平成23年6月定例会一般質問(平成23年6月17日)No.1
<地域主権について> |
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●知事答弁 |
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きありの話がありますが、「平家物語」は最後に平家が滅んでしまうということになります。ただ、私は別に平家を批判するわけでは全くなく、実は私自身は親からはおまえは平家の子孫だと言われていまして、そういう意味ではみんな運命共同体でこの国を運営していかなければいけないと考えています。やはり、これからの新しい道筋をぜひ我々でつくっていかなければならないと思います。したがって、地域主権というのはそのための大きなハードルだろうと思います。伊藤議員が言われたたように、これはどこが政権を持っても挑戦しなければならない、乗り越えなければならない課題であると私も思います。それは、地方六団体で我々も色々な議論をしますが、そういうときに常に共通認識として持っています。ですから、政権がどういう枠組みであろうがなかろうが、それについて私たちは地域主権の尊さというものの信じるところを述べていかなければならないと考えています。 この民主党政権が発足したときに地域主権は一丁目一番地であるというふうに標榜されたこと、これは私も新鮮に映りました。ですから、私どもとしても鳥取県独自の地域主権のあり方を考えようと研究会も発足させて、これからどのような政策が望まれるのか、国に対して提言したり、あるいは全国知事会に提言したり、そういう活動をさせていただきました。その答えが必要になる、求められるのだと思います。政権発足から1年10カ月がたつと言われました。その果実を私たちも切望しているわけです。地域主権についてはぜひ取り組んでもらいたいと考えています。 また、一括交付金の点でお話がありました。先日、山口議員とも議論させていただきましたが、正直な話を申し上げれば、今の配分について不足があることは否めないところです。87.6%ということで、対前年から10%以上、13%ぐらい落ち込むようなことです。これは一括交付金だけでなくて、一括交付金以外にも社会資本の整備の交付金があったり農村の交付金があったり、そうしたものをトータルで対前年と比較をするわけですが、そうすると、全国的には対前年で91%強の配分があるわけですが、それがこのように鳥取県について不利な配分になっていることは否めないだろうと思います。したがって、地域の実情をよく見ていただいた改善を求めたいと私どもは考えています。 この一括交付金のプロジェクトについて意見を申す全国のメンバーがあって、このたびそのメンバーでの知事同士の話し合いをさせていただきました。意見交換をしてみると、やはり同じような認識を持っています。これは別に鳥取県に限られることではありません。宮崎県のほうからは、やはり社会資本整備がおくれたところに対して十分手厚い制度になっていないのではないか、対前年ということでかなり苦労をしているということが指摘されていました。私も申し上げましたが、そもそもの問題は、前年から総額自体がかなり減らされていることです。先ほど申しましたように、一括交付金だけでなくて、そのほかの交付金合わせても対前年で91.7%ということですので、大分落ち込んでいます。今回、一括交付金を導入するときにどういうことが起こったかというと、これを方便として社会資本整備の総額を削減されたのではないかと、そういう後味の悪い状況が地方側にはあるわけです。ですから、総額をぜひ回復をしてもらいたいと、これを我々として訴えていこうではないかと、全国知事会としてプロジェクトを今話し合いを進めているところです。 実は、総務大臣も含めて政府側のほうは、一括交付金は対前年比で6%減だというふうに喧伝されたのです。しかし、これは実はうそが入っていて、対前年でいくと一括交付金は9%減らされたベースから出発しています。したがって、鳥取県もそうなのですが、ほかも非常に厳しい状況にあるというのが我々の分析です。いろんな問題がありますが、これは総務大臣含め政府側のほうでは、進化させていく交付金制度だというふうにおっしゃっています。これは我々知事同士での話し合いでも、そういう言葉があるのだから改善を申し出て、そして改めていってもらおうと、進化させてもらおうと、こういう考え方で話し合いをしています。 これが地方の現場の声です。民主党のサイドや、あるいは政府のサイドに、会派「絆」のほうからも早速出かけていただき、こういう実情について訴えかけをしていただいたわけで、感謝しておりますし、敬意を表したいと思います。あれが地域主権の出発点になったなと言われるような一括交付金の枠組みにぜひこれから育てていただければありがたいと思います。 