<岡山大学地球物理科学センターについて> |
私たちは、三朝医療センターの視察とあわせて、医療センター敷地内にある岡山大学地球物質科学研究センターを訪れ、中村栄三教授から研究センターの研究概要の説明、施設の案内をしていただきました。視察の本来の目的は、小惑星探査機はやぶさが地球から約3億キロ離れた宇宙で小惑星イトカワに着陸し採取してきた微粒子の幾つかがこの研究センターに送られてきており、その調査研究について聞くことでした。
未知へのロマンを託された小惑星探査機はやぶさですが、打ち上げ後通信手段が途絶え、宇宙で迷子になりましたが、関係者の最後まであきらめない努力により、最終的には小惑星イトカワに着陸し、打ち上げから7年後に小惑星のサンプルを持ち帰るというミッションを見事に果たし、世界中の話題になりました。このとき採取された微粒子6個がこの研究センターに送られてきており、今この微粒子について調査分析が行われて、多くの皆さんのロマンをかき立てる新しい発見がされるものと期待されています。
私たちも中村教授の特段の配慮で研究所に保存されているシャーレに入ったイトカワの微粒子を拝見しましたが、最大のもので50ミクロン、つまり0.05ミリの微粒子で、肉眼では確認できないものでした。ところが、この研究センターでは、この微粒子を3枚にスライスして、微粒子の構造、成分から宇宙の生い立ちを含めあらゆることがわかるそうで、その成分分析結果の一部が8月26日発行のアメリカの科学誌「サイエンス」に特別編集号として発刊されたそうです。私たち議員一同、こんな身近なところに世界的にすばらしい研究センターがあるとは、と驚きながら話を聞きました。
世界的な研究をされている割には研究費が非常に少ないそうで、研究に必須の空調も、地元の業者の皆さんとのコラボレーションの中で整備されたそうですが、大手業者に劣らない性能であるということでした。県として、このすごい研究をしている当研究センターの研究内容をどう把握されているのか、またどのような評価をされているのか、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
実は私自身も9月2日にセンターを訪ねて、中村教授と一緒にセンターの中を歩き、現実に分析している状況を拝見させていただきました。これからまた「ネイチャー」など主要な科学雑誌でさらに成果が出てくるでしょうから、余り詳細を話すのもはばかられるところもありますが、科学者のみならず、世界中の人たちが興味を持つ内容の研究が今進行中であるということだと思います。表面的なことを若干申し上げれば、顕微鏡でその状況が見えるわけですが、議員の皆さんも同じものを多分ごらんになったのではないかと今お伺いしていて思いましたが、非常な微粒子でして、50ミクロンとか、そういう微粒子なわけですが、それが日本で一番分析できる機械なわけです。もともとは地球の中の固体、地球物理学というか、その中の地質を調べることが目的だったのですが、最近では医学的アプローチとして、がん対策の研究だとか、どんどんこの分析手法が応用されて、地球物質科学研究センターの中で研究をされているということです。
今回イトカワから持ち込まれた微粒子の解析もするわけですが、今お話がありましたように、輪切りにして、それでさらに組成を調べるようなこともあるわけです。小さな50ミクロンのものですが、そこにまたクレーターのようなものがあるわけです。実はイトカワ自体にも全体の研究もあり、イトカワにはやぶさがアプローチをしていくわけですが、それで撮った写真の解析などをすると、余り目立ったクレーター状のものが星のほうにはない。それはいわば一遍爆発して散ったものがもう一度くっついたという非常にやわな柔構造をしているものですから、そういうところには何か星がぶつかっても、隕石がぶつかっても、それはクレーターのような形に残らないのです。しかし、この微粒子のほうにははっきりとしたクレーター状のものがあったり、また逆に噴き出すように見えるようなものがあったりして、ドーナツのような形状をしたものとか、そうしたものが微粒子段階で見つかってきているわけです。それは何が起こっているかというと、10ナノメーターぐらいの小さな粒子がぶつかって、それでできた痕跡だということがわかるわけです。こういうものがいつ起こったのかということなどになってくるわけですが、結局このイトカワのことを調べると、これは別の、ここの研究所ではないと思いますが、テレビなどでも報道されていますが、46億年前に地球が誕生するわけですが、この時期に太陽系ができてくる。このときに本当に数百年ぐらいの誤差の範囲内で、非常に正確に放射性物質の測定で年代が出るわけですが、その放射性物質の測定で出てくる年代によれば、まさに46億年前にイトカワの物質ができているということです。ですから、太陽系が生まれたときの記憶がそのままに粒子の中に残っているわけで、これを研究するということは太陽系の成り立ちにかかわるところです。これは世界じゅうの学者がやりたくてもできないことが今三朝で行われているという大変に重要なモーメントを迎えているのです。ですから、すばらしい研究が今なされているということを改めて認識させられました。
