に、県外のかかりつけ病院に搬送した事例で、これは鳥取県側の要請に基づいてドクターヘリが出動したケースでした。

 その一方で、実は兵庫県内あるいは京都府内、他府県の医療機関等の要請に基づいてドクターヘリが出動し、中央病院に患者さんを搬送したケースが82件のうち6件あります。この6件という数ですが、ドクターヘリの搬送先の医療機関のうち豊岡病院への搬送が39件、続いて八鹿病院への搬送が7件、それに次いで3番目に多い受け入れの数となっています。ドクターヘリの運航範囲内にある医療機関の中で、県立中央病院の果たす役割の大きさを改めて感じさせる結果になっていると思いました。

 また、豊岡病院の救急救命センターの小林センター長さんが、センターのホームページの中でブログを公表されています。このブログを見ると、ドクターヘリの活動状況がよくわかるようになっていますが、先ほどの公表数字以降、現在までの間に、本県の中部消防局からの要請に基づく出動が1件、また東部広域行政管理組合からの出動要請が1件あったということですし、またそのほかに、先週の土曜日に鳥取自動車道で交通事故がありましたが、この際にも鳥取市用瀬町地内にドクターヘリが出動したということを聞いています。今後、こういうふうなケース、つまり県内の消防本部等からの出動要請に基づいてドクターヘリが出動していくというケースは増加していくものと考えています。

 こうしたドクターヘリの活躍を見ていますと、病院としても県民の皆さんにとって本当に心強いセーフティネットが整備された、また、命のネットワークが強化されたという評価をしています。

<ヘリコプターによる患者搬送について>bQ

 
 5月の連休ですが、県内の主要道路は県外車であふれ、特に米子、境、鳥取付近では大渋滞だったと思います。救急車での搬送はラッシュ時の中では大変で、救急隊員は大変だったと聞いています。確かにヘリコプターは道路が幾ら込んでいても発着できる気象条件下であれば、一刻を争う重篤患者の輸送には時間短縮ができ、今後はますます広がるものと思っています。

 5月の連休中、私はヘリポート近くに、わけがあり滞在していたのですが、県立中央病院に連日ドクターヘリ並びに県の防災ヘリによる患者の輸送が行われていたのを目の当たりにして、期待どおりの運航と納得しました。しかし、県立中央病院のヘリポートと救急処置室までは110メートルの距離がありますが、その間は屋外の舗装道路を使ってストレッチャーによる患者搬送をしており、その姿を見たとき、私は唖然としました。時には、小雨程度ならドクターヘリも運航は可能でああり、小雨の中、患者を輸送しなければならないこともあるでしょう。現状の建物の配置の中では、今のコースが最適でしょうが、せめて患者をストレッチャーで搬送する通路上に簡易な屋根を整備するとか、ストレッチャーに衝撃のない路面にするとか、早急に検討すべきと思います、病院事業管理者の御所見をお伺いします。

●病院事業管理者答弁
 
 中央病院のヘリポートですが、平成12年の設置当初は、千代川の河川敷に設置していました。河川敷ですので、河川の増水時に使用できないとか、あるいは病棟に搬送する際に、県道を横断しなければいけないというようなことがあり、現在の敷地内に移設して、平成15年1月から供用開始をしたという経緯があります。

 現状を申し上げますと、御指摘のとおりこのヘリポートから病棟の入り口まで110メートルの距離があり、基本的にはストレッチャーで搬送しているのが現状です。この搬送路に、悪天候に備えという趣旨だと思いますが、簡易な屋根を設置したらどうかということです。

 ヘリポートから病棟までの搬送路は、ヘリで搬入された患者さんを運ぶと同時に、実は救急車の進入路にもなっています。ことし、平成22年の4月、5月、2カ月間の実績を見ると、救急車による搬送が371件、ヘリコプターによる搬送が13件となっています。この搬入路に屋根を設置することになると、救急車の通る広さを確保しながら、道路を拡幅していく必要があります。その際に、周辺の現在の施設の配置状況を見ると、現状の幅員は4メートルですが、なかなか、これを拡幅することは困難だと今考えているところです。

 ヘリによる患者さんの搬送は、これまで過去、年間で20から30件ぐらいありますが、幸いなことに近年、雨などの悪天候時にヘリで搬入されたケースはありません。また、仮に悪天候時に搬入する場合があったと想定すると、その際には、病院所有の救急車でヘリから病棟まで搬送すると、そういう取り扱いにしています。今後ともそういう対応を続けていきたいと考えております。

 次に、搬送路を衝撃の少ない路面にしてはどうかというお尋ねです。

 この点も、現状を申し上げると、ストレッチャーの上に防振マットを敷いて患者さんを搬送しており、路面は通常のアスファルト舗装ということになっています。

 この点、ほかの病院で参考になる事例はないかということで、豊岡病院に実際に現状を聞いてみました。豊岡病院では、駐車場に隣接してヘリポートを設置しておられて、駐車場の一部を搬送路として利用していると。通常のアスファルト舗装で対応しているということでした。

 しかし、お尋ねの件については、現状の搬送路がいずれ補修等が必要になってくる時期があると思いますので、その機をとらえて、何かいい方法はないか研究してみたいと思っています。

<ヘリコプターによる患者搬送について>bR

せっかくヘリが就航したわけですが、患者の立場に立って搬送するのが重要ですので、少々お金がかかっても最小限の整備は進めていただきたいと思っています。