次に、過去の状況から申し上げますと、これはざっとした話ですが、大体30人ぐらい、これは片山さんが知事をやった時代もそうですし、私が最初、平成19年度のときなどもそうですが、少しずつ見直しはしていきましたが、大体30名程度の規模で上京をしているという状況だったと思います。その経費は年々200万円ぐらいかかっていました。恐らく西尾知事の時代はもっと長く滞在されていましたし、人数も多かったと思います。そういうことで、これをどうコストとして考えるかということがありました。これは、国のほうの中央集権制度があって、国に陳情を要望しなければ何事も前に進まないという仕組みだと。先ほどの地域主権改革の議論とあわせて、そういう国に陳情要望で大挙して押しかけるというスタイルを変えようというお話がありました。そういうようなことで、色々と見直しがなされたわけです。 一つにはホームページの公開を各省庁で進めようということが進みました。これは評価できると思います。見やすくなったといえば見やすくなりました。また、割と早い段階で詳細な情報を得ることは可能になりました。ただ、欲を言えば、鳥取県は予算のホームページ公開は査定段階からやっていますが、できるだけ速やかに、要求段階などからホームページ公開していただけると、なおありがたいと思います。 また、予算の要望システムが変わったことで、それについて感想や改善すべきことがあるかということです。これは色々な見方がありまして、是とする意見とか改善が必要だという意見が錯綜しています。率直に申し上げれば、県としては民主党の県連にも大分お世話になって要望をつないでいただいており、ある程度聞いていただけているという手ごたえは感じています。ですから、そうした意味での一定程度の評価はさせていただきたいと思いますが、例えば全国議長会の金子会長さんがかつて発言をされていましたが、やはり風通しが悪いとか敷居が高いとか、そういう不満が地方の分野からも出てくるわけです。商工会議所などもかつては要請活動などに東京のほうに出向いていましたが、どこに行ったらいいのかわからないというような声とか、果たしてこれで効果があるのかという声が、率直な意見として私どものほうに寄せられることもあります。だから、我々としてはその分責任感を持って、いろんな団体の御意見なども総括して、国につなごうという努力をこれまでもしてきているわけですが、そうした声があることはぜひ受けとめていただいて、今後も改善につなげていただければありがたいと思います。 また、評価できることとして、色々と丁寧に対応しようとしているという、その努力は感じられるわけです。例えばこの4月、私も病院のほうに入院中で、急遽東京に上京できなくなりました。その際に要請活動の色々な材料を持っていきました。当然ながら私も関与してそれをつくったわけですが、震災対策で雇用調整助成金がありますが、被災地では随分と緩和されました。これをぜひ西日本でも使えるように、例えば観光産業だとか部品産業だとかは大変打撃を受けたので、そういう雇用調整がやりやすいような仕組みに改善してもらいたいという要請活動を持っていきました。ついこのたびですが、民主党の県連を通じて文書で回答がありました。満額回答ではありませんが、一定程度それを認めようという回答です。ただ、正直、県内の企業とか労働関係の方から伺いますと、もう一押し改善してもらいたいことがあるので、これは引き続き要請活動をしていかなければならないと思いますが、そのように具体性のある回答を寄せていただけるようになった面もあります。全部が全部ではありませんが、そういう工夫もされようとしていることは感じられます。ただ、色々と声もあることですので、ぜひより風通しのよい、敷居の低い、使いやすい制度にしていただければありがたいと思います。 画期的な制度である、国と地方の真剣勝負を土俵としてやっていくべきではないかというお尋ねがありました。 これはもっともです。国と地方の協議の場はこのたび与野党歩み寄り、国会のほうでようやく議決になりました。このこと自体、大変歓迎しています。国と地方の協議の場は今まで地方団体側の悲願でして、それでけんけんがくがくの議論をやって、地方自治法のシステムの中で地方六団体というものが法文として制度化されたこともありました。これは自公政権時代のことです。ただ、それでも結局、小泉政権の三位一体改革のような問題が起きるわけで、地方側としてはやはり我々ときちんとした法定の協議の場、地方側の同意がなければ地方に関することは決められないような、そんな仕組みが必要だという声が根強くありました。 そして、全国知事会がこの点はイニシアチブをとった面がありますが、各党に政権公約の中にこの国、地方協議の場を盛り込むように働きかけようということになりました。私自身、国、地方協議の場を含めたこうした政権公約の評価をする立場の委員会のほうに入りました。それで、橋下大阪府知事だとか、当時宮崎県の知事であった東国原知事だとか、みんなで大挙して自民党さんとか民主党さんとか、いろんな党にそうした要望をぶつけて、それで議論をしようということになりました。