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<岡山大学地球物理科学センターについて>bQ |
地球物質科学研究センターでは本当に子ども達だけでなく専門家にとっても多くの希望と期待を抱かせる研究が行われており、その存在をもっともっとPRすべきだと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
来年の2月に倉吉未来中心で予定されているスペース・サイエンス・ワールドinとっとり、これを県としても予算化されているわけですが、これに対する意気込みを改めてお聞かせいただきたいと思いますし、また県としてはこの研究センターとどう連携されているのかお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
先ほど申しましたように、大変に注目に値する研究がなされていて、本議会にこのスペースワールドの予算を提案しています。今、提案する片方でこのセンターのほうに協議をかけていますが、できるだけビビッドなわかりやすい展示をしていただきたいと。先ほどさわりを申し上げましたが、そういう分析の状況、成果をできれば倉吉未来中心で皆さんに提示をしてもらいたいと。内容によっては全国からも注目を集める展示になるだろうと期待をしていますし、それがまた岡山大学のセンターのPRにも役立つだろうと思います。もちろん映画のことだとかいろいろとタイミングを得て同時進行で起こってきますので、我々としては、ぜひ鳥取県の研究センターの存在感というか、成果を世の中に強調して発信していきたいと思います。
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<岡山大学地球物理科学センターについて>bR |
この地球物質科学研究センター、本当に世界各地から科学者が研究のために滞在しておられます。私は、先ほど知事からもありましたが、世界に向かって発信される本当に新たなる研究成果が発表されると思っていますし、議員の皆さん方も県民の皆さんもやはり関心を持って、期待を持って見守っていただきたいと思いますし、必ずその期待にこの研究センターはこたえていただけるものと私は思っています。
イトカワに行ったはやぶさですが、通信が途絶えて操縦不能になりながら7年間、宇宙を60億キロさまよいながら帰還したわけですが、本当にこれを帰還させるために関係者の皆さんはすごい努力をされたということで、ちょうどこの10月1日にこの映画が封切りになります。タイミングもちょうどいいときですし、この研究センターは本当にしっかり研究しているということをもっともっとPRすべきだと思っています。県としても、先ほども申し上げましたが、連携を模索しながら支援や活用を検討していただきたいと思います。
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●知事答弁 |
映画のタイミングもありますので、ぜひPRを強化したいと思います。実は8月の県政だよりで中村教授とセンターの業績について県民の皆さんに配布しました。さらに、9月11日には倉吉未来中心において宇宙学校という取り組みをしました。これは県も共催の一角を担っていて、倉吉青年会議所の50周年記念も兼ねて、JAXAの先生にも来ていただき、そういうイベントをしました。JAXAの准教授が驚いていましたが、鳥取の子どもさんというのは本当に活発だとおっしゃっていました。質問がないかと水を向けると、皆さんが、子どもがほかの地域と違って真っすぐ上に手を挙げると、これが大変素直でよろしいという妙なお褒めをいただいたのですが、そういうことがあって、子ども達も宇宙というと素直に興味を持つということがよくわかったと思います。この機会にぜひPRをやっていきたいと思います。
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