平成23年9月定例会一般質問(平成23年9月28日)No.3

<36円入札について>

 
 9月16日開催された総務教育常任委員会で、長期継続契約の締結状況について報告がありました。ところが、県立高校へ納入される印刷機のリース契約が3件報告されましたが、3件とも契約金額が36円。私は耳を疑い、常任委員会で担当課に確認しましたが、事実でした。1件目は印刷機17台で36円、2件目も印刷機9台で36円、3件目も印刷機4台で36円、いずれもことしの9月1日から3年間の契約です。まず、理屈抜きで知事の所見をお伺いしたいと思います。恐らく既存の関係法令では合法であるかもしれませんが、私は何か釈然としないものがあります。このような超低価格入札がほかにもあるのかお伺いします。県では県政の推進に当たっては健全な労働、健全な経済の推進が基本だと思いますが、県政とのバランスを欠く契約ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。

 過去、県外でパソコンの1円入札が話題になったことがありますが、低入札の背景には高額なメンテナンス契約がありました。当然低価格入札の背景としてどこかで回収する前提があることが経済活動であり、一般的な企業戦略だろうと思うわけですが、このたびの低価格入札については何をターゲットに経営構築されていると想定されているのかお伺いします。リースされた印刷機は通常1台どれくらいの価格なのでしょうか。リースですからメンテナンス料金は要りませんから、発生するのは通常インク代とマスター、紙代だけですが、リース業者から納入されているのかお伺いします。
  

●知事答弁

 
 率直な感想をいえば、36円だったら私が買いたいというぐらい。何せ160万円ぐらいの機械ですので。だから、そういう非常に不合理な状況だというのが率直な感想です。
 超低価格入札がほかにもあるかというお尋ねですが、実はこれはデジタル印刷機ですが、これ以外には本県はありません。したがって、非常に特殊な現象で教育委員会で入札が続いているということです。
 36円入札は県行政とのバランスを欠くのではないかというお尋ねですが、これは恐らく労働関係のことを念頭に置いているのかなと思いますが、これはバランスを欠くということではないのだろうと思うのですが、率直に申し上げてこれはおかしいと、正されるべきことだろうと思います。
 想像してみると、こういう入札が起こるということは、ほかにベネフィットがあるから起こるのであって、みんな1円で入札をして競うわけです。要は幾らでもいい、とにかくとりたいということでとってしまうと後で大きなベネフィットが来るということだろうと思うのです。そうすると、入札の設計をするときに、入札の仕様をつくるときには、この仕様は多分余り適切でなかったのだと思うのです。法律に違反しているかといえば、議員もおっしゃるように、まさにリース契約ですから、リースの価格を札を入れてください、これは全く適法ですし、問題はないのですが、ただもっと実態をよく考えてみれば、本来であれば36円で入札した後のベネフィットの部分になり得るところも含めた一つのサービス供給契約のような形でトータルの値段で入札を求めるべきだったと思います。そういうふうに改善すべきものなのではないかと思います。そうした問題があるように考えます。
 そして、低価格入札の背景として、印刷機、先ほど160万円程度と申し上げましたが、そのほかのインク代だとか紙代だとか、その具体的な経緯等については企画部長からお答え申し上げます。

●高橋企画部長答弁
 このデジタル印刷機を使用していくに当たり、インクとかマスターといってロール感熱紙、印刷するための機械ですので、インクと印刷するための感熱紙というものが消耗品として必要になってきます。これについては、消耗品の調達で入札ということをしているのですが、ただメーカーの純正品を使うということになると、そのメーカーの製品を扱っている業者が非常に限られているということがあり、結果的に落札業者しか応札がなくて、そちらの業者からの納入を受けているという実態です。1台当たりの消耗品の使用料ですが、このマスターとインクを合わせて1台当たりで年間約40万円ほどの消耗品の調達があります。
<36円入札について>bQ
 
 本当にびっくりしました。印刷機17台の1カ月のリース料が1円ですよ。スーパーマーケットの客寄せの目玉として卵の安売りがありますが、それでも1円は見たことがありません。納入された印刷機は当然新品です。本当に数多くの下請の工場の皆さんがつくり上げた部品、そしてそれらを汗水流して組み立てた労働者の皆さんの思い、その結晶がこの一つの印刷機です。この超低価格入札はまさに私は労働対価を否定する、そういう入札であると思うのです。合法だからといって県としてはこのような超低価格の入札を今後も続けていかれるのか、改めてお伺いしたいと思います。
 地方自治法の改正により清掃業務などの委託業務については最低制限価格を設定することができるようになりました。低価格入札は激減したと思いますけれども、先ほど知事も触れられましたが、リース契約の入札においても何らかの検討をする必要があると私は思っています。その対策についてもう少し具体的に知事の思いをお伺いしたいと思います。
 
●知事答弁

 
 先ほど申しましたように、合法ではありますが不適当だと思います。というのは、労働対価かどうかというと、多分これは労働対価ではありません。結局本当の値段はこの1円以外のところにあって、これをトータルで足し算をすれば労働対価も含めた価格を回収できると入札者のほうで考えておられるのだと思います。そういう構造があるので、1円入札で競い合って、そこで最後は同額になってどちらか抽選で決めるということになるわけですが、問題はその後で幾らかかるかというのはブラックボックスになっていますから、こちらのほうをちゃんと比較の対象にしないと公正な競争ということになりません。合法ではあってもやり方が上手でないものですから、これは正していただきたいと考えています。具体的には庶務集中局のほうになると思いますが、庶務集中局のほうで直してもらいたいと思います。そのアイデアとしては、先ほど申し上げましたが、賃借料、リース料に加えて、さっきトナーのインクの話がありました、あるいは感熱紙の話がありました。そうした経費を加えたトータルで幾らになりますかと、これを比較するということで具体的な入札仕様書をつくってやるべきだと考えています。詳細はきょうの問題提起も含めてこれからよく考えてみたいと思います。

<36円入札について>bR

 議員の皆さん方に理解していただくのに、なぜこれを取り上げたかというと、定価が1台158万円です。17台、2,686万4,000円何がしになるのです。これが1カ月1円のリースなのです。そういうことで取り上げました。
 こうした低価格入札を避けるためには、やはり地方自治法の改正が必要かなと思っていますし、法改正が必要ということであれば、もっと大きな声で政府に声を上げるべきだと思いますが、知事の法改正に向けての所見をお伺いしたいと思っています。
 選択肢の一つとして公契約条例の制定もあるわけで、後日、我が会派の森雅幹議員が改めて公契約について議論をしますので、あとは森議員に託したいと思っています。

 最後にちょっと関係ないことを言いますが、先回の議会でも質問しましたが、ガイナーレの試合が本日午後7時からバードスタジアムで行われますので、ぜひとも議員の皆さん方も駆けつけていただきますようお願いします。
 
●知事答弁


 地方自治法の改正についてお尋ねをいただきました。先ほど申しましたように、まず運用として当方でもっといい入札の仕方を実行に移したいと思います。それとあわせて、正直、自治法の会計のカテゴリーが時代に合わなくなってきているわけです。同じようなことは本県に限らず別の県でも起こっていて、本県だけがデジタル印刷機で1円入札になっているわけではありません。したがって、そうした他県の状況などもありますので、制度改正を今後提案していきたいと思います。