全国知事会の会合自体もこの件では大荒れになり、国と地方の協議の場というものを、これを政治的にかち取らなければならないと大阪の橋下知事が力説されて、それが結構知事会の中で紛糾の種になりまして、マスコミでも大きく取り上げられました。私も知事会で手を挙げさせていただき提案をさせていただき、その橋下知事が言っているような国、地方協議の場の設定というものを100点満点で30点とか40点だとか、そういう非常に高い点数にして、それで各党の状況を見ていこうではないかと、こういう提言をさせていただきました。そして、そういう方向で実際各政党に投げかけたわけです。その結果として、与野党を問わず、国、地方協議の場が政権の公約として出るようになり、今ようやく法案も成立をしたということになったわけです。色々な闘いの歴史がありましたので、これを糧として、これから国と地方の関係を改めていかなければならないと思います。 先般、山口議員の質問のときに、社会保障と税の問題につき、国、地方協議の場も開かれないままに終わったことが非常に残念だというふうに申し上げました。その後、6月13日、今週になり、国、地方協議の場がようやく設定されました。そして話し合いが持たれ、当然ながら社会保障と税の問題について議論が闘わされました。こうした協議の場が開かれたこと自体、評価に値するとは思うのですが、問題はこれからの運用でして、協議の場を開いて、そこで出される地方の意見を本当に政府側で受けとめて、政策の中に盛り込んでいくかどうかです。これが今まさに問われるポイントになってきました。 先般の国、地方協議の場では、地方側のリーダーである山田全国知事会長が力説されて、分科会を設けて社会保障と税の協議をやるべきだということを言いました。また、原案として、これは不信任案が否決された日にどさくさで出てきたわけですが、その原案の内容では、地方側には地方消費税の配分というものが出てこないわけです。これはおかしいということで、それを全国知事会長が力説されました。この原案のままでは到底地方六団体はイエスと言うことができないという強い言い方をして、それでけんけんがくがくの議論になりました。国、地方協議の場は終わりましたが、さらに20日に最終案をまとめると言っています。それに向けて国、地方協議の場が果たしてもう一度開かれるかどうか、これが一つの焦点になるでしょうし、分科会が開催されるのかどうか、さらにいえば、内容として20日に取りまとめる内容で地方側の意見がどういうふうに反映されるのか、これが注目されるわけです。 きょう新聞報道などで出始めており、国のほうとして、政府側としては、国、地方協議の場はありましたが、地方側には消費税が10%になったとしても地方消費税の今の1%を引き上げない方向で調整に入ったというふうに新聞報道は出始めており、これは一体どうしたことかなという思いがあります。今、この国と地方の協議の場が実効性あるものかどうかが試されているときです。伊藤保議員がおっしゃるようにこれは真剣勝負の場として、地方も本音で語りかけますし、国のほうも本音で話をしてもらって、それで正しいことを国、地方で折り合いをつけてやっていく場になってもらえばいいとに心から願っています。これからの運用が注目されると思っています。 |
<地域主権について>bQ |
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●知事答弁 |
まず、一括交付金について、来年は市町村に及ぶのでぜひしっかりと政府に申し入れをし、協議をしていただきたいというお話がありました。そのように我々としても全力で取り組んでいきたいと思います。 先般の知事同士での意見交換の中でも、やはり次は市町村に及ぶので、その市町村の配分のことについても意見を出そうということになり、プロジェクトチームとしても御意見を申し上げようということで考えています。国、地方の協議の場、せっかくの土俵ですので、ぜひ政府・与党においても重視して活用していただきたいと私のほうでもお願いしたいと思います。 ただいま速報が来て、社会保障と税の関係でとりあえずの案というものが出されたということです。その内容は、地方消費税の今の1%分というものは堅持するようですが、それを引き上げるかどうかということについてきちんとまだ書いてなくて、消費税を5%から10%へ上げますが、地方のほうについては今の単独事業でやっている社会保障の分は、これは地方の税制改正などの中で検討していくというような言い方になっています。これがどこまで内実のあるものなのかどうなのか、それは見定めなければならないわけです。総務大臣はこれで地方六団体と話をして了解を取りつけるということで今通信会社の配信が流れていますが、内容的には地方六団体としてこれでよかったというものでもないと思いますので、これから色々と、国と地方の協議の場を再開をしてもらい、分科会なりをセットしてもらって、地方の税制改正のことも含めた議論を精力的にやっていかなければ決着はつかないのではないかと思います。 |